離職率が高い会社の特徴は?原因とすぐにできる対策を紹介

離職率が高いと採用コストがかかり、企業の成長を脅かします。離職率の高い会社には特徴があり、原因を見つけて対策を立てなければなりません。

本記事では、離職率が高い会社の特徴や離職率を抑える方法について解説します。社員がすぐに辞めてしまうという悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。

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離職率が高い状態とは?

離職率とは企業で辞めた社員の割合です。離職する原因はさまざまですが、企業側に原因がある場合、離職率の高い企業・業界には一定の傾向がみられるでしょう。また、新入社員の早期離職も少なくなく、対策が必要とされています。

ここでは、そもそも離職率とは何か説明し、離職率の高い業界や新入社員の離職率について解説します。

離職率とは

離職率とは、全社員のうち、辞めた社員の割合を示す指標です。以下の計算式で求めます。

「離職率=離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100%」

期間や母数の対象者は会社により異なり、自社の目的に合う数字を入れて計算します。

例えば、年度の全社員の離職率を計算する場合、1月1日現在の常用労働者数が300人で年間の離職者が10名のケースでは、その年度の離職率は「10人÷300人×100%=3%」となります。

新入社員の入社3年後の離職率を確認するときは分母の数字を変えるなど、会社の実情に合わせて計算しましょう。

厚生労働省の調査によると、令和4年上半期の常用労働者の平均離職率は8.7%です。離職率の平均は業界によって異なるため、業界ごとの平均も確認して、自社の離職率を判断するとよいでしょう。

参考:厚生労働省「令和4年上半期雇用動向調査結果の概要」

離職率の高い業界

離職率は業界ごとに異なり、厚生労働省の統計よる上位の業界は以下のとおりです。

業界

離職率

宿泊業・飲食サービス業

25.6%

生活関連サービス業・娯楽業

22.3%

サービス業(他に分類されないもの)

18.7%

教育・学習支援業

15.4%

医療・福祉

13.5%

 

離職率の高い業界に共通しているのはBtoCのサービスで、労働時間が長く休日出勤も多い傾向にあります。労働環境が悪くなりやすいことは、離職につながる原因といえるでしょう。

参考:厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況- 」

新入社員の離職率

厚生労働省の調査によると、新入社員が就職後3年以内に離職した割合は新規高卒で35.9%、新規大卒で31.5%という数字が出ています。

新入社員が離職する原因は、社風に合わないなど採用のミスマッチが少なくありません。また、労働に対する価値観の変化により、「さまざまな会社で働きキャリア形成したい」という前向きな考えで離職するケースもあります。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します」

離職率が高い会社の特徴とは?

離職率が高い職場は人間関係や労働環境に問題があるなど、一定の傾向があります。主な特徴は、以下のとおりです。

  • 人間関係が悪い
  • 正しい評価が行われていない
  • 労働条件が悪い
  • 採用のミスマッチが多い
  • 教育制度が整っていない

働きにくい職場という点が、共通する特徴になっています。離職率の高い職場の特徴について、詳しくみていきましょう。

人間関係が悪い

コミュニケーション不足が会社に与える影響は大きいです。離職率を低下させるだけでなく、サービスの質が低下したり、連携不足により納期の遅延が発生したりするリスクがあります。トラブルが起きたときも対応が遅れる場合があり、企業イメージが低下することに繋がるでしょう。

特に上司・先輩社員との人間関係が良くないと離職につながりやすくなります。上司や先輩社員とは仕事で関わりを避けることが難しく、例えばパワハラの傾向がある上司がいる場合は、「部下が質問やミスの報告がしづらい」「上司が部下を放置して情報を把握しているかの確認を怠る」「部下は気軽に相談や報告することもできない」という状況になることも少なくありません。

正しい評価が行われていない

公平な人事評価が行われていない会社も離職率が高まります。評価基準が曖昧であったり基準が公開されていなかったりすると、社員は正しく評価されているのか判断できません。不公平感や不満を抱くことになるでしょう。

民間会社が行った「人事評価の“モヤモヤ”に関する調査」では、自社の人事評価に不満を感じる要因は「評価の基準が不明確」であることが圧倒的多数でした。また、人事評価に不満を感じる人の約6割が「人事評価の結果が給与や待遇にどのように反映されるか知らない」など、人事評価制度が明確でないことに不満があることが明らかになっています。

評価に納得できず、「努力しても評価されない」と感じれば仕事のモチベーションも下がります。このまま働き続けても将来性がないと判断すれば、離職を考えることになるでしょう。

労働条件が悪い

給料に見合った業務内容ではない、残業が多いなど労働環境が悪い会社は、離職率が高めです。特に人手不足の会社は長時間労働になりがちで、適切な労務管理が行われなければ社員の負担は大きくなります。

定時で帰りたいのに、社内に多くの人が残っている、上司が遅くまで仕事しているといった風潮があると、長時間労働になりやすいといえるでしょう。

連日の残業や休日出勤が重なると心身ともに大きなストレスを抱え、離職につながる可能性は高くなります。離職率が高い会社は「働きづらいのではないか」と思われ、求職者からも敬遠されます。離職が続くと残された社員の業務負担が増え、労働環境がさらに悪化して離職につながるという悪循環も生まれるでしょう。

採用のミスマッチが多い

新入社員の早期離職が多い場合、採用のミスマッチが原因のひとつと考えられます。入社前の理想と入社後の現実が異なるとミスマッチが起こり、離職につながりやすくなるためです。

ミスマッチを起こす原因はさまざまで、主に次のような原因が考えられます。

  • 採用活動で優秀な人材を確保したいという気持ちから、メリットばかりをアピールする
  • 採用の際に応募者のスキルや人柄、価値観を見極められない
  • 入社後のフォローができていない

自社の良いところだけを伝えて応募者を集めても、ミスマッチで離職を増やしては意味がありません。かえって採用コストを増やすだけでしょう。課題も含めた自社のすべてをオープンにして、価値観の合う人材を募ることが大切です。また、採用基準が明確でないと面接官ごとに判断が異なり、自社の社風に合わない人材を採用してしまう懸念があります。

採用した人材にミスマッチがなかったとしても、入社後のフォロー体制が十分でないと離職につながることになります。定期的なフォローで悩みや不安を聞き取り、適切に対応していくことが必要になるでしょう。

入社後にやりがいが感じられないことも、離職の原因になります。採用した人材が業務にやりがいを感じるかどうかは本人にも企業にもわかりづらい部分です。「実際に働いてみたらやりがいを感じられなかった」ということもあるでしょう。

教育制度が整っていない

教育制度が整っていないことも離職につながる要因です。入社したばかりの慣れない環境のもとで十分なサポート体制がないと、不安になって能力も発揮できません。人手不足などで十分な指導が行われない場合、不慣れな業務を誰に相談していいのかわからなくなってしまうでしょう。自信を失い、離職につながりやすくなります。

「仕事をしながら自分で覚える」といった体制では、社員の成長は期待できません。人材育成の方針が定まっていなかったり、上司や先輩社員によって指導方法が異なったりする場合もスキルアップが期待できず、離職の原因になります。

離職率が高いことで起こること

離職率の高い会社は、既存社員のモチベーション低下を招きやすくなります。また、企業競争力の低下にもつながりかねません。その結果、生産性が下がることにもなるでしょう。

また、人材採用や人材育成にかけたコストが無駄になり、人材補填にコストが発生する点も大きな痛手です。

欠員を補充するまでは既存社員が業務を担当しなければならず、負担も増えるでしょう。

ここでは、離職率の高い会社で起こりやすいことを解説します。

既存社員のモチベーションが低下して生産性が下がる

周囲の社員が次々に辞めていくことで、社員のモチベーションも下がります。せっかく指導しても早期離職されたのでは、失望を感じ、「このまま勤めてても大丈夫なのか?」と不安を抱く社員も出てくるでしょう。多くの社員が辞めていくと、「このまま残っていても大丈夫だろうか」という不安を感じる社員も出てきます。

仕事への意欲をなくし、生産性を下げるだけでなく、会社の業績にも影響を及ぼす結果につながります。また、

モチベーションの低下は新たな離職を招く可能性があり、さらに既存社員のモチベーションを下げるという悪循環を生み出すことにもなるでしょう。

採用コストが高くなる

離職率が高いと、採用コストや教育にかける費用がかさむというデメリットがあります。社員の採用には多くのコストと時間がかかっており、離職による損失は小さくありません。

まず採用活動では、求人広告費や会社説明会にかける費用、面接官や人事担当者の人件費などが必要になり、1人あたりに数十万円は必要です。

入社後はさらに多くの費用がかかります。ビジネスマナー研修やOJTなどに開催の費用・人件費など、多くの出費が見込まれるでしょう。新卒向けの研修期間は平均3ヶ月ほどかかり、専門性の高い分野はさらに長期となる傾向にあります。中途採用でも約1ヶ月程度の期間が必要です。

退職後は欠員補充のため、本来は必要のない採用活動が発生します。人事の負担も大きくなるでしょう。さらに、離職によって企業価値が損なわれるというコストが発生します。離職率が高くなることで求人の応募者数が減少し、採用効率が下がるというコストも想定しなければなりません。

企業イメージが悪化する

離職率は企業のイメージ悪化にもつながります。離職率が高いことは必ずしも働きにくい会社というわけではありませんが、世間一般の印象はあまりよくありません。求職者は応募する企業の離職率を確認し、離職率が高いほど「労働環境が悪い」「働きにくい」というイメージを抱きやすいでしょう。

少なくとも「何か問題があるのではないか」と考える材料を与え、応募を見おくる可能性が高くなります。

定年退職が多い年度などは一時的に離職率が高くなる場合もありますが、数年続けて離職率が高い会社は特に応募者の不信感を招きます。優秀な人材を確保するためにも、離職率を下げる施策が欠かせません。

既存社員の負担が増える

離職率が高くなるほど応募者が集まらなくなり、欠員が補充されるまでの既存社員の負担が大きくなります。1人でこなせる業務には限界があり、負担が増えることで生産性の低下や業務の質を下げることにもなります。

業務量が増えることで労働環境が悪化し、さらに離職が増えるという連鎖が起こりやすくなるでしょう。優秀な人材が離職することは、企業の競争力低下にもつながります。

離職率を抑える5つの方法

離職率の低下を放置していると生産性の低下を招き、企業の成長を阻害します。離職率の低下を抑えるための施策が必要です。

効果的な施策は離職の原因ごとに異なりますが、主に以下の5つがあげられます。

  • 社内コミュニケーションの活性化
  • 人事評価の見直し
  • 働き方の選択肢を増やす
  • 労働環境を改善する
  • 人材育成に力を入れる

それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。

社内コミュニケーションを活性化する

人間関係の悪化で離職率が高い職場は、社内コミュニケーションを活性化する施策が必要です。常にコミュニケーションがとれる状態になっていると、情報共有もスムーズになり、生産性の向上にもつながります。社内コミュニケーションが活発であれば、社員が自分の意見を積極的に話せる企業風土にもつながるでしょう。その結果、離職率低下にもつながります。

社内コミュニケーションを活性化するためには、さまざまな施策が考えられます。しかし、社内にニーズがなければ、大きな効果は期待できません。現状を分析したうえで解決すべき課題を把握し、自社に合う方法を検討しましょう。

多くの会社が実施している方法として、以下のようなものがあります。

  • 社内イベントを開催する
  • 社内報を発行する
  • 社内コミュニケーションツールを導入する
  • リフレッシュルームを設置する
  • ピアボーナスを導入する

社内イベントは、飲み会やシャッフルランチ、社内部活動など種類はさまざまです。仕事職場を離れ、リラックスした雰囲気の中で上司や同僚と自然に会話ができます。

社内報は社内の情報を発信し、会社や社員同士の理解を深めるのに役立ちます。社員のインタビューなどを掲載することで、交流のきっかけにもなるでしょう。

社内コミュニケーションツールはチャット機能により、社員同士の意思疎通や情報共有を円滑にします。

また、社内にリフレッシュルームを設けることで、仕事を離れた休憩時間に集まった社員同士が自然に交流する機会が生まれます。

ピアボーナスとは、社員同士で報酬をおくり合う制度です。感謝や称賛のメッセージとともにポイントをおくり合い、一定のタイミングでポイントを集計して報酬を支払います。メッセージをおくり合うことで交流ができ、称賛のメッセージは社員のモチベーションを高めるメリットがあります。

社内コミュニケーションの活性化で離職を防ぐピアボーナスのUnipos(ユニポス)

ピアボーナスのシステムはさまざまな会社がサービスを提供していますが、おすすめはUnipos(ユニポス)です。称賛メッセージをタイムラインで見ることができ、隠れた貢献が可視化されることで社員同士の相互理解が深まります。社内に称賛し合う風土が醸成され、社員のモチベーションも高まるでしょう。

Uniposを利用したアンケートでは、「コミュニケーションが撮りやすくなった」と答えた人の割合が以下のように高まっています。

  • 上司・部下間:1.9倍
  • 同僚間:1.7倍
  • 部署間:1.5倍

人事評価制度を見直す

人事評価制度が整っていないことで離職率が高いと考えられる場合、制度の見直しを行いましょう。評価者の主観で左右される曖昧な基準では、社員の不満や不信感は解消されません。

誰が評価しても変わらない客観的な判断基準をつくることが必要です。評価基準を明確にして公開することにより、評価制度への信頼が高まります。正当に評価されることで社員は納得し、成果を出すために意欲を高めるでしょう。

上司の判断だけでなく、同僚や部下など複数の評価者が判断する360度評価の導入もおすすめです。360度評価は一方的に評価されるだけでなく、自分も評価者側として人事評価に関与でき、エンゲージメント向上に繋がります。評価を受ける社員は「多くの人が自分を理解し、評価してくれる」ことに安心感を覚えるでしょう。

多面的評価で社員の特性が明らかになり、人事担当者は社員をより深く理解できます。改善点もよくわかり、適切な指導につなげるなど人材育成にも役立つでしょう。

360度評価では、社員同士の関係性も見えてきます。部署内で一人だけ正当性の低い評価をつけられている社員がいる場合、人間関係が良くないと判断して改善に取り組むことも可能です。

360度評価については、以下の記事も参考にしてください。

https://media.unipos.me/whatis360degree-evaluation

働き方の選択肢を増やす

働き方改革により、柔軟な働き方の選択ができるようにすることも離職率の低下につながります。社員の状況に合わせ、労働時間や勤務形態、労働場所などを柔軟に選択できる体制を整えましょう。

働き方の選択肢が少ないと、育児や介護による離職を余儀なくされる場合もあります。テレワークや時短勤務、フレックスタイムなどの選択肢があれば、離職せずに仕事を継続できます。選択肢が多いことで心身にゆとりができ、仕事にも前向きに取り組めるでしょう。

育児・介護休業法に基づいた適切な対応も重要です。一定条件を満たした社員が育児休業や介護休業をスムーズに取得できるよう、環境を整えましょう。

労働環境を改善する

「社員の残業時間が長い」「長時間労働が常態化している」という会社は、労働環境の早急な是正に努めましょう。労務管理ができていないのであれば速やかに社員の勤怠管理を行い、残業時間の削減を実施してください。

長時間勤務になる理由はさまざまで、まずは理由を特定することから始めます。

  • 業務効率が悪い
  • 定刻で帰れない雰囲気がある
  • 残業代目当ての残業をしている
  • 他人の仕事を押しつけられている

残業の原因となっている項目を解決することで、残業時間を減らせます。合わせて社員の担当する業務配分が適正かを確認し、効率化を検討しましょう。

福利厚生の充実も必要です。主な福利厚生として、以下のようなものがあげられます。

  • 食事補助
  • 家賃補助
  • 社宅の提供
  • スポーツ施設の優待
  • 託児・保育施設の設置
  • カウンセラーの配属
  • 資格取得支援
  • 受験料補助

社員のニーズに合った福利厚生の導入は、会社への愛着心などエンゲージメントを高めるでしょう。

人材育成に注力する

教育制度を整え、人材育成に取り組むことも離職率を下げる施策として有効です。研修の実施によりスキルアップした社員は仕事をスムーズにこなせるようになり、モチベーションを高めます。その結果、仕事へのやりがいを感じやすくなるでしょう。

1on1ミーティングやメンター制度の導入も効果的です。メンター制度とは、新入社員や若手社員と年齢の近い先輩社員がメンターとなり、悩みや不安の相談にのるなど、主にメンタル面のフォローを行う制度です。新入社員は何でも相談できる相手ができることで安心でき、仕事にも前向きに取り組みやすくなります。

1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に話し合いの場を設けることです。部下の成長促進を目的とする制度で、まずは気軽な会話で部下の悩みや課題を聞き出します。その後、フィードバックにより、部下自身で解決できることを目指します。定期的にミーティングを行うことで上司と部下の信頼関係が構築され、離職防止に役立つでしょう。

離職率が高い原因を知って対策を考えよう

離職率の高い職場は社員のモチベーションを下げ、生産性の低下を引き起こします。採用コストがかさみ、企業イメージも損なうでしょう。離職率が高い原因を見つけ、離職を減らす対策を立てましょう。

離職の原因で多くを占めるのが、人間関係の悪化です。職場の人間関係に問題がある場合は、社内コミュニケーションの活性化を行いましょう。称賛し合う文化を醸成できるピアボーナスのUniposであれば、効率的に社内コミュニケーションを促し、社員の離職を防ぐことが可能です。