
コミュニケーションがほとんどない職場では、自分の意見を発言しにくい人もいます。そこで重要になるのが上司などリーダーシップがある存在です。
自社の成長には職場内におけるコミュニケーションの阻害要因を除去したり、部下を適正に評価したりといったことが大切です。
本記事ではコミュニケーションの重要性などについて説いた心理的安全性に注目し、それを高めるために重要なリーダーに焦点を当てて解説します。
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1.なぜ心理的安全性が注目されているのか?
日本は少子化問題によって人材不足に悩まされているのが現状であり、企業が選ぶ側から選ばれる側へと変化しています。また、入社後3年以内に離職してしまうケースも多く、その理由のひとつとして挙げられているのが対人関係です。
特に、大企業になるほど従業員数が多いことから対人関係に悩む人が右肩上がりになる傾向があります。つまり、離職率の低下を目指すのであれば、対人関係を改善することは重要であるといえるでしょう。
離職者が多いことから人材の育成が進めにくい
前述したように、少子化問題による働き手不足のうえ、離職者が多いので人材の育成がスムーズに進められない点も心理的安全性が注目されている背景にあります。せっかく新入社員の育成を行っても、活躍してもらえるようになった頃に離職されるケースも珍しくありません。
厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果」によると、入職率が13.9%、離職率が14.2%でした。離職率が入職率を超過しており、労働条件や定年退職などを除外すると、対人関係が好ましくなかった点が離職理由として多いです。
心理的安全性が高い職場ではコミュニケーションがしっかりとられていたり、適正な評価がされていたりすることがわかっており、従業員のモチベーションアップにもつながっています。
そのため、心理的安全性に注目し、自社の課題改善を行っている企業が増加しています。
Google社が行った「プロジェクトアリストテレス」
2012年から4年間、Google社が「プロジェクトアリストテレス」という一大プロジェクトを行いました。
成功を継続しているチームの条件を探るためのプロジェクトなので、その名には「全体は部分の総和に勝る」という名言を残した哲学者アリストテレスの名がつけられています。
こちらは「生産性を高めるために有効なのはどのようなチームなのか」を模索し、定義づけることを目的に実施されたものです。プロジェクトを終了した際に発表された結果は、世界中の企業に影響を与えました。
Google社は常に成功をしているチームはメンバー同士がお互いに信頼し合い、チームの目的や計画が明確化していると発表しています。
また、メンバー全員が仕事について自分の役割に意味があると感じ、誇りをもって貢献しているという実感があることもわかりました。そして、そうするためには心理的安全性が重要であると結論づけています。
このことから、さまざまな企業が心理的安全性の向上を高める対策を自社に取り入れるようになりました。
テレワークの普及によるコミュニケーション不足
日本では全国的にテレワークを導入する企業が増加傾向にあります。たとえば、東京を例に挙げると、従業員30人以上でテレワークの導入・実施をしている企業は、2021年12月時点でおよそ57.2%です。過去1年で実施率が増減しているものの、約6割の企業が取り入れています。
テレワークは働き方の多様性や効率という意味で非常に良い効果がありますが、一方で職場内でのコミュニケーションが減少するのが問題です。人は表情を見てある程度の感情を読み取りますが、テレワーク上では直接顔を合わせるよりそういった点が難しくなります。
このようにテレワークの実施に伴う課題の改善対策として心理的安全性が注目されている部分もあるといえるでしょう。
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2.心理的安全性が高いことでチームに与える影響とは
心理的安全性が高いチームにはさまざまなメリットがあります。具体的にどのような影響があるのか、4つの点について見てみましょう。
チームメンバーのパフォーマンスが向上する
心理的安全性が高いチームはメンバー同士に信頼関係が生まれ、誰もが平等に発言・相談しやすい状態です。
必要なときには周りに仲間がいて安心感があるので、わからない点について質問したり、ミスをしたときにアドバイスを求めたりなども躊躇する必要がありません。
そのため、チームの課題解決力がアップして何かあった際にも早期解決につながります。また、意見を言いやすい環境なので、メンバー同士で情報が共有しやすくなる点もメリットです。メンバーのパフォーマンスの向上は自社の利益アップにも良い影響を与えます。
コミュニケーションが活発になるので新しいアイディアが生まれやすい
信頼できるメンバーに対しては自然と親しみが生まれやすくなることから、チーム内のコミュニケーションが活発になります。これは単に休憩中のコミュニケーションが増えるだけではなく、会議などでそれまでにはなかった角度からの意見も出やすくなるという意味です。
ほかのメンバーと同意見ではないからと否定されるのではなく、受け入れてもらうことができます。そのため、情報収集量やアイディアが増えて、新たな商品・サービスの開発のヒントにすることも可能です。
チーム内のエンゲージメントの向上
居心地が良い職場環境が出来上がるため、離職率の減少が期待できます。メンバーの離職がなくなれば、新しいメンバーの加入でチーム内の仕切り直しが不要となり、信頼関係のなかで各自のスキルアップも目指すことが可能です。
モチベーションを下げる阻害要因がなく、適正な評価もされる環境において自身の役割をあらためて自覚し、責任感が生まれると同時に自社への満足度や愛着も高まります。
ハラスメントのリスクが低下する
優秀な人材を育成できる環境も整うため、必要に応じて新しいチームを編成するのも良いでしょう。その際、心理的安全性が高い職場であれば上司から部下、あるいはメンバー間におけるハラスメントに関するリスクも低下します。
新しいチームはまだお互いのことが十分理解できておらず、メンバー間のトラブルが起こりやすいです。しかし、心理的安全性が高い職場は従業員同士がコミュニケーションを活発に行っているので、チーム内で納得できないことがあったときにも争いではなく、お互いの意見を尊重し合うことができます。
一方的な結果ではなく、メンバー全員が納得したうえで進行できるため、ストレスを抱えにくくなるのも良い影響といえるでしょう。
3.職場の心理的安全性の改善は戦略的に行う必要がある
職場の心理的安全性を高めることは、1度に進められるものではありません。環境を整えるために、段階をつくって進めていく必要があります。
従業員全員が発言しやすい環境づくり
日本の企業では、ピラミッド型組織が一般的です。簡単にいえば、立場の上下がはっきりしており、上の立場に対して本音と異なる意見であっても同調するなど、自分の意見が言いにくい構造です。また、チーム内でも積極的あるいはスキルが高いといった特定人物の意見が優先される傾向があります。
さらに、人にもよりますが、自分以外のメンバー全員が賛成しているときに自分だけが反対したり、異なる意見を言ったりすると仲間はずれにされてしまうのではという不安から発言できない人もいるようです。
これでは「チーム」の意味がなく、偏った意見ばかりが採用されてしまいます。また、新たな発想が生まれにくく、自社の成長につながりません。従業員全員が平等に発言できる環境づくりは、早期に行うべき内容です。
多様性の受け入れ準備と実行
自社の成長につなげるという意味では、人材の多様性も必然となってくるでしょう。日本では協調性が重要視されており、実際にそれも大切なものです。しかし、組織においては幅広い視野でものごとを見る必要があります。
人材においてもそれは同じで、ほかの人にはなかった視点からの発言がきっかけで気づかなかった課題やアイディアにつながることも珍しくありません。そのため、自分とは異なる意見や考え方をする人材を否定するのではなく、ひとつの個性として受け入れる姿勢を持つための教育が必要です。
競争より共創を
従業員が目標を立て、それに向かって努力をすることでスキルアップにつながります。なかには、ほかの従業員に対してライバル心を持ち、競争して気持ちを奮い立たせる人もいるでしょう。
しかし、競争心のほうが強まると情報共有、意見交換などが疎かになってしまう可能性があります。また、弱みを見せたくないという気持ちからわからないことを放置したり、ミスを隠したりする場合もないとはいえません。
このような行為は従業員にとっても自社にとってもマイナスにしかならず、心理的安全性が低い状態です。
自分なりの目標は持ちつつ、協力し合うことを重要視する環境をつくりましょう。「1本の矢は簡単に折れても、3本の矢がまとまれば簡単には折れない」とたとえられることがあるように、個人でできないことでも、協力することで達成できる可能性が高まります。
4.心理的安全性をあげるためにリーダーがすべきこと
職場の心理的安全性を高める鍵はリーダーシップをとる人物、たとえば、職場全体では上司、チームであればリーダーの存在です。
リーダーは組織をまとめるという役割がありますが、心理的安全性を高めるにはそのリーダー自身も自ら変えていくべきことがあります。こちらでは、リーダーがすべきポイントについて解説します。
親しみのある人物になる
リーダーが尊敬できる人物というのは理想的ですが、「尊敬できる人物であっても近寄りがたい存在であってはならない」と意識することが大切です。
心理的安全性が高いチームや職場の基本として、コミュニケーションが活発である点が挙げられています。部下のほうから気軽な話題を振りにくい場合もあるため、リーダーや上司から仕事以外の会話でコミュニケーションをとるのもひとつの方法です。
また、朝一で職場に到着したときに挨拶をするのも良いでしょう。大切なのはリーダーも含めて、コミュニケーションがとれている職場・チームであることです。
わからないときはわからないと伝える
「リーダーであるからには部下にとって完璧でなければ」と考えてしまうかもしれませんが、何でもできる完璧な人間はいません。パーフェクトに見える人物であっても、陰で努力した結果であることも多いです。「親しみがある人物になること」にもつながりますが、会話のなかでわからないことがあったときは、素直に「わからない」と伝えることが大切です。
また、経験を積んでいてもミスをするときがあることを示すのもポイントになります。リーダーにもそういった部分があるとわかれば、部下も素直に自分の弱みをさらけ出し、互いにサポートし合う環境が整いやすくなるからです。
相手を受け入れている姿勢を見せる
相手が発言しているときにはきちんと話を聞いていることが目に見えてわかるようにする、誰かの意見が出たときにメンバーにも意見を求めるなど相手を受け入れている姿勢を見せることは非常に重要です。
話を聞いている姿勢とは、たとえば、相手が発言しているときにほかの作業をしながら聞かない、必要であれば質問したり、なるほどと相槌を打ったりすることが挙げられます。
指示をするときにはできるだけ具体的に
信頼関係が生まれると「言わなくてもわかるだろう」という気持ちから、細かな部分まで説明や指示をしない人もいます。しかし、相手の気持ちは直接言葉で聞かなければわからないのと同じで、指示もできる限り具体的にしたほうがより正確に実行することが可能です。
具体的な指示をされてもわからない部分があれば、相手もピンポイントで質問しやすくなるため、業務の効率アップにつながります。
5.心理的安全性を改善する施策
心理的安全性を高める鍵はリーダーにありますが、組織全体として取り組むことも大切です。そこで、こちらでは具体的にどのような方法で心理的安全性を高められるのかを紹介します。
情報共有・開示を積極的に行う
組織内で情報を共有し、必要に応じて開示するが大切です。たとえば、従業員から集められた意見がどのように活用されているのか、部下の評価がどのような基準で行われているのかなど情報の透明化をするのもひとつの方法でしょう。
不安はネガティブな感情を生みやすいので、従業員がモチベーションを維持したまま業務に取り組めるように工夫することが重要です。
定期的な1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司・リーダーと部下が1対1で行う個人面談のことです。ほかのメンバーがいないところで本音を聞き、アドバイスをする1on1は信頼関係の構築にぴったりの施策といえます。
ポイントは上司ではなく、部下がメインとなって話をすることです。部下全員に対して同じ時間を使ってミーティングを行うことで、メンバーの自己肯定感を高め、孤独感の抑制につながります。
ピアボーナスやピアラーニング
ピア(peer)とは同僚、仲間のことです。つまり、ピアボーナスとは同僚がある人物に対する評価として、ポイントなどの報酬を送ることができる制度、ピアラーニングは同僚同士でお互いに協力しながら学習し合う制度を指します。
ピアボーナスについては専用のツールなどがあるのでそれらを活用して情報開示することで、モチベーション、エンゲージメントの向上につながる点が良いところです。
目標達成が可能なチームの構築
自社が成長をするために欠かせないのが、成果に導くことができるチームです。そのため、チームの構築(チームビルディング)も必要な施策といえるでしょう。
メンバー同士の協力が必須となるゲームやワークショップなどをとおして相互理解、相手を尊重することなどを学べます。また、コミュニケーションが活発になると信頼関係が生まれますが、それによって「ミスをしても誰かがカバーしてくれる」「言わなくてもわかってくれるだろう」といった油断が生まれやすいので注意が必要です。
目標やルールを設定し、それらを基本として動く体制をつくりましょう。
専門家のサポートを受ける
心理的安全性を高める際にピアボーナスを導入する場合、それを実行するシステムが必要になります。
自社で用意できるならば問題ありませんが、それが難しいときには専門家のサポートを受けるのも良いでしょう。ピアボーナスに特化したツールなどもあるので、そういったものを活用するのもおすすめです。
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6.特におすすめなのはUnipos(ユニポス)
心理的安全性を高める施策として、ピアボーナスに注目して組織改革を行うサービスを利用するのもひとつの方法です。
たとえば、従業員に対する賞賛・感謝を目に見える形で評価できるピアボーナスに特化した「Unipos」を導入する企業が増加しています。ピアボーナスがホスト型アプリ(SaaS)で導入できるサービスです。
実際に導入した企業も多く、たとえば、テレワークで見えにくい従業員の活躍を可視化したうえで、賞賛や感謝の気持ちがあふれる企業を目指したところがあります。こちらの企業では従業員の過半数が導入に満足しているという結果を得ており、実際に導入時の目的が達成されているとのことです。
また、自社の成長のために理念を全従業員に浸透させることを目的に導入した企業では、自社内だけではなく、グループ会社も含めたコミュニケーションの活性化に成功しています。
従業員が報酬を送る相手と金額を決定できる
一般的に、従業員を評価するのは上司など立場が上の人間であるケースが多いです。しかし、ピアボーナスは同僚が仲間を評価し、報酬を送ることができます。送る際は「@名前+ポイント」という形になり、感謝のメッセージを添付することも可能です。
また、1回で送るポイント数や上限は管理者によってあらかじめ決められているため、制限なく報酬を送ることはできません。報酬はリアルタイムで相手に届くので、賞賛や感謝を伝えたいときにすぐ届けることができるのが良いところです。
スマホやチャットなどで送ることも可能
Uniposは報酬を送る場所を問いません。スマホやチャットツールなどからも送ることが可能で、チャットシステムのSlackやChatWorkと連携しておけば拍手ボタンが設置できます。
この拍手ボタンを利用すれば、報酬の送信者以外のメンバーも賞賛や感謝に賛同できます。
暗号化による万全のセキュリティ
「Unipos」における通信はすべてSSLやTLSなど暗号化され、高い信頼性がある「Google Cloud Platform」の活用、国際セキュリティ規格ISMSの認証取得などしっかりとした対策がされています。
従業員のモチベーションアップにつながる
人間は誰しもが多かれ少なかれ承認欲求を持っています。仕事で頑張った分だけ適正な評価がされ、タイムラインでほかの仲間からも賞賛されることは次の目的達成へのモチベーションアップにつながります。
心理的安全性が高いチームはリーダーの存在が重要
心理的安全性が高い職場では、リーダーの存在が重要です。組織をまとめるためには上下関係をはっきりさせることも大切ですが、部下にとって親しみがあり、何でも話しやすい存在でなければなりません。
そのため、仕事以外の会話をしたり、あえて自分もミスをすることがあると打ち明けたりと話しやすい雰囲気をつくることも大切です。心理的安全性を高めるサポートとしてピアボーナスに特化した「Unipos」を活用するのも良いでしょう。