
新入社員研修とは、企業へ入社した人を対象に行う研修のことです。
今後、企業で働くうえで必要になる姿勢やスキルなどを指導する、企業だけでなく新入社員にとっても非常に貴重な機会といえます。
ただ、「実際に新入社員研修で何をすればいいのかわからない」という経営者や担当者も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では新入社員研修の内容や目的、おすすめの研修サービスについて紹介します。
1.新入社員研修を行う目的とは
そもそも、新入社員研修はどのような目的で行われるのでしょうか。
主な目的には、以下の7つが挙げられます。
社会人としての意識変革
新卒採用として入社した社員たちの多くは、少し前まで学生でした。学生時代は、自由度が高いため、なかには学生気分が抜け切れていない人もいるでしょう。
しかし、社会人ともなれば、仕事や職場の人間関係などに責任を持たなければなりません。任された仕事を最後まで全うすることだけでなく、自身の好き嫌いに関係なくさまざまな人と交流することになります。
また、納期を守るなど時間管理の徹底も求められるでしょう。学生気分が抜けないままでは、こうした基本的な社会人のマナーにうまく適応できず、仕事にも身が入らなくなる可能性があります。
だからこそ、新入社員研修において学生から社会人としての意識変革を行う必要があるのです。社会人としての自覚や責任が伴うように、新入社員研修で指導することが求められます。
社会人の考え方を習得する
新入社員研修は、社会人としての基本的な考え方を学ぶ場でもあります。
例えば、経済・経営に関する知識やコンプライアンスなどは仕事を進めるうえで欠かせない知識の一つです。なかでも、業務上のトラブルを避けるうえで、コンプライアンスの遵守は非常に重要な課題となっています。
現代は、IT化やSNSの普及に伴い、社員による情報漏えいのトラブルが少なくありません。これらは、情報の重要性やコンプライアンスが他人事だと捉えている社員がいることが根本的な原因といえるでしょう。
このような企業の損失となるトラブルを未然に防ぐためにも、社会人としての振る舞いを身に付けておく必要があります。
企業や仕事への理解を深める
企業や仕事への理解を深めてもらうことは、新入社員研修を実施する大きな目的の一つです。
通常、新入社員は先輩社員に指導してもらいながら目的を共有して仕事を担当することになるでしょう。早く業務になじむためにも、自社や仕事に関する理解を深めてもらう必要があります。
具体的には、企業理念・事業内容・商品やサービス展開などについて正しく把握してもらうことが重要です。さらに、企業独自のルールや将来のビジョンなどについても説明しておく必要があるでしょう。
企業内のさまざまな仕事や、各部署における役割などについて学習することが求められます。
企業や仕事への総合的な理解を深めることで、新入社員は自身の立ち位置や役割をスムーズに理解できるようになるでしょう。
ビジネスマナーやスキルの習得
新入社員研修を終えたあとは、少しずつ実践で業務を任せていくことになります。
しかし、業務を円滑に進めるためには、最低限のビジネスマナーを習得しておくことが必要です。例えば、電話応対の仕方や名刺の渡し方などは、きちんと新入社員研修で学習の場を設ける必要があるでしょう。
企業や個人の顧客と接する際、言葉遣いや立ち振る舞いがきちんとしていないと、企業のイメージダウンにもつながるおそれがあります。
相手に失礼のない丁寧な姿勢を身に付けることは、新入社員研修が持つ大きな役割の一つです。
そのほかにも、コミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキル、基本的なパソコンスキルなども身に付けておく必要があります。
専門的な知識を身に付ける
即戦力として活躍してもらうためには、配属先ごとに必要な専門知識を身に付けることが必要です。
例えば、営業職の場合はアポイントの取り方や提案の仕方、商談の進め方や案件の管理方法などの知識が求められます。
また、経理職であれば、財務ソフトの扱い方やキャッシュフロー計算書の読み方などを理解しておくと、現場配属のあと円滑に仕事を進めることが期待できるでしょう。
早期の離職防止
入社後の早期離職防止は、企業にとって大きな課題の一つです。
新入社員のうちに、基礎をきちんと習得させて成功体験を積ませることは、早期離職の防止につながります。土台がしっかりとしていれば、自信を持って仕事ができるようになり、さらに努力しようという気持ちが生まれやすくなるのです。
その結果、仕事が楽しくなり人材が定着化する好循環を生むことができます。
報連相の重要性を学ぶ
実務において、基本かつ重要なものとなるのが報連相の徹底です。
企業で仕事をするためには、どんなときにも報連相(報告・連絡・相談)が必要になります。しかし、新入社員のうちは、まだ報連相の必要性やタイミングを理解できていないケースも少なくありません。
報連相の意義が不明瞭なまま実務を担当すると、業務の停滞や悩みが発生する原因になり得ます。そのため、報連相の仕方と必要性について、きちんと教育していくことが必要です。
2.新入社員研修の具体的な内容
新入社員研修に行う、主な研修内容を5つ紹介します。
ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修は、仕事をしていくうえで必要になる基本的な立ち振る舞いを学ぶものです。例えば、車に乗るときの座り順、名刺の渡し方や電話応対の仕方などを学べます。
ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修は、論理的な思考方法を身に付けるためのものです。
ロジカルシンキングとは、日本語で「論理的思考力」という意味を持ちます。これは、先入観にとらわれず、問題に向き合うために必要な能力です。
ロジカルシンキングを習得することによって、問題を分解かつ整理し、因果関係を加味したうえで筋の通った主張を行えるようになります。
意思決定のスピードが上がるため、プロセスを自分の中で完結できるようになることが期待できるでしょう。
Officeソフト研修
今や多くの企業がOfficeソフトを活用しています。そこで、現場で即戦力となるようOfficeソフトの扱い方を新入社員研修に盛り込むケースがあります。
主に、WordやExcelの基本操作、関数やマクロに関する知識などについて学習することが一般的です。
レジリエンス研修
レジリエンス研修とは、強いストレスやプレッシャーを乗り越え、成長の糧にするスキルを養うものです。
仕事でミスをしたり強く叱られたりするなど、時に社会人は逆境にさらされることも少なくありません。
研修を通じて、こうした困難な状況でもストレスとうまく向き合って対処する、ポジティブシンキングを身に付けられます。
職種別研修
事務職・営業職・エンジニアなど、専門職に配置する新入社員に対して、職種別研修を実施することもあります。
各職種で求められる知識やスキルを習得することで、即戦力となる人材を育成することが可能です。
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3.新入社員研修は内製できる?
新入社員研修を実施する際は、「自社内で内製するか」「研修会社に外注するか」で悩む企業も少なくありません。また、そもそも内製はできるのか、疑問を持つケースもあるでしょう。
結論からいうと、新入社員研修の内製は可能です。ただし、メリット・デメリットがあるため、よく検討する必要があります。
ここでは、検討の材料として、内製のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
内製のメリット
内製のメリットは、4つ挙げられます。
1つ目は「費用を削減できること」です。
新入社員研修を内製する場合、社員のなかから講師を選ぶことになります。外部の専門知識を持つ講師に依頼する必要がないため、依頼費の削減につなげられます。
2つ目は、「人材育成につながること」です。
講師役となる社員は、人前で話したり構成を考えたりするなどの業務が発生します。こうした業務を通じるなかで、リサーチ力やプレゼンテーションスキルを磨くことができるでしょう。研修を構築して最後までやり遂げた社員は、大きな成長を遂げるはずです。
3つ目は「自社に合う研修を実施できること」です。
自社の企業理念や経営方針、仕事のやり方など、新入社員に身に付けて欲しい内容を自由に盛り込むことができます。途中で内容を変更する場合も、柔軟に対応しやすい傾向です。
また、自社をよく知る従業員が講師となるため、よりリアルな教育を行えるというメリットがあります。働くうえで必要になる知識やスキル、立ち振る舞いなど効果的な教育を行えるでしょう。
4つ目は「アフターフォローを行いやすいこと」です。
社員が研修を実施する場合、その内容や新入社員の様子も容易に把握できます。研修内容の見直しや理解の遅れが生じている人へのフォローを行いやすいでしょう。
内製のデメリット
内製のデメリットは、2つ挙げられます。
1つ目は「社員への負担がかかること」です。
研修内容を考えたりスピーチの練習をしたりするなど、準備や実施には多大な労力が発生します。
そのため、新入社員研修を内製する場合、どうしても講師を担当する人への負担が大きくなることがデメリットです。教育研修を担当する専門部署がなく、ほかの業務と並行して研修準備を行う場合は、社員に大きな負担がかかるおそれがあるでしょう。
2つ目は「研修の質を確保しにくいこと」です。
社員は、プロの講師ではないため、どうしても質の高い研修を実施できない可能性もあります。業務知識や説明するスキルが乏しい場合、新入社員にうまく内容を伝えられないこともあるでしょう。
自社で内製する場合は、思うような効果を得られないリスクについて考えておくことが大切です。
内製を成功させるためのポイント
新入社員研修を内製する場合は、社内全体で企画を考えたり、講師をサポートしたりすることが重要です。
講師だけに頼らず、構成を考えたり社員が分担して会場の準備を行ったりするなど、できることは企業全体でサポートする必要があります。また、研修後はアンケートを実施し、見直しをすることがポイントです。
研修内容のブラッシュアップを行うことで、徐々に内容が改善されより有意義なものに近付きます。テキストやタイムテーブルの見直しなどを行うことで、より充実した研修内容になるでしょう。
4.新入社員研修の種類
新入社員研修と一口にいっても、その種類は多岐にわたります。ここでは、新入社員研修の主な種類とその概要について見ていきましょう。
・講義
講義は、新入社員研修として最もスタンダードな形式です。講師が壇上に立ち、新入社員に対して知識や考え方をレクチャーしていくのが基本のスタイルとなります。
テキストやスライドなどのツールを活用することで、一度に多くの情報を伝えられるため、研修対象者の人数が多いときに実施されやすい傾向です。
なお、講義は外部企業に依頼して講師を自社に招くものもあれば、直接会場に出向くものもあります。用途や目的に合う受講方法を選ぶと良いでしょう。
・グループワーク
グループワークは、受講者参加型の研修形式です。受講者が主体的に取り組める形式になっており、実務で効果を発揮しやすいことが特徴。また、コミュニケーションスキルの醸成にも役立ちます。
・OJT
OJTとは、職場内研修のことであり実際の業務を通じて知識や技能を身に付ける研修スタイルを指します。
上司や先輩社員が指導役となり、業務の流れやツールの使い方、企業や商品・サービスの説明などを行うことが一般的です。実際の業務を経験するため、新入社員の早期育成を目指す場合にも有効な手法だとされています。
・レクリエーション
レクリエーションは、ゲーム感覚で楽しみながら学べる研修形式です。新入社員の緊張をほぐし、団結力を高める目的などで実施されます。研修の合間のブレイクタイムとして用いられることもあります。
・eラーニング
多くの企業では、テレワークの導入が進んでいるため、研修もオフラインからオンラインへと形式が変化しつつあります。
eラーニングは、パソコンやタブレットなどの端末を活用し、新入社員研修を実施することが可能です。学習コンテンツを用意するだけで済み、新入社員研修にかかる準備の手間やコストを削減できます。
5.新入社員研修の設計方法
効果的な新入社員研修カリキュラムを設計するためには、どうすれば良いのでしょうか。設計方法を4つのステップに分けて、基本的な流れやポイントを把握していきましょう。
ステップ1:研修期間を定める
最初に、新入社員研修を実施する期間を決める必要があります。
なお、研修期間は企業によってさまざまです。数時間の場合もあれば、数日~数週間の期間を設ける場合もあります。
業務の繁忙期や社内行事の日程などを加味し、適切な研修期間を設定することが重要です。まとまった時間の確保が難しい場合は、2~3時間といった短時間で効率的に行える研修もあります。
ステップ2:目的の策定
期間が決まったら、新入社員研修をどのような目的で行うのか明確にしておきましょう。
経営層や現場管理者などから意見を集め、求める成果や理想の社員像をヒアリングすることも、目的や自社の課題を洗い出すために効果的です。
ステップ3:予算を決める
新入社員研修にかけられる予算を決めておくことも重要です。
新入社員研修は、さまざまな外部企業によって提供されています。ただ、その企業によって設定している料金や計算方法、仕組みなどはさまざまです。そのため、前もってどの程度の予算をかけられるのか、目安を把握しておく必要があります。
条件によっても異なりますが、数時間の基本的なビジネススキル研修を委託した場合、費用相場は約3万~10万円です。
ただし、これはあくまでも目安で研修期間・カリキュラムの内容・受講人数によっても料金は大きく異なるため、見積もりを取って正確な料金を把握しましょう。
なお、なかには新入社員研修を無料で受講できるeラーニングサービスもあります。ビジネスマナーなど新入社員に必要な知識を習得できるため、予算を抑えたい企業は有効活用すると良いでしょう。
ステップ4:目標の設定
新入社員研修は、ゴールとなる目標設定を行うことが重要です。目標を設定することで、何をどのように指導すべきかが明確になります。
また、ゴールを設定することで研修後に結果を振り返り、反省点を次に生かすことができるでしょう。なお、目標は明確に立てておくことが重要です。研修を終えた時点で何を達成している状態を目指すのか、決めておきましょう。
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6.おすすめの新入社員研修サービス3選
企業ごとに多種多様な新入社員研修サービスが提供されています。なかでも、おすすめのサービスには以下のようなものが挙げられます。
【SMBCコンサルティング】新入社員研修
SMBCコンサルティング株式会社による新入社員研修は、1~3日間など必要な期間とプログラムを選択することが可能です。
実績豊富な一流の講師陣による解説で、仕事の心構えを徹底的に指導。1日の短期間研修も可能であり、なるべく短期間で効果的に研修を実施したい企業にもおすすめです。
【株式会社リカレント】新人研修
新入社員が身に付けるべき、ビジネスマナーや電話応対などの研修サービスを受講できます。
研修内容が豊富で、自社の目的に合うものを選択可能。豊富な研修ノウハウが盛り込まれたカリキュラムによって、戦力化までの期間を短くすることができるでしょう。
【株式会社Schoo】オンライン研修サービス
国内最大級のオンライン研修サービスです。ビジネスマナーからロジカルシンキングまで、新入社員研修に役立つ動画が数多く用意されており、講師は業界の第一線で活躍するプロのため、わかりやすい解説になっています。
オンライン上で研修を受けられるため、場所を選ばずいつでもどこでも学習することが可能です。社会人に不可欠な知識やスキルを体系的に身に付けられます。
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まとめ:自社に合う方法で新入社員研修を効果的に実施しよう
新入社員研修は、企業で働くうえで欠かせないスキルや能力を身に付けるための重要な機会となります。
効果的な新入社員研修を実施するためには、「どのような効果を求めるのか」についてあらかじめ目的や目標を明らかにしておくことが重要です。
企業の方針や社風に合う新入社員研修を効果的に実施し、自社の将来を担う人材を育成しましょう。