コロナ禍での社内コミュニケーション活性化 成功企業が明かす課題と対策

コロナ危機は社会を大きく変えました。コロナ危機が収束しても完全に元の世界に戻ることはなく、「ニューノーマル」の時代が訪れるでしょう。働き方においても多くの企業がコロナ危機をきっかけにテレワークを導入し、生産性の向上に取り組んでいます。

しかし、すべての企業がうまくいっているわけではありません。むしろ準備不足のままテレワークを導入したことで生産性を下げてしまった組織も多く、悩んでいる経営者の方もいらっしゃることでしょう。

ニューノーマル時代を迎えるにあたり、どのように組織運営を行っていくべきなのでしょうか。

コロナ危機にいち早くテレワークに取り組み、大きな成果を上げているSlack Japan K.K. ビジネスグロース営業部部長 生垣侑依氏と、株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行氏が2020年7月2日開催のUniposウェビナー「ニューノーマル時代の持続的成長を支える組織の信頼関係の築き方」に登壇。Unipos株式会社 代表取締役社長 斉藤知明と共に、ニューノーマル時代の組織のあり方について話し合いました。

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1. リモートワークの鍵を握るのは「情報の透明性」と「心理的安全性」

ウェビナーではまず、コロナ危機以降におけるテレワークの導入の実態と課題について斉藤から発表しました。

Unipos社が実施したアンケート調査によると、テレワーク開始前と比較して部下の仕事ぶりが「わかりづらい」と感じている管理職は56.1%、生産性の低下を感じている一般社員も44.6%に上りました。テレワークの効果をある程度は実感しながらも、課題を感じているという実態が浮き彫りになったと言えるでしょう。

その一方で、コロナ収束後もテレワーク推進を望む声は管理職が6割弱、一般社員が4割強に上ります。さらにコロナ危機後に経営において重視するようになったことの1位は「変化に対応できる組織体制・文化づくり」となっており、テレワークが当たり前になる「ニューノーマル」の時代に適応していく必要性を強く感じていることがわかります。

では、ニューノーマル時代において生産性を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか。

3月6日から世界17拠点を閉鎖し、全社員がテレワークを実践しているSlack社では、現在も生産性を下げることなくビジネスが加速しているといいます。

その理由としてSlack社の生垣氏が挙げるのが「情報の透明性」と「心理的安全性」です。

「Slack社では全社員に向けてオープンなチャンネルを設けており、全社員が情報格差のない状態を保っています。役員と社員がフラットにやりとりできる『#Ask me anything』チャンネルでは、社員からの問いかけに対して役員は72時間以内に回答しないといけないというルールもあります」(生垣氏)

他にも日次のビジネス指標が流れてくるチャンネルや新機能を発信するチャンネル、営業チームによる顧客ごとのチャンネルなどほぼすべてがパブリックチャンネルを活用したオープンな状態になっており、高い透明性が保たれているといいます。

「Slack社メンバーの心理的安全性が高いのは、Slackを活用した3つの取り組みのおかげです。トップがつねにメッセージを発信し、トップの考えが社員に浸透していること。入社時のメンバー紹介の実施やボットにマッチングしてもらって会話するなど部署を越えた交流を促す仕掛けを行っていること。絵文字で社員が積極的にリアクションすることで一体感を醸成していることです」(生垣氏)

情報の透明性と心理的安全性を保つための様々な仕掛けが効果的に働いた結果、Slack社では全社員テレワークを実施しながらも生産性を向上させることができているのです。

2. SlackとUniposを活用して信頼関係と心理的安全性を向上

ゆめみ社は東日本大震災以降、いち早くリモートワークに取り組んできた企業です。一方でオフィスワークも大切にしており、「仕事に遊びを」をモットーとしてワイワイガヤガヤできるオフィスをつくってきました。

コロナ危機以降は2月18日から在宅勤務を標準化し、3月には9月末まで延長することを発表。長期間にわたるテレワークでも業務に支障は出ていないといいます。

同社がテレワークをスムーズに進めることができたのはなぜでしょうか。

コロナ危機以前から片岡氏が大切にしてきたのが「親和関係の構築」です。誰でも初めて会う相手のことは多少なりとも警戒するもの。その警戒心を親和関係に移行するために必要なのが社員同士の交流であり、交流を生むのが前述したような「遊び」や「余白」なのだといいます。

ゆめみ社ではオフィスに卓球台を設置したり、ゲーム機が利用できたり、「野菜支給制度」や「タンパク質取り放題制度」といった様々なユニークな制度を設けるなどして「遊び」を積極的に取り入れてきました。そうした取り組みを通じて社員同士が関係を深めやすくなる環境をつくってきたのです。

また、親和関係は「感謝」を通じて「信頼関係」へと発展していきます。直接会うことができないリモートワークではなかなか感謝を伝える機会がありませんが、ゆめみ社は「Unipos」を導入することで感謝の循環をつくり出しています。

さらに「心理的安全性」も重要なポイントです。高い成果を上げるためには積極的に“挑戦”することが必要であり、挑戦するためには心理的安全性の高い環境であることが必要なのだと片岡氏は言います。

心理的安全性を高めるために、ゆめみ社では社員の交流の核となるSlackでいくつかの取り組みを行っています。

まず、本人だけが投稿できるパーソナルチャンネルを全員分作成していることです。特に否定的な感情を吐露することで自己開示やメタ認知の訓練にもつなげることができ、心理的安全性を高める効果があるのだといいます。

「Bad News Fast」チャンネルもユニークな取り組みです。これは、たとえば顧客からのクレームや機器の破損など業務におけるネガティブな情報を共有するためのチャンネルです。失敗を非難するのではなく「すばやく報告したこと」に感謝することで心理的安全性が高まり、さらに悪影響範囲を最小化できるメリットがあるといわれているそうです。

最後に「会社批判」です。クリティカルシンキング(批判的思考)で会社の現状に疑問を呈する取り組みで、優れた意見は代表自らピックアップすることもあるといいます。個人攻撃にならないよう、ガイドラインを細かく定めてアップデートしていくことが重要だと片岡氏は言います。

3. テレワークにおける課題とその対策

2社の取り組み紹介に続き、よりテレワークについて深堀りするパネルディスカッションへ。

スムーズにテレワークの導入を進めてきたように見える2社ですが、実際には苦労もあったといいます。

「気軽な雑談や偶発的なコミュニケーションは、Discordなどのボイスコミュニケーションツールやグラフィカルに表示した仮想オフィスを活用してある程度なんとかなったのですが、初対面での関係性づくりはオンラインだと大変でした」(片岡氏)

また、2社に共通する課題として挙がったのが、社員への周知事項をどう伝えるかということ。どうしてもテキストでの伝達になりやすいのですが、それでは温度感が伝わりづらくなってしまいます。そこで2社が取り組んだのが動画や音声でのメッセージでした。

「セールスチームのトップが全社員に向けて週1でビジネス状況やSlackのカルチャーを伝えています。テキストでもできることですが、あえて動画を使用してるのがポイントです。毎週違うバーチャル背景を使うなど彼なりに工夫しているようです」(生垣氏)

さらに、ゆめみ社はすべての会議の議事録もオープン化。録画した映像を後から見られるようにしており、誰もが情報をキャッチアップできるよう体制を整えています。

こうした2社の考え方や取り組みに斉藤も同意。Unipos社でも毎週同じ時間にオンラインで集まる場を設けており、それがオンボーディングなどにも効果を発揮していることを明かしました。

Slack社はさらにユニークな取り組みを行っています。生垣さんの率いる営業チームでは週に2回Zoomを開いて、いつでも出入りしても良い場を用意。これは、オフラインでの「ねえねえ、ちょっと」と話しかける体験をオンラインで再現したものなのだそうです。

また、チームでのオフサイトミーティングもあえてオンラインで実施。最初にしっかりと参加メンバーのパーソナルな部分を知ることで、むしろオフラインよりも濃密な時間が過ごせたとのことです。

4. 感謝と称賛の文化をつくることがニューノーマル時代の組織成長につながる

 

2社のようにテレワーク環境においても個々人の挑戦を促し、変化に対応できる組織を作るためにはどうすれば良いのでしょうか。片岡氏は「大事なのは感謝と称賛の文化を作ること」だと言います。挑戦する人への感謝と称賛を積み重ねることで、ある段階から一気にフォロワーシップやセカンドペンギンが生まれ、カルチャーとして定着していくのだそうです。

Slack社でも同様の取り組みを行っています。Slack社のバリューを体現する行動をとった社員を絵文字を使ったリアクション機能で互いに称賛することで、“Slackらしさ”が浸透し良い循環が生まれるそうです。

ニューノーマルの時代では、オフィスワークに完全に逆戻りすることはありません。Uniposでは現在、社員の2割が出社、8割がテレワークというバランスで業務を行っていますが、こうしたリアルオフィスとテレワークの良さを融合した働き方が主流になっていくと思われます。

その際に気をつけるべきは「コミュニケーション」だと片岡氏は言います。

「オンラインコミュニケーションでは、テキストだけで伝えたり読み取ったりしなければならないことも多々あります。対面で話すのとはまた少し違ったコミュニケーション能力を鍛える必要があるでしょう」(片岡氏)

オンラインコミュニケーションを積極的に促進し、感謝と称賛の文化を根付かせることこそが、ニューノーマル時代に成長する組織の条件になりそうです。

<登壇者プロフィール>

・株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行氏

1976年生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中の2000年1月、株式会社ゆめみ設立・代表取締役就任。

在学中に、100万人規模のコミュニティサービスを立ち上げ、その後も1000万人規模のモバイルコミュニティ・モバイルECサービスを成功させる。

また、大手企業向けのデジタルマーケティングの立ち上げ支援を行い、共創型で関わったインターネットサービスの規模は5000万人規模を誇り、スマートデバイスを活用したデジタル変革(DX)を行うリーディングカンパニーとしてゆめみグループを成長させた

・Slack Japan K.K. ビジネスグロース営業部部長 生垣侑依氏

米国カンザス州立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。

営業、新規事業開発の経験を経て、2014年にLinkedInの日本で1番目のSMBセールスとして立ち上げを経験。

その後、日本と東南アジアのエンタープライズセールス、マーケティング、新規営業チームリードを経て、2018年にSlackの営業マネージャーに着任。良いサービスを日本で広げることがやりがい。

変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは

働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。

「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。

コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。

組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。

みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。

▼過去ウェビナー参加者様の実際の声

「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。​」

「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、​一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 ​又、参加させて頂きたく思います。」​

「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」​

「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」​

「目から鱗で感動しました。」​

▼次回ウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます

https://unipos.peatix.com/view

運営メディア:「あなたの組織を一歩前へ ONE TEAM Lab」 https://media.unipos.me/

主催社Unipos公式サイト:https://unipos.me/ja/

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