心理的安全性が低いと組織はどうなる?4つの原因と行動特徴を解説

チームの生産性向上に欠かせない要素として、いま多くの企業で注目を集める「心理的安全性」

「もしかしてうちのチームって心理的安全性が低い…?低いとしたら、チームにどんな影響があるのだろう」

そんな風に気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事ではチームの心理的安全性を低下させる原因と共に、心理的安全性の低い組織に見られる行動特徴を解説します。

また、その上で心理的安全性をどのように高めるか、心理的安全性が高い職場とはどのようなものなのかについてもお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

心理的安全性とは「安心して自分の意見を言える状態」のこと

「心理的安全性」とは、ハーバード大学ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱したサイコロジカル・セーフティ(psychological safety)を日本語訳した言葉です。

心理的安全性とは、組織のメンバーの誰もが不安や恐れを感じることなく、自分の率直な意見を自由に言えて、行動できる状態を指します。

そして心理的安全性とは、メンバー同士が何でも言い合える関係性ですが、単なる仲良しグループや馴れ合いではありません。

空気を読んで行動や発言をするのとはむしろ真逆で、それまでの通例や伝統を否定するようなことであっても不安を感じることなく自分の意見が言えるので、健全な対立やディスカッションが頻発することになります。

表面的にはざっくばらんに何でもモノが言い合えるが、対立や食い違いは避ける。これはいわゆる「ヌルい組織」で、心理的安全性があるとは言えません。

参考:「心理的安全性」(https://jinjibu.jp/keyword/detl/855/)

心理的安全性が低くなる原因と行動特徴

なぜ、チームや組織の心理的安全性は低くなってしまうのでしょうか。

心理的安全性の提唱者であるハーバード大学ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授によれば、心理的安全性を低下させる原因は職場内の「対人リスク」です。

対人リスクとは何かというと、具体的には下記「4つの不安」です。

無知だと思われる不安

「こんなことを聞いたら、”この程度のこともわかっていないのか”とバカにされてしまうだろうか?」

など、他のメンバーから自分が無知であることを責められるのではないかと思う不安です。

【行動特徴】

わからないことを誰かに相談しよう、質問しようとしても不安が大きく、すぐに行動に移せません。その結果不明点を確認するために必要なコミュニケーションが取れず、仕事でミスを引き起こしてしまう可能性があります。

無能だと思われる不安

「こんなミスをして”なんて仕事ができない奴なんだ”と思われたらどうしよう…」

自分の仕事のできなさを他のメンバーから責められてしまうのではないかと思う不安です。

【行動特徴】

自分が無能であると思われないようにするのが先立ってしまい、仕事のミスをほかのメンバーに報告しなかったり、ミスをしたことを認めなかったりします。

そうすると問題が明るみに出ずにメンバーで共有できなくなりますし、後になってから大きなトラブルに発展することもありえます。

邪魔をしていると思われる不安

「ここで異論を挟んだら、せっかく意見がまとまりかけているのに、邪魔をしていると思われるだろうか」

メンバー同士で議論をしている際などに自分の発言で議論が進まなくなったら、「邪魔をしている」と思われてしまうのではないかという不安です。

【行動特徴】

議論などで発言を控えるようにります。自分から意見するメンバーが減ると新しいアイデアが生まれにくくなりますし、組織にとって有意義な意見が得られにくくなるデメリットがあります。

ネガティブだと思われる不安

「プロジェクトに懸念があるから指摘したいけど、ネガティブな奴だと思われたどうしよう」

考え方がネガティブでいつも否定してばかりだとか、否定的な発言で和が乱れる、などと思われてしまうのではないかという不安です。

【行動特徴】

本来ならほかのメンバーに指摘すべき場面でも躊躇してしまいます。

業務の改善などを目指した前向きな指摘だったとしても、少しでもネガティブな要素があるだけで発言しなくなってしまいますので、組織の問題や課題の解決に遅れが出てしまう可能性があります。

以上、自分のチームの心理的安全性が低いのかどうか気になった方は、まず上記4つの行動がどの程度見られるかを改めて振り返ってみるとよいのではないでしょうか。

心理的安全性を測定する方法

自分のチーム・組織の心理的安全性の状態を知りたい場合、何か有効な方法はあるのでしょうか。

前章で解説した4つの不安に基づく行動がどの程度見られるかを振り返るのもよいのですが、

ここではエドモンドソン教授が考案した「心理的安全性を測る7つの質問」をご紹介します。

メンバーの回答を集計することで、組織全体の心理的安全性の目安を把握できます。

7つの質問で心理的安全性を測定する

2章でも触れた心理的安全性の提唱者であるエドモンドソン教授はまた、「心理的安全性を測る7つの質問」も提案しています。

この7つの質問をメンバーに投げかけ、自分に強く当てはまるかどうかを尋ねることで、心理的安全性の程度を測定できます。

7つの質問を記したアンケートをメンバーに渡して記入してもらいそれを集計する、あるいは上司と部下との普段からのやりとりや面談時に、上司から7つの質問について聞いてみる、といった形でもよいでしょう。

▼心理的安全性を測る7つの質問

  1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

出典:「「効果的なチームとは何か」を知る」(https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/)

1、3、5の程度が低く、2、4、6、7の程度が高いメンバーが多いほど、組織の心理的安全性が高いとわかります。

心理的安全性を高める方法

心理的安全性を高めるためには、前述した4つの不安を解消することが大切です。

チームメンバーが対人リスクを感じずに、周囲に気兼ねすることなく自由に自分の意見を言える状態が、心理的安全性が高いと言えます。

本章ではそうした不安を解消するためにできる方法を、リーダーとメンバーに分けていくつかご紹介します。

※リーダーとメンバーではチームで担う役割や影響力が異なるため、分けています。

リーダーができること

チームの心理的安全性向上のカギを握るのはリーダーです。

ここ最近は従業員1人ひとりの自立/自律がより重視されていますが、

チームの中心人物であるリーダーの言動は、やはりチームに大きな影響を与えます。

よってチームの心理的安全性を高めるためには、まずリーダーからできることを始めるとよいでしょう。

具体的には以下のようなものがすぐに取り組めおすすめです。

リーダーが弱みを見せる

「このチームでは弱みを見せても大丈夫」そう思ってもらうためには、まずリーダー自らが自分の弱さを開示することが大切です。

例えば、自分が今の仕事やチームづくりで悩んでいること、困っていること、過去にしでかした失敗などについて、積極的にメンバーに話すのです。

リーダー自身がそうして自分の弱さを許す姿を見せることで、メンバー自信も弱さを開示しやすくなります。

仕事で弱さを見せる、しかもリーダーがというのはかなり勇気のいることですが、それが互いの弱さを見せ、許し合える、本当の意味で強いチームへの第一歩となります。

1on1を行う

Googleも取り入れている1on1は、心理的安全性を高める手段として有効です。

上司部下で定期的な対話の場を持つことで、相互理解を促し、互いに本音で話せる機会を増やします。

とはいえ、1on1は双方の心構え、やり方が非常に重要なので、効果的な1on1についてはぜひこちらの記事も参照してみてください。

メンバーに感謝を伝える

感謝から受け取る「チームから必要とされている」実感が、心理的安全性の向上にも寄与します。

そして「ありがとう」と感謝を伝えられて、嫌な気持ちになる部下はいません。

あまりにも高頻度で大袈裟だと、逆に「バカにされているのか」「この人は私をコントロールしたいがために感謝しているのか」、

などと思われてしまう可能性もありますが、そうでもない限り、メンバーの頑張りや貢献に素直に感謝を伝えることは、

メンバーにきちんと見てもらえている安心感やチームへの貢献実感を与えることができ、心理的安全性の向上につながっていきます。

完璧じゃなくてもOKと伝える

日本人は世界的に見ても「完璧主義だ」などと言われることがよくありますが、

実際職場で「完璧なものを作ってからでないと、上司に相談できない」「完璧に自分の考えをまとめてからでないと、人に話を聞いてもらうなんてできない」

そう思い込んで納期ギリギリまで粘り、いざ提出したら求められていたものと異なり修正が間に合わない、といった経験をしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。

「完璧なものを出さないと怒られる、恥をかく」そうした恐れが心理的安全性を低下させ、チームの生産性を低下させます。

こんな時は「完璧は必要ないから、6割でできた段階で一度見せてね!」など、リーダー自らが声をかけ、粗削りでも煮詰まったら気軽に相談して大丈夫だよ、

という姿勢を見せるとよいでしょう。

メンバーができること

何か課題や問題が発生したとき、ネガティブに反応するのではなく、ボジティブに捉えて行動するようにしましょう。

具体的には、課題や問題を引き起こした犯人探しや批判をするのではなくどうしたらこの問題を解決、改善できるか」という一点に全員が集中し、「役に立つ」ことだけを考えるのです。

また、互いの仕事の目標を共有し、業務内容が見える状態にしておくことも良いでしょう。互いに何をやっているのか、何をミッションにしているのかがわかることで相互理解が増し、心理的安全性の醸成にプラスに働きます。

参考:「心理的安全性の作り方・測り方。Google流、生産性を高める方法を取り入れるには」(https://www.dodadsj.com/content/190318_psychological-safety/)

「心理的安全性が高い=馴れ合い職場」は間違い!チーム作りの注意点

組織の心理的安全性が向上すると、1人ひとりがありのままの自分で、リラックスして仕事に取り組めるようにもなります。

一方で仕事に対する責任感や意欲が欠けているメンバーは、楽ができると勘違いすることがあるので注意しましょう。

上司が適切なタイミングで部下へのフォローを行ったり、社員一人ひとりに目標や責任を与えたりして、目標達成のために全員がひたむきに前進する組織づくりが大切です。

心理的安全性が高い環境はあくまで自分の能力を最大限引き出せる場と捉えてもらい、馴れ合いを推奨するのとは違うと認識してもらいましょう。

参考:「心理的安全性の作り方・測り方。Google流、生産性を高める方法を取り入れるには」(https://www.dodadsj.com/content/190318_psychological-safety/)

まとめ

以上みてきたように「心理的安全性」とは、チーム内の誰もが不安や恐れを感じることなく自由に発言・行動できるので、個々の力を最大限発揮しやすい状態といえます。

一方で心理的安全性がない組織/チームでは、1人ひとりが4つの不安に支配され自由に発言・行動ができないので、個々人の力が発揮されにくくなっている状態といえるでしょう。

心理的安全性の浸透は多くの職場でまだまだこれからと言えますが、今後企業の生産性向上のカギを握ることは間違いありません。

本記事で紹介した心理的安全性の測定方法や高めるための実践方法など、ぜひ取り入れて、明日からのチームづくりに役立てていただければ幸いです。

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