オンボーディングとは?新入社員の定着率を高める施策・ツールを紹介

「新卒者が定着しなくて困っている」

「せっかくキャリア採用した人材なのに、すぐに離職してしまった……

このようなケースに悩む企業は少なくありません。厚生労働省の調べによると、平成27年に大学を卒業して就職した、新卒者の3年後の離職率は31.8%でした。

新卒者に限らず、即戦力として雇用した中途採用者も、企業に馴染めずに早期に離職してしまうケースが多くあります。

そこで近年、オンボーディングと呼ばれる新しいプロセスが注目されています。

新入社員の戦力化をサポートし、定着率を高める効果が期待できるオンボーディング。企業がオンボーディングを導入する際の進め方や注意点について解説します。

参考:厚生労働省:新規学卒就職者の離職状況(平成273月卒業者の状況)を公表します https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00001.html

1.オンボーディングの意味とは?

オンボーディングとは、新入社員や中途採用の社員など新たな人材をサポートし、企業風土に馴染ませ、戦力化することを目的とした新人研修のプロセスのことです。

従来は一括で採用した新卒者に対し、入社してからしばらくの期間にオリエンテーションを行うのが一般的な流れでした。オンボーディングの場合は新卒者だけに限らず、中途採用者にも適用されます。

新卒者に対しては仕事の進め方や社会人としての基礎を、社会経験を積んできた中途採用者に対しては、いち早く企業風土に馴染んでもらうためのサポートを実施。入社後も継続的に行う点が特徴といえます。

オンボーディングでは新入社員だけが仕事を覚え、企業風土に馴染むことをめざしているのではありません。上司や先輩社員など部署内のメンバー全員を対象にし、新入社員を受け入れる体制を整えます。

新入社員と既存の社員たちが、短期間で一体感を高められるようにすることが目的なのです。

 

2.オンボーディングの4つの重要性

企業の人事担当者としては、時間やコストをかけて採用した新入社員が定着せず辞めてしまうことに、頭を抱えるケースも多くあると思います。

オンボーディングの導入により、採用から育成にかけてのステップをスムーズに進めることができるようになるでしょう。

オンボーディングには、以下の4つの重要性が隠されています。

1.即戦力になれる環境の整備

2.新入社員の定着率を高められる

3.採用にかかるコストの削減

4.先輩社員や部署との一体感の実現

2-1.即戦力になれる環境の整備

新入社員を採用してから、戦力として活躍してくれるようになるまでの期間には、個人差があります。

企業では一般的に、入社後に短期的なオリエンテーションを行うケースが多いようです。オンボーディングの導入によって、入社直後だけではなく、継続的にサポートする体制を作ることで、新卒者の定着率を高める効果が期待できます。

中途採用者に関しては、もともと即戦力として採用した経緯もあり、すぐに活躍してほしいと願いますが、実際には企業風土になかなか馴染めずに、能力を発揮するのに時間がかかることが多くあるようです。

そこで、中途採用者に対してもオンボーディングを実施します。企業風土に慣れてもらいつつ、前職までの経験を活かせる働き方で活躍できる環境を整えましょう。部署が一丸となって新入社員の受け入れ態勢を整えることが、早期の定着に欠かせません。

2-2.新入社員定着率を高められる

先述の通り、大卒新卒者の離職率は入社後3年で30%を超えています。中途採用者の場合も、「社風が合わない」「仕事を覚えられない」などの理由で、早期に退職してしまうことがあります。

オンボーディングによる長期的なサポートがあれば、新入社員が入社直後に感じる不安などを払拭でき、各々がスキルを発揮しやすい環境が整いやすくなります。入社直後の不安な時期に企業を挙げてサポートすることで、新入社員の定着率の上昇をめざすのです。

2-3.採用にかかるコストの削減

新入社員の離職率を低下させることは、採用コストの削減に直結します。多くの離職者を出し続けた場合、その都度採用を行わなければなりません。多くの企業にとって、採用にかけるコストを抑制し、社員の離職率を下げることは重要な意味を持っているのです。

オンボーディングによって働きやすい環境を整えることで、新入社員の定着率が高まれば企業全体の離職率が低下します。オンボーディングの導入は、求人サイトへの広告費や入社後の採用コストの削減に効果を発揮するのです。

2-4.先輩社員や部署との一体感の実現

オンボーディングは自部署だけでなく、企業全体を巻き込んで行われます。そのため、上司や人事部、教育係の先輩社員に加え、より広い範囲の社員との接点を増やします。

新入社員にとっては、入社直後から幅広い層の社員と接する機会が増え、コミュニケーションの量が大幅に増えるのです。先輩社員たちとの一体感を得ることで、企業への疑問や仕事上の不安を払拭できる機会が増え、定着率のアップが期待できます。

3.オンボーディングの進め方

新入社員の教育に対して高い効果を発揮するオンボーディングですが、実際に導入しようとした時、どのように進めていけばよいのでしょうか?

オンボーディングのプランは、社員が入社する前から始まり、入社後1年の経過を目安に作成します。

オンボーディングの具体的な進め方は以下の通りです。

1.課題を抽出する

2.プランの作成

3.オンボーディングの実施

4.オンボーディングの見直し

3-1.課題を抽出する

オンボーディングを実施するにあたり、採用において自社が課題としている点をまとめましょう。

新入社員の離職率が高いことが問題なら、その理由を明確にしておく必要があります。

・仕事がなかなか覚えられない

・社風と合わない

・部署のメンバーとうまくいかない

など、離職者が抱える問題を抽出し、課題点として記録しておきましょう。

3-2.プランの作成

先述の通り、オンボーディングは社員が入社してから1年が経過するまでを目安にスケジュールを組んでいきます。入社日から入社数ヶ月、入社1年の期間ごとに分けて、プランを作成します。

以下は、オンボーディングを実施する際の、目的別のプラン例となります。

早期に仕事に慣れてもらうためのオンボーディングのプラン例

・業務マニュアルの作成

OJTの実施

Off-JT(社外での研修)の実施

・部署の主力メンバーとの定期面談

 

社風に馴染んでもらうためのオンボーディングのプラン例

・企業理念の浸透

・クレドカード(企業の行動指針を簡潔に示したもの)の配布

・企業の説明会を実施

 

円滑な人間関係を築いてもらうためのオンボーディングのプラン例

・メンター制度の導入

・入社歓迎会の開催

・定期的なランチ会の開催

・上司との定期面談

3-3.オンボーディングの実施

オンボーディングのプランが完成したら、実務を踏まえて実力をつける段階へと移行します。上司や教育係の社員だけでなく、人事部なども協力してフォローを行いましょう。新入社員と企業間の信頼関係はすぐにできあがるものではないため、長期的な視点で実施していくことが大切です。

新入社員に対する企業をあげたフォロー体制ができていれば、早期に戦力として活躍してもらうことも難しくはありません。新入社員の即戦力化は周囲の社員にも影響を及ぼします。仕事のモチベーションが上がったり、部署内の結束力が高まったりすることが期待できるのです。

3-4.オンボーディングの見直し

オンボーディングを実施した後に、どのような効果があったかを見直す必要があります。見直しのタイミングは毎回変えるのではなく、一定の期間で定めておきましょう。

オンボーディングの見直しについては、新入社員からのヒアリングやアンケートだけでなく、メンターや教育係を務めた上司や先輩社員、人事部の社員などからも意見を抽出します。共通の課題点があれば改善点として、次回からのオンボーディングプランに追加していきます。

また、企業の成長具合によって、オンボーディングの施策内容は変わっていきます。PDCAサイクルを回しながら、自社にふさわしいオンボーディングの内容を作り上げていきましょう。

PDCAとは

Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善の4つからなり、頭文字をとってPDCAサイクルと呼ばれる。PからAを順番に回すことで、目的の改善や効率化が期待できる。

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