
人材育成の観点から、上司から部下に対して「フィードバック」を定期的に行っているケースも多く見られます。
しかし「正しくフィードバックできているのだろうか」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
このような不安を解消するため、活用されているものに「フィードバック研修」があります。
そこで、この記事ではフィードバック研修とは何か、概要や実施する効果、おすすめの研修について紹介します。
1.そもそもフィードバックとは
そもそもフィードバックとはどのようなものなのでしょうか。概要や目的について見ていきましょう。
フィードバックとは
フィードバックとは、相手の行動に対して改善するところや評価を伝え、軌道修正を図ることをいいます。
企業においては1on1・面談・プロジェクトの振り返りなどのシーンにおいて、上司が新人や部下に対してフィードバックを行うことが一般的です。
上司は部下の行動を適正に評価し、客観的な視点から指摘を行うことが求められます。
フィードバックを実施し、適切な指摘を行うことで部下の成長を促せます。部下は上司からのフィードバックを受けることで、次回からの仕事におけるミスを防ぎ、パフォーマンスをアップさせることができるのです。
なお、フィードバックを行う際は事前に面談シート用意しておくと効果的です。
シートには目標や目標に対する進捗、またうまくいっていることや悩んでいること、課題などを書き出します。文字で書き出すことによって、フィードバックで話したい内容をすっきりと整理できるのです。
フィードバックとして、注目されているものに360度フィードバックという手法があります。
360度フィードバックとは、対象者の行動が周囲にどのように伝わっているか、また周囲はそれをどのように受け取っているのかを整理する仕組みのことです。
従業員の納得感をアップさせるために360度フィードバックを採用し、独自の評価制度を導入する企業が増えているといわれています。
フィードバックの目的
フィードバックの目的は企業によって差はあるものの、一般的に以下のようなものが挙げられます。
まず、目標に対する方向性を調整することです。
たとえば、部下が目標に対して不適切な努力をしている場合、それを適宜指摘して行動を改善させる必要があるでしょう。
上司は従業員一人ひとりが目標に対して正しく努力できるよう軌道修正することで、組織全体の生産性を高めることができます。
次に、部下のモチベーションアップも目的のひとつです。
フィードバックを有効活用することで、部下の業務意欲を高める効果を期待できます。
部下が仕事をがんばったとしても、上司からの反応がないと「自分は評価されていない」「放置されている」と感じるケースも多く見られます。
このような場合、業務意欲が低下する原因になり得るため注意が必要です。
このような事態を避けるため、上司が「しっかりと評価している」「様子をきちんと見ている」と部下に伝える意味でも、定期的にフィードバックを行う必要があるでしょう。
また、部下を褒めてモチベーションを高めるという目的もあります。
キャリア開発の観点から、部下がたった1人で仕事に必要なスキルを身につけることは難しいと言えるでしょう。
業務では熟練の先輩からアドバイスを受けることで、初めて気がつくことも多くあります。部下が困っているときに上司から受けるアドバイスは、非常に有効なものです。
フィードバックによって仕事のノウハウを部下に指南し、スキルアップを支援できます。
加えて、上司や会社への信頼度を向上させることも狙いです。
フィードバックを定期的に行うことによって、上司と部下のコミュニケーションが活発化します。
するとお互いの信頼関係が深まり、ひいてはチーム全体の雰囲気も良くなっていきます。
上司への信頼が深まることで、企業への貢献度や愛社精神も部下のなかで自然と育まれていくでしょう。それ以外にも、業務効率化の目的もあります。
ときには上司が部下に対し、苛立ちを感じたり複雑な思いを抱いたりすることもあるでしょう。
特に、フィードバックを行い部下に一生懸命指導しているのに、なかなか成果が出ないとストレスがたまるものです。
このような場合、次第に部下とのコミュニケーションを避けてしまうようになるケースも見られます。
しかし、それでは部下や後輩がいつまでも育ちません。部下の育成ができないだけではなく、それではいつまでも自分の仕事が忙しいままになってしまいます。
このような状態では仕事がうまく回らず、組織や企業の成長も見込めないでしょう。
フィードバックは部下に気づきを促すための貴重な場です。
フィードバックによって部下が成長し、ひいては業務効率化、企業の発展にもつながっていくことが期待できます。
コーチング・ティーチング・フィードバックの使い分け
コーチング・ティーチング・フィードバックは、いずれも適切に活用することで部下の育成に役立てられます。
これらの手法は混同されがちですが、活用に適したシーンが異なります。
コーチングは部下が答えそのものを知ってはいるものの、直近で使うべきスキルを把握できていないときに利用したい手法です。
ティーチングは部下が答え自体を知らないものの、目的の達成に必要なスキルは理解できている状況で利用すべき手法と言えるでしょう。
フィードバックは部下が答えを知らず、なおかつ必要なスキルも理解できていないシーンで有効な手法となります。部下を育成する際はどの手法が適しているか考え、効果的に使い分けましょう。
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2.フィードバック研修の一般的な内容
フィードバック研修の内容は利用するサービスによってもさまざまです。
とはいえ、研修における内容は似通っている部分もあります。
なかでも、プログラムとして盛り込まれることの多い内容には以下のようなものが挙げられます。
まず「フィードバックの概要についての学習」です。
フィードバックについて困っていることや難しいと感じていることを共有し、講義を受けるケースが多くみられます。
加えて、基本的には「フィードバックの具体的な進め方」について学ぶことになるでしょう。
フィードバックをどのようにして行うのか、一連の流れについて学びます。
フィードバックの開始方法・部下とのギャップの考え方、認識のすり合わせ方法・フィードバックの終わり方など、初心者でも理解しやすい内容になっているケースが多いでしょう。
加えて、フィードバックを有益にするための「コミュニケーション力」について学べるケースがあります。
フィードバックにおいて重要になる、傾聴力を駆使するためのノウハウを学びます。
具体的には、自身の表情・態度・立ち振る舞いなどを見直すなどの内容です。
それ以外にも、プログラムによってはアドバイスの仕方や、部下の褒めるところ・叱るところを見つけるためのコツなどを学べます。
フィードバック研修の一連の流れを踏まえた「総合演習」を盛り込んでいるケースも多いでしょう。実際の現場で部下に対し、どのようにしてフィードバックを行うのか実践練習を行えます。
3.フィードバック研修を実施する目的
フィードバックは独学で学んだり、独自のやり方で実践したりすることも可能です。
それでは、フィードバック研修はどのような目的があって実施されるのでしょうか。主な目的について見ていきましょう。
適切なフィードバックを行うスキルを身につけるため
フィードバックは優れている点や課題を解決するためのアドバイスを、部下に伝える重要な機会です。
しかし、企業で行われているフィードバックは、部下へのダメ出しが中心という残念なケースも多くみられます。
このような場合、かえって部下の成長を妨げてしまう原因になり得るため、注意が必要です。
とはいえ、独学ではなかなか適切なフィードバックを行うことは難しいでしょう。
このようなケースにおいて、フィードバック研修が役立ちます。
研修でプロから指南を受けることで、適切なフィードバックを実施するスキルを身につけられるのです。
部下へのサポート力を養うため
フィードバックでは、部下の仕事における成果や結果をもとに、それに対する課題や対策などのアドバイスを行うことが求められます。
その際、相手に伝えたいことを明確に伝えるスキルが必要です。
その適切なアドバイスを行うために必要な伝え方を、フィードバック研修で学ぶことができます。
研修を通して効果的な伝え方や接し方を学習し、部下に対するサポート力を高められるでしょう。