1on1のデメリット8つとは?導入すべきかの判断ポイントも解説

1on1を導入したいけれど、デメリットが多い気がして踏み切れない……
1on1は意味がない、むしろ逆効果という意見も聞くけれど本当?」

そんな疑問や迷いを抱いている人も多いのではないでしょうか?

率直に言って、1on1には確かにデメリットがあります。
1対1のミーティングを頻繁に行うので、特に上司にとっては時間的な負担が多いですし、成果が上がっているのかどうかもわかりづらいものです。
やり方が悪かったり、上司と部下の相性が悪かったりすると、むしろ信頼関係を損ねて逆効果になりかねません。

ですが、デメリットにはかならずその回避法、対処法があります。
また、1on1には多くのメリットもあって、一概に「実施したほうがいい」「いや、よくない」と断定するのは早計でしょう。

そこでこの記事では、まず、

◾️1on18つのデメリットとその回避法

について、くわしく説明していきます。
さらに、

◾️1on18つのメリット

も挙げて、その利点を解説します。
それら両面を踏まえた上で、

◾️1on1を導入すべきかどうか、判断のポイント3

を示しますので、この記事を最後まで読めば、あなたの職場で1on1に取り組むべきかどうかを判断できるようになるはずです。

あなたが1on1のデメリットを正しく理解した上で、自信を持って「あり・なし」を決定できるよう願っています。


1 1on18つのデメリットと回避法

1on1にはメリットも多い半面、もちろんデメリットもあります。
そこでまず、1on1導入で起こりがちな問題を8挙げてみました。
さらに、それぞれの問題を回避、解消する方法も提案していますので、「このデメリットは、自社の場合は問題なく回避できるかできないか」という側面からも考えてみてください。

1-1 上司・部下ともに時間と工数を取られる

まずもっとも大きな問題は、時間と工数がかかることです。
1on1は上司と部下が11でミーティングをしますが、「週に1回、30分ずつ」「月に1回、1時間ずつ」など、頻回に行うことが特徴です。
となると、特に上司は部下の人数分時間を取られてしまいます。

また、1on1では以下のような事前・事後の作業も必要です。

・事前にアジェンダを作成する
・対話の内容を記録する
・事後に部下は振り返りをする
・上司から部下にフィードバックする

これらが通常業務を圧迫する不安もあります。

【回避法】
1on1の普及にともなって、最近では支援ツールが登場し始めています。
これらを導入することで、時間短縮・工数削減が可能です。
例えば、アジェンダがテンプレート形式で簡単に作れるフィードバックがSNSのようなコメント、「いいね」で簡単に送れるなどの機能が備わっていますので、利用するとよいでしょう。

1-2 効果が出るまで時間がかかる

時間と工数を取られるわりに、成果が出るまで時間がかかるという問題もあります。

というのも、1on1部下の自主性、自立性を育てるために行うものです。
ただ、ミーティングを行ったからといってすぐに部下がめざましく成長するわけではありません。
継続的に対話を重ねることで徐々に成長を促すのが1on1なのです。

そのため、12ヶ月も経つと「何回も面談しているのに成果が実感できない」という不満が出て、1on1をやめてしまう企業も多いようです。
1on1はムダ」「やってみたが効果がなかった」と言われるのは、成果が出るまで待てなかったことが原因とも考えられます。

【回避法】
1on1とは時間がかかるものだ、継続的に行わなければ意味がない、という原則を理解しましょう。
成果が上がるには、少人数の職場で3ヶ月〜1年、100人以上いれば13年程度の期間が必要とも言われていますので、それを目安に長い目でみてください。

1-3 上司のコミュニケーションスキルによって効果が左右される

もうひとつ大きな問題として、1on1に臨む上司のコミュニケーションスキルによって、部下の成長度合いが左右されてしまうことがあります。

というのも、1on1では上司が部下に対してアドバイスや指導をするのではなく、部下自身が自分で考え、解決を見出せるように対話で導いていかなければなりません。
これはなかなかにテクニックが必要なものです。

そのため上司には、

・部下の話を上手に引き出す傾聴力
・自主的に解決法を見つけるよう誘導する会話力
・部下の心を開かせる信頼感

などが求められます。

これらの能力の差によって、1on1の成果には大きな差が出てしまうのが難点です。

【回避法】
最近では、1on1研修やセミナーも多く開催されています。
導入前にこれらを実施して、全社に1on1の意義やメソッドを浸透させ、上司のスキルを向上させていく必要があるでしょう。
また、1on1支援ツールの中には、対話のテンプレートを作成することができるものもありますので、それを利用すれば、対話内容を均質化することもできます。

1-4 上司と部下の相性によって逆効果にもなり得る

前項とも関わりますが、11で対話するには、お互いの信頼感が重要です。
部下と相性の悪い上司がミーティングを行っても、効果が出ないばかりか、部下のモチベーションを低下させるなどの逆効果になる場合もあります。

【回避法】
1on1は、かならずしも直属の上司と部下で行う必要はありません。
メンターとメンティという関係性であれば行えます。
そこで、チームの中で相性のよい者同士をマッチングするという方法も考えられます。
ミーティングを実施してみて相性が悪そうであれば、途中でペアを変更するなど、柔軟に実施しましょう。

1-5 やり方が悪いと逆に上司と部下の信頼関係が損なわれる

1on1の本質やメソッドを理解しないまま実施すると、逆に部下が上司に対して不信感を抱いてしまうケースもあります。

例えば上司が、部下に一方的に意見を押し付けたり、部下の話を聞かずに自分だけが話し続けてしまうと、部下が反発を感じたり、自主的に考えることを放棄してしまう危険性があります。

【回避法】
1on1は従来の評価面談や指導の場ではない、ということを上司に理解させる必要があります。
ミーティングでは主役は部下なので、話す割合も部下78割、上司23割程度のバランスになるよう留意するとよいでしょう。

1-6 雑談で終わるなど形骸化してしまう

週に1回もミーティングをしていると、「何を話せばいいのかわからない」「特に取り上げたいトピックもない」という日も出てきます。
それが重なるうち、なんとなく雑談をして終わってしまったり、ミーティングをすること自体が目的になってしまったりと、形骸化する場合もままあります。

こうなると、1on1の成果は期待できず、ただ時間と工数をムダに費やすだけになってしまうのです。

【回避法】
毎回事前にかならずアジェンダを作成しましょう。
「特にいま抱えている問題はない」「話すことがない」と思っている場合でも、深掘りしていけば何か課題はあるものです。
そこで、あらかじめトピックの例をリスト化しておいて、そのうちのどれかを選べるようにするなど工夫するといいでしょう。
また、1on1支援ツールの中には、トピックのアンケート機能を備えたものがあります。
部下がアンケートに答えていくと、取り上げるべきトピックが見えてきてアジェンダができる、という便利なものですので、利用してみるのも一案です。

1-7 効果が数値にあらわれにくい

1on1の目的は、部下が自主的に考え、自立的に問題解決できるようになることですが、この成果は数値化しにくいのが難点です。
当事者である上司と部下は成長を実感できていても、人事などの管理部門などからは客観的な評価がしづらいのです。
そのため、レポートを提出させたり評価シートを作ったりと、さらに業務が煩雑になる恐れもあります。

【回避法】
まず、「1on1の効果は直接数字であらわれるものではない」「部下が自立する、問題解決能力が向上する、モチベーションがアップするといった、数値化できない成果を目指すものだ」ということを知っておいてください。
その結果、業績がアップする、離職率が下がるといった定量的なメリットも得られますが、その数字と1on1の関連性も見えにくいものです。
これをどうしても数値化したいのであれば、1on1支援ツールに頼るという手もあります。
1on1の内容に対して多くの人からフィードバックをもらい、それをデータ化・見える化する分析機能を備えたツールがあるので、それを利用しましょう。

1-8 場合によっては社内周知や研修なども必要になる

1on1は従来の評価面談や指導などとはまったく違うものなので、管理部門には、その意義やメソッドを社内に周知させる努力が必要です。
全社向けにセミナーを行ったり、メンターとなる上司に研修を実施したりすれば効果は格段に上がりますが、そのためにはコストも手間も大きくかかってしまいます。

導入のための準備段階だけでも通常業務を圧迫してしまうので、忙しい職場では取り組みにくいでしょう。

【回避法】
もちろん特に研修などしなくても、上司自身が1on1を勉強してスムーズに運用できる場合もあります。
が、もし「自社の場合は、研修をしないとできないだろう」と判断できる場合は、回避せずにしっかり研修をするしかないでしょう。
あるいは、思い切って1on1を導入しない」という決断をするのも選択肢のひとつです。
部下を成長させる方法は、1on1以外にもさまざまにあるので、自社に合った方法を取ってください。


2 1on18つのメリット

ここまで1on1のデメリットについて考えてきました。
では反対に、メリットにはどんなものがあるのでしょうか?
この章では、主な利点を8つ挙げていきましょう。

2-1 上司と部下の信頼関係が深まる

頻繁にミーティングをすることで、上司と部下お互いの理解が深まってきます。
上司は一方的なアドバイスをしたり批判したりすることなく、部下の話をじっくり聞き出すので、部下としても徐々に心を開いていくことができます。

上司の方も、大勢いる部下の一人ひとりが何を考え、どんな精神状態でいるのかを定期的に知ることができ、個性も見えてくるでしょう。
お互いに信頼関係が深まり、職場のコミュニケーションも円滑になるはずです。

2-2 部下やチームが抱えている課題を把握・解決できる

1on1ミーティングでトピックとして取り上げるのは、部下がそのときどきに抱えている課題や疑問です。
通常であれば、部下から相談されなければ知ることがないような問題も、1on1のミーティングをすることで表面化させることができるのです。

中には部下個人の業務上の課題だけでなく、ひとりでは解決できないチーム内での不満なども語られることもあるでしょう。
上司がそれらを把握することで、早期に問題を解決に導けるというメリットがあります。

2-3 上司のマネジンメントに関してフィードバックを得られる

1on1ではミーティング後に、上司やチームメンバーが部下に対してフィードバックすることが必須です。
が、このフィードバックは一方通行ではなく、やり取りの中で上司側も受けることができるのです。

ストレートに「仕事やチームについてどう思っている?」と聞いてもよいですが、あえて質問しなくてもいいのです。
部下の考えを聞くうちに、その中から上司としての課題や部下が抱いている要望、不満などが見えてくるはずです。
それを改善していくことで、上司側もまた成長することができるでしょう。

2-4 部下それぞれに合ったキャリア開発を支援できる

1on1で取り上げるトピックの中には、課題や不満だけでなく、「仕事に何を期待しているか」「どんなキャリアパスをイメージしているか」といった部下の希望を聞くことも含まれます。

本人の希望に、上司が把握した個性や能力とを加味することで、より適材適所の人材配置ができるようになるはずです。
その結果、チームのメンバーたちのモチベーションも上がり、業績アップにつながるでしょう。

2-5 部下や職場全体のモチベーションが向上する

上司と部下の信頼が深まり、お互いを理解し、それぞれの個性と能力に合った仕事につかせることができれば、部下は「上司や会社が自分を理解してくれている」「能力を行かしてくれている」という実感を持つことができます。
その結果、メンバー個々のモチベーションがグンとアップし、チーム全体の雰囲気もポジティブに変化します。

2-6 部下の成長・自立が促される

1on1の最大の目的は、部下の自発的な成長をサポートし、自立・自走できるようにすることです。
そのために、ミーティングでは上司から指示を下したり、批判をしたり、自分の考えや知見を押し付けることはNGとされています。

かわりに部下自身が課題について熟考し、解決への道を発見できるように、対話の中で促していきます。
そのためミーティングを重ねるうちに、部下の自己解決能力が育まれ、自立・自走できるビジネスパーソンへと成長していくのです。

2-7 離職率の低下・定着率の向上につながる

上司を信頼できるようになり、仕事に対するモチベーションが上がれば、その部下は「この会社に長く勤めてキャリアアップしていこう」と考えるでしょう。
そのため、1on1を効果的に実践できた企業は、離職率が低下し定着率が向上すると言われています。

大卒新入社員が3年以内に離職する率が30%を超えている昨今、ひとつの企業にとどまって長期キャリア形成を考える人材は貴重ですから、これも大きなメリットと言えるでしょう。

2-8 評価に対して納得度が増す

通常の評価面談を行なっている企業では、部下には「評価の結果と処遇」だけが伝えられ、評価の過程やポイントは開示しないというところもよくあります。
が、それでは部下が納得できず、「同僚の◯◯さんより自分の方が売り上げがあったのに、評価が低いのはおかしい」とか、「あのプロジェクトでの自分の働きが正当に評価されていない」といった不満を抱えてモチベーションが低下してしまう可能性があります。

一方で1on1では、毎回上司や他のメンバーからフィードバックがあります。
自分がどう評価されているのか、常に目に見えるわけです。
例えば部下自身では「Aの業務よりBの業務の方が評価されるだろう」と思っていても、チーム内からはAの業務の方が多くの高評価を集めるかもしれません。
自分基準での判断ではなく客観的な評価を随時知ることができるので、人事評価に対しても納得度が高まるのです。

また、1on1を導入している企業では、ミーティングの内容やフィードバックを分析して、人事部門での評価に反映しているところも多いようです。
その場合、日々の1on1の結果と人事評価がリンクするので、さらに納得度は増すでしょう。


3 1on1を導入すべきか?判断のポイント

1on1には多くのデメリットとともにメリットもあることがわかりましたね。

では最後に、あなたの職場では1on1を導入すべきかを判断する際に、何をポイントにすればいいのかを解説します。
以下の3点に着目して、導入を検討してください。

3-1 事前準備ができるか

まず1on1を導入する前には、会社や職場全体で以下のような事前準備をすることが必須です。

◾️1on1の意義や進め方について、全体に周知する(研修やセミナーなど)
◾️メンターとなる上司に、進め方を理解させる(研修など)
◾️面談前のアジェンダ作成から面談内容の記録、面談後のフィードバックまでのフロー作成

これをせずに取り組んでも、1on1の成果は期待できずムダになってしまいます。
そこで、これらの準備に時間と工数とコストをかける余裕があるかをまず検討してください。

ちなみに、外部講師による1on1ミーティングの費用の一例を挙げると、

◎2〜3時間の研修:15,000/一人当たり
◎6時間の研修:30,000円前後/一人当たり

程度で受講できるものもあります。
また、無料でお試し受講できるセミナーも開催されていますので、管理部門の担当者が参加してみて検討するのもいいでしょう。

3-2 上司は部下の話を「傾聴」できるか

繰り返しになりますが、1on1では上司が部下に一方的に指示をしたり考えを押し付けたり、ましてや説教するなどはすべて逆効果です。
上司にはまず部下の話をよく聞く、いわゆる「傾聴」の姿勢が求められるのです。

が、これができずにどうしても意見してしまったり、「それは◯◯だよ」と断定、評価してしまったりする上司も多いものです。
そのために、上司にコーチング研修を受けさせる企業もあります

自社の社風や体質では、この「傾聴」ができる上司がいるか、できない者には教育する素地があるか、場合によっては教育コストを割くことができるかも検討のポイントになるでしょう。

3-3 定期的・頻回に行えるか

1on1ではミーティングを1回〜月1回の頻度で行う必要があります。
「忙しいからちょくちょくキャンセルになる」「できるときにだけする」というルーズな運用では効果が出ません。

ですので、通常業務を圧迫しない範囲で、「毎週30分ずつ」「毎月1時間ずつ」といった頻度で定期的にミーティングをする時間を捻出できるのかを見極めてください。
特にメンターとなる上司は、メンバーの人数分ミーティングをしなければなりません。
時間と工数の負担が大きくならないよう、「月1回、30分」という最低限の回数・時間に抑える、メンターを分担するなどの工夫が必要です。

1on1のために昼休みをつぶす、残業するなどの無理が生じるようであれば、モチベーションが下がってしまいます。
無理なく実施できる環境であるか、シミュレーションしてみてください。


4 まとめ

いかがでしたか?
1on1にはデメリットとメリットの両面があることを理解してもらえたかと思います。

では最後に、もう一度記事を振り返ってみましょう。

◾️1on18つのデメリットは、
1)上司・部下ともに時間と工数を取られる
2)効果が出るまで時間がかかる
3)上司のコミュニケーションスキルによって効果が左右される
4)上司と部下の相性によって逆効果にもなり得る
5)やり方が悪いと逆に上司と部下の信頼関係が損なわれる
6)雑談で終わるなど形骸化してしまう
7)効果が数値にあらわれにくい
8)場合によっては社内周知や研修なども必要になる

◾️1on18つのメリットは、
1)上司と部下の信頼関係が深まる
2)部下やチームが抱えている課題を把握・解決できる
3)上司のマネジンメントに関してフィードバックを得られる
4)部下それぞれに合ったキャリア開発を支援できる
5)部下や職場全体のモチベーションが向上する
6)部下の成長・自立が促される
7)離職率の低下・定着率の向上につながる
8)評価に対して納得度が増す

◾️1on1を導入すべきかどうかの判断のポイントは、
1)事前準備ができるか
2)上司は部下の話を「傾聴」できるか
3)定期的・頻回に行えるか

これを踏まえて、あなたが1on1を実施するかどうか、正しく判断できるよう願っています。

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