モチベーションマネジメントで組織を活性化!理論・施策・成功例を紹介

「ここ数ヶ月自社製品の売上が伸び悩んでいるうえ、社内に活気が感じられない。社員の仕事へのモチベーションが下がっているのではないか」

あなたはこのような疑念を抱いて、当サイトにたどり着いたのではないでしょうか?

活気が感じられない職場は嫌なものですね。

やる気のなさが満ちている職場に良い業績など望むべくもありません。

 

この記事では、社員のモチベーションをどうしたら維持・向上させられるか、その施策、代表的なモチベーション理論の概要、モチベーションマネジメントの成功例をご紹介します。

従業員のみなさんがやりがいを持って生き生きと仕事に取り組めるような環境づくりをお手伝いできれば幸いです。

 

1. モチベーションマネジメントとは

モチベーションマネジメントとは、社員が高いモチベーションを持って仕事に取り組めるように、企業が行う施策・管理のことです。モチベーションとは「行動を起こす際の原動力になる動機」のことで、この動機には大きく分けて「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の2種類があります。

 

1-1. 内発的動機づけ

内発的動機づけとは「仕事に対する興味や関心により社員自身の心の中から湧き出るモチベーション」を指します。自己成長や自己実現に向けたモチベーションなので、会社からの強制ではない資格の勉強を自主的にするといった社員が自らやりたいと考えて行動するものが該当します。

内発的動機づけでは仕事をすること自体が目的になるので、高い集中力が発揮され、質の高い行動を自発的に長く続けることができます。

1-2. 外発的動機づけ

外発的動機づけとは「目的意識から発生するモチベーション」のことを指し、外部からの働きかけにもとづく動機づけです。例えば「家族を養うために働く」「評価されたいから頑張る」といったものが該当します。

昇給や昇格などで個人の実績を正しく待遇に反映できるシステム(人事評価)があれば外発的動機づけを短期的に維持することはそれほど難しいことではありません。しかし、長期的に見れば外発的動機づけのみでモチベーションを維持することは難しいとされています。

企業において最も理想的な状態は、従業員一人ひとりが内発的動機づけを高い状態で維持することです。しかし現実的には、内発的動機づけだけでは不十分で、モチベーションをマネジメントするためには、従業員の内発的動機づけを維持しつつ、内発的動機づけを生み出すきっかけとして外発的動機づけを活用することが大切になってきます。

 

以下、具体的な人事施策を見ていきましょう。

 

2. 従業員のモチベーションを向上させるための人事施策4

こちらでは従業員のモチベーションを向上させるための具体的な人事施策について紹介します。

 

2-1. 適切に人材を配置する

適切に人材を配置するとは、事業や組織のニーズに対して人的資源の最適化を実現することです。社内の人間関係がスムーズにいくように、また、組織を構成するメンバー同士がお互いにモチベーションを高め合うことができるように人材を配置します。

2-1-1. 人材配置は将来を見越して行う

人材配置で大切なのは、ある人物に対し現在の実力を基準に判断してはならないということです。なぜなら、人は日々成長するため、状況や本人の努力次第では、短期間で別人のように成長する場合もあるからです。

たとえば、仕事を割り振ったり業務分担を行ったりするときにマネージャーがメンバーの現在の実力、性格、適正などを考えながら「適材適所」を行ったとします。しかしそれは、1ヶ月後には「適材適所」になっていない可能性もあるのです。

 

ではどうすればいいのかというと、以下の手順を踏みます。

①会社やチームのビジョンを明確にする。

②①のビジョンに基づき、半年後、メンバーには「これくらいのことは達成してほしい」「これくらいはできるようになっているであろう」という目標や仮説を設定する。

③②の目標・仮説に基づき、メンバーの能力や適性は流動的と認識しながら、半年先を見通した配置を行う。

このように、現在ではなく半年後の状況を基準に人材を配置することで人材と業務のミスマッチを防ぎます

また、適正に人材を配置するためには、役割・業務分担表の作成が欠かせません。そのためには、以下の「業務の棚卸をする」「PDCAサイクルを回す」の2点を行います。

2-1-2. 適材適所を実施する方法 業務の棚卸しをする

業務の棚卸しとは、現状をすべて書き出し、重複していたり効率の悪い業務がないかどうかを洗い出す作業のことです。その作業を行う中で時間がかかりすぎている業務があるなどの問題点が見つかれば、必要に応じて分析するようにしましょう。「業務が標準化されているか」「業務量に偏りがないか」を入念に確認し、役割や業務分担を明確にした上で分担表を作成します。

2-1-3. 適材適所を実施する方法 ②PDCAサイクルを回す

適材適所はPDCAサイクルを回し続けることで実現します。

PDCAサイクルをおさらいしておくと、

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)

このサイクルを繰り返し行うことで継続的な業務の改善を促す方法でしたね。

なお、分担表に従って人材を配置した後は「社員が効率的に働けているか」「役割分担に無理はないか」を常々チェックし続ける必要があります。

先にも書いた通り、一度完成した適材適所の状態は永続的なものではありません。社員の能力は経験を積み重ねていくことで変化しますし、社員自身も成功や失敗を繰り返しながら、自分の適性ややりがいを感じられる仕事を見出していきます。

よって、人材の適材適所は人事部の独断で行うのではななく、現場の声を丁寧にヒアリングした上で行う必要があるのです。

 

適材適所を実施する流れをPDCAサイクルに当てはめると以下のようになります。

業務の棚卸をして分担表を作成する(Plan:計画)

分担表に基づき各従業員が業務を行う(Do:実行)

従業員が分担表の役割を十分果たしているか評価を行う(Check:評価)

上長の評価や現場の声を元に役割分担の見直しを行う(Action:改善)

2-1-4. ユングの性格分類(内向型・外向型)を活用した人材配置

適材適所は心理学の考え方からアプローチする方法もあります。人間にはさまざまな個性があるため、ある程度タイプを分けられるでしょう。

スイスの心理学者ユングは人間の性格の傾向を「外向型」か「内向型」のどちらかのタイプに分けられると考えました。

外向型:外の世界に関心が向くタイプ

内向型:自己の内面に関心が向くタイプ

この二つの型の傾向をわかりやすく説明すると、外向型の人は、人との交流で心的エネルギーを補充するのに対し、内向型の人は、一人で自分の興味のあることをしている時に充実感を感じるという違いがあります。

この外向型・内向型に基づいて適材適所を考えます。

外向的な人は、人と話したり励ましたり、その場の雰囲気づくりが得意です。そのため、接客のほか、チームをまとめたり、人を指導したりする仕事など、人と関わる仕事が適所と言えます。

内向的な人は、的確な分析が得意です。この場合、総務や会計の責任者、システム開発といった、後方で自分の裁量のもと働く仕事が適所と言えるでしょう。

こういった性格傾向を参考に人材配置をするのも良いでしょう。

2-2. 人事評価制度を充実させる

人は誰でも自分の能力や会社への貢献を評価してもらいたいもの。それにより仕事へのモチベーションは向上します。そこで、こちらではモチベーションマネジメントに役立つ人事評価制度を紹介します。

なお、人事評価制度は、現場で働く社員の働き方の方向性などが変わり、企業全体に大きな影響を及ぼす可能性があるため、事業や経営環境、戦略などによって適切な評価制度を選ぶことが大切になってきます。

主な評価制度には、

①目標管理(MBO

②360度評価

③コンピテンシー評価

などがあります。

企業の中には、一つの評価制度だけでなく複数の評価制度を組み合わせて運用しているところも多く見られます。それでは、一つひとつこれらの内容を確認していきましょう。

2-2-1. 目標管理(MBO

経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した目標管理(MBO)は、組織貢献と自己成長の両方が達成できる個人目標を設定させ、その達成度で評価を下す人事制度制度です。ちなみにMBOは、Management By Objectivesの頭文字です。

目標管理制度は、社員一人ひとりの目標を、経営目標や部門目標と連動させることによって、業績アップを目指すもので、具体的な項目は次の4つです。

能力開発目標

職務遂行目標

業務改善目標

業績目標

期間終了後に上記につき自己評価と上長評価を行い、それにより次期の課題を明確にして目標を達成します。

ここで注意したいのは、目標管理制度は一方的に決められた目標の達成を促すものではないという点です。社員が自ら設定した「自分にとって望ましい目標」を、上司がその適正度を確認して組織目標とリンクさせながら、達成に向けてサポートしていくというマネジメント方法です。

目標を設定する際に大切なのは、今のままでは難しくとも、創意工夫により達成可能な程度とすることです。今できることの範囲内で目標を設定したのでは、たとえ達成したとしても成長にはつながりませんし、達成が難しすぎたら逆に挫折感を与えかねません。

目標管理制度について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

2-2-2. 360度評価

360度評価とは、一人の対象者に対して上司だけでなく複数の人が評価を行う方法です。

360度評価の目的は、

・公平な評価を行うため

・社員のモチベーションアップ

以上の二つです。

上司が部下を評価する従来の単独評価の場合、上司の部下に対する好き嫌いなどの感情によって評価軸がブレますが、360度評価では、立場の違う複数の評価者が評価を行うことで評価対象者に関する評価の公平性や客観性を実現することできるので、単独評価のデメリットを補完することになります。

この公平性や客観性が評価の説得力を増すので、社員の納得度も上がり、モチベーションアップにつながることが期待できます。

360度評価についての詳細はこちらをご覧ください。

2-2-3. コンピテンシー評価

コンピテンシー(competency)とは、高い業績を上げる人材の行動特性のことでです。コンピテンシー評価は、具体的な行動傾向を重視する評価方法で、知識や技術そのものよりも、スキルを使ってどのように成果を生み出しているかという行動を評価基準とします

 

従ってスキルは、

・感情に動かされることなく、落ち着いて物事に動じない

・メリット・デメリットを考え、注意深く行動する

・自己の足りない部分や知識・技能を、自ら積極的に取り入れている

・どんな状況、問題でも時機を逸することなく意思決定している

などと具体的な行動傾向で表現します。

被評価者は「どんな行動が足りないのか/足りているのか」を具体的なかたちで知ることができるため、評価内容の理解と納得がしやすくなります。評価への不満が減るため、仕事のモチベーションが上がり、離職率が低下することも期待できます。

コンピテンシー評価についての詳細はこちらをご一読ください。

2-3. 企業方針を社員と共有する

経営者と社員が企業方針の共有を十分に図ると、社員のモチベーションは向上します。

経営者や管理職と社員では、企業方針に対する視点が異なります。経営者にとっては当然なことも、期待するほど社員の理解は進んでいないということはよくあることです。

そこで、社員一人ひとりの仕事が会社全体にどう役立っているのか、会社の存在意義、自分や自分の会社は社会にどれだけ貢献しているのかといった企業方針に関わる情報を、経営者と社員はあらゆる機会を捉えて積極的に共有することが大切です。自分の仕事が会社全体、そして社会とどのように関わり合っているのかを十分理解することで、業務に能動的に取り組むことが可能になります。

2-4. 金銭以外のインセンティブを導入する

昇給など金銭による評価はもちろんモチベーションアップに効果的ですが、それ以外に、金銭以外のインセンティブの導入も有効です。

たとえば、上司は部下に対して以下のような言葉をかけるようにします。

 

ある業務についてねぎらいの言葉をかける

例:「このプロジェクトは◯◯さんが最大限努力してくれたおかげで実現できた。ありがとう」

 

今後の期待値を伝える

例:「次はより大きいプロジェクトの責任者になってほしい」

 

本人の希望に沿うような仕事を任せる

例:「以前やりたいと希望を出してくれていた仕事を任せます」

 

このような上司の言葉は、部下を励まし、仕事へのモチベーションを高めることが期待できます。

 

3. 代表的なモチベーション理論

モチベーション理論とは、人がやる気を出す理由や動機づけのきっかけなど、モチベーションの低下や向上につながる要因の研究から生まれた理論です。モチベーション理論を理解しておくとモチベーションが下がる原因への対策に役立ちますので、その代表的なものを確認しておきましょう。

3-1. マズローの5段階欲求説

マズローの5段階欲求説は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したもので、人間の欲求には5段階あるとしました。

低 生理的欲求(食事や睡眠といった本能的な欲求)

  安全欲求(安全で安心な暮らしがしたいという欲求)

↓ 社会的欲求(仲間が欲しい集団に所属したいという欲求)

  承認欲求(他人から承認されたり尊敬されたいという欲求)

高 自己実現欲求(自己の能力を発揮することでより成長したいという欲求)

この5つの欲求はピラミッド状になっており、生理的欲求がピラミッドの一番下で、自己実現欲求が一番上にきます。そして、低層階の欲求が満たされるとより上層の欲求を満たそうとするという理論です。

この理論はのちに「欲求は必ずしも段階的に高次化していくものではなく、段階を飛ばしていくこともある」などの批判を受けましたが、5段階欲求説のポイントは、人の欲求は全員同じではなく、それぞれが置かれた環境によって変化する、というモチベーションマネジメントを行う際の枠組みになったことです。

社員のモチベーションを向上させるためには、一律的なやり方ではなく、社員それぞれの環境や経歴、立場などを考慮に入れて、各人の満たすべき欲求を見極めることが重要であるということを、マズローの5段階欲求説は示しています。

3-2. マクレランドの欲求理論

アメリカの心理学者マクレランドが提唱した欲求理論では、行動の原動力となる人間の欲求には以下の4つがあるとしました。

 

達成欲求

成功によって得られる報酬よりも何かを成し遂げることによる達成感やより成果を残したいという向上心を求める欲求のことで、自分が行ったことに対して迅速なフィードバックがなされることでモチベーションがアップします。

 

権力欲求

他者に影響力を及ぼしコントロールしたいという欲求のことで、この欲求が強いタイプは責任を伴う仕事を好み、地位や身分が重視される状況を求める人材です。責任を与えられ、他の人に認められることでモチベーションが上がります。

 

親和欲求

周囲の人々と友好的な関係を築きたいと願う欲求です。この傾向が強いタイプは、他者から好かれたい、信頼を得たいという願望があり、人のために役立とうと努力する特徴がありますリーダーよりもサポート役の方が向くタイプです。人間関係を良好にするような役割を与えるとモチベーションが上がります。

 

回避欲求

失敗を恐れて困難な業務を避けようとする欲求です。こうした欲求が強いタイプは、率先して行動するよりも周囲の出方を見ながらそれに合わせて行動する傾向が見られます。失敗してもリスクがないことを伝えたり、周囲の人と同じ仕事をさせることでモチベーションが上がります。

 

もちろん全ての人をこの4類型に分けられるわけではありませんし、ある特定の場面では複数の欲求が働く場合もあります(例えば、大切な会議にのぞむ時には「成功させたい」という達成欲求と「できればやりたくない」という回避欲求が働くなど)。

しかし、この理論がモチベーションマネジメントにおいて重視されているのは、人の欲求を4つのタイプにわかりやすく分類し、管理者が部下のモチベーションを向上させるための行動指針をシンプルに提示することを可能にしたからと言えるでしょう。

 

4. モチベーションマネジメントの成功例3

こちらでは、モチベーションマネジメントに取り組んだ企業の成功例をご紹介します。自社に合ったモチベーションマネジメントの施策を検討する際のヒントとしてお役立てください。

 

4-1. 資生堂:カンガルースタッフ制度で育児支援

資生堂の「カンガルースタッフ制度」の目的は、仕事と子育ての両立支援です。マズローの欲求5段階説に則って言うと「安全欲求」を満たす施策となります。

カンガルースタッフ制度とは、全国の子育て中の美容部員を対象に、子供のお迎えや夕食の準備などのために早めに退店した後の不在時に、代わりにカンガルースタッフと呼ばれるスタッフがお客様の対応や店頭での後方業務を行うというシステムです。

カンガルースタッフは、自身の整容、接客におけるマナー、美容に関する基礎知識やスキンケア、メーキャップを中心としたスキルなどを取得するために約100時間の教育を受講します。この教育ではお客様のお買い物のお手伝いができるレベルを目指します。

これにより、子育てを理由に美容部員が退職する率が低下し、結果的にコスト抑制につながることが期待されています。

4-2. 小林製薬:ホメホメメールでやる気がアップ

小林製薬の「ホメホメメール」は、賞賛に値する行動をとった従業員に対して、社長が「どこが良かったのか」を具体的に書いたメールを直接従業員に送り、その仕事ぶりを讚える制度です。マズローの欲求5段階説に則って言うと「承認欲求」を満たす施策となります。

ホメホメメールの対象となる行動は社長自身が日頃の業務の中で見つけており、社長から心のこもった言葉で賞賛されることで、従業員のモチベーションアップにつながっています。また、メールの内容はグループ報でも紹介され、「主体性を持って挑戦した人は、どんどん誉める」という経営姿勢を全社に示し、現場で主体性のある行動を取るよう促すことに役立っています。

4-3. サイボウズ:育自分休暇制度でスキルアップ

サイボウズの育自分休暇制度の目的は、自分を成長させるために転職や留学などを希望する人にそのチャンスを与えることです。マズローの欲求5段階説では「自己実現欲求」を満たす施策と言えます。

35歳以下で、転職や留学など環境を変えて自分を成長させるために退職する人が対象となっており、最長で6年間は復職が可能です。

6年間もあれば、長期的なプランを実現することができます。実際この制度を利用して、青年海外協力隊に応募し、アフリカで2年間のボランティアにチャレンジすることを実現した社員がいます。復職できる場が確保できていると安心してやりたいことに集中できると制度利用者には好評なようです。

これ以外にもサイボウズでは様々な「多様な働き方を実現させる」施策を行っていますが、その成果は離職率が28%から45%にまで低下したことにも現れています。

 

5. まとめ

この記事では、社員のモチベーションを維持・向上させる方法、その施策、代表的なモチベーション理論の概要、モチベーションマネジメントなどをお伝えしてきました。

 

モチベーションを維持・向上させるための施策は以下のようなものでした。

①適切に人材を配置する

②人事評価制度を充実させる

③企業方針を社員と共有する

④金銭以外のインセンティブを導入する

これらの施策をより効果的なものにするためには、ご紹介したモチベーション理論のことも考慮に入れて検討するようにしてください。

 

この記事が、あなたの会社のモチベーションマネジメントのお役に立ち、結果的に従業員のみなさんが生き生きと働ける職場を実現できれば幸いです。