
人的資本経営とは、人材を企業の資産として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。この記事では、人的資本経営の取り組み事例を5つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
人的資本経営とは?
人的資本経営とは、企業の成長と競争力強化のために、人材を経営資源として捉え、戦略的に活用していく経営手法です。
人的資本経営を効果的に行うことで、持続的な成長を実現することができる経営手法のことを指します。
近年、世界各国で注目を集めており、特に、アメリカやヨーロッパでは人的資本経営を重視する企業が増えており、多くの企業が人材育成や人材評価に積極的に取り組んでいます。
日本でも、人的資本経営への注目が高まっており、多くの企業が人的資本経営を導入しています。
人的資本経営を効果的に行うことで、企業は生産性の向上、イノベーションの創出、顧客満足度の向上、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上、離職率の低下など、多くのメリットを得ることができます。
人的資本経営を実現するために、企業が取り組むべき5つの指標
人的資本経営とは、人材を企業の資産として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。
人的資本経営を実現するために、企業が取り組むべき5つの指標について今回はまとめていこうと思います。
- 人材の採用・育成:企業の戦略を遂行するために必要な人材を採用し、育成・活用する。
- 働き方改革:多様な働き方に対応した環境を整備し、従業員のモチベーションと生産性を向上させる。
- ダイバーシティ&インクルージョン:多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れ、活躍できる環境を整える。
- 人材評価・報酬:従業員の成果と貢献を公正に評価し、報酬に反映させる。
- 人事情報の可視化・活用:人材の属性やスキル、パフォーマンスなどの情報を可視化し、人事施策の改善につなげる。
これらの取り組みを効果的に進めることで、企業は、優秀な人材の確保・育成、生産性の向上、イノベーションの創出など、さまざまなメリットを享受することができます。以下詳しく見ていきましょう。
それぞれの項目に、現在開示をしており特出すべき良い点のある企業についても事例として挙げていますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
人材の採用・育成
人材の採用・育成は、人的資本経営の基盤となる取り組みです。
企業は、優秀な人材を採用し、育成することが重要です。そのためには、経営戦略に基づいた人材要件の明確化と、多様な採用チャネルの活用が欠かせません。
また、採用した人材が企業に定着し、活躍するためには、適切な育成・研修体制を整えることも重要です。
具体的には、以下のような取り組みや事例が挙げられます。
- 経営戦略に基づいた人材ニーズを明確にする
- 多様なバックグラウンドを持つ人材を採用する
- 入社後のオンボーディングを充実させる
- 社内研修・外部研修を充実させる
- キャリア開発制度を整備する
具体的な取り組み事例
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株式会社NTTデータでは、社員が高度な専門性と変化対応力を有するプロフェッショナル人財となることを目的に「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」を導入しており、社員の現在の到達レベルの認定や能力開発の方法をわかりやすく社員に提示し、入社から退職までの社員一人ひとりの自律的な成長を支援するもので、国内グループ会社へも展開を図っています。
https://www.nttdata.com/global/ja/sustainability/employee/training/
働き方改革(ワークライフバランス)
働き方改革は、従業員の心身の健康を維持し、生産性を向上させるための重要な取り組みです。
働き方改革においては、長時間労働の是正や、フレックスタイム制やテレワークの導入など、従業員の働き方を多様化することが重要です。また、育児や介護など、従業員のライフステージに応じた働き方を支援することも重要です。
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
- 残業時間の削減
- テレワークやフレックスタイム制の導入
- 育児・介護休業制度の整備
- 健康経営の推進
具体的な取り組み事例
- 株式会社サイバーエージェントでは、「健康的な働き方」を掲げ、サイバーエージェントで働く人の心身の健康が会社の成長につながると考え、様々な施策を展開しています。2020年6月より全従業員を対象に特定の曜日はリモートワークとする「リモデイ」の運用を開始し、オフィス出勤とリモートワークを併用するハイブリッド型の働き方を取り入れたり、月に一度、希望者を対象に臨床心理士資格を持ったカウンセラーとの面談機会を設けています。 妊活休暇、女性特有の体調不良による特別休暇の利用促進のため、有給を含めた休暇の利用用途がわからない形(エフ休)で取得できるようにした制度です。
- 株式会社ヤフーでは、働き方改革の一環として、場所にとらわれずに働くことができる「どこでもオフィス」という制度を設けています。これは自宅でもカフェでも海でも山でも、インターネットに安定して接続できる環境があれば、会社に通勤せずとも、そこを職場とみなす制度です。
https://about.yahoo.co.jp/hr/workplace/workstyle/
ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティ&インクルージョンは、多様な人材が互いを認め合い、活躍できる職場環境を整えることです。人的資本経営においては、多様な視点や価値観を取り入れることで、イノベーションの創出や競争力の強化につなげることができます。多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることで、新たなアイデアや価値観を取り入れ、企業の成長につなげることができます。そのためには、女性活躍推進や障がい者雇用の拡大、外国人雇用の推進などの取り組みが重要です。
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
- 女性活躍推進
- 外国人材の雇用・活躍推進
- 障がい者の雇用・活躍推進
- LGBTQの理解促進
具体的な取り組み事例
- 株式会社トヨタ自動車では、女性活躍推進の一環として、2014年比で25年までに女性管理職の数を4倍、30年までに5倍に増やす目標を掲げています。また、女性の働きやすい職場づくりに向けて、男性育休取得者の増加や、保育園の拡充などを進めています。 (https://global.toyota/jp/sustainability/esg/employees/diversity-and-inclusion/)
- 株式会社メルカリでは、「Pride@Mercari」としてLGBT+(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and more)やアライ(多様な性のあり方に理解のある、非当事者の支援者)に関する理解を促進するための勉強会やイベントを展開するコミュニティを作り、それを中心に作成されたオンライン研修「Mercari Pride E-Learning」を2021年より、全社員受講必須の研修として実施しています。https://careers.mercari.com/jp/diversity/
人材評価・報酬(人材データ活用)

人材評価・報酬は、人材のモチベーションやエンゲージメントを高めるために重要な取り組みです。人材の能力や貢献度を正しく評価し、それに見合った報酬を提供することによって、従業員の働き甲斐を高めることができます。また、人材データの活用によって、より客観的な評価や報酬の決定が可能になります。
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
- 多面的な評価基準の導入
- 目標管理制度の導入
- 公正な報酬制度の整備
- 人材データの活用
具体的な取り組み事例
- 株式会社Sansanでは、「Sansan Values Star表彰」として相互評価・賞賛のためのサービス 「Unipos」を通じて、ささやかなチップとともに社員同士が称賛を送り合い、 バリューズを体現する社員を表彰する制度・機会を設けています。 参考:Sansan**統合報告書2022**
- アイリスオーヤマ株式会社では、企業理念第3条“働く社員にとって良い会社を目指し、会社が良くなると社員が良くなり、社員が良くなると会社が良くなる仕組みづくり”を実現するうえで「人事評価」を重要な要素と位置づけ、人事評価における「透明性」と「納得感」を重要視した運用を続けています。2003年より人事評価の制度改革に着手し、現在は「実績」「能力」「360度評価」という3つの基準を用い評価制度を運用しています。 引用元:https://www.irisohyama.co.jp/company/sdgs/activity/human-resources/personnel-evaluation-system/
人事情報の可視化・活用
人事情報の可視化・活用は、人事データや経営データを活用して、従業員のパフォーマンスや企業の成長を分析・把握し、経営の意思決定に役立てる取り組みで、人的資本経営の基盤となります。人材の属性やスキル、パフォーマンスなどの情報を可視化することで、人材の配置や育成、評価・報酬などの意思決定に役立てることができます。また、データに基づいた分析を行うことで、新たな人事施策の立案や、人材マネジメントの改善にもつながります。昨今では人事情報の可視化・活用が人的資本経営の一助になるとして、さまざまな人的資本活用サービスも脚光を浴びています
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
- 人事データの収集・分析
- タレントマネジメントの導入
- 人事情報の可視化ツールの活用
代表的な人事情報可視化・活用ツール
- カオナビ カオナビは、社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステム7年連続シェアNo.1の実績を持ち、2023年3月現在約2,500社が利用しています。
- HRMOS(ハーモス)CORE 株式会社ビズリーチが2019年から提供しているサービスで、配属・評価履歴、組織図の変遷を過去に遡って閲覧できます。また、レポート機能により、入社者の属性・離職率・平均勤続年数などの必要な情報をすぐに出力でき、過去から現在に至るまでの組織の状態を可視化できます。
- HRBrain HRBrainシリーズは、人事・労務業務の効率化と人材データの管理・分析をサポートする一元化されたシステムです。全6つのプロダクトをご用意し、貴社の課題に合わせてご提供いたします。
- タレントパレット タレントパレットは、豊富なデータ分析機能が強みのタレントマネジメントシステムです。 従業員の人事情報を一元管理できるだけでなく、育成や配置転換、離職防止などに役立つ分析機能が豊富に搭載されています。 高度な分析ができるため、人事戦略に注力する中規模~大企業に特に人気があるシステムです。
- Unipos 従業員同士がオープンにお互いの良い行動を称賛&シェアするサービスです。おくった人 / もらった人の両方にポイントが届くため、オープンな共有が加速し、組織の心理的安全性を高め組織全体にポジティブな変化を起こします。
まとめ
人的資本経営とは、人材を企業の資産として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。
人的資本経営を実現するためには、企業は、人材の採用・育成、働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン、人材評価・報酬、人事情報の可視化・活用の5つのポイントに取り組む必要があることがわかりました。
これらの取り組みを効果的に進めることで、企業は、優秀な人材の確保・育成、生産性の向上、イノベーションの創出など、さまざまなメリットを享受することができます。企業は、今後も人的資本を重視した経営を進めていくことが求められるでしょう。
この記事では人的資本経営について簡潔にまとめました。人的資本経営についての詳細な情報について、以下資料もぜひご覧ください。
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