フィードバックとは?目的、手法、効果的に実践するコツを解説!

ビジネスシーンで、よく用いられる「フィードバック」。しかし、フィードバックをなんとなくで実施している方・受けている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、フィードバックを効果的に実施するため、フィードバックの目的や手法について解説します。併せて、伝える側と受ける側、それぞれのコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【完全網羅】“マネジメント改善”させたいなら“必読”の資料を無料でダウンロード

1.フィードバックとは?

「フィードバック(Feedback)」は、直訳すると「反応」や「意見」という意味を持ちます。

本来、フィードバックとは、制御工学の分野における「フィードバック制御」という言葉から生まれた言葉です。フィードバック制御は、実際の出力値を読み取り、目標値に近づくよう調整するという、制御方法を指します。

そこから意味が広がり、ビジネスの場面においては、「より良い結果へ近づくように、相手の行動に対して評価を伝えること」として用いられるようになりました。

フィードバックは、消費者や取引先などの第三者を相手とするケースもありますが、特に、人材育成におけるフィードバックでは、上司と部下の間で実施されるものが、最もイメージしやすいのではないでしょうか。

上司が部下の行動について、正しく評価し、客観的な視点で伝えることによって、部下の成長をサポートする目的があります。一方で部下も、その評価を受けて、次回からの改善点を見出し、パフォーマンスを向上させることができるでしょう。

したがって、「目標達成に向けて、現状と目標のズレを軌道修正する」という点では、制御工学の分野においても、ビジネスの場面においても、同じ意味といえるのです。

2.フィードバックの目的と手法

前述したように、フィードバックは、伝える側が受ける側の成長をサポートするために行われます。

具体的には、以下の4点が大きな目的となるでしょう。

  • 目標に向けた軌道修正
  • モチベーションの向上
  • パフォーマンスの向上
  • 信頼関係の強化

これらの目的を達成するため、評価面談や1on1ミーティングなどの機会を活用しながら、フィードバックを実施していきます。

ただし、フィードバックには、さまざまな考え方・手法が存在するので、以下で一つずつ確認していきましょう。

2−1.ポジティブフィードバックとネガティブフィードバック

フィードバックの手法を紹介する前に、前提となる「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の考え方について、説明します。

2−1−1.ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、相手の行動に対して、「良い点」を評価するフィードバックの考え方です。

成功・失敗にかかわらず、肯定的な言葉を用いながら、相手を褒めて伸ばす目的があります。ただし、褒めて終わりにならないよう、伝え方には工夫が必要です。

ポジティブフィードバックによって評価された相手は、前向きな気持ちになり、自信を持って次の業務に取り組めるようになるでしょう。相手のモチベーションが低迷している際の、軌道修正に取り入れると効果的です。

2−1−2.ネガティブフィードバック

一方、ネガティブフィードバックとは、相手の行動に対して「改善が必要な点」を指摘するフィードバックの考え方です。

現状維持ではなく、さらにパフォーマンスを高めて欲しいときに、相手を正しく指摘し、成長を促す目的があります。

ネガティブフィードバックは、相手のモチベーションを下げてしまう可能性もあるため、ポジティブフィードバックよりも、伝え方に注意しなければなりません。「相手に成長してほしいからこそ、あえて厳しいことも指摘する」という点を理解してもらう必要があります。

また、ネガティブフィードバックを相手が受け入れ、改善につなげられたのであれば、その姿勢に対してポジティブフィードバックで褒めると、より良い人材育成につながるでしょう。

2−2.フィードバックの3つの手法

ここから、フィードバックのおもな3つの手法について説明します。

ポジティブフィードバック・ネガティブフィードバック、それぞれとの相性もあるため、併せて覚えておきましょう。

2−2−1.手法(1)SBI型

1つ目の「SBI型」は、以下の流れでフィードバックしていく手法です。

・Situation:相手の置かれていた状況

(例:ミーティングを行ったときに)

・Behavior:相手の取った行動

(例:議論を活性化させるために、率先して発言してくれましたね。)

・Impact:その行動による影響

(例:その発言が他のメンバーに刺激を与え、ミーティングの生産性が上がったと感じました。とてもうれしく思います。)

「どのような状況で、どのような行動をとったか」という原因と、「どのような影響が生じたか」という結果を明確に伝えられるため、相手が納得しやすい手法といえるでしょう。

SBI型は、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックのどちらにも対応可能です。

2−2−2.手法(2)FEED型

2つ目の「FEED型」は、以下の流れでフィードバックしていく手法です。

・Fact:相手の取った行動

(例:A社へのプレゼン、資料の作成から配布まで行ってくれましたね。)

・Example:その行動を指摘する理由

(例:頑張って作ってくれた資料の効果を高めるために、配布のタイミングに改善の余地があると思いました。)

・Effect:その行動による影響

(例:早いタイミングでA社に資料を提示してしまったので、A社はプレゼンよりも資料に集中してしまったように感じます。)

・Different:今後の改善策

(例:次回からは、○○のタイミングで資料を提示するようにしましょう。)

相手の行動から改善策まで、一連の流れで伝えられるのが特徴で、相手に行動変容を促しやすい手法といえるでしょう。FEED型は、おもにネガティブフィードバックの際に使いやすい伝え方です。

2−2−3.手法(3)KPT型

3つ目の「KPT型」は、以下の流れでフィードバックしていく手法です。

・Keep:今後も継続すべきこと

(例)

上司:先日、イベントの企画を考えてくれましたが、どこがうまくいったと思いますか?

部下:○○という点が、うまくできたかなと思います。

・Problem:抱えている課題

(例)

上司:逆に、改善すべき点はあると思いますか?:

部下:××という点が、あまりスムーズにいきませんでした。

・Try:今後は改善すべきこと

(例)

上司:原因は△△のように感じますね。では、次回からは□□のように進めてみましょう。

部下:わかりました。次回から、意識して進めます。

KPI型も、ネガティブフィードバックとの相性がよい手法といえます。

ほかの手法との違いは、上記例のように、上司と部下がお互いにコミュニケーションを取りながら進めていく点です。上司は、評価・指摘したい点をある程度想定したうえで、あえて部下の考えを尋ねます。このことにより、部下の自発的な成長を促すことができるでしょう。

また、この手法は、1対1のフィードバックだけでなく、少人数のチームでの振り返りにも有効です。

フィードバックを担うリーダー必見!挑戦しない部下に共通していたこととは?|お役立ち資料公開中!

3.フィードバックと似ている概念

人材育成の場面では、フィードバックと似ている概念を持つ言葉が、いくつか存在します。ここでは、「フィードフォワード」と「ティーチング・コーチング」について、フィードバックとの違いを説明します。

3−1.フィードフォワードとの違い

フィードバックが「過去」や「結果」について評価するのに対して、フィードフォワードは、「未来」や「目標」に焦点をあてて、「自分たちにできることは何か」「目標達成のために何をすべきか」といった計画を練ることを意味します。すなわち、フィードバックで結果の振り返りをした延長線上に、フィードフォワードによる目標への対応策の検討があるといえるでしょう。

フィードバックでは、場合によって、過去や結果を否定する要素が含まれてしまうため、伝える側のスキルや、受ける側の感じ方によっては、効果に差が生じる可能性があります。

一方で、フィードフォワードは、未来や目標に向けての対応策を探るため、受ける側もポジティブに考えやすく、モチベーションアップにつながりやすいと考えられるでしょう。

3−2.ティーチング・コーチングとの違い

ティーチングとは、業務上必要となる手順やスキルについて、その答えそのものを相手に直接指導することをいいます。短期間で多くの情報を吸収できるため、人材育成を効率的に行うことも可能です。ただし、ティーチングを受ける側が、自分で答えを導き出すわけではないため、指示を待っているだけになったり、責任感が薄れてしまったりという可能性には注意しなければなりません。

一方で、コーチングとは、ティーチングのように直接答えを与えることはせず、相手が自ら答えを導き出すことを目指します。コーチングをする側が、受ける側の話をしっかり聴いたうえで、質問を繰り返すことによって、相手が答えを引き出すサポートをしていきます。ある程度の時間を要しますが、あくまで間接的な指導によって、自分で答えを見つける能力が確実に身に付くでしょう。

フィードバックは、相手の行動に対する評価がメインであるため、手順やスキルを指導するティーチングとも、相手から答えを引き出すコーチングとも、異なるものであることがわかります。