
「テレワークってどんな働き方を言うの?」
「テレワークを導入すると、どんな効果があるの?」
政府が働き方改革の推進をスタートしてから、テレワークの導入する企業、導入を検討する企業が増えています。
しかし、なんとなく雰囲気で導入しても目に見える効果を出すことはできません。
そこで、この記事では、テレワークについての基本情報から、
- テレワーク推進の背景や意義
- テレワークの種類
などをご紹介します。さらに
- テレワークの7つの効果
- テレワーク導入に必要な3つの検討事項
- テレワーク導入後に発生しやすい3つの問題
- テレワーク導入を成功させるための4つの問題解決策
までくわしく解説します。
この記事を読んで、本格的にテレワーク導入を推進しましょう。
1.テレワークとは
テレワークとは、会社に出勤して定められた時間に仕事をするのではなく、パソコンやインターネットなど情報通信技術を活用して、働く場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
1-1.テレワーク推進の背景や意義
テレワークが推進された背景には、様々な要因があります。特に日本国内では以下のような問題がテレワーク推進の背景にあります。
①通勤による交通渋滞や大気汚染などの都市問題
②少子化、高齢化などの社会問題
③パンデミックの問題(インフルエンザ等の爆発的流行による職場の長期閉鎖など)
④地震や台風などによる大規模災害時の労働力確保の問題
上記の問題もテレワーク導入によって解決できる可能性が高くなります
①在宅勤務者が増えることによって交通機関利用者の減少が見込まれる
②在宅時間が増えることにより子育てや介護の時間を増やすことができる
③④場所や時間に縛られない働き方により、操業時間減少を食い止める
さらには、地域活性化への効果、(サテライトオフィスの活用や地方への移住者増加等)や経営者側には経費削減効果(通勤労働者の減少によるオフィスの縮小)などもあります。
1-2.テレワークの種類
テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス利用など)の3つに分けられます。
・在宅勤務
自宅内で業務を行う。会社との連絡方法はパソコンとインターネット、メール、チャット、電話、ファクス等。
・モバイルワーク
ノートパソコン・タブレット型PC・スマートフォン・携帯電話を使い、wi-fiを完備したカフェなどを利用して場所・時間にとらわれずに業務を行う。「ノマドワーカー」という呼び方もある。
・施設利用型テレワーク
スポットオフィスやレンタルオフィスなど、勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用して業務を行う。
サテライトオフィスの場所は、どこでもよく、都市部の企業は郊外にサテライトを、地方企業は都心部にサテライトオフィスを置くことが多いようです。
1-3.テレワークに適している人
テレワークに適している人は以下のようになります。
①恒常的または一時的に通勤が困難な人
妊娠・育児・介護などの理由のほか、身体障害がある、ケガや病気など、恒常的または一時的に通勤が困難な人。テレワークの種類としては、常時在宅勤務が望ましいとされています。
②管理部門、研究・開発部門の人
企画・総務・人事・経理など。業務内容によって、部分在宅勤務(週に数日在宅勤務)、出張時のモバイルワークに適しています。
職種により異なりますが、たとえば、経理業務の場合、年度末等の繁忙期には出社し、閑散期には在宅勤務とするなど、業務量によって期間限定のテレワークができるでしょう。
③顧客対応業務の人
営業やSE、サポートサービスなどのモバイルワークが主体の業務従事者。部分在宅勤務も適しています。
自宅から直接顧客先やサポート企業へ向かい、必要な書類はネット環境の整えられたサテライトオフィス等で作成すればよく、業務報告書等はネット経由で提出すれば出社の必要はありません。
毎日出社しなくても決められた日に出社して定期的に社内業務をこなす部分在宅勤務もいいでしょう。
2.テレワークの7つの効果
ここでは、テレワークの7つの効果についてご紹介します。
1.雇用の創出
2.ワーク・ライフ・バランスの実現
3.生産性の向上
4.優秀な社員の流出を防ぐ
5.オフィスのコスト削減
6.環境に与える負荷の軽減
7.災害発生等、緊急時の事業継続
2-1.雇用の創出
身体的な障害や疾患等により通勤することは無理だが自宅でなら働けるという人、
子育てや介護等でフルタイム勤務は無理だが空いた時間に仕事ができるという人など、
これまでは雇用することが難しかった条件の方であってもテレワーク業務であれば、採用することが可能になります。一度退職した高齢者や遠方居住者などの新規雇用の創出にも繋がります。
2-2.ワーク・ライフ・バランスの実現
朝と夕方の通勤に使う時間を削減して、自宅での業務が可能になれば、家族と過ごす時間を増やすことができ、仕事と生活の調和が図れるようになるため、 自己啓発などに時間を使うこともできるようになります。
2-3.生産性の向上
2-2.とも関連してきますが、ワーク・ライフ・バランスの実現によって、生産性の向上という効果があります。テレワーク導入によって、仕事と家庭生活のバランスがうまく取れるようになり、さらにプライベートの充実ももたらされるために、業務にも好影響を与えるからです。
研究・開発職や営業職などの場合は、計画的、集中的な作業実施による業務効率の向上という効果もあります。
2-4.優秀な社員の流出を防ぐ
働きやすい環境の実現により、育児期・介護期等を理由とした離職の防止策になります。
テレワーク導入によって、優秀な社員の流出を防ぐことができるので継続雇用が可能になります。
2-5.オフィスのコスト削減
オフィススペースの縮小等が可能になり、オフィスの賃貸料、電力等のオフィス運営コストをはじめ、ペーパーコストの削減、 通勤・交通費コストの削減ができます。
2-6.環境に与える負荷の軽減
職場環境だけでなく、社会環境へ与える負荷も軽減できます。通勤減少とオフィスの省力化による、電力消費(量)、CO2排出量の削減等が可能になります。
2-7.災害発生等、緊急時の事業継続
1ヶ所のオフィスのみに業務機能と従業員を集中させないことで、地震・台風などの大規模災害が発生した場合のリスク分散ができます。インフルエンザ等感染症の爆発的な流行など、パンデミック時にも重要業務を中断させない「BCP(事業継続計画)対策」としてテレワークは有効です。
3.テレワーク導入に必要な3つの検討事項
テレワーク導入にあたっては、
- 労務管理方法
- 情報通信システム・機器の見直し
- テレワーカーの働く環境
の3つの側面についてしっかりと検討するようにしましょう。
3-1.労務管理方法の見直し
テレワークを初めて導入する場合には、勤怠管理方法を再確認し、就業規則にテレワーク勤務に関する規定を盛り込むようにしてください。
テレワーカーの勤怠管理方法にはタイムカードのような「出勤・退勤」を打刻するようなものは使えませんので、
メールや電話による報告や、チャットツールへのアクセス時刻を出勤時刻と定める等の施策、勤怠管理アプリやパソコンに稼働時間を記録するツールを導入する等を行なってください。
週に1、2日程度の在宅勤務の場合は、評価制度を大きく変える必要はありませんが、フルタイムの在宅勤務の場合は検討が必要になります。
テレワーカーの人事評価に関しては、オフィスワーカーとの公平性を保つことが重要なポイントとなります。
3-2.情報通信システム・機器の見直し
情報通信システム・機器については、情報セキュリティに配慮したシステムの導入が必要です。社外でIT機器などを利用するテレワークでは、不正アクセスやIT機器の紛失による情報漏洩リスクなどのセキュリティリスクが発生しやすくなるからです。
テレワークの導入効果を最大化させるためには、ICT(情報通信技術)環境の整備が不可欠です。
端末管理の徹底
端末の紛失や、ウイルスによる情報漏洩のリスク対策を徹底しましょう。盗難・紛失時など緊急事態にはリモートロックやワイプ機能が利用できる端末を導入したり、ウイルス対策ソフトウェアの設定などをしっかりと行います。
ファイヤーウォールの導入
社外からの不正アクセス対策に、ファイヤーウォールの導入が効果的です。社内ネットワークと外部との境界を設定し、不正アクセスを防ぎます。また、IPS(侵入防止システム)、IDS(侵入検知システム)を導入することで、不正アクセスの侵入検知や排除ができます。
3-3.テレワーカーの働く環境を整える
テレワーカーの環境についても、しっかりと管理する必要があります。テレワーカーの健康に配慮した環境になっているか、情報セキュリティがしっかりと守られる環境かどうかを確認するようにしてください。
健康面の管理については、働く場所が自宅の場合、パソコン等のディスプレイを長時間見続ける作業が多いので、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン−厚生労働省」等を参照してください。定期的に健康診断を行い、健康相談窓口などの利用促進も行いましょう。
テレワークを行う社員を対象とした情報セキュリティやトラブル発生時の対応に関する研修等を定期的に行うことも検討しましょう。
4.テレワーク導入後に発生しやすい3つの問題
テレワーク導入後に発生しやすい問題についても知っておくようにしましょう。
- コミュニケーションが希薄になる
- 勤務時間を正確に把握するのが難しい
- 仕事における評価がしづらい
特に、コミュニケーションが少なくなってしまう問題は、それ以外の問題にも結びついている問題なので、些細な問題と捉えず、この後の章でご紹介する解決策でしっかりと対策をしましょう。
4-1.コミュニケーションが希薄になる
テレワーク導入にあたり、最大の問題になりやすいのが社員同士のコミュニケーションが少なくなってしまうということです。
日本の企業は、数人で協力しあいながらひとつの業務をこなしていくことが多いため、社内勤務の社員とテレワークを行う社員で、お互いに顔を合わせて会話をする機会が減ってしまうと、双方が不安感を持ってしまうことになります。
さらにテレワークをする社員は、基本的に単独で働くことになるので、業務時間中に会話をしたり相談できるスタッフが周囲にいない状況になるため、孤独感を感じてしまうこともあります。
4-2.勤務時間を正確に把握するのが難しい
テレワーカーは出勤するという手間がないぶん、業務をスタートする時間や終了する時間はある程度柔軟にすることができます。その反面、時間にルーズになる可能性が高くなり、会社側からは就労の実態を把握しづらいというデメリットが生じます。
もうひとつの問題は、テレワーカーは勤怠管理を行う人がいない場所で働くことによって、オンとオフの切り替えが難しくなるということです。長時間労働に陥ったり、深夜の労働やサービス残業等をしてしまうリスクが発生します。
4-3.仕事における評価がしづらい
いつでも社内で顔を合わせることができ、情報共有やコミュニケーションもスムーズにできる場合とは異なり、上司が自分の目が届かない場所で働くテレワーカーの部下をうまくマネジメントできないというケースもありえます。
逆にテレワーカーの側からしても、上司から指示を受けたり、判断を仰ぐことが難しくなり、業務の進行が滞ってしまうという恐れもあります。
これに伴って、上司がテレワーカーとして働く部下を過小評価(逆に過大評価)してしまったり、部下のほうも適切に人事評価してもらえているのか、と不安になる場合もあります。
5.テレワーク導入を成功させるための4つの問題解決策
テレワーク導入を成功させるための4つの問題解決の方法をご紹介します。
- 導入前に環境整備・セキュリティ対策等をしっかりと行う
- コミュニケーションツールを導入しテレワーカーの出社日を設定する
- 勤務時間を報告するシステムやツールを利用する
- プロセスと成果に対する適正な評価制度を作成する
特に、セキュリティ対策を万全に整えておくことは非常に重要です。モバイルツール等の紛失や盗難は万が一起こった場合に会社に与えるダメージは甚大になります。しっかりと対策を行うようにしてください。
くわしくは、こちらの記事をお読みください。
テレワーク導入前に知っておきたいデメリットと解消するための対策
5-1.導入前に環境整備・セキュリティ対策等をしっかりと行う
テレワーク導入により社外で業務を行う社員が増えるので、情報管理セキュリティ面での対策強化は必須になります。
特に、モバイルツール等で業務を行うことが多い職種の場合は、社外に情報を持ち出して移動するため、情報漏洩のリスクが高くなってしまいます。端末の管理を徹底し、盗難や紛失時のトラブル対策を万全に整えておくようにしましょう。
自宅でのみ業務を行う職種であっても、第三者への情報漏洩のリスクは必ずあります。ウイルスソフトの導入はもちろんですが、社外で使用中のPCや端末内を定期的に検査・チェックするようなツールの導入も検討してください。
トラブル防止のためにも、テレワーカーへのセキュリティ教育を定期的に行うようにしましょう。
5-2.コミュニケーションツールを導入し、テレワーカーの出社日を設定する
離れた場所でのコミュニケーションをスムーズに行うために、テレビ会議やweb会議システム、チャットツールなど、対話をサポートできるシステムを導入しましょう。
その際、通常の業務が滞りなく行える環境を整えるのはもちろんのこと、「離れて働く従業員同士を心理的にどうつなぐか」も非常に重要になってきます。
共に働く仲間同士のつながりの希薄化は、組織としての一体感や、生産性低下を招きます。
業務のやりとりとは別に、従業員同士が心理的につながるミュニケーションを生み出す必要があるのです。
そうした課題に対し、テレワーク導入企業で注目を集めているのが「ピアボーナスⓇ」です。
ピアボーナスとは、従業員同士が互いの日々の仕事に対して、感謝・称賛のメッセージとともに少額の成果給を送り合える仕組みです。
例えば日本の代表的なピアボーナスサービス「Unipos(ユニポス)」では、従業員同士送り合ったピアボーナスが、全社員が見られるタイムラインで共有されるので、離れていても共に働く仲間がどんな貢献をしているのか、リアルタイムに知ることができるのです。
Uniposを行き交う互う無数の「感謝・称賛のメッセージ」を目にしたり、自身でもピアボーナスを送ったり送られたりすることで、
自然と互いを知り、認め合い、信頼関係が生まれていきます。
離れて働く従業員同士の心をつなぐコミュニケーションツールとして、ピアボーナスは一つ有効な手段と言えるでしょう。
また、社員間で安心して信頼感を持ちつつ働くことができるよう、テレワーカーにも定期的に出社してもらうように促し、出社日を設定して社内勤務者と直接顔を合わせて行うミーティングにも参加してもらうようにしましょう。
5-3.勤務時間を報告するシステムやツールを利用する
テレワーク勤務者の労働時間を正しく把握するために、勤怠管理のツールを導入しましょう。
電話で勤怠を直接報告するアナログな方式だけでなく、スマートフォン・モバイル端末で入力できる勤怠管理ツールやアプリ、パソコンの操作ログによって勤怠を記録するシステムの導入等を検討することをおすすめします。
たとえば、パソコンの使用状況を記録できる操作ログを導入すれば、勤怠状況がはっきりと可視化されるので、サービス残業や深夜労働等を防止することができます。
5-4.プロセスと成果に対する適正な評価制度を作成する
目視で業務のプロセスを確認しにくいテレワーカーの業務評価については、過小評価・過大評価を避けるためにも、成果と共にプロセスも適正に評価するバランスの取れた制度を作成するようにしましょう。
業務にかかる時間や難易度を管理職がきちんと把握し、労働時間の長さだけを評価しないように、業務の中間報告や業務終了後に成果報告をさせたりする仕組みを取り入れてください。
テレワークの効果を最大限に発揮させるには、テレワーカーの抱える不安や疑問に耳を傾けるようにして、企業と従業員の双方で納得できる人事評価制度や報酬制度を構築することが非常に重要です。
6.まとめ
テレワークとは、会社に出勤して定められた時間に仕事をするのではなく、パソコンやインターネットなど情報通信技術を活用して、働く場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
少子高齢化の時代に入り、ますます働き方に柔軟性と多様性が求められるようになったため、テレワークは国や政財界からも大きな期待が持たれています。
ここで、テレワークの7つの効果を復習しておきましょう。
- 雇用の創出
- ワーク・ライフ・バランスの実現
- 生産性の向上
- 優秀な社員の流出を防ぐ
- オフィスのコスト削減
- 環境に与える負荷の軽減
- 災害発生等、緊急時の事業継続
会社のコスト削減だけでなく、エコロジーの観点からも環境に負荷をかけないテレワークは期待されています。
ぜひ導入の検討をスタートしてください。