
サンクスカードに対して「気持ち悪い」「苦痛」という反応が出るのは、社員の性格や職場の雰囲気の問題ではありません。感謝を送ることが任意でなくなった瞬間に、拒否感は生まれます。
枚数のノルマ、全社への公開、獲得数の順位づけ、人事評価との接続。このうちどれかが運用に入り込むと、感謝は業務に近づきます。
この記事では、拒否感が生まれる理由を分解したうえで、形骸化する運用の型、拒否感を前提にした設計の組み直し方、続けるか見直すかの判断基準までを整理します。
なぜ「気持ち悪い」「苦痛」と言われるのか

拒否感の多くは、感謝が任意でなくなった瞬間に生まれます。ノルマ、全社への公開、順位づけ、人事評価との接続。このうちどれかが入り込むと、感謝を送る行為は業務に近づきます。
感謝がノルマになったとき
「月に3枚は書いてください」。この一言で、感謝は締め切りのあるタスクに変わります。書きたい相手が浮かばない月でも枚数は求められるので、送る側は文面を絞り出すことになります。
そこで起きるのが、文面の画一化です。「いつもありがとうございます」「お疲れさまです」。誰に送っても成立する言葉が並びはじめると、受け取った側は何を評価されたのかがわかりません。読む価値がないと判断されれば、投稿は流し見の対象になります。送る側の負担だけが残り、受け取る側の反応は薄い。この非対称が続けば、制度への信頼は削れていきます。
もう一つ見落とされやすいのが、書き方を示さないまま「自由に書いてください」と案内してしまう運用です。文章に苦手意識のある人にとって、これは白紙を渡されるのと同じです。書けないことへの引け目が、そのまま制度への嫌悪に変わることもあります。参加率を短期的に上げるなら、強制がもっとも手軽です。ただ、拒否感を育てる方法としても効率的だという点は見落とさないようにしたいところです。
見られること、見られないこと
サンクスカードは感謝を可視化する仕組みです。裏返せば、誰に何を感じたかを全社に開示する仕組みでもあります。面と向かって褒める習慣が薄い職場では、これがかなりの心理的負担になります。「そんなものを書くのは気持ち悪い」という反応の中身は、制度への批判ではなく気恥ずかしさに近い場合もあります。
逆の立場も考えたいところです。感謝は、業務の見えやすさに引っぱられます。顧客対応や社内調整のように、成果が目に触れる仕事は投稿されやすい。逆に検査や在庫管理のように「できて当たり前」と見られる仕事は、言及されにくいままです。しかも送り合いは、同じ部署、同じ世代、同じプロジェクトという親しい範囲で完結しがちです。部署間の連携を狙って始めた制度が、既存の関係を強めるだけで終わることもあります。
ここに獲得枚数のランキングや月間表彰を持ち込むと、状況はさらに複雑になります。もともと言及されにくい仕事に就いている人にとって、順位表は「自分は評価されていない」という読み替えの材料になるからです。参加を促すために入れた仕掛けが、疎外感を強める側に働く。導入時に判断を誤りやすい部分です。
評価と混ざったとき
投稿が人事評価に反映されるのかどうか。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、社員は当然そこを疑います。上司に送っておいたほうが有利ではないか、送らない自分は不利になるのか。疑念が生まれた時点で、投稿は感謝ではなく政治的な行為に変わります。
対処は単純です。評価と切り離すなら明言する。連動させるなら基準を示す。どちらでもない状態を放置することが、いちばん不信を招きます。
費用と手間、そして効果が見えるまでの時間差

サンクスカードのデメリットは、心理的な負担だけではありません。紙なら印刷や配布の手間が、デジタルなら人数分の利用料がかかります。加えて、効果が数字に表れるまでには時間差があります。
経営層がいちばん気にするのは、効果が出るまでの空白
デジタルツールの利用料は、人数規模に応じて増えます。一方でエンゲージメントスコアや離職率といった指標は、導入した翌月に動くとは限りません。この空白の期間に「導入したのに効果が出ていない」と指摘されると、推進担当者は答える材料を持ちません。
どのくらいの期間で何を見るかは、組織の規模や運用の密度で変わります。だからこそ、導入前に「何を見て継続を判断するか」「どうなったら見直すか」を決めておくと後が楽になります。見るべき数字は後半の指標セクションで整理しました。
紙とデジタルで、負担のかかる場所が変わる
紙のカードは始めるハードルが低いぶん、続けるほど手間が増えます。印刷、配布、回収、掲示、集計。これらを毎月こなすのは推進担当者です。拠点が分かれていたり在宅勤務が混ざっていたりすると、そもそも渡せない相手が出てきます。渡せない人が増えるほど投稿は近くにいる人へ集中し、偏りが固定化していきます。
| 比較項目 | 紙のカード運用 | デジタルツール運用 |
|---|---|---|
| 始めやすさ | 印刷すればすぐ始められる | ツール選定と社内説明に時間がかかる |
| 担当者の継続負荷 | 印刷・配布・回収・掲示・集計が毎月発生する | 投稿と集計が自動化され、設計と振り返りに時間を回せる |
| 拠点・在宅への対応 | 対面での受け渡しが前提になり、離れた相手には届きにくい | 勤務場所を問わず送れる |
| 偏りの把握 | 手集計しないと見えず、気づくのが遅れやすい | 送信者と受信者の分布をデータで確認できる |
| 投稿の蓄積 | 掲示期間が終わると残りにくい | 過去の投稿を検索・参照できる |
| 費用 | 印刷費は小さいが、作業時間という見えない費用が乗る | 利用料が発生し、人数規模で変動する |
| 起きやすい失敗 | 担当者の疲弊による自然消滅 | 目的を共有しないまま導入し、投稿が伸びない |
紙が一律に劣るという話ではありません。単一拠点で人数が限られ、対面のやり取りが日常的にある職場なら、紙のほうが手触りがあって定着することもあります。分かれ目は拠点数と在宅勤務の比率、そして集計を続けられる体制があるかどうかです。
失敗する運用には型がある

失敗の原因は、制度の思想よりも運用の設計にあります。枚数を管理し始める、管理職が使わない、目的を説明しない。この3つが重なった運用は、形骸化のリスクが高い状態です。
枚数を管理し始める
いちばんよく見かける型です。枚数の目標を置くと参加率の数字は上がりますが、投稿の中身は薄くなります。しかも管理する側は未達者を追いかける役回りになるため、制度そのものが監視の道具に見えてきます。数字が良好なまま納得感だけが落ちていくので、異変に気づくのが遅れがちです。
順位づけや表彰も同じ系列にあります。盛り上げのために始めた表彰が、いつのまにか制度の中心になっていく。目的が「感謝を伝える」から「上位に入る」へずれれば、投稿の動機も変わります。立ち上げ期の一時的な仕掛けとしては機能しますが、恒常的な軸に据えると副作用のほうが目立ってきます。
管理職が使わない
「みんなで感謝し合いましょう」と号令をかけた層が、自分では投稿しない。この状態は現場にすぐ伝わります。送っていいのかどうかの判断材料がないまま、様子見が広がっていきます。管理職が関与しない制度は、現場から見れば会社が本気ではない施策です。
目的を説明しないまま始める
何のために導入するのかを共有しないまま案内が回ると、社員は空いた解釈を自分で埋めます。評価のためではないか、離職対策の一環ではないか、経営陣の思いつきではないか。目的の説明は、投稿を増やすための施策ではなく、疑念を減らすための前提条件です。この構図は、感謝の可視化に限りません。日阪製作所は経営理念を刷新する際、社内からメンバーを公募して「理念体系構築プロジェクト」を立ち上げました。代表取締役社長の宇佐美俊哉氏は、経営層が一方的に決定してトップダウンで発信する方法では、現場の社員への浸透は難しいと述べています。企画段階から社員が関わり、「自分ごと」として受け止めてもらうプロセスが必要だったとのことです。感謝の可視化も同じ構図に置かれやすい施策です。
出典:UNITE powered by Unipos「創業80年、はじめての経営理念刷新。「社員主導」が成功の鍵」 https://unite.unipos.co.jp/3667/
放置した先に起きること
これらを放置すると、投稿は形式化し、参加者は二極化し、最後に推進担当者が疲弊します。投稿が一部の社員に集中すると、書き続けている人が「自分ばかりやっている」と感じて離脱します。中心にいた人が抜けたあとの落ち込みは急です。
担当者も同じ道をたどります。効果を問われても示せる材料が乏しく、呼びかけと集計だけが手元に残る。廃止の意思決定を経ないまま、担当者の異動とともに制度が止まるケースもあります。
そして影響がいちばん長引くのは、次の施策に対する空気です。形骸化した制度の記憶は、「またやらされ施策か」という反応として残ります。サンクスカード単体の失敗では済まないところが、この問題の厄介な点です。
拒否感を前提に、運用を組み直す

拒否感はゼロにするものではなく、前提として設計に織り込むものです。ノルマを外して書き方の型を配り、管理職が先に送り、評価と切り離す。ここまでを最初に決めておけば、後からの立て直しはほぼ不要になります。
ノルマを外し、書き方の型を配る
枚数の目標は撤廃します。ただ、完全に任意にすると投稿は静かに減っていくので、代わりに「投稿が全員の目に触れる場所に流れる」設計を組み合わせます。送らなくても咎められないが、送れば自然に共有される。この非対称が、強制なしで参加を促す仕掛けになります。
そのうえで、書き方の型を配ります。「〇〇さんが△△してくれたおかげで、□□が実現しました」。行動と結果をセットにする形です。例文を数パターン用意して導入時に共有するだけで、書き出しの負担は目に見えて下がります。副産物として、行動が具体的に書かれた投稿は第三者が読んでも意味が通じるようになります。読まれる投稿が増えれば、書く動機も戻ってきます。
管理職と経営層が先に送る
「上が送っていないのに自分から送るのは気恥ずかしい」。この心理は、役職者の投稿でかなり緩みます。上が送っている状態そのものが、現場にとって「送っていい」という許可になるからです。効くのは導入初期で、後から取り戻そうとすると手間がかかります。
順位づけと人事評価から切り離す
枚数の順位づけは、目的を果たしたあとに副作用だけが残りやすい仕掛けです。どうしても使うなら、対象を枚数ではなく行動の中身に置くほうが無理がありません。表彰も、期間を限定したイベントに留めておくのが安全側の設計です。
あわせて、投稿が人事評価に影響しないことを明示します。ここを曖昧にしておく利点は、ほとんど見当たりません。
担当者の手間を削る
制度が続くかどうかは、担当者の負荷でほぼ決まります。印刷や集計、掲示といった作業を残したまま「盛り上げてほしい」と頼めば、いずれ止まります。投稿と集計を自動化して、担当者の時間を運用設計と振り返りに回す。ここが分岐点です。
ツールを選ぶときは、送る側と受け取る側の両方の負担を見ておくと判断を誤りにくくなります。たとえばUniposには、文章で返信する機能がありません。受け取った側が返信文を考える負担や、「返さなければならない」という心理的な負担を減らすためです。代わりに、スタンプで気軽に反応を返せます。
感謝のメッセージに少額のポイントを添えて送るピアボーナスの仕組みも、後押しとしては有効です。金額そのものより、渡すものがあるという状態が送る動機になります。ただしポイントの水準や使い道を目的と切り離して決めると、単なる原資の配布に終わりかねません。仕組みの詳細はピアボーナスとは?仕組み・導入効果・成功事例をわかりやすく解説で扱っています。
導入後に見る指標と、自社の確認手順

見るべき数字は利用率ではありません。投稿参加率、未受信率、部署横断率、投稿継続率の4つに、投稿内容と社員の受け止め方を加えて判断します。利用率が高いまま形骸化することは、十分にあり得ます。
数値で追う4つの指標
計算式は一般的な定義です。望ましい水準は、人数規模や拠点数、運用方針で変わります。外部の基準値を当てはめるより、自社の初期値を起点に推移を追うほうが実用的です。
| 指標 | 計算式 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 投稿参加率 | 期間内に1件以上投稿した人数 ÷ 対象人数 × 100 | 投稿総数と分けて見る。総数が多くても、参加者が偏っている場合がある |
| 未受信率 | 期間内に1件も受け取っていない人数 ÷ 対象人数 × 100 | 部署別・職種別に分解すると、偏りの所在が見える |
| 部署横断率 | 他部署宛の投稿数 ÷ 全投稿数 × 100 | 部署規模の差で数値が動くため、規模の近い部署どうしで比べる |
| 投稿継続率 | 前期間に投稿した人のうち当期間も投稿した人数 ÷ 前期間に投稿した人数 × 100 | 単月ではなく、3期以上の推移で判断する |
特に注意したいのは未受信率です。一度も受け取っていない人がどこに集まっているかを見ると、疎外感の広がり方がわかります。特定の職種や部署に集中しているなら、手を入れるべきなのは投稿の呼びかけではなく、その仕事が見えにくい構造のほうです。
数字に出ない2つの指標
「ありがとうございます」だけの投稿と、行動と結果が書かれた投稿は、同じ1件でも意味が違います。月に一度サンプルを抽出して、具体的な行動が書かれている割合を見てください。定型文が大半を占めているなら、型の共有からやり直す段階です。
もう一つは社員の受け止め方です。「面倒だと感じるか」「評価に影響すると思うか」。この2問を短い社内アンケートで定期的に聞くだけでも、運用のずれは検知できます。設問を増やすより、短く継続するほうが回答率は保てます。
自社の状態を確認するチェックリスト
ここまでの指標を、確認作業の形に並べ替えました。達成度を採点するものではありません。自社の状態を把握できているかどうかを確かめる目的で使ってください。右の列には、その項目を見ていないときに起きやすいことを添えています。
数字を追えているか
| 確認項目 | 見ていないと起きやすいこと |
|---|---|
| 直近1か月の投稿参加率を算出できている | 投稿総数だけを見て、参加者の広がりを見誤る |
| 上位数名の投稿が全体の何割を占めるかを確認している | 中心にいた人が抜けた時点で、投稿数が急に落ちる |
| 一度も受け取っていない社員の人数と所属を把握している | 疎外感がどこに集まっているかがわからない |
| 部署をまたぐ投稿の割合を測っている | 部署内で完結していても、成果が出ていると受け取ってしまう |
| 前月の投稿者のうち、当月も投稿した人の比率を追えている | 一時的な盛り上がりを、定着と取り違える |
中身を見ているか
| 確認項目 | 見ていないと起きやすいこと |
|---|---|
| 投稿を抽出し、行動と結果が書かれた投稿の割合を確認している | 定型文が増えても、数値の上では問題なく見える |
| 管理職・経営層の投稿状況を、一般社員と分けて見ている | 制度が現場任せになっている状態に気づけない |
運用ルールが整っているか
| 確認項目 | 残っていると起きやすいこと |
|---|---|
| 枚数のノルマや達成状況の公表、獲得枚数のランキングを廃止している | 参加率が保たれたまま、納得感だけが下がる |
| 投稿が人事評価に影響するかどうかを社内に明示している | 上司へのアピールという疑念が残り続ける |
| 書き方の型や例文を配布し、内容を更新している | 書けない人が参加をやめ、投稿者が固定化する |
| 集計や周知にかかる担当者の作業時間を把握している | 担当者の異動をきっかけに、制度が止まる |
| 導入目的を、いま在籍している社員が説明できる状態にある | 「やらされ施策」という受け取り方が広がる |
続けるか、見直すか、やめるか

判断の前に確かめたいことが1つあります。いま導入目的を社員に説明できるかどうかです。説明できないなら、指標を見る前に目的の再定義から始めます。目的が言えるなら、投稿の広がりと内容、管理職の関与、担当者の負荷という3点で判断します。
そもそも向かない状況
改善策を打っても機能しにくい状況があります。大きな組織変更や制度変更の直後は、社員の警戒感が高まっている時期です。ここで感謝の可視化を持ち込むと、本題から目を逸らすための施策と受け取られることがあります。始める時期そのものを見直したほうが無理がありません。
投稿数を評価指標に組み込む前提でいるなら、拒否感が生まれるリスクは高いままです。感謝の量と貢献の大きさは一致しないので、不公平感の温床になります。評価制度の見直しが本当の目的であれば、別の手段を検討したほうが筋が通ります。
管理職が業務過多で、投稿にも周知にも手が回らない。この状態では、制度が現場任せになります。全社一斉ではなく一部門から始める、あるいは管理職の負荷を先に調整する。選択肢は一つではありません。人手が足りず残業が続いている職場に新しい入力作業を足すことの重さも、見落とさないようにしたいところです。
判断の3軸
| 判断 | 投稿の広がりと内容 | 管理職の関与 | 担当者の負荷 | 取り得る対応 |
|---|---|---|---|---|
| 継続 | 複数部署に広がり、行動が具体的に書かれた投稿が一定割合ある | 管理職も投稿している | 集計が自動化され、作業は軽い | 運用を維持し、受け取っていない人への手当てを進める |
| 見直し | 投稿は続いているが定型文が中心で、投稿者が一部に集中している | 一部の管理職だけが投稿している | 呼びかけと集計に時間を取られている | ノルマやランキングを外し、型の共有と管理職の関与から作り直す |
| 一時停止・撤退 | 投稿が減り、内容も定型文のまま変わらない | 管理職が関与していない | 担当者の作業だけが残っている | いったん止め、目的の再定義と体制の整備を先に行う |
3つのうち2つが「見直し」に当てはまるなら、やめる段階ではありません。運用の作り直しで戻せる範囲です。逆に、管理職の関与と担当者の負荷が同時に悪いなら、投稿の数値が保たれていても継続は難しくなります。制度を支える側が抜けているためです。
止めるという判断は、失敗の記録ではありません。形骸化した制度を放置するほうが、施策への信頼を削ります。止めるときに理由を説明しておけば、条件が整った段階で再開する余地も残ります。
感謝・称賛の仕組みを定着させた企業事例
導入時に戸惑いの声があっても、運用が定着した企業の例を紹介します。公表されている導入事例から、導入前の課題、実施した施策、その後の変化を整理しました。

株式会社日阪製作所|部署を越えた接点をつくり、閉塞感を解消
日阪製作所は、プレート式熱交換器やレトルト調理殺菌装置などを手がける産業機械メーカーです。大阪府に本社を置き、2020年にUniposを導入しました。
導入前の課題は、部署間の接点の薄さでした。現場の社員は毎日同じメンバーで働きます。社員プロフィールに顔写真を登録するルールもなく、中途入社者は相手の顔と名前が一致しないまま業務を始めていました。生産管理や検査は「できて当たり前」と見られやすく、仕事の意義が見えにくいという課題も抱えていたそうです。中途入社の社員は、入社時に「閉塞感」を感じたと語っています。
2021年に経営理念を刷新し、2022年からは理念の五原則と行動指針に関するMVP投稿の表彰を開始しました。表彰の対象は、投稿枚数ではなく理念を体現した行動に置かれています。
導入から3年後のインタビューでは、拍手機能に関する声が挙がっています。ワンクリックで称賛を送れる機能で、直接やり取りのない相手とも部署や拠点を越えてつながりを感じられるという内容です。中途入社の社員は、打ち合わせの前に相手のプロフィールや投稿を確認してから臨む使い方をしています。事例のまとめとして挙げられているのは、次の点です。社員の人となりや関係性がわかることで中途社員が組織に順応しやすくなり、社内の閉塞感が解消されたこと。
出典:https://unipos.me/ja/blog/hisaka2
よくある質問
サンクスカードが気持ち悪いと言われるのはなぜですか
感謝が任意ではなく義務として扱われたときに、その反応が出やすくなります。枚数のノルマ、全社に公開される気恥ずかしさ、受け取れない人の疎外感、人事評価との関係が曖昧なことが主な要因です。制度そのものへの反発ではなく、運用の設計に対する反応として現れる場合があります。
サンクスカードを苦痛に感じる社員にはどう対応すべきですか
まず枚数のノルマを外し、投稿しないことが不利にならないと明示します。そのうえで、行動と結果を書く型や例文を配り、書き出しの負担を下げます。文章を書かなくてもスタンプなどで反応できる導線も有効です。苦痛の中身は「何を書けばいいかわからない」「自分だけ送るのが恥ずかしい」に分かれるため、どちらなのかを聞き取ってから手を打つと外しにくくなります。
サンクスカードが形骸化しているかは何で判断しますか
利用率ではなく、投稿の中身と広がりで見ます。定型文が大半を占めている、投稿者が一部の社員に集中している、投稿が同じ部署の中で完結している、一度も受け取っていない社員が多い。この4点のうち複数が当てはまる場合は、数字が保たれていても形骸化が進んでいる可能性があります。投稿参加率や未受信率を算出して、推移で確認してください。
枚数のノルマは設けてもよいですか
おすすめしません。参加率は上がりやすい一方で、定型文が増え、送る側の負担感と制度への不信が同時に高まるリスクがあります。立ち上げ期に投稿を増やしたい場合は、期間を限定したイベントや、管理職から先に送る運用のほうが副作用が小さくなります。目安を示すとしても、達成状況を管理・公表しない形に留めるほうが無難です。
紙とデジタルはどちらが続きやすいですか
拠点数と在宅勤務の比率で変わります。単一拠点で対面のやり取りが多い職場なら、紙でも定着します。拠点が分かれている場合や在宅勤務が混ざる場合は、渡せない相手が生まれるためデジタルのほうが続きやすい傾向です。判断の分かれ目は、印刷から集計までの作業を継続できる体制があるかどうかです。
サンクスカードはやめた方がよいですか
目的が共有されておらず、管理職も関与せず、担当者の作業だけが残っている状態であれば、いったん止める判断も現実的です。一方で、投稿が減っていても内容に具体性があり管理職が関与しているなら、運用の見直しで戻せる可能性があります。止める場合は理由を社内に説明しておくと、条件が整った段階で再開しやすくなります。
まとめ
サンクスカードにデメリットがあるのは事実です。効果が見えるまでの時間差、運用にかかる費用と工数、紙運用の手間、そして「苦痛」「気持ち悪い」という現場の反応。導入前に伏せておくべきものは一つもありません。
ただ、その多くは運用設計から生まれています。ノルマを外し、書き方の型を配り、管理職が先に動き、評価と切り離し、担当者の作業を削る。この5点を最初から組み込んでおけば、形骸化のリスクはかなり下がります。
それでも、時期や体制によっては始めない判断、いったん止める判断のほうが組織のためになることもあります。どれを選ぶにしても、材料は利用率だけでは足りません。投稿参加率、未受信率、部署横断率、投稿継続率、そして投稿の中身まで見て決めてください。
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