テレワークのコミュニケーション|在宅勤務の課題や改善方法を説明

テレワークをするにあたって、コミュニケーションは重要な要素です。コミュニケーションに問題を抱えることで、生産性低下や社員のストレス増につながることがあります。コミュニケーションが重要な理由や、円滑なコミュニケーションを実現する具体策を紹介します。

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テレワークでコミュニケーションが重要な理由

テレワークで実施する仕事は、基本的にはパソコンを使って1人でできるものです。しかし、業務内容によっては、上司や同僚とコミュニケーションを取り、適切に進めていくことが求められます。電話やチャットサービスなどを使い、話し合う部分は話し合って業務を進めていきましょう。

また、業務自体は1人でできる場合でも、適度にコミュニケーションを取ることは重要です。コミュニケーションが重要な理由としては、次のポイントが挙げられます。

  • 心理的安全性が高まるから
  • 生産性に影響を及ぼすから
  • 社員のストレス解消にもつながるから

それぞれの理由について見ていきましょう。

心理的安全性が高まるから

心理的安全性とは、組織のなかで臆することなく自分の意見を述べられることです。心理的安全性のある職場では、社員は組織のなかで拒絶される・罰せられる・無視されるというようなことがなく、常に率直な気持ちを伝えられます。

コミュニケーションが不足することで、組織に対して心理的安全性を持てなくなると、不安が高まり、意見を述べられなくなってしまうかもしれません。とりわけテレワークでは自分1人しかいないため、「わたしは会社に受け入れられているのだろうか」と不安を抱えてしまいがちです。

心理的安全性を高め、会社に対して居心地の良さを感じるためにも、普段から適切にコミュニケーションを取ることが重要といえます。

生産性に影響を及ぼすから

心理的安全性が高まると、「会社から受け入れられている」というポジティブな気持ちを持って業務に取り組めるようになります。「仕事をしても受け入れられないかもしれない」「他の社員や上司に悪く思われているかもしれない」といった悩みを持つ必要がないため、仕事に集中しやすくなるでしょう。

また、集中して業務をすることで、生産性も高まります。テレワークにより業務効率の低下を生まないためにも、適度なコミュニケーションが必要なのです。

社員のストレス解消にもつながるから

オフィスで仕事をするときは、社員同士で声を掛け合って休憩を取ったり、デスクから少し離れた休憩室に行ったりすることで、適度にリフレッシュできます。また、適度なリフレッシュがストレス解消になり、低下してきた集中力を回復させるかもしれません。

しかし、テレワークでは休憩を取るタイミングがつかめず、つい長時間連続して働くことがあります。ストレスと疲労が溜まり、作業効率が低下することもあるため、1人で業務をするときであっても適度に休憩を取ることが必要です。

適度なコミュニケーションは、社員のストレス軽減に役立つことがあります。雑談をすることでリフレッシュできたり、前向きな気持ちになったりすることも多いでしょう。

ただし、コミュニケーションの頻度によっては、業務を妨げるばかりか、ストレスの原因になることもあります。適度なコミュニケーションを模索し、テレワークに携わる社員が心地よく働けるようにサポートしましょう。

適度なコミュニケーションには、社員同士の良い行動を見える化することも役立ちます。Uniposでは、社内で用いるチャットアプリに表彰制度を組み合わせ、お互いが良い行動を褒め合えるサービスを提供しています。お気軽にお問い合わせください。

今後もテレワーク・在宅勤務は増える可能性があるから

人々の価値観は多様化し、また、多様化が受け入れられる世の中へと変化しています。従来のように「テレワークをしなくてはいけない」「出社しなくてはいけない」といった行動を決めつける考え方ではなく、将来的には、個人の都合や好みによって働き方を選択できるようになるでしょう。

そのようななか、テレワークで働く社員とのコミュニケーションについて改めて考えることは必要なことです。すべての社員にとって働きやすい環境を構築するためにも、会社ごとに適切なコミュニケーションの方法や頻度を模索していきましょう。

多様な働き方の実現

社員の働きやすさの向上のためにも、社員各自の業務の内容やライフスタイルに合わせて、働き方を選べる企業も増えていると考えられています。今後はより一層、「基本はテレワーク、週に1、2回は出社」「午前は出社、午後は営業と自宅業務」などのさまざまな働き方を実現できるようになるでしょう。

また、会社側が多様な働き方を受け入れることで、働きたくても働けない層も働きやすくなります。家事や育児、家族の介護とも両立しやすくなり、人材確保にもつながります。

国もテレワークの普及を推進

厚生労働省では、テレワーク普及のための促進事業に取り組んでいます。たとえば次のような事業を実施することで、企業側のテレワークの導入をサポートしています。

  • テレワーク導入の手引書の作成・提供
  • テレワーク導入のための専用窓口の運用
  • テレワーク導入後の労務管理ガイドラインの策定
  • テレワークを実施している中小企業向けの助成金事業
  • テレワーク導入企業を対象とした表彰

将来的にも、テレワークに取り組む企業は増える可能性があります。テレワーク実施後のコミュニケーションについて具体的に対策を実施することで、コミュニケーションの不足や過剰を原因とする諸問題を回避できるでしょう。

参考:厚生労働省「テレワーク普及促進関連事業」

テレワークで使用できるコミュニケーション方法

オフィスで働く場合は、特に意識しなくてもコミュニケーションを取ることは可能です。しかし、テレワークでは、意識しないとコミュニケーションがおろそかになる傾向にあります。テレワークを実施するときは、事前にコミュニケーションの方法についても決めておきましょう。

主な方法としては次のものが挙げられます。

  • eメール、電話
  • チャットサービス
  • オンライン会議サービス
  • バーチャルオフィス

それぞれの方法の特徴やメリット、またデメリットについて紹介します。

eメール、電話

テレワークに向けた新しいコミュニケーション方法を導入すると、うまく馴染まず、結局は利用しないことにもなりかねません。まずは従来のコミュニケーション方法を使って、テレワークをしている社員と連絡を取り合うようにしましょう。

eメールや電話は、使い慣れている方も多いコミュニケーション方法です。多くの方がすでに使いこなしているため、利用方法についてガイダンスする必要はないでしょう。

ただしeメールはすぐに見ない可能性があるため、緊急の用事には向きません。また、送信の手間がチャットよりもかかり、1日に何十回もやり取りすることは現実的ではないでしょう。

電話は、相手の都合を考慮しなくてはいけないなどのデメリットがあります。どうしても電話で話す必要がある場合に限り、事前にチャットなどで時間を決めてから利用することがおすすめです。

チャットサービス

チャットはeメールとは異なり、開封する作業がないため、ダイレクトにやり取りできるコミュニケーション方法です。個人的に連絡を取れるだけでなく、グループ用のチャンネルを設けておけば、複数人で雑談できます。

また、返信が簡単なこと、「ありがとう」や「了解しました」などをワンクリックで表現できるリアクションョンボタンがあることなども、チャットサービスのメリットです。テレワークでは一般的なコミュニケーション方法のため、使いやすいサービスを厳選して導入しておきましょう。

ただし、チャットは気軽に連絡できるため、過剰なコミュニケーションに発展する可能性があります。チャットでの返信に追われ、本来の業務が進まないといったことにもなりかねません。各自が節度を守り、雑談用のスペースを除き、必要なコミュニケーションのみを取るように心がけましょう。

オンライン会議サービス

オンライン会議サービスとは、Zoomなどに代表される複数人が同時にコミュニケーションを取れるサービスです。顔を見ながら話せるため、言葉だけでは伝わりにくい感情も伝えられ、実際に集まるのと同じ感覚で会議ができます。

また、文字を打たなくてもよいのもオンライン会議サービスのメリットです。パソコンに慣れている方であっても、話すほうが文章を打つよりも速く言いたいことを伝えられるでしょう。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、仮想空間上につくったオフィスのことです。一般的なオフィスと同じく会議室やデスクがあり、社員はアバターなどで疑似的に出勤します。

バーチャルオフィスの導入は、社員たちが今、何をしているのかを可視化できる点がメリットです。声をかけて良い状況なのか、業務が立て込んでいるのかなども一目でわかるようになり、「声をかけたら迷惑にならないだろうか?」と逡巡せずに、雑談や相談が可能になります。

サービスごとに異なりますが、次の機能を利用できることもあります。

  • 社員のスケジュール管理
  • アバターを使った個別のコミュニケーション
  • アバターを使った複数人での会議
  • 勤怠管理、生産管理

テレワークで見られるコミュニケーションの課題

テレワークを実施する際、次のようなコミュニケーション上の問題を抱えることがあります。

  • 連絡を取るタイミングがつかみづらい
  • 雑談を終えるタイミングもつかみづらい
  • コミュニケーションがストレスになることがある

それぞれの問題について見ていきましょう。

連絡を取るタイミングがつかみづらい

リアルなオフィスで働いている場合は、同僚や上司が忙しそうかどうか簡単に見分けられます。手の空いていそうな同僚に声をかけてお茶を飲んだり、仕事の区切りがついた上司に作成した資料をチェックしてもらったりと、コミュニケーションのタイミングを的確につかむことが可能です。

しかし、テレワークでは相手が見えているわけではないため、忙しいかどうかがわかりにくいという問題を抱えます。緊急の用事があっても「もしかしたら忙しいかもしれない」と相手に伝えないままにしてしまい、かえってトラブルを招くかもしれません。

雑談を終えるタイミングもつかみづらい

リフレッシュしたいときや仕事が思うように進まないときなどには、ちょっとした雑談が役立ちます。雑談用のチャットのチャンネルや、バーチャルオフィスの雑談ルーム、場合によってはオンライン会議サービスなども使って、適度に雑談することは有意義といえるでしょう。

しかし、雑談を終えるタイミングがつかみづらく、いつまでも雑談してしまうケースもあるかもしれません。話し込んで時間を忘れるケースもありますが、相手の話を遮れなくて雑談時間が延びることもあります。

リアルなオフィスでは、あまりにも長く雑談をしていると人目も気になるため、「そろそろ仕事に戻りましょうか」という一言でいつでも雑談を切り上げられます。一方、テレワークの雑談は、人目が気になりにくいバーチャルな場所でおこなわれるため、つい長引いてしまい、業務に支障が生じることもあります。

コミュニケーションがストレスになることがある

適度なコミュニケーションは、業務を円滑に進めるだけでなく、リフレッシュによって生産性を高めることもあるため必要なことです。しかし、コミュニケーションの頻度が多いと、ストレスに感じ、かえって生産性が低下することもあります。

たとえば、業務連絡をあまりにも何度も上司が送ってくる場合、返信するだけで手間がかかり、業務が遅れてしまうかもしれません。また、あまりにも連絡が多すぎて、行動を監視されているように感じ、ストレスの原因になることもあります。

テレワークのコミュニケーション課題を解決する方法

テレワークにおいてコミュニケーションは重要ですが、過剰になると生産性を低下させるだけでなく、社員のストレス因になることがあります。また、コミュニケーションを取る・やめるタイミングをわかりやすくすることでも、社員同士のコミュニケーショントラブルを回避しやすくなるでしょう。

テレワークで発生するコミュニケーション関連の課題を解決する方法として、次の3つを検討できます。

  • コミュニケーションツールを導入する
  • コミュニケーションルールを決める
  • コミュニケーション専用の時間・機会を定める

それぞれの方法を具体的に説明します。また、各方法で解決できる問題についても見ていきましょう。

コミュニケーションツールを導入する

まずはコミュニケーションのツールが必要です。電話やeメールなどの従来式のコミュニケーション方法では、気軽なコミュニケーションを実現できません。リアルなオフィスで同僚・上司に声をかけるような気軽さで、利用できるコミュニケーションツールを導入しておきましょう。

個人・複数での対話が可能なチャットサービスや、顔を見て話せるオンライン会議サービス、雑談専用のオンライン雑談ルームなどを必要に応じて導入します。サービスごとに使い方が異なるため、使いやすいものを選ぶことが大切です。また、リマインド機能やスケジュール機能などの機能にも注目すると、より社員が利用しやすいツールを選定できるでしょう。

コミュニケーションルールを決める

コミュニケーションのルールを決めることも大切です。たとえばコミュニケーションのタイミングや時間などもルール化しておくと、「今、話しかけて良いのだろうか?」と悩まずにコミュニケーションを取れるようになります。

たとえば次のようなルールを事前に決めておくなら、コミュニケーションが取りやすくなるだけでなく、過剰なコミュニケーションの頻度も回避できるでしょう。

  • 業務連絡は9~10時、13~14時のみ。それ以外の時間帯は緊急連絡以外はしない
  • 雑談は15分を目処にする。長引くときは、かならず相手の都合を尋ねる
  • 複数人が使用するチャットルームで返信遅れ・見落としがあっても、極力追及しない
  • 個人間のやり取り用のチャットルームは、緊急性の高いものやプライバシーかかわるトピックで用いる
  • 複数人でのやり取りが必要なときは、雑談ルームやチャットルームではなくオンライン会議サービスを使う

コミュニケーション専用の時間・機会を定める

1日に1回、あるいは不定期に、コミュニケーション専用の時間を設けることも大切なポイントです。

たとえばテレワークでは始業時間が不明瞭になることがあるため、つい時間管理がいい加減になってしまうことがあります。オンとオフをしっかりと区分けするためにも、オンライン会議サービスによる朝礼なども実施してみましょう。また、部署内での会議は昼過ぎ~夕方に実施し、終礼代わりにすることもできます。

部下やチーム内のメンバーと1対1の面談をすることも大切なポイントです。大勢のいる場所で発言することが苦手な社員は、つい自分の感情を後回しにしてしまい、悩みやストレスなどを溜め込んでしまうかもしれません。月に1度程度は面談の機会を設け、コミュニケーションを取るようにしておきましょう。

テレワーク下のコミュニケーションの事例紹介

テレワークのコミュニケーション方法として、次のものも実施できます。

  • オンラインランチ会
  • デジタル社内報の発行
  • 雑談チャンネルの設置
  • ピアボーナス制度の導入

具体的な事例を挙げて紹介します。

オンラインランチ会

雑談をするタイミングがつかみづらいときは、オンラインランチ会を導入してみてはいかがでしょうか。一緒に食事をしながら雑談すれば、オフィスのランチタイムと同じく気軽なコミュニケーションを取りやすくなります。

ある企業では、月に3回程度、オンラインランチ会を実施し、参加者には飲食代を供給するようにしました。また、終業後の時間を活用して、オンライン飲み会も開催しています。強制はしないでメリット(飲食代)を提供することで、自発的なコミュニケーションを楽しめるようになったようです。

デジタル社内報の発行

社内報をデジタル化する企業もあります。

テレワークでは、会社の事業や個人の動向がわかりにくくなるため、定期的に社内報を発行することは必要です。また、社内報を見ることで企業の一員としての自覚も持ちやすくなり、エンゲージメントを高める効果も期待できます。

雑談チャンネルの設置

チャットサービスやオンライン会議サービス内に雑談専用チャンネルを設置し、気軽に話せる状況をつくるのもひとつの方法です。チャンネル内に入らなくても内部のメンバーが誰かわかるようにしておけば、話したい相手と雑談しやすくなります。

ピアボーナス制度の導入

ピアボーナス制度を導入している企業も少なくありません。ピアボーナス制度とは、してもらって嬉しかったことなどを褒め、感謝の気持ちをおくるシステムのことで、社員間のかかわりを良好化かつ活性化できます。

Uniposでは、従業員間で感謝の気持ちを贈り合うピアボーナス制度の導入をサポートしています。ぜひお気軽にUniposにご相談ください。

テレワークで実施できるコミュニケーションの工夫

適切にコミュニケーションを取れる環境を構築するためにも、次の3つの工夫を実施できます。

  • 社員のスケジュールを可視化する
  • 確認しやすいチャットサービスを導入する
  • 業務連絡をこまめにおこなう

それぞれの工夫によって得られる効果もあわせて紹介します。

社員のスケジュールを可視化する

社員のスケジュールを可視化することで、コミュニケーションを取るタイミングや切り上げるタイミングがわかりやすくなります。たとえばエクセルシートなどでスケジュールを各社員が書き込み、業務が忙しいタイミング・比較的手が空いているタイミングを表記しておくのも一つの方法です。

また、チャットサービスの名前の欄に、忙しい時間帯・日などを記載しておくこともできます。あまりにも詳細なスケジュールを共有する必要はありませんが、相手が何をしているのかわかる程度にはしておきましょう。

確認しやすいチャットサービスを導入する

チャットサービスには、それぞれ特徴があります。とにかく導入すればよいというものではないため、使い勝手や機能などを調べてから選定しましょう。次のポイントに注目すると、自社にあうチャットサービスを見つけやすくなります。

  • メッセージを確認する方法
  • メッセージをアラートする方法
  • 確認漏れをアラートする方法
  • スマートフォンなどのほかのデバイスと共有できること

業務報告をこまめにおこなう

こまめな業務報告を各自が意識すれば、より気軽にコミュニケーションを取れるようになります。

顔が見えない状態でのコミュニケーションは、ややもすると「相手の時間を無駄にしてしまわないだろうか」と億劫になることがあります。コミュニケーションに対する心理的なハードルを越えるためにも、気軽に連絡を取り合う土壌をつくっておきましょう。

ただし、過剰な連絡は業務に支障を与えます。また、コミュニケーションをストレスに感じる社員もいるため、事前にコミュニケーションに対する認識のアンケートを取り、どのような頻度や方法での連絡を望んでいるのか確認しておくこともできるでしょう。

コミュニケーション対策でテレワークの生産性を向上しよう

会社とは、多くの社員が協力して経済活動をおこなう場です。個人の能力に依存する業務が多い会社であっても、社員間のコミュニケーションは欠かせない要素です。

テレワークを導入することで、コミュニケーションが希薄になってしまうことがあります。今一度、コミュニケーションの大切さを見直し、過剰にならない程度に、適切に社員同士が関われるような仕組みを構築していきましょう。