エンゲージメント, 組織形態, 人材育成/制度, 人材定着・離職 2020.03.16 (最終更新日 2022.02.16) エンゲージメント経営とは?導入するメリットや事例、実践方法を解説 エンゲージメント経営とは?をひと言でまとめると、社員と企業の愛着心や信頼関係を重視した経営のことです。 ここ数年で日本でも注目されるようになった新しい経営指針ですが、「エンゲージメント経営のメリットは?」「エンゲージメント経営を導入することでどのように変わるの?」と気になりますよね。 エンゲージメント経営の一番のメリットは、社員と企業の信頼関係や愛着心をベースにしているため、一度構築できれば崩れにくいところです。 しっかりとした絆で結ばれることで、日本企業の多くが悩んでいる優秀な人材の確保や生産性の低下を解決することができます。 このようなメリットを活かすにはエンゲージメント経営とはどのようなものか理解し、自社に合う方法で導入しなければなりません。 そこで、この記事では ◯エンゲージメント経営が注目される背景◯エンゲージメント経営をするメリット◯エンゲージメント経営の導入事例◯エンゲージメント経営の実践方法◯エンゲージメントを高める方法 などエンゲージメント経営に関わる疑問を全解説していきます。 これを読めばエンゲージメント経営とはどのようなものか理解でき、自社で導入するべきかジャッジできるでしょう。 ぜひ、最後まで読み社員と企が絆で結ばれるエンゲージメント経営の魅力をチェックしてみてください。 1.エンゲージメント経営とは まずは、エンゲージメント経営を理解するために、エンゲージメントの意味やエンゲージメント経営の意味をご紹介します。 1-1.エンゲージメント経営とは社員が愛着心を持ち働けるようにすること エンゲージメントとは「社員が所属する組織と自分の仕事に熱意を持ち、自発的に貢献しようとする意欲」のことです。 簡単にいうと、「自社に愛着心や思い入れを持つ前向きな姿勢」を指します。 エンゲージメントには「約束」や「契約」といった意味もあり、ビジネス用語として区別するために「従業員エンゲージメント」や「社員エンゲージメント」と呼ぶこともあります。 日本は今までエンゲージメントという考え方を経営に取り入れなかった結果、離職率の増加や社員のやる気の低下などさまざまな問題に直面している状態です。 そこで、企業自体が社員のエンゲージメントを高めることを重視し、経営に取り入れるようになってきています。 エンゲージメント経営とは、社員が愛着心を持ち働けるよう双方が信頼関係で結ばれている経営をさします。 社員と企業の双方の立場から ・会社は社員が期待する価値を提供できているか?・社員が仕事に幸せを感じ前向きに取り組めているか? という視点を持ち、向上させていくことが重要だと考えられています。 1-2.エンゲージメントと社員満足度は180度異なる考え方 エンゲージメントという言葉が注目される前は「社員満足度」という指標で、社員と企業との関係性を測定していた企業が多いです。 社員満足度とは「社員が会社に満足しているか」という一方的な評価制度なので、双方の関係性を問うエンゲージメントとは180度異なる考え方をしています。 上の図を見て貰えば分かるように、エンゲージメントは双方の信頼関係をベースとしているのに対し、社員満足度は待遇や環境をベースとしているため、社内の環境や待遇が変われば一気に関係が崩れてしまう可能性があります。 そのため、社員満足度を向上させることが社員と企業にとって有効なことなのか、疑問の声が上がるようになりました。 また、書籍「エンゲージメント経営」で公表されている「コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果」によると、社員満足度で測定している「福利厚生の充実度」や「研修への参加のしやすさ」といった待遇面の項目は、社員エンゲージメントとの相関性が低いことが明らかに。 現在、日本企業が抱えている問題解決に一役買ってくれるのはエンゲージメントなのではという考え方が広まりつつあり、社員満足度に変わる新たな指標として使われ始めています。 2.エンゲージメント経営が注目される背景 第1章で述べたように従来多くの企業で実施していた社員満足度を軸として経営では、生産性の向上や離職率の低下など現在企業が抱えている課題解決に直結することができませんでした。 そこで、期待が寄せられたのがエンゲージメント経営です。ここでは、エンゲージメント経営が注目を集める理由をご紹介します。 2-1.日本企業は社員エンゲージメントが低いという現状 コーン・フェリー社が世界の約480企業を対象に実施した社員エンゲージメント調査によると、日本企業のエンゲージメントレベルは海外企業に比べて明らかに低いことが分かりました。 仕事に熱意が持てていない社員比率 2015年 2016年 2017年 日本 44% 47% 48% 北米 25% 25% 26% 欧州 30% 31% 33% 中南米 24% 22% 22% 中東・アフリカ 26% 26% 27% 出典:書籍「エンゲージメント経営」(コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果) 上記の表からも分かるように、日本企業は「仕事に熱意が持てていない社員比率」が飛び抜けて高いです。 当然のことですが熱意が持てない社員が多いと生産性が低下するのはもちろん、企業としての価値や存在意義も危うくなります。 そこで、既に社員エンゲージメントを重要視してきた海外企業と同じように、日本企業でも社員エンゲージメントを経営に取り入れなければならないと考える企業が増えてきているのです。 2-2.社員の幸せを考慮しない経営を続けてきた 長い間、日本人の労働に対する価値観は画一的なものでした。終身雇用が守られている、個人よりも集団行動、社訓を守るなど企業と社員の関係性は一方的なもので、やりがいや信頼というソフト面を考慮してこなかったのが事実です。 社員も他社の現状が分からない狭いコミュニティの中で勤務をすることが当たり前となっており、他の選択肢が検討できない時代が続いていました。 しかし、ここ約10年の高速な情報化と働き方改革により、今までの考え方が通用しなくなったのです。 さまざまな情報が溢れ社員が自分のスキルに合わせて会社や働き方を選べる時代となり、今まで企業側が無関心だった「やりがい」や「価値観」を求め転職や独立など自由な判断ができるように。 とくに、企業の発展を支える20~30代は一度の就職で安心せず企業を自己成長の場として捉え、自分を評価してくれるよりよい企業で働きたいと考える傾向が強くなっているそうです。 今まで企業が行ってきた企業運営と、新たな時代にフィットする企業経営の価値観の差を埋める方法としても、社員と企業の双方の信頼関係をベースとするエンゲージメント経営が注目されています。 3.エンゲージメント経営を取り入れる3つのメリット エンゲージメント経営を実施することで、具体的にはどのようなメリットが得られるのか気になるところです。ここでは、3つのメリットをご紹介します。 3-1.労働生産性にプラスの影響を与える モチベーションエンジニアリング研究所と慶応義塾大学が共同で実施した「エンゲージメントと企業業績」の調査によると、エンゲージメントスコアが1ポイントアップすることで当期の営業利益率が0.35%上昇、労働生産性は0.035ポイントアップすることが分かっています。 同じ時間勤務をしても労働生産性がアップすれば低コストで効率よく成果物を生み出すことができ、企業にとっても大きなメリットとなるはずです。 社員と企業との双方の関係性に注目することで、どちらも共に成長できる土壌が構築できます。 参考:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開 3-2.離職の要因を払拭できる 昨今、多くの企業にとって優秀な人材の確保が課題となっています。 書籍「エンゲージメント経営」では多くの大企業が人材確保に頭を悩ませているとし、「20代の離職率が増加し、将来的な人材の枯渇を危惧している」「新卒採用をしても、1人前のビジネスマンになるころには他社に行ってしまう」という話が目立つと取り上げられています。 そこで、社員の満足度と離職に着目をした株式会社アスマークの「社員の離職原因とエンゲージメントアンケート」の結果を見てみると、職種により多少の差はあるものの企業への満足度と離職意向が反比例になることが分かりました。 参考:社員の離職原因とエンゲージメントアンケート つまり、企業に対し満足だと感じることができていれば、離職しようという決断には陥りにくいということです。 社員エンゲージメントを高めることで社員が心から「この企業で働けてよかった」と思えれば、貴重な人材の流出を防ぐことに繋がるでしょう。 3-3.企業と社員の関係性が良好になる 社員満足度の向上は報酬や福利厚生など制度面で社員が満足できても、それが双方の信頼関係や働きがいのある職場作りに直結しませんでした。 そこで、登場したのがエンゲージメントという考え方です。 コーン・フェリー社が実施した社員エンゲージメント調査を見ると、社員エンゲージメントが高い日本企業では次の8項目のスコアが高いことが分かりました。 社員エンゲージメントの向上と相関が高い項目 1位 顧客に提供できる体験的価値への自信 2位 成果創出に向けた効果的な組織体制 3位 自社でのキャリア目標達成の見込み 4位 生産性を高める環境の整備 5位 興味ややりがいのある仕事ができる機会 6位 仕事を進めるために必要な人員の確保 7位 個人としての尊重 8位 自社の戦略や目標に対する信頼 出典:書籍「エンゲージメント経営」(コーン・フェリー社員エンゲージメント調査結果) 1位になっている「顧客に提供できる体験的価値への自信」とは自社の商品やサービスに満足してもらえているという自信を指しており、社員の愛着心が高いとその企業で働けていることにやりがいや満足度を感じていると捉えることができるでしょう。 また、エンゲージメントが高い企業では「組織体制」「個人の成長」「働く環境」どの面から見ても、社員が前向きに捉えていると言えます。 企業が社員の「愛着心」に重点を置き経営ができれば、双方の関係性が良好になり生き生きと仕事ができる環境を自然に作れるところも大きなメリットです。 エンゲージメント向上施策に潜む7つの落とし⽳とは|社内施策を進める上でのポイントを徹底解説! 次ページ「エンゲージメント経営の取り組み事例5選」 1 2 組織に関する悩みを解消しませんか?改善するためのヒントや実践方法をご紹介! テスト