サンクスカードが続かない?運用を立て直す改善策と企業の成功事例

サンクスカードを導入したものの、気づけば誰も書かなくなっていた——そんな経験を持つ企業は少なくありません。制度そのものに問題があるわけではなく、多くの場合、運用設計のどこかにボトルネックが潜んでいます。本記事では、サンクスカードの運用でよくある「壁」を整理したうえで、形骸化を打破する具体的な改善策と、実際に運用を軌道に乗せた企業事例を紹介します。 サンクスカードの基本的な目的やメリット、制度の作り方については「サンクスカードとは?導入の目的・失敗しない制度の作り方・企業事例を解説」をご覧ください。本記事は、すでに導入済み、あるいはこれから導入する際に「続かないリスク」を避けたい方に向けた内容です。
「送り合うサンクスカード」+「少額インセンティブ」

サンクスカードの運用でぶつかる5つの壁

サンクスカードが続かない原因は、「導入直後の失速」「参加率の偏り」「内容のマンネリ化」「運用負荷の集中」「経営層の関心低下」の5つに集約されます。自社がどの壁に直面しているかを見極めることが改善の第一歩です。

導入直後の盛り上がりが数ヶ月で消える

最も多いパターンがこれです。導入時は「新しい取り組み」として注目が集まり、最初の1〜2週間は投稿が活発になります。しかし新鮮さが薄れると投稿数は徐々に減り、気づけば月に数枚しかやりとりされない状態に落ち着いてしまう。 原因は「導入して終わり」になっていることにあります。サンクスカードは一度告知すれば自走する仕組みではありません。定着するまでにはある程度の助走期間が必要で、その間に利用を促す仕掛けを継続的に打つ必要があります。

送る人が固定され、参加率に偏りが出る

「いつも同じ3人が送り合っている」「管理部門は活発だが営業部門はゼロ」——部署やチームによって参加率に大きな差が出るのも典型的な課題です。 偏りが生まれる背景には、職種ごとのコミュニケーション特性の違いがあります。デスクワーク中心の部署は業務中にカードを書く時間を確保しやすい一方、外回りの営業やシフト制の現場スタッフにとっては、カードを書く「タイミング」自体がありません。参加しやすい環境を部署ごとに設計しなければ、制度全体が一部のチームだけのものになります。

内容が「ありがとうございます」の一行で終わる

枚数を指標にすると、中身よりも数をこなすことに意識が向きがちです。その結果、「ありがとうございます」「お疲れさまです」のような定型文だけのカードが増え、受け取る側も心が動かなくなります。 感謝のメッセージに具体性がないと、送り手も「何を書けばいいかわからない」まま時間だけが過ぎ、書くこと自体が億劫になっていきます。これがマンネリ化の根本原因です。

集計・掲示の手間が担当者に集中する

紙のサンクスカードで運用している企業では、カードの回収、集計、掲示板への貼り出し、月次レポートの作成といった事務作業が発生します。この負担が特定の人事・総務担当者に集中すると、本来の業務を圧迫し、「サンクスカードの運用自体がストレス」という本末転倒な事態を招きます。 担当者が異動や退職で不在になった瞬間に運用が止まるケースも珍しくありません。

経営層が成果を実感できず、予算も関心も消える

「サンクスカードをやって何が変わったのか?」——この問いに数字で答えられないと、経営層の関心は急速に冷めます。エンゲージメントや離職率との因果関係を示すデータがなければ、次年度の予算はつかず、運用は自然消滅します。 「感謝が増えた」だけでは投資対効果の説明にならないという点を、推進担当者は理解しておく必要があります。

運用を立て直す7つの改善策

運用の立て直しには、書き方ガイドの整備、リーダー層の率先、表彰との連動、バリューとの接続、デジタル化、データモニタリング、ルールの定期見直しの7つが有効です。

書き方ガイドを全社に展開する

「何を書けばいいかわからない」を放置したまま運用を続けても、投稿の質は上がりません。解決策はシンプルで、書き方のガイドラインを作って全社に配布することです。 押さえるべきポイントは2つ。まず「誰のどんな行動に感謝しているか」を具体的に書くこと。次に、その行動がどんな結果につながったかをセットで伝えること。 たとえば「○○さんが自主的に議事録を整理してくれたおかげで、後から参加したメンバーも論点をすぐに把握できた」のように、行動と成果を一文に収めるだけで、メッセージの説得力はまったく変わります。テンプレートや例文集を社内Wikiやイントラに常設しておくと、投稿のハードルが下がります。

経営層・マネージャーがまず送る側になる

制度の定着には、上からの「やれ」ではなく、上からの「やってる」が効きます。経営層やマネージャーが自ら週に1通でもサンクスカードを送っている姿を見せることで、従業員の心理的ハードルは下がります。 「部長がカードを送っているなら、自分も送ってみようか」——この空気が生まれるまでの初期フェーズでは、リーダー層に週1回の送信を依頼するのが有効です。定着してきたら義務感なく自然に運用できるよう、ルールを緩めていけばよいでしょう。

表彰やイベントと組み合わせてポジティブな循環を作る

送りっぱなし、もらいっぱなしでは、サンクスカードに対する関心は徐々に薄れます。四半期に一度、多くのカードを受け取った人やチームを全社ミーティングで紹介する、年末に「ベストサンクスカード賞」を設ける、といった仕掛けがマンネリ化を防ぎます。 ただし、枚数だけを基準にすると内容の薄いカードが量産されるリスクがあるため、「最も具体的な感謝を書いた人」「他部署へのカードが多かった人」など、質や行動の観点で選考基準を設計しましょう。

行動指針やバリューとカードを紐づける

サンクスカードを単なる「ありがとうの伝達手段」にとどめず、企業の行動指針やバリューと接続することで、制度の意味合いが変わります。たとえば、カードを送る際に「チームワーク」「顧客視点」「挑戦」といったバリューのタグを選択できるようにすれば、どのバリューが日常で実践されているかが可視化されます。 この設計は理念浸透の施策としても機能するため、経営層にとっての投資対効果も説明しやすくなります。

紙の運用をデジタルツールに切り替える

紙のカードには手書きの温かみがある一方で、運用負荷の高さが継続の最大の障壁になりがちです。配布、回収、集計、掲示のすべてが手作業であり、リモートワークや複数拠点の企業では物理的にカードが届かないという問題も発生します。 WebツールやアプリであればスマホからでもPCからでも送信でき、外出先や在宅勤務中でも「今感謝を伝えたい」と思った瞬間に投稿が完了します。送信データは自動で蓄積されるため、集計やレポート作成の手間も省けます。 ツール選定の際は「スマホから数タップで送れるか」「全社に共有されるか」「利用データを自動集計できるか」の3点を基準にすると失敗しにくくなります。 ピアボーナスサービスのUniposは、感謝のメッセージに少額のポイントを添えて送り合える仕組みで、投稿は全社のタイムラインにリアルタイムで共有されます。ポイントというインセンティブが加わることで「送りたくなる動機」が生まれやすく、行動指針と紐づけたハッシュタグ機能や利用状況のデータ分析機能も備えています。

利用データを月次でモニタリングする

改善を続けるには、現状を数字で把握する必要があります。月ごとの送信枚数、参加率(全従業員のうち1枚以上送った人の割合)、部署別の利用状況、受信枚数の偏りなどをKPIとして設定し、月次で集計しましょう。 たとえば「先月は営業部の参加率が15%だった。今月は営業会議でサンクスカードを紹介し、30%を目指す」のように、データをもとに打ち手を設計・検証するサイクルが回り始めると、運用は安定期に入ります。経営会議でこのデータを共有すれば、「効果が見えない」という経営層の懸念にも対処できます。

四半期ごとにルールを見直す仕組みを作る

導入時に決めた運用ルールが、半年後もそのまま最適とは限りません。利用状況のデータやアンケートをもとに、四半期に一度はルールを見直す場を設けましょう。 見直しの観点は、たとえば「カードの送信頻度の目安は適切か」「表彰制度は機能しているか」「新しく入社した社員への周知はできているか」などです。PDCAを回す仕組みが組み込まれていれば、環境変化にも柔軟に対応でき、長期的に運用が持続します。

サンクスカードの運用改善に成功した企業事例

形骸化を乗り越えた企業には共通点があります。ツール導入だけでなく、組織施策との掛け合わせやデータに基づく効果検証を行っている点です。ここでは2社の事例を紹介します。

カクイチ — 受け身の組織からDX企業へ。Unipos×タスクチーム制度で挑戦文化を定着

明治19年創業、ガレージ・倉庫・物置事業や太陽光発電パートナー事業を手がけるカクイチは、先代のトップダウン経営の影響で、社員が受け身になりがちな風土が課題でした。田中代表は就任時、「このままでは自発的な挑戦が生まれない組織になる」と判断し、組織文化の改革を決意します。 改革のアプローチが独特です。まずiPhone全社員貸与→Unipos導入→Slack導入の順でデジタル化を進めました。いきなりSlackではなく、感謝に特化したUniposを先に入れたのは意図的です。「まず感謝の発信で慣れれば、Slackでの発信のハードルも下がる」という設計でした。 そのうえで導入したのが「タスクチーム」制度です。異部署5名で3ヶ月間チームを組み、社内の課題を発見・解決して経営陣に報告する仕組みで、原則全社員が参加します。タスクチームで課題を解決した社員にはUniposで感謝が送られ、その体験が「やってよかった」という実感と次の挑戦への動機づけになっています。 結果として、制度の外でも自発的な改善提案が日常的に出るようになり、中間管理職の削減というフラット化も実現。各種メディアでDX成功事例として取り上げられるまでに変化しました。 (出典:カクイチ 支援事例

関西みらい銀行 — 合併後の疲弊を乗り越え、6,500名で「Mecha!」を定着

りそなホールディングス傘下の関西みらい銀行は、2019年に2行が合併して誕生しました。店舗統廃合や人員削減が急ピッチで進む中、一人あたりの業務量増加と身近な頼れる人の減少により、組織全体に疲弊感が広がっていました。 この状況を打開するため、みなと銀行と合わせて全社約6,500名でUniposを導入。社内名称は「Mecha(めっちゃ)!」。導入の決め手は3つでした。「ツールがシンプルであること」「調べるより行動するサービスであること」「本部と営業店の相互理解不足を解消できること」。 運用面では、1on1ミーティングの土台としてUniposの投稿を活用したり、管理職研修にUniposの活用法を組み込んだり、サークル活動サポート制度と連携させたりと、複数の施策の結節点としてUniposを位置づけています。 定量的な成果として、従業員意識調査のモラール関連3項目がそれぞれ向上し、りそなグループ内で上昇率1位を記録。退職率も低下傾向にあり、特に若手の定着に効果が表れています。 (出典:関西みらい銀行 支援事例

まとめ

サンクスカードが形骸化する原因は、制度の設計ミスではなく、運用フェーズでの手当て不足にあることがほとんどです。「最初の盛り上がりが消える」「送る人が偏る」「内容が薄くなる」——こうした壁は、書き方ガイドの整備、リーダー層の率先、表彰との連動、デジタルツールの活用、データに基づいた振り返りといった打ち手で乗り越えられます。 紙の運用に限界を感じている、あるいは既存ツールで定着しなかったという場合は、インセンティブや可視化の仕組みが組み込まれたピアボーナスへの移行も選択肢になるでしょう。 Unipos(ユニポス)は、感謝のメッセージに少額インセンティブを添えて全社にオープンに共有できるピアボーナスサービスです。詳細・資料ダウンロードはこちら サンクスカードの目的や導入ステップから確認したい方は「サンクスカードとは?導入の目的・失敗しない制度の作り方・企業事例を解説」もあわせてお読みください。

よくある質問

Q. サンクスカードが続かない最大の原因は?

「導入して終わり」になることです。定着にはある程度の助走期間が必要で、その間に書き方ガイドの展開、経営層の率先利用、表彰との連動といった仕掛けを継続的に打つ必要があります。一度の告知で自走する仕組みではありません。

Q. サンクスカードの運用を改善するために最初にやるべきことは?

まず「5つの壁」のうち自社がどれに該当するかを特定することです。盛り上がりの失速、参加率の偏り、内容のマンネリ化、運用負荷の集中、経営層の関心低下——原因によって打ち手が変わるため、現状把握から始めましょう。

Q. 紙のサンクスカードからデジタルに移行すべきタイミングは?

従業員数が50名を超えて集計が負担になっている、リモートワークや複数拠点で物理的にカードを渡せない、利用データを経営報告に活用したい——このいずれかに当てはまるなら、移行を検討する段階です。

Q. サンクスカードの効果を経営層にどう説明すればいい?

利用状況(送信数・参加率・部署別推移)を月次でモニタリングし、従業員意識調査やエンゲージメントサーベイの結果と組み合わせて報告するのが効果的です。「上司が積極的に利用している組織ほど意識調査のスコアが高い」といった相関が示せると、経営層の関心を維持しやすくなります。