
「社内SNSを導入したいが、自社の状況に合わせてカスタマイズが必要。でも、イチからシステムを構築するのは手間がかかりすぎる……」
そんなとき、ぜひ活用したいのがオープンソースの社内SNSです。
しかし、「有料の社内SNSサービスはたくさんあるのに、オープンソースの社内SNSはなかなか見つからない」とお困りではないでしょうか。
そこでこの記事では、社内SNSオープンソースソフトの選択肢を徹底調査し、以下の情報にまとめました。
・国産の社内SNSオープンソースソフトの種類と特徴
・海外の社内SNSオープンソフトの種類と特徴
・各社内SNSオープンソフトの比較表
実用に耐えうる社内SNSオープンソースソフトウェアの数は限られています。本記事では、現実的な選択肢のすべてが網羅されるよう構成しました。
読み進めていただくと、あなたの会社に合うオープンソースソフトウェアが見つかるはずです。さっそく続きをご覧ください。
1.国産の社内SNSオープンソースソフトウェア
まずは国産のオープンソースソフトウェアをご紹介します。
おすすめは、次の4つです。
①OpenPNE(オープンピーネ)
②抹茶SNS
③SKIP(オープンソース版)
④XOOPS Cube(ズープス・キューブ)
順に詳しく解説します。
1-1.OpenPNE(オープンピーネ)
出典:OpenPNE
OpenPNE(オープンピーネ)は、株式会社手嶋屋が中心となりオープンソース方式で開発を行ってきたSNS構築ソフトウェアです。
カスタマイズしないデフォルトの状態でも十分な機能がありますし、カスタマイズしたい場合には自由度が高く、社内SNSとして利用しやすいのが特徴です。
NHK出版や静岡大学など、30,000以上のコミュニティでの導入実績があります。
PC、フィーチャーフォン、スマートフォンの各種ブラウザに対応し、多様なサーバー環境で利用できるのもメリットです。
<主な機能>
・日記
・メッセージ
・あしあと
・コミュニティ作成
<おすすめシチュエーション>
・社内SNSに参加しているメンバーでスケジュールを共有したい。
・社内コミュニティを作成して限定されたメンバー内の情報共有を行えるようにしたい。
<導入事例>
・NHK出版
・静岡大学情報学部
・ガンホー・オンライン・エンターテイメント 他
<システム要件>
項目 |
要件 |
Webサーバ |
Apacheがインストールされている |
PHP |
OpenPNE2では4.3.3以降 OpenPNE3では5.2.3以降が必要 |
DBサーバ |
MySQL4.1以上 |
※詳しくはこちらをご覧ください。
<メリット>
・無料でありながら十分な機能と高いカスタマイズ性がある。
・他システムとの連携がしやすい。
・マルチデバイスに対応している。
・開発に関する情報が豊富。
<デメリット>
・ファイル共有機能はない。
1-2.抹茶SNS
出典:抹茶SNS
抹茶SNSは、オープンソース・Linuxのシステム開発を手がける株式会社アイシーズが運営しているオープンソースSNSソフトウェアです。
Twitterのようにタイムライン上でコミュニケーションを取る形式を採用しています。会話よりも気軽に、メールよりも簡単にコミュニケーションを取れるのが特徴です。
ファイルをアップロードして共有したりグループで会話したりと、業務に役立つ機能を兼ね備えています。
<主な機能>
・タイムライン
・グループ作成
・ファイル共有
・メッセージ
※デモページはこちら
<おすすめシチュエーション>
・社内のイントラに社員向けのSNSを導入したい。
・ファイル共有の機能が必要。
・機能追加などのカスタマイズを容易に行いたい。
<システム要件>
項目 |
要件 |
OS |
Red Hat Enterprise Linux 5、6、7 |
Webサーバ |
Apache2.2系 |
PHP |
PHP5.1 ~ 5.6 |
DBサーバ |
MySQL 5以降 |
※詳しくはこちらをご覧ください。
<メリット>
・インターフェイスがTwitterに似ているため使いやすい。
・ファイルの共有機能があるので社内SNSとして活用しやすい。
<デメリット>
・導入事例や開発関連の情報が少ない。
1-3.SKIP(オープンソース版)
出典:SKIP
SKIPは、株式会社ソニックガーデンが手がける社内SNSサービスです。大企業向けの社内SNSとして、パナソニック・JT・公文などへの導入実績があります。
現在提供しているサービスはすべて有償化されていますが、2013年までオープンソース版SKIPの開発が続けられていました。
その後、オープンソース版SKIPの開発は中止となりましたが、ソフトウェアは現在でも公開されているため、ダウンロードが可能です。
<主な機能>
・マイページ
・ブログ
・グループ
・キーワード検索
・新着通知
<おすすめシチュエーション>
・従業員数3,000名以上の大企業で使用したい。
・できる限り多機能のソフトウェアを探している。
<システム要件>
オープンソース版SKIPの検証は下記環境で行われています。
項目 |
検証環境 |
OS |
Linux (kernel 2.6系) |
DB |
MySQL 5.0系 |
Ruby |
1.8.6, 1.8.7 |
Rails |
2.3.5 |
ただし「動作を保証するものではなく、下記環境以外でも動作する可能性はある」旨、ソフトウェアファイル内に注記があります。詳しくはソフトウェアをダウンロードしてご確認ください。
<メリット>
・大企業のSNSとして十分に活用できる機能が数多くある。
<デメリット>
・開発中止となったため機能進化がない。
・3,000名を超える企業向けに開発されたソフトウェアのため小規模組織では機能過多。
1-4.XOOPS Cube(ズープス・キューブ)
出典:XOOPS Cube
XOOPS Cube(ズープス・キューブ)はXOOPSから派生したCMSプロジェクトです。Simple、Secure、Scalableの「3S」コンセプトのもと、日本語を含むマルチバイト環境に対応しています。
もともと海外で開発されたXOOPSですが、XOOPS Cubeは日本のサポートチームが日本独自のバージョンを提供しているものです。公式サイトはもちろん日本語で、開発に関する情報も多数あります。
SNS専用のCMSではありませんのでカスタマイズは必要になりますが、多数のモジュール(拡張機能)が公開されており、カスタマイズしやすいのが特徴です。
<主な機能>
・BBS(掲示板)
・ブログ
・Wiki
・カレンダー
・アルバム
<おすすめシチュエーション>
・自社の状況に合わせた特殊な機能の導入を希望している。
・BBS(掲示板)の機能を主に使いたい。
<システム要件>
項目 |
要件 |
OS |
Linux, Windows |
Webサーバ |
Apache |
PHP |
PHP 5.2推奨 |
DBサーバ |
MySQL 5.0以上 |
<メリット>
・多数のモジュール(拡張機能)が公開されており機能追加しやすい。
・サポート情報やフォーラムが充実している。
<デメリット>
・社内SNS専用に開発されたものではないためカスタマイズの必要性がある。
社内コミュニケーションの活性化し組織を強くするUniposとは?|詳細はこちら
2.海外の社内SNSオープンソースソフトウェア
次に海外のオープンソースソフトウェアをご紹介します。
2-1.eXo Platform
出典:eXo Platform
eXo Platformは、オンプレミス版のオープンソース社内SNSです。「SaaS(クラウド)ではなく、オンプレミス設置を行いたい」というニーズに応えてくれる、数少ないOSSです。
海外製で日本語の開発情報が少ないというデメリットはありますが、オンプレミスでの設置が必須の場合は、第一選択肢となるでしょう。
<主な機能>
・ダッシュボード
・いいね!機能
・カレンダー
・トピックツリー表記のフォーラム
・wiki
・ドキュメント管理
<おすすめシチュエーション>
・SaaS(クラウド)ではなく、オンプレミス設置を行いたい。
<メリット>
・オンプレミス設置ができる。
<デメリット>
・海外製のため日本語の開発情報が少ない。
3.社内SNSオープンソースソフトウェアの違い比較表
本記事でご紹介したオープンソースソフトウェアの標準機能の違いを以下にまとめました。
|
タイムライン |
ファイル共有 |
日記・ブログ |
カレンダー |
Wiki |
メッセージ |
コミュニティ作成(グループ) |
OpenPNE |
|
|
○ |
|
|
○ |
○ |
抹茶SNS |
○ |
○ |
|
|
|
○ |
○ |
SKIP |
|
|
○ |
|
|
|
○ |
XOOPS Cube |
|
|
○ |
○ |
○ |
|
|
eXo Platform |
|
○ |
|
○ |
○ |
|
|
標準以外の機能も、カスタマイズで追加が可能ですが、必要機能があらかじめ備わっているOSSを選べば効率的です。
4.社内SNSオープンソースソフトウェアを取り入れる上での注意点
最後に、社内オープンソースソフトウェアを導入する上で注意したい点を確認しておきましょう。
4-1.サーバ費用や運用費を試算する
「コストがかからないから」という理由で、オープンソフトウェアの社内SNSを導入したいというケースは多いでしょう。しかしながら、サーバ費や担当者の工数というコストは発生します。
「実際に導入したら、想定外のコストがかかってしまった」とならないよう、導入前にサーバ費用や運用費を試算しておくことが重要です。
場合によっては、オープンソースにこだわらずに、有料サービスを利用する方がメリットが大きいケースもあります。
4-2.カスタマイズ担当者の退職後の運用まで考慮する
社内SNSに限ったことではありませんが、システムを自社でカスタマイズする場合、「カスタマイズした人が退職して、運用できなくなった」というケースは多いものです。
カスタマイズ担当者が退職したり、病気などで長期休暇を取ったりすることがあっても運用できるように、運用体制を整えることが求められます。
特に、ごく限られた従業員しかシステムを扱うスキルを持っていない職場では、オープンソースの導入自体を慎重に検討する必要があります。
4-3.開発終了になるリスクを踏まえておく
オープンソースソフトウェアは、有料サービスと異なり、いつ開発終了になるかわからないというリスクがあります。
開発が終了した後に発覚したセキュリティ問題やバグ・不具合は、自社で対応する必要があります。
もし開発終了になったらどう対応するか、導入前に方針を決めておくと安心です。自社で対応できない場合には、その時点で他のサービスに乗り換える可能性も視野に入れて設計しましょう。
まとめ
社内SNSが構築できるオープンソースソフトウェアとして、おすすめの5つをご紹介しました。
①OpenPNE
②抹茶SNS
③SKIP(オープンソース版)
④XOOPS Cube
⑤Xo Platform
オープンソースソフトウェアを導入する際には、次の3点に注意してください。
①サーバ費用や運用費を試算する
②カスタマイズ担当者の退職後の運用まで考慮する
③開発終了になるリスクを踏まえておく
注意点を踏まえた上で、自社に合う社内SNSを選ぶことができれば、社内のコミュニーションや情報共有をグレードアップさせることができるでしょう。
気になるオープンソースがあれば、ぜひダウンロードして試してみてください。
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