ノーレイティングとは?レイティングとの違いやメリット・事例を解説

ノーレイティングとは?をひと言でまとめると、

「ランク付けしない」評価制度のこと。

無理なレイティング(ランク付け)を辞めることで個々の能力や目標達成までの過程、仕事への姿勢も評価できるようになり、人事評価の不透明さが払拭できるところがメリットです。

具体的には年次での相対評価を辞めて、下記の図のようにリアルタイムでの目標設定とフィードバックを繰り返す中で社員の能力仕事に取り組む姿勢を評価します。

一方で、ノーレイティングを実施するとなると、上司が日頃から細かく部下の目標管理をしなければならないため、管理職の負担が急激に増えてしまいます。

急にノーレイティングを取り入れようとしても充分に機能しないため、メリットやデメリットを把握し、導入の検討や下準備から始めることが大切です。

そこで、この記事では

ノーレイティングとレイティングの違い

〇ノーレイティングが注目される背景

ノーレイティングのメリットとデメリット

〇ノーレイティングの導入事例

導入前に気を付けたいポイント

〇簡単に導入する方法

などノーレイティングに関わる疑問を全解説していきます。

これを読めばノーレイティングとはどのような人事制度なのか分かり、自社に導入するかどうかのジャッジができるようになるでしょう。

ぜひ、最後まで読み社員がより生き生きと働ける環境作りや人事制度の見直しに役立ててみてください。


1.ノーレイティングとは「ランク付けしない」評価制度

ノーレイティングとは、「A,B,C」などのランク(レイティング)をつけて社員を評価しない制度のことです。

「ノーレイティング」に対し従来通りランク付けをする人事評価制度を「レイティング」と呼び、両者の違いをまとめると下記の図のようになります。

レイティングは社員の目標達成率や成績をもとに、相対評価をしてランク付けをする制度です。

成績や評価項目と照らし合わせ「平均以下、平均以上かどうか」という尺度で判断すればいいので、評価する側が一定の評価を割り振りやすくなっています。

レイティングは1990年以降成果を重視してきた日本の企業で、職務に対する評価制度として定着しました。

しかし、2010年以降「成果も重要だけれど、個人の能力や人物像も評価するべきだ」という考え方が広がり始めると、レイティングが正しい評価方法なのか疑問を抱くように。

そこで、アドビシステムズやマイクロソフト、アクセンチュアなどのアメリカ大手企業がすでに導入していた「ノーレイティング」に、日本企業も関心を寄せるようになりました。

まだまだ、効果や実践例は少ないものの「時代に合う新しい人事制度」として注目が集まっています。

【ノーレイティングは「評価をしないわけではない」】

ノーレイティングのことを「社員への評価をしない制度」と勘違いして捉えてしまう場合があります。詳しい評価方法は次の章で説明しますが「ランク付け」と「年次での評価をしない」という2つがポイント。

目標対する課題や評価はその都度実施しており、給与や上進に反映させていきます。

参考:日本企業人事制度の改革について

参考:日米のビジネススクール事例で学ぶ 人事評価の落とし穴


2.ノーレイティングが注目されている3つの理由

レイティングとノーレイティングの違いやノーレイティングに移行し始めた背景が分かったところで、今ノーレイティングが注目されている理由を詳しくご紹介します。

2-1.相対評価では評価基準が曖昧

レイティングでの評価は社員に対し「A」や「B」といった明確なランク付けを提示するのにもかかわらず、ランク付けをするときの基準が曖昧となっていることが多いです。

営業職や販売職、リーダー職のように「契約数、売上」など明確な基準となる数字が分かる場合はまだしも、事務職やサポート職など周囲との比較が難しい職種になると「A」と「B」の差がどこにあるのか分からず、社員が納得できない場合があります。

2018年にアデコ株式会社が実施した「「人事評価制度」に関する意識調査」では、62%の社員が人事評価に不満を抱えているという結果が出ています。

その理由として「評価基準が不明確」が62.8%、「評価者の価値観や業務経験によりばらつきが出て、不公平だと感じる」が45.2%となっており、社員から見ても不満の多い人事評価となっているのが現状です。

この状況を改善し社員が納得できる評価基準で考査をするという点で、ノーレイティングが注目されるようになりました。

参考:「人事評価制度」に関する意識調査

2-2.評価によりやる気をなくす社員が出る

レイティングによる人事評価では、誰かに必ず「C」や「D」をつけなければなりません。

これにより「次はCランクになれるよう頑張ろう!」と競争心を燃やす社員ばかりならいいのですが、不当な評価だと感じる場合はやる気を落としてしまいます。

下記の図のように同じ社員でも周囲の能力によって評価が大きく左右されてしまうので、人事異動や部署移動をした結果、評価が下がるということもあり得るでしょう。

また、優秀な人材ばかりが揃っていたとしても、誰かがCEなどの下位ランク評価を受けることになります。

そうなると「なぜCランクなのか納得できない」「人事異動のせいで評価が落ちた」とやる気を落とす社員が出てきてしまい、結果的に生産性の低下や離職率増加を招くおそれが。

ノーレイティングなら「全員が本当に優秀なら、それに見合う評価をするべきではないか?」という正当な評価が実施できるようになるため、注目を集めているのです。

2-3.時代にそぐわない評価の遅さ

これまでの人事評価は、1年かけてじっくりと年次評価をしてきました。しかし、加速する情報化社会では1年で社会情勢や業務への取り組み方が大きく変化するようになり、年次評価では追いつけなくなっているのが現状です。

実際に、1年前に立てた目標が1年後には「会社の方針からずれてしまった」「目標自体に無理がある」となることも少なくありません。

そのため、会社の方針や社会環境に適宜対応しながら、社員も会社も成長していけるよう人事評価においてもスピード感が求められています。

適宜目標を確認しながらフィードバックしていけるノーレイティングは、スピード感を持ち目標や課題と向き合っていけるため個人と会社の成長を共にスピードアップさせることができるのです。

【年次目標の設定方法にも問題がある】

年次目標を設定する場合は、「会社の目標」「支店の目標」「部署の目標」「チームの目標」「個人の目標」とどんどん小さく絞っていく「ウォーターフォール型」で決めることが多いです。

こうなると「まずは目先の目標を達成ないと評価が上がらない」と考えてしまい、目標を達成することに力を注いでしまいます。

その結果、会社の目標のためにリスクを冒してまで挑戦しようという思いが芽生えにくく、画期的なアイディアや革新的な挑戦が行われなくなります。

あくまでも目標達成のために行動しようと考えてしまうので、視点が狭くなり会社の発展を妨げることにもなるでしょう。


3.ノーレイティングの4つメリット

ここからは、ノーレイティングを実施することで得られる具体的なメリットを4つご紹介します。

3-1.リアルな目標設定が成長につながる

ノーレイティングでは日常的に上司と部下がコミュニケーションを取り、現段階での目標設定を行います。

その目標に対しどのように取り組んでいるのかフィードバックを繰り返すことで、課題や成功点を共有して次の目標へと繋げていくことが可能です。

年次評価と比較してもスピード感の違いが一目瞭然で、常に試行錯誤を繰り返すため個人の成長を促すことができます。

自分自身で「今、しなければならないことは何か、今したいことは何か」を見つけ出すことは「内発的動機付け」に繋がります。

内発的動機付けによる行動は「他の動機付けで行動するよりも自己肯定感が持てる」「モチベーションが向上する」と言われています。

自分自身で目標設定をする癖をつけることで社員が生き生きと業務に取り組めるだけでなく、自発的に新しい挑戦ができるようになるでしょう。

参考:モチベーション理論における主体性概念の探求

3-2.繋がり強化で離職に歯止めがかかる

ノーレイティングには、離職に歯止めをかけられるというメリットがあります。

2019年にエンジャパンが実施した「「退職のきっかけ」実態調査」を見てみると、「やりがいを感じない」「人間関係」「人事制度への不満」が離職の大きな要因となっていることが分かります。

退職を考え始めたきっかけは?

やりがいを感じない

41

給与が低い

41

人間関係が悪かった

35

評価・人事制度に不満がある

26

ノーレイティングを導入すれば、上司と部下日常的にコミュニケーションを取らなければなりません。

その中で信頼関係が築けるのはもちろんのこと、評価についての意見や仕事に対しての想い、不満を拾えるため、離職のきっかけとなる主な要因をカバーできることが分かるでしょう。

201212月より人事評価制度を廃止し、個人の成長にフォーカスを当てた人事制度を導入したアドビシステムズ株式会社では、離職率が大幅に下がったという結果が出ているとのこと。

社員からも「働きがいのある会社として他人に勧められる」という声が増え、ノーレイティングが「これからもこの企業で働きたい」という意欲に繋がっているようです。

参考:「退職のきっかけ」実態調査

   ランク付けをやめ、納得感のある人事制度を実現。アドビ「チェックイン」運用の実態

3-3.相対評価で判断しなくてもいい

レイティングでは「A,.C」といったランクを必ず誰かに割り振らないといけないため不本意でも「C」をつける必要があり、社員からの不満要因になっていました。

ノーレイティングでは、社員全員が成長したのであれば全員に「A」ランク同等の待遇をすることが可能で、個性や個々の能力を正当に判断できます。

ランク付けに縛られることなく一人一人と向き合いながら評価ができるため、会社側としても自社のビジョンに合う優秀な人材を囲い込みやすくなるでしょう。

3-4.働き方改革を推進しやすい

2019年4月より順次施行されている働き方改革。在宅ワークや時短勤務、テレワークなどの多様な働き方を推進しています。

従来の評価制度は多様な働き方に対応していないため「在宅ワークの場合はどのように相対評価をするのか?」「さまざまな働き方を混ぜ合わせながら、どのようにランク付けをそするのか?」といった課題が残り、より評価基準が曖昧で複雑なものとなってしまう恐れがあります。

しかし、ノーレイティングは個人の目標設定やライフスタイルに寄り添えるので、下記のような柔軟な対応が叶います。

どのような働き方をしていても個別に対応ができるため、不平不満が生まれにくくなり円滑に業務が進行できるところも大きなメリットです。


4.ノーレイティングのデメリット

一人一人の努力や成果を評価に反映できることでメリットが多いノーレイティングですが、デメリットとしてはどのようなことを抑えておく必要があるのでしょうか?

4-1.上司や管理者のマネジメント力が問われる

ノーレイティングが成功するかどうかは、上司のマネジメント力にかかっているといっても過言ではありません。

これは、相対評価のような目安となる分かりやすい基準がないため、すべての決裁権は管理をする側に委ねられてしまうためです。

ノーレイティングをスタートさせるとなると、担当の部下全員に以下のようなマネジメントをする必要があります。

・リアルタイムでの目標設定今の課題を明確にし、適切な課題かどうかを判断する

・適宜フィードバックをする部下の仕事を管理しながら、問題点と評価できる点を明確にする

・モチベーションの管理部下のモチベーションを上げるよう工夫し、コミュニケーションを取る

・トラブルの解決部下の悩みや相談を聞いて、適切なアドバイスをする

・会社のビジョンを把握する会社のビジョンをしっかりと理解し、踏まえた上で部下に指導できる

・能力仕事への姿勢を平等に判断する部下の成長ややる気を平等に評価し、給与などに反映させる

部下の現状と目標、能力や課題を冷静に判断し、適切なサポートができるマネジメント力が備わっていないと正当な評価ができないのはもちろん、優秀な人材であっても力を発揮することができません。

このように、部下を指導する立ち場にある管理職が同レベルのマネジメント力を備えていないと、ノーレイティングの仕組み自体を活かせないため「どのように部下を指導していくとのか」というところから検討していく必要があります。

【上司との相性がやる気や評価に直結することも】

上司が部下の能力や個性、働き方に理解を示し正当な判断してくれる場合なら問題はありませんが、相性の不一致が起きた場合、思うように進まなくなる可能性があります。

良好なコミュニケーションが取れていないと「部下の状況が明確に判断できなくなる」「信頼関係が崩れているため評価に不満を抱く」「前向きな検討ができない」などのトラブルに繋がる可能性があるため、やはり管理職の配置やマネジメント力は重要なポイントとなります。

4-2.管理職の業務が増える

ノーレイティングは、管理職の仕事量がぐんと増えてしまうところが問題視されています。部下と積極的にコミュニケーションを取り、スピード感を持って目標設定やフィードバックをしなければならないため、日頃からミーティングやチェックを重ねなければなりません。

それに加えて、適切な評価をするため部下の目標や業務への姿勢もその都度残していく必要があります。部下が多ければ多いほど負担が増え、自身の業務にまで手が回らないということも起こりえるでしょう。

そうならないためにも、事前に後ほど第7章でも詳しく説明する

・ノーレイティングの導入方法や展開方法を明確にしておく

・管理職の負担が増えることが分かっているので、どのように負担を軽減するのか検討する

・管理職の報酬についても再検討をする

という3つのポイントだけでも検討しておくことをおすすめします。


5.ノーレイティングの導入事例

日本ではまだまだ導入事例が少ないノーレイティングですが、実際に実践している企業ではどのような変化が起こっているのでしょうか?

ノーレイティングを導入するうえでも参考になる3つの事例をご紹介します。

5-1.カルビー株式会社

カルビー株式会社は独自の働き方改革を行い、5年で利益率を10倍にする結果を生み出しています。

「自立的に成長し成果を出し続ける人・組織」を目指して、人材を活用しイノベーションを起こす環境をどのように作っていくのかに取り組んできたそうです。

その柱の一つとなったのが「目標と成果の明確化」。1年間の仕事内容と目標を確認し、契約書にサインをするところから始まります。上司から順番に目標をブレークダウンしていき、役職者の目標は社内サイトで公開されるとのこと。

目標を決めるときには上司と一緒に立てるため、日頃のフォローアップも重要な役割となっています。

また、目標は必ず数値化する必要があり、成果が上がれば報酬アップに結びつくシンプルな仕組みとなっているところも特徴。

相対評価に囚われないので「成果が出なければ降格もあり得るが、再びの昇進もあります。目標も成果も公開されるため、特別なことだと捉えなくなりました」と述べています。

カルビー株式会社ではこの他にも、「チャレンジアップ制度」や「トップとの直接対話」など社員の意思を働き方に反映させる制度を多数実施しています。

参考:カルビー株式会社公式サイト

   カルビーの“利益率が5年で10倍”を実現させた「働き方改革」とは?

5-2.P&G株式会社

P&G株式会社(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社)は、社員のパフォーマンスの最大化ができるマネジメントに力を入れて取り組んでいます。

中でも「目標管理のプロセス」を重視し、部下の力を発揮できるような体制を目指しているとのこと。

年度が始まる前には社長と含む経営陣が目標を定め、それを部門、上司、部下へと展開していきます。チーム目標を基に個人目標を設定しその任務を任せる理由まで説明することで部下が目標を追う理由が明確にできるそうです。

目標設定をしたら終わりではなく部下と上司は2週間に1度個人面談をして、進捗状況やキャリアアップの確認をするようにしているところも特徴。

また、優秀な人材がそのパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、月単位で勤務時間の調整ができる「フレックス・ワーク・アワー」などの制度作りも積極的に行っているそうです。

何のために必要な制度なのかをしっかりと説明し、実際に使用した社員の生産性の向上に繋がるよう努めており、最終的には社員一人一人が「能力を最大限に発揮できている」と言える組織になればと語っています。

参考:制度は作るだけではなく「どう活かすのか」。P&Gの、能力を100%発揮できる組織作り

5-3.マイクロソフト株式会社

マイクロソフト株式会社は、評価基準を目標達成率から「どれだけ会社や部署、お客様にインパクトを与えたか」という個人評価へと移行しました。

これは、ビジネスモデルの変化に伴い、コミットメントベースでは評価しきれなくなったからだそうです。

インパクトを起こす上で大切なことは、挑戦や前向きに取り組む姿勢とのこと。

これを定量的に評価するのは難しいことなので、独りよがりにならないよう部下からは自分の取り組みを自己申告してもらうようにしているそうです。

それを役員や他チームのマネージャーに話してフィードバックをもらうことで、評価を裏付けて仕事への姿勢を評価の基準にすることができるように。

評価の改革と多様な働き方の受け入れが相まって、2010年からの5年間で事業の生産性は26%アップ、女性の離職率は40%ダウンという結果も残しています。

参考:日本マイクロソフト、「インパクト重視の組織」に向けた「働き方改革」


6.ノーレイティングを導入する前の注意点

「よし、ノーレイティングを導入してみよう」と急にスタートさせても職場が混乱するだけで、成果や職場環境改善に結びつく制度として機能しない可能性が高いです。

ノーレイティングを導入する前には、次の3つのことが検討、実施できている状態でなければなりません。ここでは、どのようなことを事前に検討しておく必要があるのかご紹介します。

6-1.部下と直接やり取りをする管理職の報酬、権利を明確にする

「ノーレイティングのデメリット」でもご紹介したように、ノーレイティングの導入で管理職の負担が増えるのは分かっていることです。

導入前にはそれをどのようにカバーするのか、最低限次の2つのポイントは明確にしておきましょう。

1つ目は、管理職への報酬です。ノーレイティングを導入することで、部下のマネジメントや役員への報告など日常的にするべき業務の量がぐんと増えます。

その対価として報酬額を提示し、社員が働きやすい環境を整えるために協力してもらえるのかどうか一人一人の意志を確認しましょう。

2つ目は、管理職の権限をあらかじめ決めておくことです。管理職は部下と直接コミュニケーションをする立場にあり、部下の頑張りや成長を近くで感じることができます。

だからこそ、管理職が「部下の報酬額を決定できる」「部下のキャリアアップを決定できる」というケースも。

管理職がどこまで権限を持ち部下と接していくのか決めておくことで、管理職の姿勢も変わってくるでしょう。

6-2.会社の目指すビジョンが浸透している

個人が目標を設定するときに、会社の目指すビジョンが大きな基盤となります。

「どのようなビジョンを抱えているのか」「今期の目標や課題は?」という会社の基本方針が浸透していないと「個人の目標設定」や「リアルタイムでのフィードバック」にまで落とし込むのに時間がかかります。

また、会社の目指すビジョンが浸透していないと個々の行動や目標と会社の求めるビジョンに差が生まれる可能性もあり、どれだけスピード感を持って挑んでも思ったような結果につながらないことになるでしょう。

そのため、管理職はもちろんのこと社員にまで会社のビジョンが浸透するような下記の方法を試してみてください。

【会社のビジョンを浸透させる方法の一例】

・初心に立ち返り、会社のビジョンを全社員に共有するワークショップを開く

・グループや部署、部門など小さな単位でビジョン共有をする場を設ける

・多様な働き方に対応できるよう、ビジョンが汲み取れる動画や資料を共有する

・社内サイトや社内ツールなど目にする機会が多い場所に表示させるようにする

・オフィスに掲示をして、意識をしながら過ごせるようにする

6-3.管理職にマネジメント力が備わっている

ノーレイティングは管理職が部下と適切なコミュニケーションが取れる能力がなければ、上手く進みません。

目標管理や業務進行はもちろんのことときには𠮟咤激励をするのも管理職の役割となり、「部下の能力を最大限に活かす」という重要なポジションを担うからです。

とは言え、いきなり管理職全員が同じマネジメントスキルを持つのはなかなか難しいことなので、導入前には必ず行う業務を提示しそれに必要なスキルを養える方法を共有しましょう。

管理職向けのマネジメントセミナーを開く企業もある】

ノーレイティングを導入する前に、管理職向けのマネジメントセミナーを取り入れる企業もあります。忙しい管理職が自分で時間を作って勉強をするのはなかなか難しいため、業務時間内でマネジメントに必要な知識や手段を習得してもらうのが目的です。

管理職全員が同じセミナーを受けるので、ある程度スキルを揃えられるというメリットもあります。集中して知識を習得できるようになっており、短期間で効率よくノーレイティングを導入したい企業にもおすすめです。


7.ノーレイティングを手軽に始める4つの方法

ノーレイディングを取り入れるための方法は、国内の企業でも少しずつ広がっています。ここでは、手軽に導入できる4つの方法をご紹介します。

「ノーレイティングをどのように始めたらいいのか分からない」と悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。

7-1.OKR

会社の目標と個人の目標を一致させ、成果に繋がる目標管理をしたいときに役立つのが「OKR」です

Objectivesand Key Results」の略語で、会社の目標を達成するために達成目標(Objectives)と成果(Key Results)にずれがないようにして、個人の方向性や課題を明確にしていく目標管理方法を指します。

会社のビジョンが個人目標にまで浸透するため会社全体の一体感が生まれやすく、大きな目標や課題に挑みやすくなるところがメリットです。

しかし、OKRは目標管理やフィードバックがとても重要になるので、導入前の準備が成功を大きく左右します。

OKRのメリットやデメリットを把握し、実際にどのように導入したらいいのか気になる場合じゃ、ぜひ下記の記事でチェックしてみてください。

OKRとは?KPIやMBOとの違いと仕組みや導入へ向けた進め方

7-2.360度フィードバック

上司の部下という2人だけの関係の中でノーレイティングを進めていくと「本当にこの評価が正しいのか?」「評価の信憑性はあるのか?」と不安になる場面が多々出てくるはずです。

そんなときに活用したいのが「360度フィードバック」。一人の人物を上司や部下、同僚など関係性が異なる複数人により、多方面から評価する手法です。

上司だけでは見つけられなかった特徴の発見や強みの再認識ができ、評価の信頼性や妥当性を高めることにもつながります。また、自己評価と他社評価を理解する指針にもなるため、本当の課題や強みを発見しやすくなるところがメリットです。

しかし、導入前にどのような制度なのかしっかり把握し、社内での手順やフォロー体制が整っていないと思ったような成果が感じられないでしょう。

360度フィードバックがどのような方法なのか、メリット、デメリットを含め導入方法をより詳しく知りたい場合は、ぜひ次の記事も参考にしてみてください。

360度フィードバック導入メリット・デメリットと運用時5つの注意点 

7-3.評価、目標のオープン化

リアルタイムで目標管理をしていく際に、上司とのやり取りだけでは管理しきれない部分があります。そこで、役職や立場にかかわらず今掲げている目標を社員全員で共有するというのが「目標のオープン化」です。

社内サイト内や共有クラウド内で個人の目標を提示することで、社員全員で目標を管理していることに。社員には「目標を達成しなければならない」という責任感も生まれ、生産性の向上へと結びついていきます。

上司も一人で管理している訳ではないので肩の荷が降りるのではないでしょうか。

企業によっては目標に加え、結果や目標達成プロセスも公開している場合があります。上司一人だけの評価では「不公平だ」と不満を抱くことがあっても、全員が見ていれば第三者の目があり偏りのない公平な評価ができるようになります。

【導入事例:株式会社ディー・エヌ・エー】

株式会社ディー・エヌ・エーでは、2017年よりマネージャー職の360度フィードバックを公開するようにしたそうです。

この内容が評価に直結するというわけではなく、課題や改善点を認識し合うために実施しているとのこと。フィードバックの内容を基に改善をした事例もあり、環境改善や個人の成長に繋がっているとのことです。

参考:【6社のリアル事例】人事評価制度の実態とは? 2019年最新のトレンドも併せて解説

7-4.1on1ミーティング

部下とのコミュニケーションを活発化したい場合には「1on1ミーティング」がおすすめです。定期的に部下と上司が一対一で実施するミーティングのことで、導入自体は難しいものではありません。

1on1ミーティングは上司からの一方的な質問ではなく、双方のコミュニケーションの中ですることで課題や目標を把握し、仕事へのモチベーションにつなげていくことが大切です。

そのため、適切な進め方で信頼できるコミュニケーションが取れるよう配慮しなければ、部下のやる気や成長を促すことはできません。

下記の記事を読んで、1on1ミーティングのメリットと進め方、注意点をチェックしてみてください。

1on1 ミーティング


8.ノーレイディングの必要性を認識するならこの一冊

ノーレイティングについてさまざまな視点から理解できたところで「導入に向けてさらに知識を増やしておきたい」という方もいるでしょう。

最後にノーレイティングに関する書籍を3冊ご紹介するので、ぜひご活用ください。

8-1.人事評価はもういらない 成果主義人事の限界

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アメリカで年次評価を廃止する企業が増えているという話から、「なぜ日本の年次評価が問題なのか」を分かりやすく解説しています。

年次評価は社員の成長に繋がっていないという話題や、多様な専門性や価値観を画一的な尺度では測れなくなってきているという話題など関心をそそる内容となっています。

ノーレイディングの必要性を認識するために、読んでおくととても役に立つ一冊です。

価格:1,650円(税込) 

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8-2.人事こそ最強の経営戦略

出典:Amazon

評価制度の在り方や部下の育成方法まで網羅されており、管理職が部下のマネジメントを始める前に読むとよさそうな一冊。

また、グローバルな視点で述べられており、世界を代表する企業の事例をチェックできるところも読み応えのあるポイントです。

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8-3.シリコンバレー式 最強の育て方人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング

出典:Amazon

世界の先端をいくシリコンバレーでは、どのようにノーレイティングを実施しているのか気になりますよね。

こちらの書籍では、1on1ミーティングに焦点を当て、実際に会社と人材はどのように変わるのか説明されています。具体的な実践方法も記載されているので、これからノーレイティングを導入したいと思っている方におすすめです。

価格:1,540円(税込) 

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9.まとめ

いかがでしたか?

ノーレイティングとはどのような人事制度か理解でき、自社への導入の検討や導入方法の検討ができたかと思います。

それでは、最後にこの記事の内容をまとめてみると

◎ノーレイティングとは、「A,B,C」などのランク付けで社員を評価しない制度のこと

ノーレイティングが注目される主な理由は次の3

1)レイティングによる相対評価では評価基準が曖昧で不満が出やすい

2)必ず「C」や「D」を付けなければならないため、評価によりやる気をなくす社員が出る

3)年次評価ではスピード感がなく、時代の流れにそぐわない

ノーレイティングのメリットは次の4

1)リアルタイムで目標設定、フィードバックができるため個人の成長に繋がる

2)上司とのコミュニケーション活性化により、離職率が減る

3)必ず「C」や「D」を付ける必要性がなくなり、優秀な人材を正当に評価できる

4)多様な働き方に対応できる

ノーレイティングのデメリットとして抑えておきたいのは2

1)管理職のマネジメント力が問われる

2)管理職の業務が増える

これを踏まえてノーレイティングの導入前には

1)部下と直接やり取りをする管理職の報酬や「給与決定」などの権利を明確にする

2)会社のビジョンを個人レベルにまで共有する

3)管理職のマネジメント力を高めるようサポートする

ノーレイティングの特徴や強みを自社の人事制度に上手に取り入れて、「社員が働きやすい」「社員の能力を正当に評価し最大限に発揮できる」魅力的な環境を整えましょう。

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