
「今時の若手社員とどのように接してよいかがわからない……」
世代による仕事への考え方の違いや、コミュニケーションの取り方など、若手社員との向き合い方に悩んでいる管理職や中堅社員は多くいます。
若手社員の性質は時代とともに変化してきましたが、近年は「ゆとり世代」などと呼ばれ、競争意識が少なく怒られることに慣れていないため、ストレス耐性が低いというのが一般的なイメージのようです。
従来の部下のように厳しく接していると、「ある日突然、出勤してこなくなった……」などという事態も考えられます。
せっかく採用した人材なのですから、現場レベルで育成に取り組み、次世代を担う存在になって欲しいと願いたいものです。
「若手社員を立派な戦力に育て上げたい」
「どこまで注意すべきか判断がつかない」
「若手社員の早期離職を防ぎたい」
といった若手社員の育成に関する悩みについて、今回の記事内でポイントを解説します。
1.現代の若手社員の5つの特徴
人事部や管理職として若手社員に携わっている方は、「彼らの考え方が理解できない」と思われるケースが多くあるのではないでしょうか?
若手社員の育成をめざす上で必要なのは、対象となる相手への理解を深めることです。
現代の若手社員たちは、以下の5つの特徴を持っています。
1.失敗を恐れる
2.情報収集能力に優れる
3.進んで苦労すべきではないと思っている
4.出世よりもプライベートを優先
5.転職は当たり前という考え方
1−1.失敗を恐れる
現代の若手社員はデジタルネイティブ世代と呼ばれています。これは、物心ついた頃からインターネットに触れる機会を多く持ちながら育ったため、情報を調べる際には何事もネット上で検索する機会が多かったことを示しています。
そのため、何か問題が発生した際には、自分で考えたり行動したりするよりも前に、答えを調べるという癖がついてしまっているのです。
それは、常に正解を求め失敗を恐れるという行動にも結びついています。
カケハシスカイソリューションズが2018年に行った、「新入社員対象 意識調査」によると、約8割の新入社員が「仕事で失敗することに対して不安を感じている」と回答しました。
多くの若手社員が、「恥ずかしい」「嫌われるかもしれない」といった、失敗に対するネガティブな感情を持っていることがわかります。
出典:カケハシスカイソリューションズ・「新入社員対象 意識調査」
https://www.kakehashi-skysol.co.jp/contents/prfiles/20180426/sokusenryoku_report04.pdf
そのため、「まずは行動ありき」「失敗から学ぶべき」という考え方を持つ管理職や先輩社員との間に、壁が生じてしまうようです。
1−2.情報収集能力に優れる
先述の通り、若手社員は物心ついた頃からインターネットが身近な存在になっていました。
パソコンやスマホを使って調べ物をすることが当たり前になっているので、情報収集能力に長けています。
これは仕事にも応用できるスキルであり、必要な情報を瞬時に収集することができます。
また、歓送迎会などの社内のイベントにおいても、開催するのに適切な店舗を探し出してくれます。
1−3.進んで苦労すべきではないと思っている
公益財団法人 日本生産性本部/一般社団法人 日本経済青年協議会が実施した、「平成 30 年度 新入社員「働くことの意識」調査結果」によると、「若いうちは自ら進んで苦労するぐらいの気持ちがなくてはならないと思いますか。それとも 何も好んで苦労することはないと思いますか」という質問に対し、「好んで苦労することはない」という意見が34.1%でした。
「苦労すべきだ」という意見のほうがまだ多くありますが、その割合は年々下がって来ています。
出典:公益財団法人 日本生産性本部/一般社団法人 日本経済青年協議会:平成 30 年度 新入社員「働くことの意識」調査結果
https://activity.jpc-net.jp/detail/mcd/activity001538.html
1−4.出世よりもプライベートを優先
若手社員はあまり出世欲を持っていないという特徴があります。
公益財団法人 日本生産性本部/一般社団法人 日本経済青年協議会による同調べによると、「どのポストまで昇進したいか」という問いに対して、「役職にはつきたくない」という答えが全体の6.5%、「どうでもよい」という答えは17.4%でした。
出典:公益財団法人 日本生産性本部/一般社団法人 日本経済青年協議会:平成 30 年度 新入社員「働くことの意識」調査結果
https://activity.jpc-net.jp/detail/mcd/activity001538.html
また、「仕事」中心か「(私)生活」中心かという問いに対しては、「両立」という回答が 78.0%でしたが、「仕事中心」は6.7%なのに対し、「生活中心」は15.2%と、大きく上回っています。
仕事面でも残業をあまり快く思わず、定時で帰宅したいと考える若手社員が増加していることがわかります。
仕事で成果を上げて出世をするよりも、プライベートを充実させて行くほうがよいと思っているのです。
1−5.転職は当たり前という考え方
若手社員は転職についてあまり抵抗を持っていないことが特徴です。従来の日本社会では終身雇用制や年功序列が成立していましたが、近年では廃止する企業が増えています。
新卒で入った企業に定年まで勤め上げるという意識が薄くなり、転職することが当たり前になりつつある中で、若手社員はその影響を色濃く受けていると考えられます。
また、厚生労働省による平成30年若年者雇用実態調査の概況における、「初めて勤務した会社での勤続期間」によると、3年未満が63.2%、1年未満が24.6%と、早期に離職する割合が非常に高いことがわかります。
若手社員は短期間での離職に対してあまりマイナスなイメージを抱いておらず、転職に対して積極的といえるでしょう。
出典:厚生労働省・平成30年若年者雇用実態調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-h30_08.pdf
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