ロールモデルとは?意味、効果、設定方法と事例を紹介!

誰しも一度は「あの人のようになりたい」と思った経験があるでしょう。その理想の人物こそが「ロールモデル」であり、自らの成長を促すために重要なものです。

この記事では、ロールモデルの意味や効果、設定方法などについて詳しく解説します。また、近年重視されている女性のロールモデル活用についても、2つの成功事例とともに理解を深めていきましょう。

1. ロールモデルとは

「ロールモデル」とは、英語の「role(役割・役目)」と「model(手本・見本)」が語源となっている言葉です。

1940年代に、アメリカの社会学者ロバート・K・マートン氏によって定義されたといわれ、自分の行動や考え方の模範となる人物のことをロールモデルと呼びます。

人は、意識せずとも成長過程でさまざまなロールモデルに出会っていると考えられますが、自らの成長を促すために意図的にロールモデルを設定することもあります。

一般的にロールモデルに設定するのは、自分より優れたスキルを持っていたり、リーダーシップを発揮していたりする人物です。ただし、ロールモデルは1人とは限らず、テーマ別に複数人を設定するケースもあるでしょう。

また、ロールモデルの行動や考え方すべてを真似する必要もありません。大切なのは、そのロールモデルから何を吸収したいのかという点です。見方を変えれば、マイナス面のロールモデルとして特定の人物を設定し、いわば反面教師として活用することもできます。

ロールモデルを設定することで効率的に学びを得られれば、目標達成への近道となるでしょう。

2.ロールモデルを取り入れる効果 

個人や企業がロールモデルを取り入れることで、さまざまな効果が得られます。ここでは、個人が得られる効果と企業が得られる効果に分けて理解していきましょう。

2ー1.個人が得られる効果

自分の理想とする人をロールモデルに設定すると、自分を客観視できるようになったり、キャリアプランが立てやすくなったりします。

2-1-1.自分を客観視できるようになる

ロールモデルを設定することで、その人物と自分を良い意味で比較するようになります。

「○○さんのようになるために、自分には何が足りないのだろうか」「なぜ○○さんはそのような行動がとれるのだろうか(自分だったらどうするか)」と自分を客観視する機会が増え、自分自身の課題と向き合うことができるでしょう。

自分を客観視できるようになると、成長速度もアップします。

2-1-2.キャリアプランが立てやすくなる

同じ職場の先輩や上司をロールモデルに設定すれば、キャリアプランが立てやすくなります。先輩や上司は身近な存在のため、ロールモデルの考え方や行動を詳しく理解でき、習得すべきスキルなどが具体的にイメージできるようになるでしょう。

2ー2.企業が得られる効果

企業が社員にロールモデルを設定させることで、組織全体の活性化や離職率の低減につながります。

2-2-1.組織の活性化につながる

社員は、ロールモデルに近づくためにその人物と積極的にコミュニケーションをとり、考え方やスキルを吸収しようとするでしょう。一人ひとりのコミュニケーションが活発になり主体性が生まれれば、組織の雰囲気も良くなります。

また「自分も先輩になれば、後輩のロールモデルになるかもしれない」と意識するようになるため、業務に対する姿勢に変化が見られるでしょう。

2-2-2.離職率が低くなる

ロールモデルの設定は、離職者を減らす効果も期待できます。若手社員の離職理由には、「成長が望めない」「キャリアプランがイメージできない」などが挙げられます。

社員にロールモデルを設定させることで、身近な先輩や上司を参考にしやすくなり、アドバイスを求めやすくもなります。社員がキャリアプランをイメージできるようになれば、離職という選択をなくすことにつながるでしょう。

3.ロールモデルの設定手順

ここからロールモデルの設定手順をご紹介します。ロールモデルを設定する方法には、大きく分けて「自主的に設定する場合」と「企業が設定する場合」の2つがあります。それぞれ詳しく確認しましょう。

3−1.ロールモデルを自主的に設定する場合

ロールモデルを自主的に設定するケースでは、自分の「理想の人物」を探すことからスタートします。

広い意味では、歴史上の人物や著名人などもロールモデルになり得ますが、できる限り身近な人物のなかから複数名探しましょう。先輩や上司、家族、習い事の先生など、日常的に観察しやすい人物がおすすめです。

そして、探した複数名の人物をテーマ別に分けましょう。

具体的には「Aさんからはリーダーシップを見習いたい」「Bさんからは○○のスキルを吸収したい」「Cさんからは普段の行動を全体的に学びたい」などです。

もし理想の人物が1人しか見つからなかったとしても、その人物から何を学びたいのかは明確にしておきましょう。

3ー2.企業がロールモデルを設定する場合

企業が社員に対してロールモデルを設定するケースでは、年代や部門などに分けて考える必要があります。少なくとも年代別では、新入(若手)社員・中堅社員・ベテラン社員の3つに分かれるでしょう。

そのうえで、社員に「どのようなスキルを身に付けてほしいか」「どのようなキャリアを形成してほしいのか」を検討します。

離職率の低下を目指すなら、ワークライフバランスについてもロールモデルの選定の重要な要素になるでしょう。それらを踏まえロールモデルを設定したら、社内への周知も忘れずに行ってください。

4.ロールモデルの活用方法

上記手順でロールモデルを設定したら、効果的に活用していく必要があります。具体的な活用方法を押さえておきましょう。

4-1.ロールモデルを分析する

ロールモデルを設定しても、「あの人のようになりたい」と漠然と考えるだけでは意味がありません。まずは、ロールモデルに設定した人物を細かく観察し、分析することから始めましょう。

ロールモデルについて「このような場面ではこのような行動をとっている。それは○○という考えに基づくのではないだろうか」「このような場面において○○のスキルに優れているようだ」などと分析することで、模倣しやすくなります。

併せて、ロールモデルと積極的にコミュニケーションをとり、その人物への理解を深めていくことが大切です。

4-2.ロールモデルを模倣する

ロールモデルを観察・分析し少しずつ理解が深まったら、ロールモデルの行動を簡単なものから模倣していきます。その際、単に真似をするだけではなく、行動の背景にある考え方や自分との違いを考えることが重要です。

丁寧に模倣を繰り返せば、ロールモデルの行動パターンや考え方が身に付いていくでしょう。 なお、模倣したらすぐにその結果を振り返り改善していくこと、模倣してからもロールモデルの観察・分析は欠かさないことも心がけてください。

5.ロールモデルの成功事例

ここでは、ロールモデルを設定することで良い影響が生まれたと考えられる2つの成功事例(個人・企業)をご紹介します。

5-1.個人の事例(サークレイス株式会社)

知人からの紹介でサークレイス株式会社に転職した、一人の女性社員がいます。

転職前の会社では古い体質が残っていたのに加え、開発会社ということで社員のほとんどが男性でした。目先の業務をいかに早くこなすかが大事で、長時間労働は当たり前、むしろ評価されるという傾向に疑問を抱いていたといいます。

一方のサークレイス株式会社では、学ぶ環境やキャリアのサポートがとても充実しており、エンジニアとして働く女性も多くいます。そのため、身近にはロールモデルとなり得る先輩がたくさんいるのです。

そのようなロールモデルを見ることで、いろいろなライフイベントがある女性でも、状況に応じて業種をチェンジしたり柔軟に働ける環境を活かしていけることに希望を持てるようになったといいます。

参考:【エンジニア】会社の雰囲気の良さと、Salesforceの将来性ーー。ここにかけてみようと思いました。

5-1.企業の事例(東京海上日動あんしん生命保険株式会社)

東京海上日動あんしん生命保険株式会社では、女性社員の「ロールモデルとして参考にできる先輩が近くにいない」という声を受け、先輩女性社員へのアンケートによるメッセージ集を作成し、若年時の階層別研修で配布しました。

同研修では、自分のキャリアビジョンを考える時間も併せて提供したそうです。

すると、これまでは漠然としていた「働く意義」が明確になったり、キャリアビジョンを明確にすることの重要性に気づくきっかけになったりとポジティブな反応が得られたといいます。

ロールモデルとなり得る先輩がいることに若手社員に気づいてもらい、そのロールモデルを参考にキャリアビジョンをあらためて考えることで、自ら狭めていた活躍の場を広げるきっかけとなりました。

参考:女性活躍推進・健康増進に関する 生命保険会社の取組事例集

6.ロールモデルにふさわしい人物や要件とは? 

前述したとおり、ロールモデルに設定するのは自分の理想となるような人物です。人それぞれロールモデルにする人物の特徴は異なるものの、ロールモデルにふさわしい人物には傾向があります。

ここでは、ロールモデルにふさわしい人物や要件について年代別に解説します。特に、企業が社員に対してロールモデルを設定するケースで活用してください。

6-1.新入社員・若手社員のロールモデル

新入社員や若手社員は、指示どおり正確に仕事をこなすことが求められます。加えて自主性もあると望ましいでしょう。

そのため、以下のようなスキルが備わった人材がロールモデルにふさわしいといえます。

・先輩や上司の指示内容を正確に理解できる

・仕事の優先順位をつけて、その予定通りにこなせる

・周囲の状況から自分が今何をすべきかを判断できる

・自主的にスキルアップに努めている

・わからないことは積極的に質問できる など

6-2.中堅社員のロールモデル

中堅社員は、自ら仕事をこなすだけでなく、後輩の教育や部下への的確な指示も求められます。そのため、以下のようなスキルが備わった人材がロールモデルにふさわしいといえます。

・相手のスキルや理解度に応じて説明できる

・どうしたら業務の効率化を図れるかを常に考えている

・中心となって動けるリーダーシップがある

・キャリアプランを明確に描けている

・相手の抱える課題に気づくことができる など

6-3.ベテラン社員のロールモデル

ベテラン社員は、チームをまとめるリーダーなど重要かつ責任のある役割が増えてきます。そのため、以下のようなスキルが備わった人材がロールモデルにふさわしいといえます。

・組織やチーム全体を俯瞰できる

・交渉力に優れている

・業務を後輩や部下に適切に振り分けられる

・改善点にすぐに気づき、軌道修正できる

・組織やチームのパフォーマンスを向上させられる など

7.女性のロールモデル活用が重要な理由 

近年では、女性のロールモデル活用が重要視されています。女性はライフスタイルの変化による影響を男性よりも受けやすく、働く女性のなかにはキャリアプランがイメージしにくいと悩んでいる方もいるでしょう。

働き方改革などの背景もあり、多くの企業が女性の活躍を推進する取り組みを行っていますが、ロールモデルの活用はその環境づくりに大きく寄与すると考えられます。

先輩や上司など身近な人のなかに、結婚や出産などのライフイベント経験しつつも仕事で活躍している人物がいれば、その人物をロールモデルとして設定することで、女性は安心して働き続けることができるでしょう。

企業としても、女性のリーダー育成がしやすくなるだけでなく、女性活躍を推進する組織風土が醸成されていき、結果として離職率の低下などの効果も得られます。

なお、女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」として、厚生労働省によるロールモデルの育成マニュアルが公開されています。以下リンクから併せて参考にしてみてください。

参考:メンター ロールモデル普及 マニュアル|厚生労働省

8.まとめ

今回の記事では「ロールモデル」について、意味や効果、設定方法などを中心にを解説しました。

改めて、記事の内容について振り返ってみましょう。

・ロールモデルとは、自分の行動や考え方の模範となる人物のこと

・ロールモデルを取り入れる効果は、以下の4つ

 ・自分を客観視できるようになる(個人)

 ・キャリアプランが立てやすくなる(個人)

 ・組織の活性化につながる(企業)

 ・離職率が低くなる(企業)

・ロールモデルを設定したら、分析→模倣を繰り返して活用する

・ロールモデルの成功事例

 ・個人事例:サークレイス株式会社

 ・企業事例:東京海上日動あんしん生命保険株式会社

・女性のロールモデル活用は、女性の活躍を推進するための環境づくりに重要な役割を果たす

キャリアプランが描けないと悩む方や、組織の活性化・女性の活躍推進を目指したいと考える企業担当者の方にとって、この記事が参考となれば幸いです。

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