行動指針とは?企業理念・行動理念との住み分けと作り方&定着方法

行動指針とは、各企業が持つ独自の行動ルール・行動規範です。行動指針はよく浸透すると、その企業の人らしい行動がとれるようになることから、愛社精神の育成や、従業員の働きがいアップにつながるとして注目されています。

 

そこで今回は、行動指針とは一体どのようなものなのかについて

  1. 行動指針とは?    
  2. 行動指針のもたらすメリット
  3. 行動指針の作り方
  4. 行動指針を浸透させる方法
  5. 企業の行動指針2例を紹介          

    をまとめました。最後までお読みいただければ、自社の社員が企業の一員として理想的な行動がとれるような行動指針の作成や改善案の手がかりになります。

     


    1.行動指針とは?

    一般的に、行動指針とは「何かを行う際に、自分の進むべき道、取るべき態度決めるための羅針盤となるものです。基本的には個人レベルでの行動に対して使われますが、企業やチームなどの団体でも使用します。

     

    行動指針は具体的には「どうするべきか」です。例えば、常に営業トップ成績を出す営業マンは以下のようなことを行動指針にして日々、仕事をしています。羅針盤の指し示すゴールは「売上トップを達成する」です。

    • 営業はお客さまに会うのが仕事である
    • 動いても成功するかはわからないが、動かなければ成功はない
    • 会社が決めた売上目標を達成するために”どうするべきか”考えるのが営業の仕事
    • 成績が上がらないなら、人より早く来て働く、これがビジネスの世界常識
    • 飛び込み営業と名刺集めは営業の基本中の基本

    【参考:市村洋文一億稼ぐ営業の教科書

     

    もう1つ、漫画で行動指針の例を出します。冒険海洋物語である「ワンピース」の場合、羅針盤の指し示すゴールは「海賊王に、俺はなる!」ですが、行動指針は以下のようなものになります。

    • ワクワクするような冒険をする
    • 夢・信念・仲間のためなら死をも恐れない
    • ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を手に入れる

    【参照:ワンピース公式サイト

     

    企業の場合は、経団連の月刊誌より、1997〜2002年4月にかけて連載されていた「わが社の企業行動指針」がありますので各社参考にしてください。

    【参照:一般社団法人 日本経済団体連合会 わが社の企業行動指針

     

    いずれにしても、羅針盤の座標軸が指す先にはゴールがある前提ですので、行動指針を決めたい場合は、何を実現したい(ゴール)のかを先に決めておく必要があります。その際、あまり難しく考えずに、

    • 実現したいものは具体的に設定する
    • 実現するものは、形がないものでもよい

    という非常に大まかなくくりで大丈夫です。作り方などは別章で解説があります。次に、行動指針と混同しがちな言葉である、企業理念・行動理念・クレドとの違いを説明します。

    ①企業理念との違い

    行動指針が「行動」の羅針盤なのに対し、企業理念とは、創業者会社創業に託した想いのことであり、会社不変価値観会社存在理由目的からなる、その企業が目指す社会での「在り方」です。「この企業はなんのために存在しているのか」を、社内外に伝えるためにあります。企業理念を見ると、その会社が何を大事にして、どの方向に進んでいるのかがわかります。企業理念は、企業によっては

    • 社是
    • 存在意義
    • 会社の合言葉
    • 標語
    • スローガン
    • 我が社のモットー
    • 会社の方針

    などという言い方をしているところもあります。

     

    企業が内包する考え方の部分なので、この時点では社員に対しての行動レベルでの強制力はありません。採用の際に「弊社の企業理念のどこに共感しましたか?」という質問をして、その人と会社との相性を測ることがあります。

     

    企業理念の例としては下記のようなものがあります。

    ズバッとわかりやすいもの、少々まわりくどいものなど、企業によって表現は様々ですが、それもその企業らしさにつながります。また企業理念は、時代や企業の成長度合いに合わせて柔軟に変えることもあります。

    ②行動理念との違い

    行動指針が行動の羅針盤なのに対し、行動理念は「行動する、またはいかに行動すべきかを考える時に、判断の拠り所となる基本的な考え」を指します。行動理念には

    • その行動を行う理由があり
    • 行動のゴールに企業理念がある

    というルールがあり、これが繰り返し行われた先に「その企業らしさ」というものが出て来ます。行動指針と似ていますが、行動指針は個人にも使いますが、行動理念という言葉を個人を表現する時には使うことはありません。

     

    例えば、ナイキ 「BRING INSPIRATION AND INNOVATION TO EVERY ATHLETE IN THE WORLD」(邦訳:世界中の全てのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらす)という企業理念の場合は、

    • 誰に?→ 全てのアスリートに
    • 何をする?→ ひらめきと 技術革新をもたらす
    • 社員の行動→ ナイキを使うアスリートが、自己最高の結果を出せるためのモノ作りをする

    という行動・決断する時の考え方・判断の軸が生まれます。A案かB案かの採択に迷ったら、上記の3つが実現できる方を取る。また、プレゼンする時には、「ナイキを使えば、自己最高のあなたになります」とプレゼンテーションをします。ナイキの社員は常に、自分が行動をする際に、その裁量の大小に関わらず、上記の考えに沿った行動をしており、その行動の軸・源となっているのがナイキの行動理念ということになります。

    ③クレドとの違い

    行動指針が行動の羅針盤なのに対し、クレドは行動するためのより具体的でシンプルな指針です。ゴール名が書いてある道路標識のようなイメージです。両者の意味はほぼ同じですが、クレドは最近になってから使用されるようになった言葉です。

     

    クレドは直訳すると「基本信条」「基本信念」ですが、一般的には、共同体の基本信条が成文化(ドキュメント化)してあるものを指します。社是・経営理念・ビジョン・ミッションなど、その会社や企業を表す文書は何種類もあるのですが、企業における「クレド」という概念がこの世に誕生したのは、1943年にジョンソンアンドジョンソンが「我が信条」(Our Credo)というA4用紙一枚に書いた経営理念が始まりです。

     

    日本ではリッツ・カールトン大阪がそのホスピタリティの高さで世界から注目された際に広がった、比較的理解の新しい単語ですので、企業理念、経営理念、行動指針、行動理念など企業ごとに自由に翻訳・意訳されており、多くの解釈がまたがっている傾向があります。

    リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。

     

    私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

     

    リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

    【参照:リッツ・カールトン クレド】 

    クレドは全社員と全役員に徹底されている必要があり、その成果は、特に緊急時対応の方針決定の素早さや、組織一丸となって対処できるスピードに表れます。例えば、リッツ・カールトンでのクレドを遵守していると、お客様に急ぎの用事や難しいお願い事を言いつけられた際、

    • 「そのようなことは致しかねます」
    • 「上司に聞いてまいります」
    • 「後日、改めて確認して連絡させてください」

    などの即時判断ができないでお客様をお待たせすることがなくなります。理由は、全てのスタッフがリッツ・カールトンの上記クレドに則った「行動」ができるからであり、共同体の1人として上記に書かれた「クレド通りの行動をすること」がが正義であり、常に正解だからです。ちなみに、リッツ・カールトンでは、上記のような対応をリッツ・クオリティで行うため、スタッフ個人の裁量で使用できる経費が潤沢に割り当てられています。

     

    現実には行動指針と被る部分は多いですが、クレドの方がより社風化・風土化・慣習化しており、より徹底的にトレーニングされているという印象があります。

    【参照:ジョンソンアンドジョンソン クレド

    【参照:リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間

     

    次ページ「行動指針のもたらすメリット」

    組織課題解決のノウハウをお届け メールマガジン登録はこちらから バナーを閉じる