
・2020年10月22日開催
・タイトル:「テレワーク組織マネジメント 最前線~データドリブンに組織の可能性を解き放つ方法~」
・登壇:ウイングアーク1st株式会社 執行役員 マーケティング本部 本部長 久我 温紀氏、
Fringe81株式会社 執行役員 兼 Uniposカンパニー社長 斉藤知明
今後のウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます
https://unipos.peatix.com/view
テレワークが広がり、組織のあり方もこれまでとは大きく変わりました。オフィスでの対面を前提としたこれまでのマネジメントは通用しなくなり、頭を悩ませているマネジメント層も少なくないでしょう。お互いの行動や感情が見えづらい環境下で、いかに組織の力を高めていけばいいのでしょうか。
今回、10月22日にUniposウェビナー「テレワーク組織マネジメント 最前線~データドリブンに組織の可能性を解き放つ方法~」を開催。データ活用の先駆的企業であるウイングアーク1stの執行役員でありマーケティング本部を統括する久我 温紀氏をお招きし、どのように組織づくりに取り組んでいったのかをお聞きしました。
データ活用と組織デザインで“暗黒期”を改善していった
ウイングアーク1stは2004年創業。国内9ヶ所と海外にも拠点を持ち、ソフトウェア基盤事業とデータエンパワーメント事業を軸にビジネスを展開しています。
売上高は年々上昇して一見、順調に思える同社の歩みですが、過去には大きな危機を迎えたこともあったと執行役員でマーケティング本部本部長の久我氏は言います。
では同社はどのような危機を乗り越え、現在に至ったのでしょうか。
久我氏が「暗黒期だった」と語るのは2010年から2012年にかけての2年間です。この時期、ウイングアーク1stは危機的状況にありました。社員のモチベーションサーベイの結果が悪く、従業員の退職が相次いでいたのです。営業部に至っては全体の3分の1が退職してしまったといいます。
この状態を何とかするために、同社は大きな改革を行いました。
「まず、ウイングアーク1stという組織がどんな状況なのか、どこへ向かうべきなのかということについてメンバーに共有しました」
当時のウイングアーク1stの現状は厳しいものでした。人材は不足し、予算達成意欲も低下。組織への帰属意識も低く、経営層への信頼も揺らいでいたといいます。
そうした状況を変えるために、久我氏は営業部門を中心に様々な取り組みに着手しました。採用や社員教育も強化し、評価制度も一新。実力主義を取り入れ、やる気のあるメンバーにしっかりと報いるようにしていったといいます。
また、業務効率の見直しも進めました。それまでPowerPointやExcel提出していた営業報告をやめ、ダッシュボードに現状を表すデータをリアルタイムで表示。経営層にはダッシュボードを見るよう提案しました。
「営業の活動時間を分析してみると、日報や週報などのレポート作成にあてられている時間が4~5%もあったのです。その時間は営業活動ができていないということです。そこで日報や週報はSFA(※)を活用してオートメーション化しました」
(※)営業支援システムの総称でSales Force Automationの略
久我氏がもう一つ、注力したのが「脱販促部」です。日本企業にありがちなのが、マーケティング組織が営業の単なる販促支援部隊になってしまっているケースです。それでは経営とマーケティング戦略がうまくつながりません。
理想とする組織本来の姿とは、経営が永続的な組織の存在戦略を立て、それをもとにマーケティングが中長期的な事業成長戦略を描き、営業が短期的な業績達成で組織をドライブするというものです。
ウイングアーク1stをこのようなあるべき形にするために、久我氏は「組織デザイン」に取り組んだといいます。
「ウイングアーク1stが目指すべき目的地として「世界最高峰を目指す」と「事業成長のエンジン」、「認知と機会をつくる」を設定しました。それまでのウイングアーク1stのマーケティングチームは個人商店状態で、会議の雰囲気が悪く、サーベイも底辺でしたが、目的地を見据えてPDCAを高速にまわして改善していきました」
Uniposの導入でポジティブな雰囲気が浸透、リモートワークでも失われない結束力を醸成
ウイングアーク1stが目指すのは、「同じ頂を目指すチーム」だと久我氏は言います。では、どうすればそのような理想のチームになりえるのか。そのために同社が導入したツールがUniposでした。
導入当時、ウイングアーク1stは組織の状態に大きな課題を抱えていました。
「否定的な発言が飛び交ったり、チームの柱である者が退職したりして、組織は非常に悪い状態にありました」
そんな折、久我氏はUniposを知り、そのコンセプトに感銘を受けたと話します。
「今まで誰かと誰かの間で行われていた”ありがとう”やリスペクトを、皆が見える状態にできるのがすごいと思いました」
Uniposを導入したことで、多くの感謝の言葉が飛び交うようになり、どこで何が起きているのかが可視化され、チーム全体にポジティブな雰囲気が広がっていったと久我氏は言います。
こうして高まった組織力をベースに、ウイングアーク1stは新たな挑戦――コロナ禍がきっかけとなったリモートワークの常態化――に取り組んでいます。
現在、同社は本社オフィスの3分の2を返却。商談や会議、セミナー、入社式、採用面談などをすべてリモート化するなど思い切った働き方改革を進めています。
しかし、リモートになっても組織の状態は悪化していないといいます。リモートワークでは朝ヨガや昼ラジオ体操、オンラインでのユーモア/スキル研修、社員全員でウォーキングする「地球一周ウォーキング大会」、お中元などユニークな施策を実施。SlackとUniposを活用することでコミュニケーションの量も質も高まっているそうです。
重要なのはデータを見て「現在地を知る」こと
久我氏のお話を受けて、斉藤は「組織力を高める要素」として「(メンバーが)目的を理解していること」「現状を理解していること」「価値観を理解していること」の3点を挙げ、これらを達成するためにマネジメントの役割が重要になるとコメントしました。
これに久我氏も同意しつつ、特に「現状を知る」ためにデータを活用することの大切さを強調します。
「データを見れば自分たちがどういう状態なのかがわかります。たとえばマーケティングが何か問題を抱えていたとして、その状況を営業が把握していれば、直ぐに解決策を共同で練る事ができます。しかし、お互いの状態がわかなければどうしようもありません。データで現在地を知ることが自チームのマネジメントにおいても、他チームとの協働においても何より重要なのです」(久我氏)
また、組織力を高めるための施策として久我氏は「同じ目標を掲げる」こと、そして「チームの垣根を超えてコミュニケーションする」ことが重要だと語ります。ここで役立ったのがUniposだったそうです。
「以前、インサイドセールスとフィールドセールスはあまり仲が良くありませんでした。しかし、両チームの目標を一つ(受注数)にしたことで少しずつ会話が生まれていきました。特にUniposを導入してからは、フィールドセールスとインサイドセールスの間でUniposを贈り合うことが増えていきました。何よりも、このセールスチームが感謝を贈り合っていることが可視化されたことが重要です。両チームが感謝・称賛を贈り合うことで、他のメンバーの見る目も変わっていくからです」(久我氏)
ディスカッション後の質疑応答では、視聴者から「ウイングアーク1stが組織を変えるために具体的に実施した施策」についての質問が寄せられました。
これについて久我氏は「社員アンケートをとって、自分たちの強みや課題を整理し、それを経営者に伝えて合意を形成した」とコメント。また、会社としての行動理念を作ったり、グッズを作成したり、ムービーを作ったりと、「やれることは本当に何でもやった」と回答しました。
久我氏のコメントを受けて斉藤は、「最初にアンケートで社員に意見を聞いたのが良かったのでは」と分析。「耳の痛いことも言われると思うが、それは社員が会社に対して意見を持ってくれているのだからすばらしいこと。意見を黙殺せず、経営陣もきちんと聞いて対応したことがポイント」と評価しました。
* * *
一時は組織状態が悪化したというウイングアーク1st。その状態を乗り越え、リモートワークが常態化しても崩れない結束力を手に入れた背景には、愚直にも思える様々な取り組みがありました。
リモートワークになって組織の一体感が失われたと感じている企業にとって、同社が行ってきた施策は大きなヒントになることでしょう。
<登壇者プロフィール>
ウイングアーク1st株式会社 執行役員 マーケティング本部 本部長 久我 温紀氏
ウイングアーク創業時に事業へ参画。法人向けセールスとして5期連続トップセールスを達成。最年少マネージャーに就任。成績不振の営業部門の再建に関わり全部門予算達成を実現、過去最大の事業成長を牽引する。2016年 営業統括責任者に就任。2017年 経営戦略担当を兼任し2018年よりマーケティング部門の責任者を務める。
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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは
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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。
組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。
▼過去ウェビナー参加者様の実際の声
「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。」
「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 又、参加させて頂きたく思います。」
「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」
「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」
「目から鱗で感動しました。」
▼次回ウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます
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運営メディア:「あなたの組織を一歩前へ ONE TEAM Lab」
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主催社Unipos公式サイト:https://unipos.me/ja/