
現代のビジネスにおいて、企業の競争力を左右する重要な要素のひとつが「人材」です。企業は、従業員のスキルや能力を最大限に引き出すことで、企業価値の向上や組織パフォーマンスの向上を図ることができます。
このコラムでは、人的資本経営の重要性について解説します。人的資本経営とは、人材を「資本」と捉え、その価値を引き出す経営の在り方です。
人的資本の重要性
企業の成長や持続的な競争力強化には、人的資本が欠かせません。人的資本経営とは、人材を「資本」と捉え、その価値を引き出す経営の在り方です。
人的資本経営を推進することで、従業員のスキルや能力を向上させ、企業価値の向上や組織パフォーマンスの向上を図ることができます。
具体的には、以下の2つの観点から、人的資本の重要性を説明できます。
- 企業価値向上
人的資本は、企業の財産や知的財産といった有形資産よりも、企業の価値を大きく左右する重要な経営資源です。人的資本経営を推進することで、従業員のスキルや能力を向上させ、生産性やイノベーションを高めることができます。
- 組織パフォーマンスの向上
人的資本経営を推進することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることができます。従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まることで、チームワークや協働が促進され、組織パフォーマンスが向上します。
次回以降は、これらの観点から、人的資本経営の重要性を具体的に説明していきます。
企業価値向上
人的資本は、企業の成長や持続的な競争力強化に欠かせない経営資源です。人的資本経営を推進することで、従業員のスキルや能力を向上させ、企業価値の向上を図ることができます。
企業価値向上のための具体的なポイントは、以下の2つです。
- 生産性の向上
従業員のスキルや能力が向上することで、業務の効率化や新たな価値の創出が可能となり、生産性の向上につながります。
- イノベーションの創出
従業員の多様な視点や知見が活かされることで、新たなアイデアや技術の創出が促進され、イノベーションの創出につながります。
ただ、田中聡・中原淳(2017)「事業を創る人と組織に関する実態調査」ではイノベーションは「斬新なアイデアを生み出せない」という個人要因より「社内で必要な協力を得られない」という組織要因 が問題であるという結果が出ており、新しい挑戦を始める前に社内で必要な協力を得て「心理的ハードル」を超えるかどうかが鍵となってきます。
出典: https://unipos.me/ja/scene/task-innovation
イノベーションと「心理的ハードル」についてはぜひこちらもご覧ください
これらのことから、人的資本経営を推進することで、企業価値の向上を図ることができると言えます。
組織パフォーマンスの向上
人的資本経営を推進することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることができます。従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まることで、チームワークや協働が促進され、組織パフォーマンスが向上します。
組織パフォーマンス向上のための具体的なポイントは、以下の3つです。
- 従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上
人的資本経営を推進することで、従業員は、自分の能力やスキルを活かして貢献できることを実感し、仕事に対する意欲ややりがいが高まります。
- チームワークや協働の促進
従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まることで、チームメンバーとの協力やコミュニケーションが活発になり、チームワークや協働が促進されます。
- 組織の成果の向上
心理的安全性が下がり、モチベーションやエンゲージメントが低い状態では関係間の様々な問題を招き、事業成長の鈍化に繋がります。
出典: https://unipos.me/ja/scene/job-executive
従業員同士や部署間の相互理解や協力意識を深めることで、組織全体での成果向上につながります。
これらのことから、人的資本経営を推進することで、組織パフォーマンスの向上を図ることができると言えます。
人的資本経営の取り組み事例
人的資本経営を推進する企業は、さまざまな取り組みを行っています。
具体的な取り組み事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人材育成の充実
社員のスキルや能力を向上させるために、研修やOJTなどの人材育成を充実させる取り組みです。
- 多様な人材の活用
性別、年齢、国籍、バックグラウンドなどの多様な人材を活用する取り組みです。
- ワークライフバランスの実現
従業員が仕事とプライベートを両立しやすい環境を整える取り組みです。
- 働き方改革の推進
ITやAIなどのテクノロジーを活用して、働き方改革を推進する取り組みです。
人的資本経営の取り組み事例に関しては、以下もぜひご覧ください。
「統合報告書を全部読んでわかった人的資本開示」より、実例を紹介
実際に人的資本開示を行った企業の取り組みを、株式会社Unipos CEO 田中弦のウェビナーより抜粋してご紹介します。
その1「丸井グループ」
丸井グループは3代目社長になった際、過払金の法制が変更になり、対応に追われ一気に業績が赤字になり、経営危機になってしまった時期があったそうです。
いよいよ経営が危ういとなったタイミングで、人的資本経営の方針を大きく変えることにしました。
先出にあったような「人的資本経営、人的資本開示は余裕のある企業がやるもの」ということではなく、丸井グループのように「余裕のない、根本から経営を変えなくてはいけない危機的状況」で人的資本経営に取り組む企業もいるということです。
そして、丸井グループの特徴として、「手挙げの文化」「グループ間異動の比率」などの独自指標の開示の多さが挙げられています。
社員1人1人の自主性を促す取り組みや、さまざまな会社や部署を経験することが将来的な事業成長、独自の競争力構築へとつながっていくのです。
その2「伊藤忠テクノソリューション」
装置産業のように人以外に資産がある場合の業種以外の、PCで仕事が完結してしまうような仕事ほど、いわゆる「人が資産」という話になり、人的資産が特に大事な業種(装置産業以外)では独自開示を使ってステークホルダーと対話することが今後重要となります。
中でも伊藤忠テクノソリューションは人的資本のイノベーション×生産性指標がミッション実現に直結しており、独自指標として心理的安全性に言及した項目を数値としてKPIに置いていることがわかります。
統合報告書を独自の5段階評価で分析し、4000社の中から見つけた「珠玉の推し報告書(成功事例とも言える良い統合報告書)」を紹介した、Unipos株式会社 CEO 田中弦のウェビナーレポートはこちら
まとめ
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値の向上と組織パフォーマンスの向上を図る経営のあり方です。本記事では、人的資本経営の重要性について、企業価値向上と組織パフォーマンス向上の2つの観点から解説しました。
この記事を通して人的資本経営が重要な経営課題となっており、さまざまな企業が人的資本経営を重要視していることを感じたのではないでしょうか。
今後も、ますます激化する競争環境において、企業が持続的な成長を実現するためには、人的資本経営の取り組みを強化していくことが重要です。
人的資本経営についての詳細な情報について、以下資料もぜひご覧ください。
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