
あなたの会社は、従業員満足度(ES)を上げるための取り組みをしていますか?
「人材が定着しない」「職場の雰囲気が良くない」「残業を減らしたいのに生産性が上がらない」
このような悩みを抱えていても、具体的な取り組み方法が分からずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
人材確保が難しい現代では、従業員の定着率に直結する従業員満足度を上げることが特に大切です。大手企業では約6割の会社が従業員満足度調査を行っており、いかにESに注目が集まっているかが分かります。
従業員満足度を上げることが重要である理由は、以下のようなことが挙げられます。
・従業員満足度が低いと、すぐに社員が辞めてしまう
・そのたびに採用活動をしなければならないため、時間もコストもかかる
・従業員のモチベーションが低いため、仕事の生産性が悪い
・不満を抱えながら仕事をするので、職場の雰囲気も悪くなる
従業員がイキイキと働ける、より良い職場環境を実現するためには、従業員満足度を上げる必要があるのです。
しかし、従業員満足度を上げるためにどのようなことをすれば良いのか、ゼロから考えるのは大変ですよね。確実に従業員満足度を上げるには、実際に取り組みを行って成功した事例を真似して、取り入れていくのが間違いありません。
「職場満足度」と心理的安全性の高さは相関。心理的安全性の詳細はこちら
ここでは、従業員満足度を上げる8つの取り組み方法と、12つの成功事例を全て紹介します。
●労働時間を削減する取り組み事例 ・会議をスリム化(株式会社ストライプインターナショナル) ・アウトソーシングを活用(アディッシュ株式会社) ●ワークライフバランスを改善する取り組み事例 ・柔軟で多様な働き方(サイボウズ株式会社) ・近距離通勤支援(株式会社ラクーンホールディングス) ●社員の希望を叶える人事制度の取り組み事例 ・社内求人サイトで異動が可能(株式会社ディー・エヌ・エー) ●コミュニケーションを円滑にする取り組み事例 ・社内SNSの活用(エバラ食品工業) ・社員同士が褒め合えるツールを導入(Sansan株式会社) ●会社の方向性に共感してもらう取り組み事例 ・バリューを明文化した冊子を制作(株式会社ユーザベース) ●報酬に関する不満を無くす取り組み事例 ・評価方法の明確化(株式会社ISAO) ●給与以外で従業員を評価する取り組み事例 ・メンバーに貢献した社員を表彰(スタークス株式会社) ・ サンクスカードで「ありがとう」を見える化(株式会社富士通ラーニングメディア) ●福利厚生を充実させる取り組み ・ユニークな福利厚生制度(株式会社メルカリ) |
従業員満足度の取り組みや事例をこれほどまで一挙に紹介しているサイトは他にはないでしょう。ぜひ気になる事例だけでも読んで、あなたの会社にも取り入れられそうな施策から実行してみてはいかがでしょうか。
1.【基礎知識】そもそも従業員満足度(ES)とは?
従業員満足度(ES)についてまだ深く理解していないという方のために、簡単にESについて説明します。すでにご存知の方は読み飛ばしていただき、「2.従業員満足度をあげるには?8つの取り組み方法」、「3. すぐ実践できる取り組みは?12の企業事例」から読んでいただいて問題ありません。
1-1. 従業員満足度(ES)とは
従業員満足度とは、従業員が職場や会社にどの程度満足しているかを測る指標のことです。「Employee Satisfaction」を訳して「ES」と呼ばれています。一般的には、給与や上司との関係、会社のビジョンなど複数の視点から設問を用意してアンケート調査を行い、従業員の満足度を調査・分析します。
最近では「従業員の満足度を上げることが大切」という考え方が浸透しており、TOPIX500構成銘柄の会社では約6割の企業がES調査を実施しています(※)。
※参考:大和総研「ESG 投資で注目高まる従業員満足度の開示 」レポート
1-2. 従業員満足度を左右する主な要因
従業員満足度は、どのような要因によって決まるのでしょうか。これは、アメリカの臨床心理学者ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)によって説明することができます。
動機づけ要因(満足度がプラスに働く要因) |
衛生要因(満足度がマイナスに働く要因) |
・仕事(やりがい、適性、量、質など) ・評価(公正性、納得感、透明性など) ・処遇(ポストの納得性など) ・自己の成長(成長実感、人材育成、将来性など) |
・組織風土(職場の雰囲気、風土など) ・対人関係(上司や部下との関係、協力体制など) ・報酬水準(年収や賞与など) ・経営方針(ビジョン、経営陣、帰属意識など) ・福利厚生や労働条件(勤務時間、休暇など) |
➡充足すると満足度が上がる |
➡足りないと満足度が下がる |
この理論によると、従業員満足度に影響する要因には「動機づけ要因(満足度がプラスに働く要因)」と「衛生要因(満足度がマイナスに働く要因)」の2つがあります。
不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても満足度がプラスになるわけではなく、不満が解消されて、マイナスが減るだけです。つまり、仕事の満足感を引き出すには動機づけ要因にアプローチしなければならないと結論づけています。
従業員満足度を上げるためには、この2つの要因の違いを理解し、それぞれに手を打つことが大切です。
1-3. 従業員満足度を上げることで得られる3つのメリット
従業員満足度を上げることには、これから説明するような3つのメリットがあります。
さらに、その3つが満たされて以下のような好循環を生み出せれば、結果的には企業の業績向上につながります。
1-3-1. 顧客へのサービスの質が上がる
従業員満足度が上がると、従業員のモチベーションが上がり企業への愛着心も高まるので、必然的に顧客へのサービスの質が上がります。
嫌々仕事している従業員と、仕事に満足している従業員とでは、顧客に与える印象が違ってきます。特に従業員と顧客が直接対面するサービス業や営業系職種で、この影響は顕著に現れます。
1-3-2. 優秀な人材が定着する
従業員満足度が満たされていれば、仕事を続けたいと考える勤続意欲が高まります。反対に満足度が低ければ、より良い会社に転職したいと考える従業員がほとんどでしょう。
従業員満足度を上げることで、優秀な人材を定着させ、離職率を下げることができます。辞めてしまった人材の穴を埋めるための採用コストや時間も必要なくなり、新しいスタッフの教育も不要なので、本来の業務に集中できます。
1-3-3. 生産性が向上する
従業員満足度が高い社員は仕事に対するモチベーションが高く、よりよい価値を顧客に提供したいという意欲に溢れています。そのため、満足度が低い社員と比べて、高い生産性を持って仕事に取り組むことができます。
つまり、従業員満足度を向上させれば、一人ひとりの生産性が上がり、会社全体の生産性も上がります。
全体のレベルが上がれば周りにも次々と良い影響が伝播し、この章の冒頭で説明したような好循環が回り始めます。つまり、従業員満足度向上→顧客満足度向上→業績向上→さらに従業員満足度向上…というサイクルを生み出せるのです。
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