
従業員のモチベーションの状態を把握し管理することは、離職防止や生産性向上の観点から欠かせません。従業員のモチベーションがなぜ低下しているのかを理解したうえで、適切な対策を講じる必要があります。
本記事では、モチベーションが低い組織を放置するデメリット、従業員のモチベーションが低下する原因、効果的なモチベーション管理の方法を解説します。
併せて、モチベーション管理のための代表的なサービスと、ピアボーナスを実現するサービス「Unipos」についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.モチベーション管理とは?
モチベーション管理とは、従業員のモチベーションに関するデータを収集・分析し、モチベーションをさらに向上させる、もしくは維持するための施策を実施することです。
そもそもモチベーション(motivation)は、「動機づけ」という意味を持ちます。すなわち、何らかの目的や目標のために行動を起こし、その行動を維持したり調整したりする役割を持つのがモチベーションです。
従業員のモチベーションが低下する原因には、業務内容や労働環境への不満、心身の疲労、人間関係や自分のキャリアについての悩みなどが想定されますが、原因は人それぞれ異なります。
モチベーションが低下している原因がわからなければ解決するのは難しいため、まずは従業員の現状を把握する必要があります。
そのうえで、モチベーションが上がる傾向や下がる傾向を分析し、分析結果に対する施策を実施します。モチベーション管理のための施策は、基本的にはすぐに目に見える効果が表れるものではありません。そのため、施策のPDCAを回しながら、長期的にモチベーション管理を進めるケースが多いでしょう。
2.モチベーションが低い組織を放置するとどうなるか?
多くの従業員がモチベーションの低い状態のままでいるのを放置してしまうと、組織としてさまざまなデメリットが生じます。
以下では、3つのデメリットについて見ていきましょう。
離職率が高くなってしまう
離職につながる要因の代表例が、職場環境・労働条件・人間関係・仕事のやりがいです。とはいえ、これらの要因について一切の不満なく組織で働いている人というのは少ないでしょう。
誰もが多かれ少なかれ悩みや不満を抱えていますが、離職につながる人とそうでない人の差を考えたときに重要になってくるのが、やはりモチベーションです。
モチベーションの低い組織では、悩みや不満が解消されない状況が続くため、離職という選択肢が出てきてしまいます。
また、離職者が出れば、すぐに新たな従業員を採用しない限り、残っている従業員に負担がかかります。すると、残った従業員のモチベーションが低下し、さらに次の離職者を生んでしまう悪循環に陥る可能性があるのです。
生産性が低下してしまう
モチベーションと密接に関係する言葉に「エンゲージメント」があります。エンゲージメントとは、従業員が企業の理念やビジョンに共感し、企業に貢献したいと思う意欲を測る指標です。
エンゲージメントが高い組織では、従業員が「自分の頑張りを企業に認められている」ことや、「企業の成長に自分も寄与できている」ことなどを実感できている状態です。
すなわち、エンゲージメントの高い組織は、必然的にモチベーションも高い状態になっているのです。
このエンゲージメントと生産性の関係について、株式会社リンクアンドモチベーションが公開した「『エンゲージメントと企業業績』に関する研究結果」が示しています。
結果として、エンゲージメントの向上は企業の「営業利益率」と「労働生産性」に影響を与えることがわかっています。そのため、モチベーションが低い組織ではエンゲージメントが低下し、生産性も低下するといえるのです。
参考:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開 | 株式会社リンクアンドモチベーション
周りのモチベーションまでも影響してしまう
従業員のモチベーションの低下は、その人個人の問題ではありません。
モチベーションが低下している従業員は、ネガティブな言動や態度が目立つようになります。そうした言動・態度は、組織全体の雰囲気にも悪影響を及ぼすでしょう。
組織全体の雰囲気が悪くなり、周囲のメンバーのモチベーションまでもが芋づる式に低下していってしまいます。
3.モチベーションが低下する原因とは?
では、なぜ従業員のモチベーションは低下してしまうのでしょうか。
以下では、モチベーションが低下するおもな原因について解説します。
業務内容に不満がある
自分の理想と実際の業務内容にギャップがある、現在の業務にやりがいや意義を見出だせないなど、業務内容に何らかの不満がある場合、従業員のモチベーションは低下します。
今後のキャリアを考えたうえで「この業務を続けていて後々役に立つのだろうか」「あまり成長を感じられないのに時間だけが過ぎている」などと、焦りが生じるケースもあるでしょう。
そもそも仕事に対して全くやる気がない場合は論外ですが、本人の希望や適性を考慮しない人員配置を行っていると、前述したような不満につながりモチベーションが低下してしまいます。
労働環境が悪い
労働安全衛生法第3条で「事業者は、(中略)快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場に置ける労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」とあるように、快適な労働環境づくりは会社側の責務となっています。
しかし、そのような責務を果たさず、業務量に対して給与が低い、サービス残業が常態化している、パワハラ・セクハラがあるなどといった状況では、モチベーションに悪影響を及ぼしてしまいます。
従業員がどれだけ前向きに仕事に取り組もうとしても、労働環境が悪ければモチベーションを高めるのは難しいでしょう。
参考:労働安全衛生法
精神的・肉体的な疲労が蓄積している
精神的にも肉体的にも疲れが蓄積しており、体調不良の状態であることも、モチベーション低下の一因です。
これらの疲労は、単に十分な休息をとれていないという理由からくる場合もありますが、前述した労働環境の影響も大きく受けるでしょう。
疲れていて休みたいのに休めない、気付かないうちにメンタルヘルスに不調をきたしているなどといった状況の場合、モチベーションの向上は望めません。
4.モチベーション管理の方法3選
従業員のモチベーションを高め・維持するためのモチベーション管理の方法をご紹介します。
従業員のキャリアデザインを支援する
キャリアデザインとは、仕事とどのように向き合っていくのか、自分の理想の人生と照らし合わせながら設計することです。
従業員が自身のキャリアデザインを明確にすることができれば、現在の業務の意義を見出しやすくなるとともに、理想の状態に近づこうとするためモチベーションが向上します。
キャリアデザインを支援することはモチベーション管理において重要ですが、従業員一人ひとりの能力向上という面からも欠かせないポイントです。
職場環境を整える
一口に「職場環境を整える」といっても、さまざまな観点があります。効果的なモチベーション管理の方法として特に大切になってくるのが、以下の点です。
・従業員の頑張りを適切に評価できる制度の構築
・円滑にコミュニケーションがとれる雰囲気の醸成
・柔軟な働き方を選択できる制度の普及
自社の現状をあらためて把握し、モチベーション管理に向けて随時見直していきましょう。
「見ていること」を伝える
従業員のモチベーションが低下する原因の一つに「業務内容に不満がある」ことを挙げました。
業務内容への不満は、自分がこの組織に必要とされていると感じられない、成果がわかりやすい業務ではないため頑張っても評価してもらえない、などといった思いからも生じます。
そのため、まずは従業員の頑張りや行動に対して、感謝を伝えたり、褒めたりすることで「見ていること」を暗に伝えることが大切です。
経営陣や管理職が率先して感謝を伝える・褒める行動をとれば、次第に組織全体にもそのような風潮が広がり、モチベーションの高い組織がつくられていきます。
5.モチベーション管理のための代表的なサービス
モチベーション管理は、サービスを活用すると効果的に行うことができます。以下では、モチベーション管理のための代表的なサービスをご紹介します。
SMILE SCORE(スマイルスコア)|SMILE SCORE株式会社
SMILE SCORE株式会社が運営するSMILE SCORE(スマイルスコア)は、従業員のモチベーションの変化を見落とさずに活用するための「感情コミュニケーションツール」です。
<おもな機能>
・毎日のスマイル投稿
従業員が今日の気分に合う「スマイル」を選択してコメントを入力
・メンターは従業員の気持ちに対してメッセージを送信
気になる従業員にコメントでフォロー
・マイル制度
投稿ごとにマイルが貯まるため、ゲーム感覚で楽しみながら入力
従業員の本音にいち早く気づき、モチベーション管理施策に役立てることができます。また、従業員はスマイルを選択するだけなので、簡単にモチベーションのデータを収集・分析することが可能です。
参考:SMILE SCORE(スマイルスコア)- チームの1on1感情コミュニケーションツール
HR OnBoard(HRオンボード)|エン・ジャパン株式会社
エン・ジャパン株式会社が運営するHR OnBoardは、入社1年目の社員の離職リスクを可視化し、適切なフォローにつなげるための定着・活躍支援ツールです。
<おもな機能>
・毎月1回の離職リスク判定
実例研究をもとに開発した設問を、1年間にわたって新入・中途社員へ送信・分析
・打つべき一手の提案
社員の回答結果から導いた推奨アクションを提案
・活躍データの収集
活躍している社員の傾向を分析し、今後の採用活動へ活かす
入社1年目の社員をターゲットとしたHR OnBoardは、社員の離職リスクを正確にキャッチするとともに、離職リスクの高い社員への適切な対策もアドバイスしてくれます。
社員情報の登録さえすれば、あとは自動で毎月のアンケートが送信されます。
参考:HR OnBoard
Unipos(ユニポス)|Unipos株式会社
Unipos株式会社が運営するUnipos(ユニポス)は、従業員同士が貢献に対する称賛のメッセージと少額のインセンティブを送り合う、「ピアボーナス」を実現するためのWebサービスです。
<おもな機能>
・感謝のメッセージにポイントを添えられる投稿機能
いつでも・どこでも感謝や称賛の言葉を送り合え、インセンティブとなるポイントも添えられる
・ハッシュタグの紐付け
行動指針を浸透させるためのハッシュタグを投稿に紐付け、組織全体への企業理念の浸透を後押し
・アナリティクス機能
蓄積されるデータを活用・分析し、組織改善のための戦略的な施策を検討できる
Uniposを活用することによって、感謝と称賛によるポジティブな称賛文化が醸成され、従業員のモチベーション向上はもちろん、組織全体を変革し強いものにします。
6.より詳しいUniposの特徴とは?
ピアボーナスを実現するためのサービス「Unipos」について、さらに詳しく見ていきましょう。
Uniposについて
Uniposを活用すると、成果の裏で起きている出来事など、マネージャーや他部署からは見えなかった「従業員の貢献」が可視化され、組織の感謝・称賛のサイクルが習慣化します。
例えば、従業員のAさんが、業務の相談に乗ってくれたBさんに感謝の気持ちを伝えるため、Uniposの投稿機能を使ってメッセージと少額のインセンティブを送ります。
それを受け取ったBさんは、リアクションスタンプで反応します。
さらに、ほかの従業員はAさんとBさんのやりとりをオープンなタイムラインで確認し、AさんとBさんの双方に「拍手」機能で少額のインセンティブを送ることも可能です。
こうして徐々に称賛文化が醸成されていき、風通しの良い組織風土が生まれます。
また、Uniposでは、「返信」や「コメント」など業務時間をいたずらに使ってしまう機能をあえて実装していません。
最小限の時間で感謝・称賛のサイクルが習慣化するよう設計されているほか、各種ビジネスチャットとも連携できるため、サービスを活用することで業務時間が圧迫されるなどの心配は不要です。
セキュリティ対策にも万全を期しているので、安心して導入いただけるでしょう。
Uniposでのモチベーション管理成功事例
コールセンターのアウトソーシング事業を行うテレパフォーマンス・ジャパン株式会社では、「最高の顧客体験は最高の従業員体験から生まれる」という考えのもと、コールセンター業界が抱える課題と向き合い、さまざまな施策によって従業員の働く環境を整えています。
具体的な課題として、在宅勤務かつ秘匿性の高い情報を取り扱う業務の特性上、従業員間の交流やマネジメントが難しいという点がありました。
実際に、コールセンター業界の年間離職率は100%といわれているそうです。
精神的な負担もかかる業務でありながら、在宅勤務という環境下で孤独感を募らせてしまい、従業員のモチベーションが低下してしまいます。
そこで導入したのがUniposです。
一定の禁止事項は定めるものの、使い方はあくまで現場主義という運用を進めました。
Uniposを導入したことにより、以下のような効果が得られたといいます。
・数字で表れる成果の裏で起きている出来事や、見えていなかった貢献が可視化できた
・完全在宅勤務のため難しかった従業員間の交流が生まれ、孤独感の解消につながった
・良い出来事に対して称賛のコメントがつくので、従業員のモチベーションが向上した
・費用対効果では得られないプライスレスな価値が得られた
Uniposを活用してモチベーション管理をしたことで、従業員にも組織全体にもプライスレスな価値を生みだせたことは、大きなメリットといえるでしょう。