エンゲージメント経営とは?導入するメリットや事例、実践方法を解説

エンゲージメント経営とは?をひと言でまとめると、
社員と企業の愛着心や信頼関係を重視した経営のことです。

ここ数年で日本でも注目されるようになった新しい経営指針ですが、
「エンゲージメント経営のメリットは?」
「エンゲージメント経営を導入することでどのように変わるの?」
と気になりますよね。

エンゲージメント経営の一番のメリットは、社員と企業の信頼関係や愛着心をベースにしているため、一度構築できれば崩れにくいところです。

しっかりとした絆で結ばれることで、日本企業の多くが悩んでいる優秀な人材の確保や生産性の低下を解決することができます。

このようなメリットを活かすにはエンゲージメント経営とはどのようなものか理解し、自社に合う方法で導入しなければなりません。

そこで、この記事では

エンゲージメント経営が注目される背景
エンゲージメント経営をするメリット
エンゲージメント経営の導入事例
エンゲージメント経営の実践方法
エンゲージメントを高める方法

などエンゲージメント経営に関わる疑問を全解説していきます。

これを読めばエンゲージメント経営とはどのようなものか理解でき、自社で導入するべきかジャッジできるでしょう。

ぜひ、最後まで読み社員と企が絆で結ばれるエンゲージメント経営の魅力をチェックしてみてください。


目次

1.エンゲージメント経営とは

まずは、エンゲージメント経営を理解するために、エンゲージメントの意味やエンゲージメント経営の意味をご紹介します。

1-1.エンゲージメント経営とは社員が愛着心を持ち働けるようにすること

エンゲージメントとは「社員が所属する組織と自分の仕事に熱意を持ち、自発的に貢献しようとする意欲」のことです。

簡単にいうと、「自社に愛着心や思い入れを持つ前向きな姿勢」を指します。

エンゲージメントには「約束」や「契約」といった意味もあり、ビジネス用語として区別するために「従業員エンゲージメント」や「社員エンゲージメント」と呼ぶこともあります。

日本は今までエンゲージメントという考え方を経営に取り入れなかった結果、離職率の増加や社員のやる気の低下などさまざまな問題に直面している状態です。

そこで、企業自体が社員のエンゲージメントを高めることを重視し、経営に取り入れるようになってきています。

エンゲージメント経営とは、社員が愛着心を持ち働けるよう双方が信頼関係で結ばれている経営をさします。

社員と企業の双方の立場から

・会社は社員が期待する価値を提供できているか?
・社員が仕事に幸せを感じ前向きに取り組めているか?

という視点を持ち、向上させていくことが重要だと考えられています。

1-2.エンゲージメントと社員満足度は180度異なる考え方

エンゲージメントという言葉が注目される前は「社員満足度」という指標で、社員と企業との関係性を測定していた企業が多いです。

社員満足度とは「社員が会社に満足しているか」という一方的な評価制度なので、双方の関係性を問うエンゲージメントとは180度異なる考え方をしています。

上の図を見て貰えば分かるように、エンゲージメントは双方の信頼関係をベースとしているのに対し、社員満足度は待遇や環境をベースとしているため、社内の環境や待遇が変われば一気に関係が崩れてしまう可能性があります。

そのため、社員満足度を向上させることが社員と企業にとって有効なことなのか、疑問の声が上がるようになりました。

また、書籍「エンゲージメント経営」で公表されている「コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果」によると、社員満足度で測定している「福利厚生の充実度」や「研修への参加のしやすさ」といった待遇面の項目は、社員エンゲージメントとの相関性が低いことが明らかに。

現在、日本企業が抱えている問題解決に一役買ってくれるのはエンゲージメントなのではという考え方が広まりつつあり、社員満足度に変わる新たな指標として使われ始めています。


2.エンゲージメント経営が注目される背景

1章で述べたように従来多くの企業で実施していた社員満足度を軸として経営では、生産性の向上や離職率の低下など現在企業が抱えている課題解決に直結することができませんでした。

そこで、期待が寄せられたのがエンゲージメント経営です。ここでは、エンゲージメント経営が注目を集める理由をご紹介します。

2-1.日本企業は社員エンゲージメントが低いという現状

コーン・フェリー社が世界の約480企業を対象に実施した社員エンゲージメント調査によると、日本企業のエンゲージメントレベルは海外企業に比べて明らかに低いことが分かりました。

仕事に熱意が持てていない社員比率

 

2015

2016

2017

日本

44

47

48

北米

25

25

26

欧州

30

31

33

中南米

24

22

22

中東・アフリカ

26

26

27

出典:書籍「エンゲージメント経営」(コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果)

上記の表からも分かるように、日本企業は「仕事に熱意が持てていない社員比率」が飛び抜けて高いです。

当然のことですが熱意が持てない社員が多いと生産性が低下するのはもちろん、企業としての価値や存在意義も危うくなります。

そこで、既に社員エンゲージメントを重要視してきた海外企業と同じように、日本企業でも社員エンゲージメントを経営に取り入れなければならないと考える企業が増えてきているのです。

2-2.社員の幸せを考慮しない経営を続けてきた

長い間、日本人の労働に対する価値観は画一的なものでした。終身雇用が守られている、個人よりも集団行動、社訓を守るなど企業と社員の関係性は一方的なもので、やりがいや信頼というソフト面を考慮してこなかったのが事実です。

社員も他社の現状が分からない狭いコミュニティの中で勤務をすることが当たり前となっており、他の選択肢が検討できない時代が続いていました。

しかし、ここ約10年の高速な情報化と働き方改革により、今までの考え方が通用しなくなったのです。

さまざまな情報が溢れ社員が自分のスキルに合わせて会社や働き方を選べる時代となり、今まで企業側が無関心だった「やりがい」や「価値観」を求め転職や独立など自由な判断ができるように。

とくに、企業の発展を支える2030代は一度の就職で安心せず企業を自己成長の場として捉え、自分を評価してくれるよりよい企業で働きたいと考える傾向が強くなっているそうです。

今まで企業が行ってきた企業運営と、新たな時代にフィットする企業経営の価値観の差を埋める方法としても、社員と企業の双方の信頼関係をベースとするエンゲージメント経営が注目されています。


3.エンゲージメント経営を取り入れる3つのメリット

エンゲージメント経営を実施することで、具体的にはどのようなメリットが得られるのか気になるところです。ここでは、3つのメリットをご紹介します。

3-1.労働生産性にプラスの影響を与える

モチベーションエンジニアリング研究所と慶応義塾大学が共同で実施した「エンゲージメントと企業業績」の調査によると、エンゲージメントスコアが1ポイントアップすることで当期の営業利益率が0.35%上昇、労働生産性は0.035ポイントアップすることが分かっています。

同じ時間勤務をしても労働生産性がアップすれば低コストで効率よく成果物を生み出すことができ、企業にとっても大きなメリットとなるはずです。

社員と企業との双方の関係性に注目することで、どちらも共に成長できる土壌が構築できます。

参考:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開

3-2.離職の要因を払拭できる

昨今、多くの企業にとって優秀な人材の確保が課題となっています。

書籍「エンゲージメント経営」では多くの大企業が人材確保に頭を悩ませているとし、「20代の離職率が増加し、将来的な人材の枯渇を危惧している」「新卒採用をしても、1人前のビジネスマンになるころには他社に行ってしまう」という話が目立つと取り上げられています。

そこで、社員の満足度と離職に着目をした株式会社アスマークの「社員の離職原因とエンゲージメントアンケート」の結果を見てみると、職種により多少の差はあるものの企業への満足度と離職意向が反比例になることが分かりました。

参考:社員の離職原因とエンゲージメントアンケート

つまり、企業に対し満足だと感じることができていれば、離職しようという決断には陥りにくいということです。

社員エンゲージメントを高めることで社員が心から「この企業で働けてよかった」と思えれば、貴重な人材の流出を防ぐことに繋がるでしょう。

3-3.企業と社員の関係性が良好になる

社員満足度の向上は報酬や福利厚生など制度面で社員が満足できても、それが双方の信頼関係や働きがいのある職場作りに直結しませんでした。

そこで、登場したのがエンゲージメントという考え方です。

コーン・フェリー社が実施した社員エンゲージメント調査を見ると、社員エンゲージメントが高い日本企業では次の8項目のスコアが高いことが分かりました。

社員エンゲージメントの向上と相関が高い項目

1

顧客に提供できる体験的価値への自信

2

成果創出に向けた効果的な組織体制

3

自社でのキャリア目標達成の見込み

4

生産性を高める環境の整備

5

興味ややりがいのある仕事ができる機会

6

仕事を進めるために必要な人員の確保

7

個人としての尊重

8

自社の戦略や目標に対する信頼

出典:書籍「エンゲージメント経営」(コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果)

1位になっている「顧客に提供できる体験的価値への自信」とは自社の商品やサービスに満足してもらえているという自信を指しており、社員の愛着心が高いとその企業で働けていることにやりがいや満足度を感じていると捉えることができるでしょう。

また、エンゲージメントが高い企業では「組織体制」「個人の成長」「働く環境」どの面から見ても、社員が前向きに捉えていると言えます。

企業が社員の「愛着心」に重点を置き経営ができれば、双方の関係性が良好になり生き生きと仕事ができる環境を自然に作れるところも大きなメリットです。


4.エンゲージメント経営の取り組み事例5

エンゲージメント経営はここ数年で注目されるようになったばかりなのでまだまだ導入企業が少なく、手探りの中運用しているのが現状です。

ここでは、いち早くエンゲージメント経営を視野に入れた取り組みを始めた企業をご紹介します。エンゲージメント経営とは具体的にどのようなものなのかイメージをするときの参考にしてみてください。

エンゲージメント経営のための取り組み内容一覧

会社名

主な取り組み内容

実感している効果

株式会社アトラエ

・出世や肩書きを廃止
360度評価制度
・情報の共有

・離職率の低下
・生産性アップ

株式会社メルぺイ

・月に1度独自アンケートを実施
・改善策を社員に共有

・社員数の増加

株式会社ピアズ

・感謝の気持ちを見える化できるツールの導入

・社員の幸せの追求

小松製作所

・企業の価値観を「コマツウェイ」という冊子にまとめ共有

・離職率の低下

株式会社IDOM

・社員一人一人が当事者意識と経営者目線を持つ

・強い絆で結ばれた組織作り

4-1.給与は平均値でも離職率はほぼ0「株式会社アトラエ」

「意欲ある人が無駄なストレスなく働ける組織」をコンセプトに、ルールを最小化し、倫理観を重視する経営をしている株式会社アトラエ。

出世や肩書きを廃止して上司がいないフラットな関係性を実現し、給与などの評価は360度評価制度で行っています。社員一人一人が主体的に動くことで、給与は平均値でも離職率は「年間1人辞めるかどうか」という低さを実現したそうです。

このカギを握っているのが、徹底した情報共有と意思決定の方法とのこと。

どんな些細なことでも社員全員と情報共有するだけでなく、意思決定が必要が場面ではプロジェクトリーダーを立てて議論をしその結果もフィードバックし不平不満が出ない状況を作っています。

常に社員のエンゲージメントを気にかけ、エンゲージメントが低下したときにはその原因を潰すための制度も検討するようにしているところも重要視しているポイントだそうです。高いパフォーマンスが維持できる環境に整えていくことで、8年連続で生産性の向上を叶えています。

参考:「エンゲージメント経営」に舵を切った成長ベンチャー企業たち

4-2.社員へのアンケートでスコアリング「株式会社メルペイ」

「株式会社メルペイ」は、月に1回社員に独自のアンケートを実施し、アンケートの結果をスコア化し可視化できるようにしているそうです。

アンケートは10つの質問から構成されており、それぞれ10点満点で評価。

それで終わることなくアンケート結果は全社公開をし、課題解決の方法や施策を説明することで「経営陣が組織作りに本気でコミットメントする姿勢」を見せて現場に気持ちを伝えているそうです。

そのおかげもあり、201711月から現在までで社員200名を超える企業へと成長しています。

参考:メルカリをコピーするだけではダメ。設立9ヶ月で200名を超えた、メルペイの組織づくり

4-3.フラットなコミュニケーションプラットフォームでコミュニケーション活性化「株式会社ピアズ」

2017年にホワイト企業大賞を受賞している「株式会社ピアズ」。エンゲージメント向上は顧客満足度向上に欠かせないプロセスであると捉え、まずは社員の幸せを追求することを常に考えているそうです。

金銭的な報酬だけでなく心の報酬が見える化できるツールを導入し、社員同士のコミュニケーションの活性化ややりがいに繋げているとのこと。

一度、エンゲージメントが向上するとその状況が当たり前になってしまうため、同じことを続けるのではなく常に期待値に応えられるアンテナを張り社員が喜ぶことを考え続けているとのことです。

参考:「従業員のエンゲージメント向上が“顧客満足”につながる」ピアズ桑野社長が語る理想の組織の形

4-4.グループの考え方を浸透させモチベーションアップに「小松製作所」

企業の理念や目指す姿が浸透していないと、社員との共感や愛着心が生まれにくくなります。そこにいち早く着目した「小松製作所」は、永続的に伝承されるべき企業としての価値観を「コマツウェイ」という冊子にまとめたそうです。

価値観など全社員に浸透させたい部分には分かりやすい説明をそえて解説。ただ冊子を配布するだけでなくマネジメント層と対象とした説明会も実施することで、ビジョンやミッションを浸透させることができたとのこと。

その甲斐もあり離職率が低下し、働きがいのある企業として成長を続けています。

参考:小松製作所公式サイト

4-5.従業員に当事者意識を持たせる「株式会社IDOM

Googleなどを始め10年間で急成長をした超成長企業に与えられる名称ハイパーグロースカンパニーに日本で唯一名を連ねている「株式会社IDOM」。

社員一人一人が当事者意識と経営者目線を持つことが大切だと考えているそうです。定期的に組織サーベイの測定をするだけでなく、当事者意識を持っているかどうか社員の言葉や発言に注目をして接しているとのこと。

まずはリーダーが強いマインドセットを持ち、どれだけ時間がかかってもいいから社員一人一人に浸透させることで、強い組織ができると考えているとのことです。

参考:10年で売上1000億円。 日本唯一のハイパーグロースカンパニーIDOMの「組織力」とは?


5.エンゲージメント経営の流れ

エンゲージメント経営の方法はまだまだ手探り状態で「これが正しい」というものはありません。
企業の理念や重要視したいポイントに合わせて、取り入れていけるといいでしょう。

ここでは下記の図のような、オーソドックスな流れをご紹介します。

5-1.エンゲージメントスコアを測定する

エンゲージメントは自社ヘの愛着心や信頼といった目に見えない絆なので、定期的に数値化をして社員と企業がどのような関係にあるのか可視化する必要があります。

そこで、利用されるのが「エンゲージメントスコア」です。エンゲージメントを左右する要素を取り入れたアンケートやチェックを実施し、社員の状況を把握するために役立てます。

エンゲージメントスコアの測定方法としては、下記の2種類が主流です。

 

エンゲージメントサーベイ

パルスサーベイ

実施頻度

1年~半年に1

週次、日次、月次

実施時間

20~40分程度

1~10分程度

特徴

社員のエンゲージメントを高める要素を包括的に問う

現状の心理や限定された環境での状態を問う

実施方法

アンケートが中心
1030くらいの質問項目に答える)

アンケートやITツールを使った調査
35くらいの質問に答える方法やタイピングから仕事の没頭度をチェックする方法など、さまざまな手段がある)

留意点

継続して測定し続ける必要がある

短時間で集計をする必要がある

エンゲージメントサーベイは、エンゲージメント経営に欠かせないエンゲージメントを高める要素を包括的に質問する方法です。

質問内容や質問数に定めはありませんが1030項目程度の質問に5段階評価で答えることで、スコア化していきます。

エンゲージメントサーベイは質問事項が多く集計や回答に負担がかかるため、半年~1回程度実施するといいでしょう。

その隙間に行うのが、パルスサーベイです。その日の社員の状態や変化を知るために行う簡単な調査です。具体的に、どのように取り組んだらいいのか気になる場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

エンゲージメントサーベイとは?効果や具体的な実施ステップを解説! 

5-2.問題点や改善点を洗い出す

エンゲージメントスコアが分かると、自社の強みと課題を明確化することができます。

エンゲージメントスコアを測定するときの質問内容は多義に渡りますが、いち早くエンゲージメントスコアを導入したコーン・フェリー社がエンゲージメントを左右する要素として掲げている次の要素をベースにしていることが多いです。

エンゲージメントスコアを測定するときに基本となる12の要素

1

戦略・方向性

企業理念や目標が社員に浸透しており、支持、共感されているか

2

リーダーシップ

管理職の運営に信頼を寄せているか

3

個人の尊重

個人の立場が尊重されているか
生活と仕事の両立ができているか

4

品質・顧客志向

質の高いサービスや商品が提供できているか

5

成長の機会

スキルアップする機会やサポートがされているか

6

報酬・福利厚生

報酬や福利厚生に不満はないか

7

業績管理

社員が自分の課題や業績を理解し、妥当な報酬を貰っているか

8

権限・裁量

効果的に仕事をするための発言や提案に耳を傾けて貰えているか

9

リソース

仕事をする環境が整っているか

10

教育・研修

充分な学びの場が用意されているか

11

協力体制

アイデアや相談などができるコミュニケーション環境となっているか

12

業務プロセス・組織体制

業務が理解できるマニュアル作成や効果的に業務ができる機材導入がされているか

上記の項目とエンゲージメントスコアの測定結果を照らし合わせながら「この項目が強い」「項目が欠けている」という部分を書き出しましょう。

そして、改善が必要な項目にフォーカスを絞って、具体的な改善策を考えていきます。こうすることで、ただ単に「エンゲージメントスコアが低かった」「エンゲージメントスコアが高かった」で終わらず、自社をより良くするための経営に取り入れることができます。

5-3.改善に向けたガイドラインを作成する

エンゲージメントを高めるために必要な問題点が分かったところで、実際に改善に向けてどのように動いていくのかガイドラインを作ります。下記のように、課題に合わせて改善策となることをいくつか挙げてみましょう。

ガイドラインは社員と共有することで企業側も改善に向けて動いていることをアピールできるため、できる限りオープンにすることをおすすめします。

実際に、エンゲージメントスコアが高いとどのようなメリットがあるのか、エンゲージメントスコアが高い企業の事例を知りたい場合は、下記の記事もチェックしてみてください。

 エンゲージメントを高めるための具体的方法と成功した企業の施策例

参考: 平成30年度産業経済研究委託事業(企業の戦略的人事機能の強化に関する調査)」


6.エンゲージメントを向上させる5つのヒント

今よりもエンゲージメントを高めるには次の5つに着目する方法があります。全部実践する必要はなく、企業理念や重視しているポイントと一致する部分から取り組んでいきましょう。

6-1.ワーク・ライフ・バランスの見直し

社員が生き生きと仕事に励むには、仕事以外の時間の充実も大切です。残業や休日出勤、膨大な仕事の割り振りなどが続くと、プライベートが圧迫されて「理想の働き方ができていない」「やりがいを感じられなくなった」と仕事への意欲を削ぐ結果に繋がります。

そこで、働き方改革と共に政府が推進しているのが「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」です。

ワーク・ライフ・バランスは「やりがいや充実感を得ながら働き仕事での責任を果たすのとともに、人生の各段階において多様な生き方が実現できる社会」を目指しており、エンゲージメントの向上に通じる考え方がベースにあります。

ワーク・ライフ・バランスを意識した制度や取り組みを始めることで、幅広い年齢層の社員が多様なライフスタイルを尊重しながらやりがいや目的を持ち働けるようになります。

その結果、生産性のアップや離職率低下、社員のモチベーションアップに直結していくはずです。仕事と生活の調和を考えたときに不足している部分をピックアップし、それを補填できるような施策を検討するといいでしょう。

参考:政府広報オンライン

6-2.管理職のマネジメント力を見直す

企業側が何のアプローチもしなくても社員自らやりがいや目的を持ち、自発的に仕事に取り組むのはなかなかハードルが高いでしょう。

そこで、重要となるのが部下を指導する管理職のマネジメント能力です。

コーン・フェリー社の研究では、組織トップが発揮するリーダーシップのスタイルが風土の70%を決定していることが判明したそうです。

言い換えれば、リーダーシップを発揮する立場にある人たちが部下をどのようにマネジメントしているかにより、組織全体が大きく変わるということになるでしょう。

また、2018年にエン・ジャパンが実施した「仕事のやりがいと楽しみ方」アンケートによると、仕事でやりがいを感じる瞬間として「お礼や感謝の言葉をもらう」「仕事の成果を認められる」「尊敬できる人と働く」などが上位にランクインしています。

この結果からも、上司の姿勢や部下との関わり方がやりがいを左右していることが一目瞭然です。だからこそ、エンゲージメント向上を目指す場合には管理職のマネジメント力をもう一度見直し、足並みを揃えることが重要なのです。

参考:9,000名に聞く「仕事のやりがいと楽しみ方」調査男性より女性は「感謝」「仕事の成果」「尊敬できる人と働くこと」を重視。

6-3.企業理念の浸透

企業理念は企業と社員が同じ目的や目標を共有するために欠かせない指標です。

株式会社ノースサンドが20196月に実施した「経営理念×やりがいに関する調査」では、働きがいがないと感じている人より働きがいを持っている人のほうが企業の理念に共感していることが分かりました。

この結果からもエンゲージメントを向上させるには、企業理念に共感してもらうことが欠かせないことが分かるでしょう。

企業理念に共感し双方が手を取り合うには、下記のような対策が有効です。

・部下を指導する立場にある管理職が企業理念を正しく理解し、共感してもらえるよう伝えていく。
・常に企業理念が目に留まる掲示方法を工夫し、自然と意識してもらえるようにする。
・企業理念を分かりやすく伝える機会を設ける。
・企業理念に対してディスカッションをする機会を設け、理解を深める。
・企業理念自体を社員と共に、よりよいものに変えていく。

エンゲージメントスコアで企業理念の浸透が欠けている場合や企業への共感が低い場合には、ぜひ試してみてください。

参考:経営理念×やりがいに関する調査

6-4.コミュニケーションの活性化

2016年にHR総研が実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート」によると、約8割の企業が社内コミュニケーションに課題を感じていることが分かりました。

社内でのコミュニケーションに問題があると、

・信頼関係が築きにくい
・課題や目標を共有できない
・業務の問題点を相談しにくい
・相手のことを理解した上で、業務依頼やFBができない

などといった「業務に支障をきたす側面」と「良好な信頼関係が築けない側面」の問題が出てきます。この状態のままではエンゲージメントを向上させることは難しいでしょう。

そこで、社内コミュニケーションを活性化させるために、下記のような取り組みをしている企業が増えています。

社内コミュニケーションを活性化するための取り組み(229社)

社内報

34

レクリエーションの実施

31

経営層との面談・ミーティング

27

クラブ活動

24

コミュニケーション研修

23

無理なく実施できそうなことから検討し、社員同士が信頼関係を構築しやすい土壌を作ってみましょう。

6-5.働く環境の整備

冒頭で説明したように、ただ単に福利厚生やオフィス環境充実させてもエンゲージメント向上に結びつけることは難しいです。

福利厚生やオフィス環境を見直すときには「ワーク・ライフ・バランス」を念頭に置いて考えるようにしましょう。

例えば、子育て世代が多い企業では学校行事に合わせて休暇が取得できる福利厚生を用意すれば、社員は働きやすくなりより仕事に打ち込めるようになるかもしれません。

また、介護や育児をしながらでも勤務できるテレワークや在宅ワーク制度を整えれば社員が働きやすさを感じ、前向きに仕事ができるようになる可能性が。

このように、社員のニーズや働きやすさに合わせて福利厚生やオフィス環境を改善していくことがモチベーションアップに繋がり、最終的にエンゲージメントの向上に結びつくでしょう。


7.エンゲージメント経営を取り入れるときの注意点

ここまで、エンゲージメント経営の流れやエンゲージメントを向上させるヒントを紹介してきましたが、実際にエンゲージメント経営をするときに、気をつけたいポイントがいくつかあります。

本格的にエンゲージメント経営を導入する前に、チェックし自社にとって最適な方法を考えるときに役立ててみてください。

7-1.定期的にエンゲージメントスコアを測定し状態を把握する

エンゲージメント経営をスタートさせるにあたり、定期的にエンゲージメントスコアを測定することを予算や計画に盛り込む必要があります。

社員の気持ちや企業に抱く思いは日々変化していくので、一度の測定で出た結果が全てではありません。また、エンゲージメント経営を始めると施策により社内の雰囲気も変化していくため、社員がどのように感じているのか現状を把握する必要もあります。

エンゲージメントスコアの測定方法はさまざまな方法がありますが

簡易的なサーベイ:毎日、1週間に1回~1ヶ月に1回程度
本格的なエンゲージメントサーベイ:3ヶ月~半年に1回程度

を組み合わせながら無理なく実施できるよう、あらかじめ計画を立てて社員に周知をしておくようにしましょう。

7-2.課題を把握して解決するための長期的なプランを立てる

エンゲージメントをスコア化するようになると明らかに数値が低く、課題となる部分が見えてきます。課題が明確化したらそのままにせず、どのように解決をするのか長期的なプランを立ててみましょう。

例えば、コミュニケーション不足が課題となっている場合は、上記のようにいくつもの視点から解決策を提案します。

課題となっていることは長期的な視野で調整をしてどのような変化があるのかじっくり検討していくことが大切なので、あらかじめプランを立てて計画的に実行していくようにしましょう。

7-3.管理職だけで解決しようとしない

エンゲージメント向上に向けて課題が見つかった場合、管理職などの上層部だけで解決しようとしないようにしましょう。閉鎖的な経営は社員の不信感の要因となり、社員と企業が愛着心で結ばれる現状とは程遠い状態となります。

具体的には、下記のように社員に対し情報公開などをして「施策をしている」「社員に歩み寄ろうとしている」姿勢を見せることが大切です。

また、社員とともに施策を考えることができれば、主体性が生まれ自ら考えて行動する力も養えます。

・エンゲージメントスコアを公開し、課題を共有する。
・課題に対し、どのような施策をしているのかオープンにする。
・社員からもエンゲージメントスコアが向上するような取り組みを募集する。
・社員とともに、エンゲージメントスコアが向上する取り組みを話し合う。

社員と管理職との隔たりも緩和でき一体感が生まれやすくなるので、課題の解決方法や情報共有方法もあらかじめ視野に入れておきましょう。


8.エンゲージメント経営を学べる書籍2

最後に、より詳しくエンゲージメント経営を学べる本を2冊ご紹介します。エンゲージメントの重要性や導入事例、エンゲージメントを取り入れるメリットをより詳しく理解したい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

8-1.エンゲージメント経営


出典:Amazon

エンゲージメント経営が注目される背景や、導入事例、課題からエンゲージメントが高い企業と低い企業の差が理解できるところが特徴。

コーン・フェリー社が実施したエンゲージメントに関する調査結果を基に展開されるため分かりやすく、自社でどのように導入できるかイメージしやすくなっています。エンゲージメント経営の入門書として、おすすめの1冊です。

価格:1,870円(税込) 
Amazonでの購入はこちらから

8-2.組織の未来はエンゲージメントで決まる


出典:Amazon

エンゲージメントはチーム作りにどのように活かせるのか、分かりやすく解説してくれる1冊。エンゲージメントの重要性から導入事例、エンゲージメントの活かし方まで詰まっているため、今すぐエンゲージメント経営を始めたい人におすすめです。

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9.まとめ

いかがでしたか?
エンゲージメント経営とはどのようなものか理解でき、自社に導入するべきかジャッジができたと思います。

それでは、最後にこの記事の内容をまとめてみると

エンゲージメント経営とは「社員と企業の愛着心や信頼関係を重視した経営」のこと

エンゲージメント経営が注目されるようになった主な理由は次の2

1)海外企業に比べて、日本企業のエンゲージメントが低い現状
2)働き方の多様化により、従来の経営方法では社員のやりがいや満足度が満たせなくなった

エンゲージメント経営をするメリットは次の3

1)社員が前向きに仕事に取り組めるため生産性が向上する
2)離職の要因が払拭でき、貴重な人材を確保できる
3)社員と企業が双方に満足のいく関係性が築ける

エンゲージメントスコアを高めるための対策は次の3

1)エンゲージメントスコアを測定するための要素を理解しておく
2)管理職のマネジメント力を養う
3)継続的に測定しエンゲージメントスコアの高低を把握する

これを踏まえ、エンゲージメント経営をするときの主な流れは

1)エンゲージメントスコアを測定し、現状を可視化する
2)エンゲージメントスコアの結果から、問題点を見つける
3)問題点を解決するためのガイドラインを作成する

実際にエンゲージメントを向上させたいときに気をつけたい5つのポイントは

1)仕事と生活のバランス「ワーク・ライフ・バランス」を見直す
2)管理職のマネジメント力を鍛えて、部下との信頼関係を築く
3)企業理念を浸透させ、共感してもらう
4)社内コミュニケーションを活性化させる
5)ワーク・ライフ・バランスを視野に入れながら、環境や福利厚生を見直す

最後に、エンゲージメント経営をするときに気をつけたいポイントは次の3

1)エンゲージメントスコアの測定は継続し、常に現状を把握する
2)改善策は長期的なプランを立てて、しっかり取り組む
3)上層部だけで解決しようとせず、社員も巻き込む

エンゲージメント経営を取り入れて働きやすい環境を実現するのはもちろんのこと、企業と社員が絆で繋がる良好な関係性を築けることを願っています。

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