
3.フィードバック面談の流れ
実際にフィードバック面談を行う際の流れを紹介します。
基本のステップは以下の通りです。
1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
3.部下に自己評価の報告をさせる
4.評価結果の報告を行う
5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
6.面談のまとめを行い終了する
事前準備をせず、いきなり評価結果の内容だけを機械的に伝える場にしてしまうと、せっかくのフィードバック面談のメリットが発揮されなくなってしまいます。
準備はしっかりと行いましょう。
3-1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
効果的なフィードバック面談を行うためには、事前の準備が欠かせません。
マネジメント層は何かと多忙ですが、限られた時間内で面談を成功させるため、しっかりと準備を行うようにしてください。
事前準備の大まかな流れには2つのステップがあります。
3-1-1.面談の流れを確認しておく
まず最初にすることは、面談の流れを確認しておくことです。
具体的には以下の流れとなります。
(1)簡単なアイスブレイク
(2)自己評価を報告してもらう
(3)評価結果の報告をする
(4)課題解決の方法を考え、来期の目標設定をする
(5)最終的なまとめをして終了
各ステップの具体的なやり方については、この後の章でご紹介します。ステップの中で事前の準備が必要になるのは、(3)と(4)です。
●評価結果を報告する準備…(3)の準備
部下の自己評価や評価結果についての質問を想定し、それについて適切な回答やアドバイスができるように準備をします。
特に自己評価とのギャップが激しい場合を想定し、部下が十分に理解・納得ができるよう、その根拠を簡潔に説明できるようにしておくことを忘れないでください。
伝える際の言葉の選び方についても慎重に考えておくべきです。言い方ひとつで部下のモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
厳しい言い方をしやすいと自覚している上司の方は、伝え方をよく考えておきましょう。
●部下から回答を引き出し、目標設定できるように準備…(4)の準備
課題の改善方法や目標設定については、上司が上から自分の考えを押し付けてはいけません。部下が自ら答えを導き出すことができるよう、回答を引き出すための効果的な質問などを事前に考えておきましょう。
自分で回答を出すのが苦手なタイプの人もいますから、上司が上手に助け舟を出せるように準備をしておくことで、部下が安心して自分のアイデアや意見を述べることができ、より建設的なフィードバック面談を行うことができるようになります。
3-1-2.早めに面談時間と場所の確保をする
面談時間と面談の場所の確保は早めにしましょう。特に、年度末など同時期に一斉にフィードバック面談が行われるような場合には、会議室の予約が困難になってしまうこともあります。
社外業務が中心の営業職などの場合は、顧客とのアポイントメントが優先され、面談時間の確保は後回しにされることもあるので、面談の時期が近づいてきたら、早めにフィードバックを受けるスタッフ(部下)ともスケジュール確認を行いましょう。
また、上司が多忙だからといって、面談の時間を定時以降に設定したり、深夜の時間帯に面談を行うなどすると、上司の印象を悪くすることになり、部下のモチベーションも下げることに繋がるので避けるようにしてください。
3-2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
フィードバック面談がスタートしたら、いきなり評価結果の話を始めず、ちょっとした場を和ませるためのアイスブレイクを行います。
フィードバックを受ける側は、言い渡される結果について不安に思い、緊張していることもあるので、趣味の話、ペットの話(好きな動物)、好きな食べ物など、回答に詰まることがないような気楽な話題で場を温めてください。
3-3.部下に自己評価の報告をさせる
場が温まったら、まず最初に部下の自己評価の報告を受けます。
評価結果を先に伝えてしまうと、その内容に影響され本心を話してくれなくなったり、言い訳などの自己弁護を始めてしまうタイプの人もいるので、まず先に自己評価について聞くようにしましょう。
聞き方は、部下の顔をときどき見ながら適度に相槌を打つなどして、できるだけ話しやすい雰囲気を心がけましょう。
書類に目を落としたまま黙々と聞くような態度では、充分に話をしてもらえません。途中で口を挟みたくなったらいったんメモをとるなどして対処し、報告を遮らないように気をつけてください。
3-4.評価結果の報告を行う
自己評価の報告が一通り終わったら、最終的な人事評価結果を伝えます。部下のモチベーションを下げないよう、伝える順番に気を配りましょう。
①まず褒めるべき点、プラス評価だったところを具体的に伝える
②自己評価と一致していたマイナス評価を伝える
③自己評価とギャップがあったマイナス評価を伝える
部下が受け入れやすい評価からスタートし、最後に部下が受け入れづらい評価を報告します。
①はできるだけ具体的に、厚みを持たせて報告することで、マイナス評価を受け入れやすくします。
②は自分ですでに気づいているマイナス評価なので、さらっとした報告でかまいません。③の報告が一番慎重に行う部分です。
どこがマイナスに傾いてしまった要因なのか、部下が理解・納得できるよう、その根拠を具体的事実や事例を使って、詳しく説明するようにしましょう。
なぜこの評価なのか?納得がいかず、部下から質問があった場合にも、客観的な評価だったことを理解してもらえるように、具体的な事実や数値なども出して回答できればベストです。
また、プラスの評価とマイナスの評価を伝える際に、急に口調や態度が変わることがないように気をつけてください。
3-5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
部下がプラスの評価もマイナスの評価もある程度納得したところで、今期の評価結果から浮かび上がった課題を明らかにし、その解決方法や来期の目標設定について話し合いを行います。
ここで重要になるのは、上司が部下の課題の解決方法を考えて、それを実行するように押し付けたり、勝手に目標を設定しないようにするということです。
あくまでも、部下が自発的に課題の解決方法を考えるように促し、目標設定についても部下本人の意思を尊重するようにしてください。
フィードバック面談は、上司が部下にお説教をする場ではありません。部下の成長を見守りながら、部下の望みを理解し、部下に対して気づきを与えるようなアドバイスをすることを心がけてください。
3-6.面談のまとめを行い終了する
課題の具体的な解決方法や目標設定が決まり、来期に向けたポジティブな雰囲気になったところで、今回の面談の結果を上司・部下共にまとめて終了となります。
くれぐれも、部下が評価結果に納得できない状態のままで終了することがないよう、最後に上司から部下に対してきちんと納得できたかどうか確認するなどして、必ず双方が円満な状態で終了するようにしてください。
4.フィードバック面談で気をつけたい4つのポイント
最後に、フィードバック面談で気をつけたい4つのポイントをご紹介します。
・日頃からコミュニケーションを取って信頼関係を築いておく
・評価の根拠をしっかりと話す
・部下のモチベーションを下げない伝え方をする
・高圧的な態度は厳禁
フィードバック面談は部下と上司が1対1で顔を突き合わせて行うものですから、いい意味で緊張感を保ちながら、場の雰囲気はできるだけ温かくなるように気をつけてください。
4-1.日頃からコミュニケーションを取って信頼関係を築いておく
常日頃から部下とコミュニケーションをよく取るようにして、信頼関係を築いておくことは、フィードバック面接を成功させる大切なポイントになります。
普段コミュニケーションを取っていないとフィードバック面談の席で双方が緊張してしまったり、なかなか打ち解けることができず、せっかくの人材育成のチャンスを潰してしまうことにもなります。
日頃から部下の仕事・業務をよく見ながら、軽い世間話をするくらいの間柄になっているほうが、フィードバック面談もスムーズに行えます。
4-2.評価の根拠をしっかりと話す
フィードバック面談では、評価結果の内容について部下(被評価者)が納得できるよう、必ず評価の根拠を示して伝えるようにしましょう。
根拠のない評価結果だったとしたら、部下は不安になりますし、来期のために具体的にどんな行動をすればいいのかがわかりません。
しっかりと評価の根拠を示せば、会社側の評価と自己評価にズレがあった場合、なぜそうなってしまったのか本人が納得しやすくなり、次の目標設定にも活かすことができます。
4-3.部下のモチベーションを下げない伝え方をする
フィードバック面談で気をつけたいのは、伝え方によって部下のモチベーションを下げてしまう可能性があるということです。
前章の「評価の根拠」について伝えることはもちろん、よい評価結果だった部分はしっかりと褒め、よくなかった部分に対して厳しく叱責するようなことは避けましょう。
よくなかった部分に関しては、来期どう改善していくかを話し合うことで、きちんと改善点に向き合いながらも、モチベーションの低下を防ぐことができます。
4-4.高圧的な態度は厳禁
当たり前のことですが、高圧的な態度でフィードバック面談に臨むことは避けましょう。
フィードバック面談は、課題解決の道筋を上司と部下が共に考える場であり、上司と部下の信頼関係を深める場でもあります。
部下は評価結果を聞くという状況に不安感を抱いたり緊張もしているはずです。できるだけ、やわらかい雰囲気の場を作るように準備をしておきましょう。
5.まとめ
フィードバック面談は、部下のモチベーションを高め人材育成の場として非常に有効なので、的確に行うことで、組織や事業にとっても大きな貢献を果たします。
ここで、フィードバック面談の流れについて復習しておきましょう。
1.準備を行う(面談の流れの確認、スケジュール・面談場所の確保等)
2.場を温める(簡単にアイスブレイク)
3.部下に自己評価の報告をさせる
4.評価結果の報告を行う
5.課題の共有を行い、課題解決に向けた打ち合わせを行う
6.面談のまとめを行い終了する
フィードバック面談を成功させるには、事前の準備をしっかりすることが非常に重要です。
単なる評価結果を伝えるだけの場で終わらせず、来期に向かってしっかりと課題解決の方法を考えたり、目標設定を行う場として有効に活用してください。
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