
風通しのよい社風を維持するには、社員同士の部門を超えた交流が不可欠です。
コミュニケーションを活発化させることで、社員間のチームワークが醸成され、業務へのモチベーションが高まります。
しかし、ある調査結果によると、多くの企業が社内でのコミュニケーションに課題を感じていることが判明しました。
HR総研が2019年に実施した「社内コミュニケーションに関する調査」では、「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」という質問に、73%の企業が「課題がある」と回答。
割合としては、1位が部門間の71%であり、2位が経営層と社員の56%となっています。
同じ部署内ではコミュニケーションが取れていても、部署間や経営層との間には大きな壁が存在するようです。
出典:HR総研・「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
社員同士のコミュニケーション活性化には、社内イベントの実施が効果的とされています。
日本の企業では、以前から定期的な飲み会や社員旅行などが行われていましたが、近年ではさまざまなバリエーションを持った社内イベントの取り組みが始まっているようです。
今回は、社内イベントの効果と、おすすめの開催内容15選を紹介します。
1. 社内イベントによって得られる5つの効果
社内イベントの実施によって、コミュニケーションの円滑化の他にも、以下の4つの効果が期待できます。
- 社内のコミュニケーションの円滑化
- 社員のモチベーションの向上
- 社員の帰属意識が高まる
- 経営理念やビジョンの浸透
さまざまな相乗効果によって、企業活動の活性化にもつながっていくのです。
1−1. 社内のコミュニケーションの円滑化
社内イベント実施における最大のメリットは、社員間のコミュニケーションの円滑化です。
JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所が行った、「社内イベントに関するコミュニケーション調査」によると、「社内イベントは人と会って直接話しができるよい機会だと思う」という回答が、全体の58%という結果でした。
出典:JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所・「社内イベントに関するコミュニケーション調査」
過半数の社員が、社内イベントの実施に肯定的な意見を持っていることがわかります。
特に、普段は接する機会の少ない経営層や、他部署の社員とコミュニケーションを取る機会が増えることを、魅力的に感じているようです。
1−2. 部署間の連携が促進する
社内イベントによるコミュニケーションの活性化は、開催後の業務にもプラスの影響を与えます。
JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所の同調べによる、社内イベント実施後の経過については、以下の通りでした。
- 「職場の中でコミュニケーションが増えた」51%
- 「他の部署との仕事がしやすくなった」43%
社内イベントの開催が、社内のコミュニケーションの活性化に一役買っているようです。
企業規模を問わず、他部署との交流が増える点も見逃せません。
小規模な人数の企業では、他部署の全社員と接する機会となるでしょう。
大規模な人数の企業の場合は、メールでしかやり取りをしたことのない部署の社員と顔を合わせられる、貴重な機会となります。
出典:JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所・「社内イベントに関するコミュニケーション調査」
1−3. 社員のモチベーションの向上
社内イベントは社員のモチベーション向上にも影響を及ぼします。
他部署の社員と接する機会が増えることで、彼らが普段どのような仕事をしているかを知るきっかけができます。
営業部門と間接部門など、普段は経費精算などでしか接する機会がなかった社員同士、仕事や考え方への相互理解を深められるのです。
部署は違っていても同じ企業で働く社員同士、目的意識の共有によって業務へのモチベーションの向上につながります。
1−4. 社員の帰属意識が高まる
部署間のコミュニケーションが活性化され、社員の業務に対するモチベーションの向上によって、企業への帰属意識の高まりが期待できます。
同じ企業に所属しているという気持ちの高まりが、モチベーションアップや離職率の低下など、好循環を生む要因になります。
終身雇用を廃止する企業が増える中で、社員の心の拠り所は不安定になりつつあります。
社内イベントの実施により、社員に居場所があると思ってもらえることは、今後の企業の発展のために欠かせません。
1−5. 経営理念やビジョンの浸透
ランチ会など社内イベントの内容によっては、経営層と社員が触れる機会があります。
普段は接する機会が少ない立場同士、貴重なコミュニケーションの機会となるでしょう。
社員にとっては経営層から直々に、経営理念や企業の今後のビジョンについて話を聞く場となります。
経営層の口から直接聞く言葉は、漠然と仕事をしているだけでは知り得ない情報です。
自分も企業の一員であることを再認識するきっかけになるでしょう。
経営理念やビジョンがしっかりと浸透していないという企業の場合、社内イベントにより社員の意識の変革が期待できるのです。
2. 社内イベントを成功に導く2つの要素
社内イベントの効果を最大限に発揮するためには、参加した社員が満足する結果に終わらせることが重要です。
多くの社員から「参加しなければよかった……」と思われるイベントにしないためにも、成功に導くための要素を把握しておきましょう。
ポイントは、社員が参加を前向きに考えられるイベントであることです。
2−1. 社員が参加したいイベントの内容を把握する
社内イベント後の満足度を高めるためには、必然的に社員が参加したいと思えるようなイベントを企画することが大切です。
JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所の調べによると、「参加したいイベント」への回答は以下のような結果になりました。
- 「感動する社内イベント」68.1%
- 「豪華な施設や食事などが設定された社内イベント」67.3%
- 「社内のいろいろな人と話ができるイベント」66.5%
- 「何かを学んだり、学びを仕事に活かしたりできる社内イベント」66.0%
- 「最新のテクノロジーを使った、目新しい社内イベント」54.5%
参加したい社内イベントの上位回答には共通点があります。
参加によって「何かしらの貴重な体験や、新たな気づきを得られる」ことが、参加したいイベントの条件であるようです。
例えば、企業の創立記念日を祝うイベントでは、これまでの歴史を振り返る映像などを流すことで、組織の一員であることを再認識できます。
大きなホテルのホールを貸切り、豪華な食事が振舞われるイベントは、積極的に参加したいと思える社員も多くいるでしょう。
参加することに意義を見いだせる、社員が主体的に活動できるイベントが求められているのです。
出典:JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所・「社内イベントに関するコミュニケーション調査」
2−2. 社員が参加してよかったと感じるイベントの共通点を理解する
社員が社内イベントに参加してよかったと思える要因についても、把握しておきましょう。
JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所の調べによる、「社内イベントのよかった点」についての回答は以下の通りでした。
- 「社員全員が同じ場所に集まったこと」48.2%
- 「参加型で、自分たちも一緒に楽しめたこと」29.0%
- 「会社や同僚・上司について知ることができたこと」25.6%
- 「食べ物や飲み物」20.2%
- 「社長の話を直接聞けたこと」17.6%
- 「演出や企画がよかった」16.8%
社員同士が貸切りの会場などに一堂に会することで、同じ時間を共有することが参加後の満足感につながっているようです。
コミュニケーションを取れることが、日常とは異なる場所として参加の意義を高めているのでしょう。
イベントへの参加や人気投票など、社員の負担にならない形で参加できる形式も効果的だとわかります。
上記の要素を全て盛り込んだイベントにする必要はありませんが、開催時の参考にしてみてください。
出典:JTB コミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所・「社内イベントに関するコミュニケーション調査」
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