オンボーディングとは?まず抑えるべきポイントを3ステップで解説!

昨今話題のオンボーディングについて、実施を検討しているものの、具体的に何から始めれば良いのかわからない。このようなお悩みはございませんか?

本記事でご紹介する3ステップと注意点をおさえれば、今からでもすぐにオンボーディングに取り掛かることができます。

また実践に活かしやすいように、一般公開後SNSで広く拡散され、多くの企業が実践しているNTT Comunicationsの「オンボーディング ハンドブック」をもとに解説していきます。

「オンボーディング ハンドブック」では、ディスカッションやユーザーインタビューを経て洗い出されたベストプラクティスが数多く解説されており、ソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」でも一時総合トップに掲載される等、貴重なナレッジとして評価されています

本記事では、オンボーディング施策を始める時にまず抑えるべきポイントや落とし穴まで解説していきます。

最後までお読みいただければ、きっとオンボーディング施策成功への一助となるでしょう。

 

オンボーディングとは?

人事用語としてのオンボーディング(on-boarding)とは、企業が採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着、戦力化させるまでの一連の受け入れプロセスを指します。

オンボーディングの対象は新卒社員のみならず、キャリア採用の若手・中堅社員や幹部クラスの人材まで含まれます。前職で豊富な経験のある人材でも、新しい会社の文化やチームに馴染めなければ、早期にパフォーマンスを発揮するのは難しいためです。

また、オンボーディングは新人研修やOJTとイコールで捉えられがちですが、単に業務内容を教えることがオンボーディングではありません。

企業のミッションやビジョンへの共感を生むことや、既存社員の仕事の仕方を学んでもらうこと、社内での人間関係の醸成等もオンボーディングに含まれます。

オンボーディングの目的は、新メンバーが早期に成果を出せるようにすることや、組織に人材を定着させることです。

したがって、オンボーディングは入社直後だけではなく「入社前」から「入社後」まで継続して行う必要があるのです。とりわけ早期離職を防ぐためには、「入社前」からオンボーディングを行うことが重要です。

その理由について、これから詳しく解説していきます。

 

オンボーディングの効果

チームのパフォーマンス向上

従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントとは、従業員の企業に対する信頼や愛着、企業への貢献意欲などを表します。従業員エンゲージメントの高い従業員が増加すると、離職率低下やモチベーションの向上、それに伴い業績向上にも繋がりうる重要な指標です。

オンボーディングを実施することで、企業文化の理解やビジョン・ミッションへの共感を生み、企業への愛着や貢献意欲が高まるため、従業員エンゲージメントは向上します

心理的安全性の向上

オンボーディングを実施すると、従業員の心理的安全性は向上します。

心理的安全性とは「自分の考えや意見を、怖れることなく互いに自由に言い合える状態」を指します。

特にリモート勤務を行う人が増加している昨今では、研修やフォローアップ等もオンラインで行う機会が多くなりました。

従来よりもリアルなコミュニケーションの場が減少しているため、新メンバーが新しい環境に早期に馴染むことも難しく、心理的安全性の重要性はより増しています

オンボーディングによって社内の繋がりを意図的につくることで、新メンバーも心理的安全性が向上し、臆することなく企業理解や業務のキャッチアップをできるようになります。

またそこから従業員同士の助け合いが生まれたり、社内の人間関係の円滑化も期待されます。

新入社員の早期戦力化

優秀な新メンバーでも、前の環境とは異なる新しい会社で、すぐに結果を出すことは難しいです。

新メンバーの早期戦力化において、まず重要なのは、オンボーディングによって新たな環境に早期に慣れてもらい、遺憾なく個性を発揮してもらうことです。

新メンバーが社内に多く繋がりを持ち、自分の強みや弱みをさらけ出せるようになることで、業務のキャッチアップをしやすくなり、新入社員の早期戦力化に繋がります。

例えば、気兼ねない質問や雑談もできるようにメンター社員をつけたり、相互理解を深めるためにチームメンバーとの1on1実施などが有効です。

オンボーディングを行うことで、新メンバーは新たな環境においても、個性や実力を早期に発揮できるようになるでしょう。

離職防止による採用コストの抑制

退職理由の本音は人間関係に

リクルートホールディングスのリクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」の調査結果では、実は給与などの労働条件よりも、人間関係が退職の引き金になっています。

退職理由の本音ランキングTop3は以下の通りで、1位と3位は人間関係によるものです。

  • 1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
  • 2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
  • 3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)

1位の理由には「トラブルの際、まくしたてるばかりでフォローもできない上司は尊敬できない」、「部下の手柄は自分のものにするが、自分の失敗は部下に押し付ける」などが挙げられています。

既存社員の仕事の仕方や考え方も新入社員の退職の一因となってしまうため、採用段階で会社のビジョンやミッションに深く共感する社員を採用し、オンボーディングにおいても会社のビジョンと個人のやりたいことをすり合わせ、組織として共通の目標に向かえるようにする必要があります。

3位の理由には「みんな忙しそうなので業務に関する質問ができなかった、仕事が覚えられそうになかったので退職した」などが挙げられており、質問しやすい環境や関係づくりの重要性をお分かりいただけるかと思います。

退職者一人につき生じる損失額

どの企業でも「離職者数を減らす」課題には頭を悩ませますよね。
退職者が出ても新しい人材を採用すれば良いという企業や、退職希望者を引き止めても仕方ないという企業もあるかもしれません。

ところが、退職者が一人出るだけでも企業の損失はかなり大きくなります。

エン・ジャパンの試算によると、採用コストや教育コスト等も含めて、社員一名が入社後3ヶ月で離職した場合の損失概算は「187.5万円/人」まで及ぶと言われています。

さらに費用以外でも、退職者から後任へ引き継ぎきれなかった暗黙知の損失や、退職者の業務を一時的に別の社員が行うことで負担がかかったりすると、既存社員のモチベーション低下にも繋がってしまいます。

そのため、どの企業においても、離職者数を減らす対策をするべきなのです。

オンボーディングの実施が離職率低下に繋がる

離職率低下には、オンボーディングの実施が有効です。

前述の通り、オンボーディングを行うことで従業員エンゲージメントや心理的安全性が高まり、会社への愛着や働きやすさ、ひいてはパフォーマンスも向上するためです。

施策の具体例として、退職理由の本音1位の「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」に対しては、新入社員だけではなく既存社員にも継続してオンボーディングを行うことが有効でしょう。

継続してオンボーディングを行うことで、会社としてのビジョンやミッションに深く共感を生み、現場社員の足並みを揃えることができます。

また3位の「みんな忙しそうなので業務に関する質問ができなかった、仕事が覚えられそうになかったので退職した」に対しては、研修を充実させるだけではなく、困ったときはいつでも質問できるメンター制度の導入が有効です。

このように、オンボーディングの実施によって、主な離職理由に対する対策ができるのです。

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