「セクショナリズムとは?原因と対策法、社員間連携改善に必須の6項目」

「職場で部署ごとの連携がうまくいかないのはどうしてなのか」

「会社の部署ごとに縄張り意識があり、自分のところさえよければ他はどうなってもいいという風潮があり生産性が上がらない」

「コミュニケーションをとろうと話し合っても解決にはほど遠い」

 

組織が大きくなるにつれ部門や部署ごとに分かれ職務も専門家していく中、別のセクションとの連携が取れなかったり、むしろ互いの足を引っ張りあったりしていることはないでしょうか。

このような状態、集団の傾向は「セクショナリズム」と呼ばれます。この記事ではセクショナリズムとは何か、何が原因でどのような弊害が起きるのか、そして解決するための方法をわかりやすく解説していきます。読み終わったときにはセクショナリズムについての理解が深まっていることでしょう。

 


1. セクショナリズムとは?

セクショナリズム(sectionalism)とはある組織を構成している各部署や部門(=セクション)に所属している者たちの間で、組織全体のことよりも自分たちのセクションだけの利益や優位性に重きを置いて行動し他と強調しないことで、組織全体の連携や健全性が損なわれ、生産性が落ちる現象やその傾向を指します。

元々の英語“sectionalism”“sectional”(「部分の」「部門的な」「地方(局地)的な」)+“ism”(「主義」「状態」)の組み合わせでできている言葉です。ここから日本語で「派閥主義」「縄張り意識」「セクト主義」などとも訳され使われます。

所属する個々の視野狭窄を引き起こし、全体を見ることができず閉鎖的な環境で自分たちのチームの利益だけを追及するようになります。次第に他部署への非協力的な態度が目立ち、やがて仲間であるはずの同じ組織内で争ったり足を引っ張りあったりするようになります。

このようなネガティブな環境が生まれる中で、当然ながらコミュニケーションがさらに不足し、人間関係の悪化を招きます。場合によってはトップに立つ者を排除する、組織そのものが分断されるなどの大きな損失を生み出しかねない状態といえます。

組織全体の利益ではなく自分とその周りのごく狭い範囲の利益だけを追求するこの現象は、おもにヒエラルキー組織の中の縦割り構造内で起こる可能性が高くなるとされています。

多くは企業、会社において問題とされるセクショナリズムですが、民間企業だけではなく公務員組織、国家機関や行政組織(省庁)のセクション内でも同様のトラブルが起こり得ます。

また一般的には組織が巨大化するときに起こるような印象がありますが、中小企業でも発生の可能性はあります。

ベンチャー企業などではセクショナリズムに陥らないよう、縦割りとなるヒエラルキー型組織ではなく、横の連携をとりやすい上下関係のないフラットな組織形態(マトリクス型組織、またそこから応用した独自の組織形態)をとっている場合もあります。

 


2. セクショナリズムの種類

セクショナリズムの状態にはおもに2つの種類があります。

 

(1)無関心・非協力的セクショナリズム

自分たちの所属するセクションのことだけに興味関心をもち、他のセクションに関心を持ちません。

そのため自分の行っている業務がどのようにはたらき組織全体にどういう影響や利益をもたらしているかを考えない、視野狭窄集団となります。

目の前の自分の任務のみをこなしていればよいと考えるため、他のセクションからの協力依頼を「自分たちとは関係ないのにやらなければならない面倒ごと」「負担や責任が増える、余計な仕事」と煩わしく思い、まったく関わらない、もしくは責任回避を求め傍観者的な立ち位置で渋々最低限の協力のみ行うなどの状態になります。

他のセクションとの連携や意思疎通を積極的に取らないため、情報の共有がなされなかったり、トラブルが起きた場合の問題への対処が滞ったり遅れたりします。

 

(2)批判型・排他型セクショナリズム

同じ組織でありながら、特定のセクションを「ライバルだ」「迷惑をかけてくる相手だ」「役に立たない」と敵対心をもちます。

場合によっては「なんの役にも立たないうえにこちらの足を引っ張るあの部署は潰したほうがよい」「あの部署のプロジェクトは阻止しなければならない」と、ネガティブな方向へ積極的に行動を起こしてしまう場合すらあります。

このような状態になると、関わるセクションと所属する人員全員に多大な悪影響を及ぼします。仕事の進行そのものが停滞するだけでなく、人間関係が悪化し相互不信に陥ってしまうため、立て直しが不可能となり組織そのものに被害が出る場合もあります。

 


3. セクショナリズムが起こる5つの原因

セクショナリズムは何故起こり得るのでしょうか。この章ではセクショナリズムに陥る原因となるものを見ていきます。

 

3-1.「 縦割り組織」により部門間の意思疎通が困難な場合

日本の企業に多いヒエラルキー型組織は部門ごとの縦割り型組織です。この組織形態はメリットも多いものの、組織そのものが硬直化しやすくセクショナリズムに陥りやすいデメリットもあります。

例えば、上から下への命令や指示は伝わりやすいのですが、一方で部門間の横のつながりは薄く、組織の先端部に行くほどに専門性が増し、「他のセクションが何を行っているのか」否応なしにわかりづらくなっているといえます。

すなわち、「縦割り型の組織」そのものがセクショナリズムの原因となっているとも考えられます。

3-2. 部門間での異動が少ない(=ジョブローテーションが少ない)場合

上記のような縦割り型組織でなくとも、部門間での社員の異動が長期間行われないと、業務がマンネリズムに陥ります。

例えば長年同じことを行っている部署があり、さらに所属する人員がほとんど入れ替わっていない場合は「自分たちのことだけわかっていればよい」「同じことを失敗なく繰り返せばよい」「ここだけで業務は完結するので他の部署のことなどわからなくてよい」と業務進行へのモチベーションの低下や組織自体の硬直化が起こります。その結果、他のセクションとの関わりがやはり薄くなってしまいます。

組織形態に関わらず、人員や業務の入れ替え、ローテーションは定期的に行い、組織全体を俯瞰する視野の広さを個々が持てるような状態にしておくことが理想的といえます。

3-3. 社員数が増加している(=企業や組織の巨大化が起きている)場合

組織が大きくなり、所属する人数が増えるほど、互いの意思疎通が難しくなる傾向があります。そのためセクショナリズムにも陥りやすくなります。

これを防ぐには、やはり横のつながりを増やすことが必要になります。

例えば、社内での従業員同士のコミュニケーションの手段を複数用意し、情報共有だけでなく、社員同士の人となりをお互いに知り言葉を交わす機会を設けることが肝要です。近年では社内SNSなどを利用して積極的に、部署にかかわらず、お互いがどのような仕事をしているのかを知り言葉をかけ、褒めあうことでコミュニケーションをとって業務の円滑化を図ることをすすめられる方法もあります。

3-4. 権力の一極または一部集中が起きている場合

ある特定の部署、部門に権力が集中していると、自分たちは優れている、この会社を引っ張って行っているのは自分たちだという傲慢さが起こり得ます。

例えば営業部門が特に企業内で権力が強い場合、勝手に契約を増やし続け、生産部門の事情をきかずに納期に間に合わせるよう強制する事態が起きる可能性があります。生産部門は納期に間に合わせるために休日返上で業務遂行しなければならないことになり、不満が募るでしょう。

一部のセクションに過大な権力が集中するような組織構成にすることは避けるべきでしょう。

3-5. 過剰な成果主義・競争主義が浸透している場合

例えばチームや部門ごとの成果を表彰する制度がある場合、他のチームや部門に負けないために相手へ故意に情報共有しない、協力しないなどのネガティブな対応が起こる場合も考えられます。

競争や成果主義は一定の成果を出せますが、過剰にその風潮を煽ることは避けたいところです。

 


4. セクショナリズムによって起こる具体的な弊害6項目

この章では、実際にセクショナリズムに陥った組織に起こり得る、具体的な弊害について見ていきます。

 

4-1. 組織内(部門間)の対立が勃発する

同じ会社などの組織にいるにも関わらず、セクションが違うことで相手の都合や仕事内容の状況がわからず、関わった場合に連携がうまく取れないことで敵対心が起こり、最終的に部門間の対立となります。

例えば、営業部門と生産部門の意思疎通がなされていないと、営業は生産の上限を考えずに契約をとってくるのに、実際の生産は材料の不足から納期に間に合わないということが起こります。そのような状態になると「生産部門はサボタージュしている」「営業部門は現場をわかっていない」という、お互いの疑心暗鬼や不満が蔓延することになります。

4-2. 同調圧力が生じる(意見がいいづらくなる)

セクションごとの対立が起こることで、同じセクション内に同じ意見を求める空気が強まります。

例えば上記の例のように営業部門と生産部門で情報共有や意思疎通ができず敵対してしまった場合、営業部門に所属している社員は生産部門の擁護が難しい雰囲気にのまれてしまう可能性があります。全体を見渡せる第三者的な視点に立った意見や、素直に感じたことを言うことが難しくなります(=心理的安全性の低下)。

4-3. 視野狭窄になりチャレンジ意識がなくなる

セクショナリズムに陥った組織は他の部門や部署が関わる業務に興味を失います。同じことを繰り返していても自分のいる場所は安全で報酬は変わらず得られるとなると、新しいことに挑戦してリスクをとることを疎ましく思うようになります。

その結果、視野狭窄になり、組織全体の利益のために革新的なアイデアを出したりチャレンジしたりという意欲が失われ、組織の成長が滞ることになります。

4-4. 生産性の低下・経営状態の悪化

部門間の連携が出来ないことで生産性が下がり、売り上げも下がります。

また同時に、所属する社員などの仕事へのモチベーションも低下します。

始めは一部の部門だけの問題だったものが徐々に他の部門にも飛び火し、拡大することで組織全体が互いに悪影響を及ぼし、その結果、組織全体の経営状態が悪化してしまいます。

4-5. 顧客からの信用の低下

「自分には関係ない」という姿勢は顧客への対応にも現れます。

例えば、問い合わせがあった場合、「自分のところには直接の関りはないし、この問題で担当部門が困ってもこちらにはデメリットはない」と考えたとします。その結果適切な部署に取り次がず、問い合わせがあったことも担当する部門に知らせなかった場合、当然担当する部署は顧客からの評価を下げるでしょう。しかし同時に、すぐに対処しなかった最初に取り次いだ部門も含めて、組織全体の評価が下がってしまいます。そのようなことが繰り返されると、やがて悪い評価は口コミやSNSなどの情報で広がり手のつけられない痛手を受けることになりかねません。

4-6. 離職者の増加

ここまでのようなことが重なると利益率も下がり、給与にも悪影響が出るでしょう。従業員のモチベーションは下がり、離職者も出始めることで、組織全体にひずみが入ることになります。

【参考:セクショナリズムのメリット】

セクショナリズムはここまで見てきたとおり、自分たちだけの利益や権利を保持することに確執することにこだわり、排他的意識をもってしまう、組織にとって弊害が起きている状態を指します。

一方で考え方によっては、誰しも自分の所属するチームや部門には愛着をもつものです。そのため、ある程度のセクショナリズムは専門性や向上心、チームワークや士気を高める効果(メリット)もあるといえます。

しかし、あくまでも組織の中のひとつの部門・部署であるからには、全体に対しての利益を常に念頭におき、定期的に他の部門や社員たちとコミュニケーションをとることで、問題のあるセクショナリズムへと進行することを防ぐ意図を持ち続ける必要があります。

 


5. セクショナリズムをなくすための6つの方法・対策

セクショナリズムをなくす、または改善するにはどのような手だてがあるのでしょうか。この章ではその方法について見ていきます。

 

5-1. 価値観の共有と目的意識の明確化を図る

部門間の意思疎通を図り連携をとること、他の部署がどのような業務を行い、自分の部署の業務とどのように関わっているかを知ることがまず第一歩になります。

そのためには、まず第一に

「組織全体の利益が、ひいては従業員全て、そしてお客様すべてのためになる」

「最終的には社会全体への貢献を目指すことが会社としてのあり方である」

このことを徹底的に、社員全体で共有する必要があります。

ただし、理念だけでは現場を変えることができませんので、理念をもとに、組織自体をセクショナリズムに陥りにくい構造に変える必要はあります。

5-2. 縦割りではなく横割り(横断型)組織編成にする

これまで見てきたように、ヒエラルキー型組織は縦割り型組織であり、部門間、セクションごとの横のつながりは希薄になりがちでした。

ヒエラルキー型・縦割り型組織をやめるのもひとつの方法として考えられます。実際、マトリクス組織やティール組織、ホラクラシー組織など、従来のヒエラルキー型組織とは異なる組織論やその作り方、運用の仕方などは書籍や論文でも多数出ています。

ただ、組織の急激で大掛かりな改変は業務に混乱をきたし、末端に近い社員たちからは反発も招くでしょう。むしろそのことでセクショナリズムが肥大する可能性もありえます。人数の多い大企業などは特に難しい手段と言えます。

とはいえ、セクショナリズムを防ぐための最大の方策である、横のつながりや社員同士のコミュニケーションを図るためには、これまでどおりの「仕組み」のままでは解決しません。会社全体ではなく、小さな部署や部門から実験的に取り入れ、少しずつ改変する方法があります。

同時に、ほかの方法も同時進行で進めていくことが必要です。

5-3. ジョブローテーションを定期的に行う

組織そのものの改変を急激に行うのは難しい場合でも、社員の異動は比較的速やかに行えるでしょう。一定期間ごとにジョブローテーションを行い、さまざまな業務に携わってもらうことで、会社という組織全体を見る力がつけられます。

また、同じ部署にい続けることがなくなるため、偏狭な仲間意識や視野狭窄を抱くことがなくなり、セクショナリズムに陥る危険性を軽減できます。

5-4. 社員同士の距離を近づけ、コミュニケーションを図りやすくする

 連携をとるための方法は下のようないくつかが考えられます。

 

1)コミュニケーションをとるためのツールの利用など=社内SNS

社内SNSは情報共有とコミュニケーションのために今や必須となっています。いつ誰がどの対応をしたのか、という業務上の記録が残ることはもちろん、社員同士で質問しあう、業務内容について評価しあうなどに利用できます。

この場合の「評価」はどちらかというと「この人がこんなふうにがんばっている」「助けてくれた」という事実を皆の前で「感謝」することにあたります。

給与や昇給とは別の、人が人として褒められ、認められる、目に見えない価値を見える形で共有すること。このやりとりによって「顔も知らない誰かだから、自分とは関係ない」という狭い考えに陥るのを防ぐことが可能になります。

また、「今回のプロジェクトで良かったこと」「今後改善すべきこと」などテーマを決めて話し合う機会を定期的に設け、SNSや全員が見られるシステム内で全員が発言し、共有すると、さらにお互いの業務に興味を持てるようになるでしょう。

 

2)オフィスレイアウトの刷新を行う

コミュニケーションスペースを確保するなど、オープンスペースと個人スペースの配分を考えた配置にすることで、社員どうしのコミュニケーションを物理的に図りやすくします。

 

3)イベントやサークル活動を行う

会社などの組織内で、社員が気軽に交流できるイベントを行ったり、サークル活動を推進したりすることも推奨できます。

ただし社員の負担にならないように、イベントなどは頻度や規模を適切なものにする必要があります。

 

4)複数のチームに所属する体制にする

これまでのようにひとつの部門に所属するのではなく、複数の案件をチームにわけ、一人の社員がそのいくつかに同時進行で関わるようにします。

このことで一か所の専門性を突き詰めていくのではなく、社内全体のプロジェクトの進行度合いについて理解を深めることができます。

ただし、社員のタスク管理や業務量の調整は必須です。タスクオーバーにならないよう注意が必要です。

5-5. 人事評価制度の見直し

過剰な評価制度はセクショナリズムの温床になり得ます。あからさまに部門や部署ごとで競わせるばかりではなく、チーム全体、関わった部門や部署全体を評価できる正当な仕組みを作る必要があります。

5-6. ITツールを導入して情報共有の仕組みを社内全体に広げる

例えば顧客情報をあちこちの部門で別々に管理するのではなく、ITツール(CRMなど)を利用して社内で一元化することで、顧客に対する対応が今どの段階になっており担当は誰なのか、案件としてどこまで進んでいるのか、何回訪問したのか、顧客の好みや要望は何か、などがすぐに、誰にでも引き出せるようになります。システム面を強化することで業務効率化を上げるのも、セクショナリズムの浸食を防ぐひとつの方策です。

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6. まとめ

セクショナリズムとは何か、どんな弊害があるのか、どのようにセクショナリズムのない組織をつくるのかを説明しました。

セクショナリズムのない環境を維持するためには、特に以下のことに気を配る必要があります。

・部門間での人の異動を活発化する(ジョブローテーション)

・部門間での情報共有とコミュニケーションの促進(クロスコミュニケーション)

・部門間横断のプロジェクトを増やし、複数のプロジェクトに参画させる(組織のあり方の見直し)

・社員は会社の理念を理解し、自らの業務について主体的に、全体を中立的に見て考えて行動する

この記事が、読み手の皆様の組織においてセクショナリズムをなくす施策のために役立てば幸いです。

 

 

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