会社のチームワークを高める! スローガンの決め方や具体例を紹介

会社のチームワークを高める方法の一つに、スローガンの制定があります。

スローガンとは、団体の理念や目的を簡潔に言い表した標語やモットーのことです。

合言葉を決めるだけでチームワークが高まるのかと疑いたくなる人もいるかもしれませんが、スローガンは単なる標語ではありません。

この記事では、会社のチームワーク向上を目指す管理職や人事に向けて、スローガンの意義やその効果、具体例などを紹介します。

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1.なぜスローガンの設定はチームワーク向上につながるのか

企業のスローガンはコーポレートロゴとともに書いてあったり、CMの最後に流れたりする、会社を代表する言葉です。

言語的アプローチとしては宣伝を目的とするキャッチコピーなどもありますが、スローガンは在り方の主張を目的としたものであるという点で異なります。

スローガンを目にしただけでその企業が思い浮かぶ人が増えれば、会社の認知度はさらに高まったと言ってよいでしょう。

スローガンは設定すること自体が社内チームワークの向上につながりますが、社外への発信を前提とした標語である以上、対外的なプロモーションでもあるのです。

秀逸でわかりやすいスローガンの例の一つが、マクドナルドの「i’m lovin’ it」です。

CMの最後に必ず耳にするこのフレーズは、マクドナルドの商品で真っ先に思い浮かべるものがハンバーガーだとしたら、商品以外で真っ先に思い浮かべるものというポジションに収まっていると言っても過言ではありません。

「私のお気に入り」という意味のファストフードらしい身近さで、キャッチコピーとして見ても大成功を収めています。

「お気に入りの食事の場とスタイルであり続けること」を理念として、その意味をうまく内包したスローガンです。

このように、スローガンは企業の在り方を主張する点でキャッチコピーなどとは似て非なものですが、内容によっては大きな違いがない場合もあります。

では、会社方針やコーポレートメッセージをそのままスローガンとしては駄目なのでしょうか。

実はここにスローガンを設定する意義があります。

それらは会社の最終的な目的や存在意義を主張する文章という意味では同じですが、メッセージとして主張を詰め込んだ結果、大抵は長文になってしまっています。

それを標語として覚えやすくシンプルにまとめたものがスローガンなのです。

例えば、ライオンは「わが社は、『愛の精神の実践』を経営の基本とし、人々の幸福と生活の向上に寄与する」という文章を社是としています。

これをスローガンにしたものが、ロゴに並んで書かれている「今日を愛する」です。

このようにスローガンがあると、理念を見つめ直したりふとした時に思い出したりする際に、すぐに思い浮かんできます。

メンバーの士気を高い水準で維持することで、より力を合わせる意識が生まれ、会社のチームワークはさらに向上します。

理念と向き合ってスローガンを作成する過程にも、社内が一丸となる機会が生まれることでしょう。

認知しやすく口にしやすいスローガンの設定は社内の士気やチームワークの向上、さらには対外的にも目標の発信やプロモーションにつながっていくのです。

2.チームワークを高める効果的なスローガンの作り方

ステップ①「テーマを明確にする」

スローガンを作るための最初のステップは、ターゲットとテーマを明確にすることです。

最終的には社会全体に浸透するスローガンとなるのが理想ですが、最初からすべての人の共感を得るのは難しいでしょう。

顧客や取引先、従業員など、誰に焦点を当てたスローガンとするのかを定義するのが、効果的なスローガン作りの最初のポイントです。

経営理念やコーポレートメッセージなど複数のメッセージを既に発信している会社であれば、多くの場合それらに込められた一番伝えたい内容がスローガンのテーマにもなります。

ターゲットが明確であれば、何を一番に伝えたいのか、どのメッセージがその内容を表しているのかが明確になり、スローガンの方向性が定まります。

社内のチームワークを高めてメンバーが力を合わせるためのスローガンであれば、経営理念をテーマの大元とするのがよいでしょう。

ステップ②「キーワード選別」

ターゲットとテーマが決まったら、次は伝わりやすく、わかりやすく、言いやすいスローガンとなるようキーワードを選別します。

テーマを見つめ直して本質的な意味を掴んだり、更にポジティブで未来志向な言葉を探したりする作業です。

ここでポイントとなるのが、キーワードは社内のメンバーが考えるという点です。

コピーライティング的な部分はプロに任せた方がいい場合もありますが、スローガン作りの全てを外注した場合、キーワードの本質が掴めていない可能性もあります。

特にメンバーが力を合わせるためのスローガンであれば、テーマが日頃から浸透している従業員自身が考えれば、より馴染み深いものとなるでしょう。

既に大きな成果を上げている他のスローガンを参考にして、良いスローガンのイメージを膨らませながら考えるのも一つの方法です。

ステップ③「経営陣で合意をとる」

キーワードが決まったら、まずは経営陣の中で共有し、スローガンの完成形を作ります。

この際、全員がよく理解して認識を合わせること、そして決定して以降はトップが率先してスローガンを遵守する行いをすることがポイントです。

経営陣の間で異なる認識を持ってしまう場合、それは社内や外部に発表しても各所で認識の違いが発生するような悪いスローガンであると言わざるを得ません。

そのため、従業員自身で考える場合も、経営陣が自ら考えればより効果的です。

また、スローガンは設定してそれを遵守することに最も意義があります。

メンバーが力を合わせるためのスローガンであれば尚更です。スローガンを浸透させるためにも、特に経営陣は会社の象徴として、率先してスローガンを体現した言動を意識しましょう。

3.キャッチフレーズやミッション・ビジョン・バリューとはどう違う?

スローガンは理念や最終的な目的を表す、会社の存在意義という意味合いが強い標語です。

対してキャッチフレーズは、主に宣伝を目的としている点でスローガンとは異なります。

いずれも会社をポジティブに表現しているため、どちらにも当てはまる場合もありますが、キャッチフレーズは多くの場合、純粋なアピールとしての側面が色濃く出ています。

メンバーの力を合わせることでチームワークの向上を図るという目的であれば、スローガンの設定が適切です。

コンビニで例を挙げると、ファミリーマートの「あなたとコンビに」は、コンビニの経営を通じてパートナーのように人々の生活に寄り添うという理念が込められたスローガンです。

対してセブンイレブンの「セブンイレブン、いい気分」は、同業他社よりも高い満足感を提供するコンビニというアピールが込められているため、キャッチフレーズに分類されます。

ミッション・ビジョン・バリューは企業が存在するための社会的な意義や正当性を示すもので、経営学者ドラッカーが提唱しました。

それぞれ企業の社会的な使命や目的(ミッション)、社会の中での将来的なポジション(ビジョン)、価値や行動の基準(バリュー)を表しています。

スローガンを最終的な将来像を実現するためのポリシーとするなら、ミッション・ビジョン・バリューはその将来像や存在意義そのものとも言え、スローガンよりも上位の概念です。

会社の中で絶対にアウトソーシングできない機能、してはいけないものを定義したものがミッション・ビジョン・バリューなのです。

4.大きな成果を上げている有名企業のスローガン

既に大きな成果を上げている有名企業のスローガンを例に、良いスローガンとは何かを考えてみましょう。

①小林製薬「あったらいいなをカタチにする」

CMでも、新しいものを発見したような「あっ」という声が冒頭に挿入されています。

小林製薬は経営理念の中で、常に新しいものを創造および革新し、今までになかった満足を提供することが存在意義だとしています。

これを「あったらいいな」というキーワードにまとめ、誰にとってもわかりやすくしたのがこのスローガンです。

痒い所に手が届くような便利かつ親しみやすい製品を送り出す小林製薬を適切に表現して世に知らしめている名スローガンだと言えるでしょう。

②タイガー魔法瓶「食卓に、温もりの魔法を」

これはタイガー魔法瓶のビジョンである「世界中に幸せな団らんを広める」につながっています。

タイガー魔法瓶創業者は幼少期の奉公生活の中で、「母親が入れてくれた温かいお茶が飲みたい」と温もりへの憧れを抱いていましたが、当時の魔法瓶は非常に高価かつ壊れやすいものでした。

それを日用品として日本に定着させることに貢献し、温かい食卓を増やしたタイガー魔法瓶は、それを世界に拡大することをビジョンとしています。

主力製品である魔法瓶を文字通り「魔法」と表現し、それに値する価値を提供することを表明する、自社製品を上手く取り入れたスローガンの好例です。

③三井不動産「都市に豊かさと潤いを」

スローガンは対外的に発表する標語である以上、キャッチフレーズほどではないにせよ少なからずプロモーションとしての側面を持っています。

そのため、BtoC企業が顧客向けに設定する例が多いですが、これはBtoB企業が社員や就職希望者をターゲットにスローガンを設定した例です。

三井不動産は不動産ビジネスを通して、人と地球がともに豊かになる社会を目指しています。人にとっての豊かさや心の潤い、そして守るべき地球環境の豊かさや潤いを両立することを宣言しているのがこのスローガンなのです。

このように、スローガンは会社を代表する言葉として、存在意義や目的を端的ながら雄弁に主張しています。

チームワークを向上させメンバーの力を合わせる意味でも、スローガンという合言葉が皆に共有される意義はとても大きいのです。

スローガンがあれば、メンバーが指針を見失ったり勘違いをしたまま仕事をしたりすること自体を防げるため、士気の低下も防ぐことができます。

5.偉人や有名人の言葉からスローガンを考えてみよう

成功を収めた偉人や有名人の発言も、スローガン作りの参考となるものの一つです。

成功するまでの苦労や、歴史に名を残す人物だからこその価値観などは、会社の在り方にも通じます。以下に3つほど紹介していきます。

①哲学者ルソー「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」

これからの時代は経営資源の在り方やテクノロジーの革新がめまぐるしい速度で進み、事業環境や価値観がこれまでとは大きく変わっていくことが予想されています。

そのような中で企業に必要なのは、価値観をアップデートしたり新しいことに挑戦したりするための、これまでと違ったことを恐れない勇気です。

この発言には、そのようなチャレンジ精神が説かれています。

②喜劇王チャップリン「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見ればコメディだ」

この発言は、物事を多角的に見ることの重要性を説いています。

新しいものの発信は多くの企業にとっての命題ですが、それは簡単なことではありません。時代が進むにつれて人類が成し得ていないものは減り、「新しい」のハードルがどんどん上がっていくためです。

しかし、この発言のように物事を多角的に見れば、今まで気づかなかったことに可能性を見出せるかもしれません。

また、この発言には長い目で見れば悲しいこともポジティブに捉えられるという励ましの意味も含まれているため、自社の存在を盤石にするためチャレンジしている若い企業には特におすすめです。

③細菌学者 野口英世「私はこの世に何かを成すために生まれてきた」

人にもそれぞれ可能性があり、夢を抱いている人も多くいます。

しかし、人は生まれたばかりの状態では自我を持っていませんが、企業はほとんどが何らかの目的を持ち、それを実現するために作られました。

歴史の短い企業は目的を見失わないために、長い企業は初心に帰るために、ぜひ留めておきたい言葉です。

ここに例に挙げた発言はスローガンとしては成功するための意識を啓発してモチベーションを高める方向性のものですが、こうした発言はメンバーが心を一つにする意味合いが強いので、チームワークを向上して力を合わせるためには特に効果的と言えるでしょう。

6.四字熟語や英語からスローガンを考えてみよう

四字熟語や英語のフレーズなどは、ある程度の長さの言葉が教訓や知識として脈々と時代に引き継がれているという観点から見れば、スローガンの原点とも捉えられます。

以下にスローガンの例となるフレーズを3つ紹介します。

①「一味同心」

これは共通の目的を持ち、心を同じくするという意味の四字熟語で、チームワークを向上して力を合わせるために必要な思いがそのまま込められています。

他にも「一心同体」など、団結力を意味するフレーズは古くから数多く存在しています。

それだけチームで心を通わせ、力を合わせることが古くから重要であったということです。

そのままの意味ではありますが、チームワークに価値を見出すためのスローガンであれば、これがシンプルイズベストな答えと言えるでしょう。

②「切磋琢磨」

これは仲間やライバルが互いに励まし合い、高め合うという意味の四字熟語で、漢字それぞれに石などの素材を切ったり磨いたりする意味が含まれています。

この四字熟語には仲間同士で絆を深めるだけでなく、ライバルとして競いながら高め合うという意味が含まれている点が、前述の「一味同心」などとの違いです。

メンバーがともに仕事をする仲間でありライバルとして馴れ合いではなく競い合い、皆が成果を上げるようなチームワークを思い浮かべている場合は、こちらの方が良いでしょう。

③「Second thoughts are best.」

これは言語的にも面白いフレーズで、日本語では「考えすぎるということはない」という意味を持ち、「再考は最高である」という訳し方もできます。

今日ではさまざまな思考法が発案されているように、考えることは問題解決やアイデア発想の根本となる非常に重要な行為です。

人間は意識的にしろ無意識にしろ、何らかの思考をもとに行動しているため、思考の質が変わればすべての行動の質が底上げされます。

多くの思考法で共通するのが、一つの発想をより深掘りする再考です。再考の癖が身につけば、新たなひらめきを呼んだり思いつきの案からリスクを予測したりと、さまざまな場面で役立ちます。

人は昔から、四字熟語や英語のフレーズに伝わる教訓に助けられてきました。一般常識として既に知っている人も多いフレーズをスローガンとして使えば、イメージの齟齬が起こりにくく、馴染みやすいというメリットもあります。

これらフレーズは覚えやすい字の構成を取り入れたり韻を踏んだりしているため、内容だけでなく構造面でもスローガン作りの参考として役立つでしょう。

7.スローガンで会社のチームワークを高めよう

会社の在り方や理念を表す標語であるスローガンは、対外的に会社の認知度を高めるだけでなく、社内の合言葉としてチームワークを高める効果を持っています。

経営理念などを落とし込んでテーマを設定しつつ、ポジティブで伝わりやすい言葉を使ってスローガンを設定しましょう。

考えるのが難しい場合は、有名企業のスローガンや偉人の言葉、四字熟語などの研究が心を掴むスローガン作りに役立ちます。