
「フィードバック面談のメリット・デメリットが知りたい」
「フィードバック面談をしているけれど、正しくできているのだろうか?効果的な方法や注意点を知りたい」
人材の成長にとって、大切な役割を果たすフィードバック面談。
しかし実際にどう進めたらいいのか、どうしたら効果的なのかを理解し実践できている人は少ないのではないでしょうか。
自分の仕事がどう評価され、どんなところが良く、どんなところが改善点なのか、真摯なフィードバックを受けることで、人は大きく成長します。
これから初めて部下にフィードバック面談をするという方、これまで何度もフィードバック面談をしてきたという方も、この機会に一度「フィードバック面談」の基礎知識を確認しておきませんか?
本記事では、以下の4点を詳しく解説します。
・フィードバック面談の必要性
・フィードバック面談のメリット・デメリット
・フィードバック面談の流れ
・フィードバック面談で気をつけたい4つのポイント
通常の面談とは異なる点も多いフィードバック面談、ポイントをしっかり掴み、人材育成に役立ててくださいね!
1.フィードバック面談の必要性
まず、なぜフィードバック面談が必要なのか、その理由を3つご紹介します。
・評価結果の共有を行うことができる
・課題の認識と解決策の共有ができる
・部下のモチベーションを上げることができる
「フィードバック」とは、もともと工学やITの世界で使われていた言葉です。
人事の世界においては、業務上の成果・行動などの評価を、その当人に伝えることをフィードバックと呼んでいます。
フィードバック面談は、上司が一方的に評価結果と通知書類を部下に渡すだけのものではありません。
ある決まった期間の仕事がどうだったのか、どんな点が良く、どんな点をもっと改善すべきかについて、評価者と被評価者の間で確認し、次になる成長ステップを共に考えていく時間です。
1-1.評価結果の共有を行うことができる
フィードバック面談を実施することで、部下(被評価者とも呼ぶ)に評価を伝えて、結果を共有することができます。
高い評価となった過去の事例なども紹介し、自己評価とのギャップが出た部分の根拠等を示すことで、評価結果の理解・納得度を高めます。
1-2.課題の認識と解決策の共有ができる
評価結果から見えてきた課題を明確にさせ、さらに課題をクリアするための具体的なアクションを自発的に考えさせるなどして、解決策の共有をすることができます。
1-3.部下のモチベーションを上げることができる
前向きなアドバイスや激励を行うことで、部下のモチベーションを上げます。
面談の中で、中長期のキャリア目標にも触れ、目標達成のための具体的な施策などを話し合うことで、さらなるモチベーションアップを図ることができます。
部下とのコミュニケーションが格段に取りやすいチームを作るには?「変化に強いチーム育成実践BOOK」プレゼント
2.フィードバック面談のメリット・デメリット
フィードバック面談にはメリット・デメリットの両面があります。
デメリットには、デメリットを改善するための対応策も合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.フィードバック面談の4つのメリット
フィードバック面談には、主に4つのメリットがあります。
・部下のモチベーションアップができる
・人材育成、成長サポートができる
・各スタッフそれぞれのスキルや問題点を把握することができる
・コミュニケーションの促進になる
自分がどのような評価基準で評価されたのかが明確になるので、評価者・被評価者の間の相互理解が深まります。
また「では来期はどうしたらいいだろうか?」と、被評価者の行動やキャリアについて建設的な話し合いができるようになります。
2-1-1.部下のモチベーションアップができる
フィードバック面談を導入することで、部下のモチベーションがアップが期待できます。
自分の出した成果や良かった行動などがきちんと認められ、それを上司から直接伝えてもらえることは、仕事に対するモチベーションを高めるからです。
さらにそうした成果や行動が給与や待遇に反映されていけば、仕事への取り組みはますますポジティブなものになるでしょう。
2-1-2.人材育成、成長サポートができる
人事評価を通して明らかになった、当人の成長を阻む課題について、上司部下で認識をすり合わせながら改善策を考えていくことができます。
自分の成長点はどこなのか?何を改善すればより良い仕事ができるのか?
被評価者が自分の評価に納得がいかない場合など、スムーズにいかないケースも考えられますが、ここはじっくり時間をかける価値があります。
評価側が一方的に決め、通達しただけでは引き出せない、当人の強いコミットメントを引き出すことができます。
2-1-3.各スタッフそれぞれのスキルや問題点を把握することができる
フィードバック面談を行うことで、1人ひとりのスキルや問題点を認識することができます。
フィードバック面談の主な目的は、現状の成果・行動を評価し、給与・待遇への反映を伝えることですが、こうして1人ひとりと向き合うことで、
各個人の現状を上司がより良く把握でき、メンバーそれぞれの課題やスキル、希望などを踏まえながら、成長を支援するマネジメントを行えるようになるのです。
2-1-4.コミュニケーションの促進になる
フィードバック面談を行うことで、上司・部下間のコミュニケーションの活性化も期待できます。
自分の残した成果について会社や上司からフィードバックがあることで、スタッフのモチベーションアップにもつながり、スタッフ側からの相談や提案もしやすくなります。
あわせて読みたい
2-2.フィードバック面談のデメリットと対策
フィードバック面談には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。
・手間がかかる・人事評価のスキルが必要とされる
・評価が低い人にとっては不満要素となる恐れがある
・部下が評価につながる仕事しかしなくなる恐れがある
とはいえ、デメリットを避ける対応策はありますので、デメリットを把握した後は、そうしたデメリットを発生させずに済むよう、きちんと対策を取っておきましょう。
2-2-1.手間がかかる・人事評価のスキルが必要とされる
フィードバック面談を行う前段階として、まず人事評価制度を導入しなければいけないため、その導入や実施に手間がかかります。
人事評価の明確な基準づくりは時間がかかりますし、人事評価を行うには一定の経験やスキルが必要とされるため、全ての上司が的確に人事評価することができる状態なのかというと、そうではない場合も多いでしょう。
◎対策
残念ながら、人事評価制の基準づくりにかかる手間や時間を、劇的に省く近道はありません。
フィードバック面談を人材育成の場として効果的に活用でてきる会社の事例、または人材コンサル会社など行われるフィードバック面談のセミナーに参加してみるなどしてもいいでしょう。
フィードバック面談の導入・実施のためには、下準備を念入りに行うことから逃げないことが重要です。
2-2-2.評価が低い人にとっては不満要素となる恐れがある
人事評価制度を導入するということは、一定の評価基準を作ることになり、どんなに公平に評価したとしても、社内や部署内に「高い評価の人」「低い評価の人」を生み出します。
普段から素行の悪い悪質な従業員でない限り、皆成果を出すため、自分なりに努力しているものです。
自己評価と人事評価が食い違い、本人が「低く評価された」と感じた場合、不満要素として蓄積してしまう可能性があります。
◎対策
フィードバック面談の場において、評価の根拠、低い評価になってしまった原因をしっかり説明することや、来期により良い評価を得るためにどうしたらいいかを、具体的に話し合いましょう。
低い評価を発奮材料に変えてもらえるように、「コーチング」の手法を取り入れるなどして、部下のモチベーションを下げない対応も必要です。
*コーチング=社員のやる気を引き出したり目標を達成するために、主に「質問形式」で会話を行うビジネスマン向けの人材育成の手法
2-2-3.部下が評価につながる仕事しかしなくなる恐れ
人事評価の基準が明確になることで、部下は評価の向上だけに囚われて、評価されやすい業務や行動ばかりしようとする恐れがあります。
また、自分の評価を高くするために、他のスタッフの足を引っ張ろうとしてしまうタイプの人も稀にいます。
フィードバック面談を行うことで、社内の雰囲気が悪くなったり、チームワークが乱れ生産性まで下がってしまったら本末転倒です。
◎対策
人事評価制度を策定する際、評価しやすい目立つ業務だけが評価対象にならないよう、注意しましょう。
人事評価制度には「360度評価」という種類もあります。これは上司のみが評価をするのではなく、複数の同僚やチームメンバーが互いに評価をし合い「360度の方向から」評価を決定する仕組みです。
1人の評価者のみの評価ではない、複数人からの評価を得ることで、被評価者の納得感を高めることができます。
加えて、従業員同士が互いの日々の仕事に対して、感謝の言葉と共に少額のインセンティブを送り合える「ピアボーナスⓇ制度」の仕組みを取り入れることもおすすめです。
3.フィードバック面談の流れ
実際にフィードバック面談を行う際の流れを紹介します。
基本のステップは以下の通りです。
1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
3.部下に自己評価の報告をさせる
4.評価結果の報告を行う
5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
6.面談のまとめを行い終了する
事前準備をせず、いきなり評価結果の内容だけを機械的に伝える場にしてしまうと、せっかくのフィードバック面談のメリットが発揮されなくなってしまいます。
準備はしっかりと行いましょう。
3-1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
効果的なフィードバック面談を行うためには、事前の準備が欠かせません。
マネジメント層は何かと多忙ですが、限られた時間内で面談を成功させるため、しっかりと準備を行うようにしてください。
事前準備の大まかな流れには2つのステップがあります。
3-1-1.面談の流れを確認しておく
まず最初にすることは、面談の流れを確認しておくことです。
具体的には以下の流れとなります。
(1)簡単なアイスブレイク
(2)自己評価を報告してもらう
(3)評価結果の報告をする
(4)課題解決の方法を考え、来期の目標設定をする
(5)最終的なまとめをして終了
各ステップの具体的なやり方については、この後の章でご紹介します。ステップの中で事前の準備が必要になるのは、(3)と(4)です。
●評価結果を報告する準備…(3)の準備
部下の自己評価や評価結果についての質問を想定し、それについて適切な回答やアドバイスができるように準備をします。
特に自己評価とのギャップが激しい場合を想定し、部下が十分に理解・納得ができるよう、その根拠を簡潔に説明できるようにしておくことを忘れないでください。
伝える際の言葉の選び方についても慎重に考えておくべきです。言い方ひとつで部下のモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
厳しい言い方をしやすいと自覚している上司の方は、伝え方をよく考えておきましょう。
●部下から回答を引き出し、目標設定できるように準備…(4)の準備
課題の改善方法や目標設定については、上司が上から自分の考えを押し付けてはいけません。部下が自ら答えを導き出すことができるよう、回答を引き出すための効果的な質問などを事前に考えておきましょう。
自分で回答を出すのが苦手なタイプの人もいますから、上司が上手に助け舟を出せるように準備をしておくことで、部下が安心して自分のアイデアや意見を述べることができ、より建設的なフィードバック面談を行うことができるようになります。
3-1-2.早めに面談時間と場所の確保をする
面談時間と面談の場所の確保は早めにしましょう。特に、年度末など同時期に一斉にフィードバック面談が行われるような場合には、会議室の予約が困難になってしまうこともあります。
社外業務が中心の営業職などの場合は、顧客とのアポイントメントが優先され、面談時間の確保は後回しにされることもあるので、面談の時期が近づいてきたら、早めにフィードバックを受けるスタッフ(部下)ともスケジュール確認を行いましょう。
また、上司が多忙だからといって、面談の時間を定時以降に設定したり、深夜の時間帯に面談を行うなどすると、上司の印象を悪くすることになり、部下のモチベーションも下げることに繋がるので避けるようにしてください。
3-2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
フィードバック面談がスタートしたら、いきなり評価結果の話を始めず、ちょっとした場を和ませるためのアイスブレイクを行います。
フィードバックを受ける側は、言い渡される結果について不安に思い、緊張していることもあるので、趣味の話、ペットの話(好きな動物)、好きな食べ物など、回答に詰まることがないような気楽な話題で場を温めてください。
3-3.部下に自己評価の報告をさせる
場が温まったら、まず最初に部下の自己評価の報告を受けます。
評価結果を先に伝えてしまうと、その内容に影響され本心を話してくれなくなったり、言い訳などの自己弁護を始めてしまうタイプの人もいるので、まず先に自己評価について聞くようにしましょう。
聞き方は、部下の顔をときどき見ながら適度に相槌を打つなどして、できるだけ話しやすい雰囲気を心がけましょう。
書類に目を落としたまま黙々と聞くような態度では、充分に話をしてもらえません。途中で口を挟みたくなったらいったんメモをとるなどして対処し、報告を遮らないように気をつけてください。
3-4.評価結果の報告を行う
自己評価の報告が一通り終わったら、最終的な人事評価結果を伝えます。部下のモチベーションを下げないよう、伝える順番に気を配りましょう。
①まず褒めるべき点、プラス評価だったところを具体的に伝える
②自己評価と一致していたマイナス評価を伝える
③自己評価とギャップがあったマイナス評価を伝える
部下が受け入れやすい評価からスタートし、最後に部下が受け入れづらい評価を報告します。
①はできるだけ具体的に、厚みを持たせて報告することで、マイナス評価を受け入れやすくします。
②は自分ですでに気づいているマイナス評価なので、さらっとした報告でかまいません。③の報告が一番慎重に行う部分です。
どこがマイナスに傾いてしまった要因なのか、部下が理解・納得できるよう、その根拠を具体的事実や事例を使って、詳しく説明するようにしましょう。
なぜこの評価なのか?納得がいかず、部下から質問があった場合にも、客観的な評価だったことを理解してもらえるように、具体的な事実や数値なども出して回答できればベストです。
また、プラスの評価とマイナスの評価を伝える際に、急に口調や態度が変わることがないように気をつけてください。
3-5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
部下がプラスの評価もマイナスの評価もある程度納得したところで、今期の評価結果から浮かび上がった課題を明らかにし、その解決方法や来期の目標設定について話し合いを行います。
ここで重要になるのは、上司が部下の課題の解決方法を考えて、それを実行するように押し付けたり、勝手に目標を設定しないようにするということです。
あくまでも、部下が自発的に課題の解決方法を考えるように促し、目標設定についても部下本人の意思を尊重するようにしてください。
フィードバック面談は、上司が部下にお説教をする場ではありません。部下の成長を見守りながら、部下の望みを理解し、部下に対して気づきを与えるようなアドバイスをすることを心がけてください。
3-6.面談のまとめを行い終了する
課題の具体的な解決方法や目標設定が決まり、来期に向けたポジティブな雰囲気になったところで、今回の面談の結果を上司・部下共にまとめて終了となります。
くれぐれも、部下が評価結果に納得できない状態のままで終了することがないよう、最後に上司から部下に対してきちんと納得できたかどうか確認するなどして、必ず双方が円満な状態で終了するようにしてください。
部下とのコミュニケーションが格段に取りやすいチームを作るには?「変化に強いチーム育成実践BOOK」プレゼント
4.フィードバック面談で気をつけたい4つのポイント
最後に、フィードバック面談で気をつけたい4つのポイントをご紹介します。
・日頃からコミュニケーションを取って信頼関係を築いておく
・評価の根拠をしっかりと話す
・部下のモチベーションを下げない伝え方をする
・高圧的な態度は厳禁
フィードバック面談は部下と上司が1対1で顔を突き合わせて行うものですから、いい意味で緊張感を保ちながら、場の雰囲気はできるだけ温かくなるように気をつけてください。
4-1.日頃からコミュニケーションを取って信頼関係を築いておく
常日頃から部下とコミュニケーションをよく取るようにして、信頼関係を築いておくことは、フィードバック面接を成功させる大切なポイントになります。
普段コミュニケーションを取っていないとフィードバック面談の席で双方が緊張してしまったり、なかなか打ち解けることができず、せっかくの人材育成のチャンスを潰してしまうことにもなります。
日頃から部下の仕事・業務をよく見ながら、軽い世間話をするくらいの間柄になっているほうが、フィードバック面談もスムーズに行えます。
4-2.評価の根拠をしっかりと話す
フィードバック面談では、評価結果の内容について部下(被評価者)が納得できるよう、必ず評価の根拠を示して伝えるようにしましょう。
根拠のない評価結果だったとしたら、部下は不安になりますし、来期のために具体的にどんな行動をすればいいのかがわかりません。
しっかりと評価の根拠を示せば、会社側の評価と自己評価にズレがあった場合、なぜそうなってしまったのか本人が納得しやすくなり、次の目標設定にも活かすことができます。
4-3.部下のモチベーションを下げない伝え方をする
フィードバック面談で気をつけたいのは、伝え方によって部下のモチベーションを下げてしまう可能性があるということです。
前章の「評価の根拠」について伝えることはもちろん、よい評価結果だった部分はしっかりと褒め、よくなかった部分に対して厳しく叱責するようなことは避けましょう。
よくなかった部分に関しては、来期どう改善していくかを話し合うことで、きちんと改善点に向き合いながらも、モチベーションの低下を防ぐことができます。
4-4.高圧的な態度は厳禁
当たり前のことですが、高圧的な態度でフィードバック面談に臨むことは避けましょう。
フィードバック面談は、課題解決の道筋を上司と部下が共に考える場であり、上司と部下の信頼関係を深める場でもあります。
部下は評価結果を聞くという状況に不安感を抱いたり緊張もしているはずです。できるだけ、やわらかい雰囲気の場を作るように準備をしておきましょう。
1人ひとりが自律的に働き、成長意欲が育つチームとは?「変化に強いチーム育成実践BOOK」プレゼント
5.まとめ
フィードバック面談は、部下のモチベーションを高め人材育成の場として非常に有効なので、的確に行うことで、組織や事業にとっても大きな貢献を果たします。
ここで、フィードバック面談の流れについて復習しておきましょう。
1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
3.部下に自己評価の報告をさせる
4.評価結果の報告を行う
5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
6.面談のまとめを行い終了する
フィードバック面談を成功させるには、事前の準備をしっかりすることが非常に重要です。
単なる評価結果を伝えるだけの場で終わらせず、来期に向かってしっかりと課題解決の方法を考えたり、目標設定を行う場として有効に活用してください。
あわせて読みたい