
多くの企業では、組織としての目標を立てています。
組織目標の達成こそが、企業の成長につながるからです。
組織目標の達成のためには、社員一人ひとりの自発的な行動が欠かせません。
共通の目標を持ち、全員で達成をめざす姿勢はモチベーションの維持につながります。
しかし、
「きちんとした組織目標を立てられているか不安」
「組織の目標が社員に理解されているかわからない」
といった、問題意識をお持ちの経営層の方もいらっしゃるでしょう。
今回は、組織目標の立て方と、社員へ向けて浸透させるための方法を紹介します。
1. 組織目標の重要性
業種により異なりますが、多くの企業では売上や新規ユーザー獲得数などの目標を掲げています。
社員は全員でこの目標を達成するために働いています。
企業が定めた組織目標の達成のためには、全社員が協力することが大切です。しかし、目標の規模が大きすぎると、達成へ向けてどのような働き方をすればよいのかをイメージするのが難しくなります。
そこで、集団から個人へと目標を落とし込み、社員は個人に設定された目標の達成をめざします。
1−1. 社員のモチベーションに大きく影響
企業としての組織目標が不明瞭で伝わりにくい場合、社員側のモチベーションは大きく低下します。
目標へ向けてどのようにアプローチすればよいかわからず、達成しても自分への評価につながるのか疑問を抱かれてしまうからです。目標値が高すぎて達成見込みが薄い場合も同様です。
そのため、組織目標は具体的で実現可能である必要があります。
1−2. 組織目標は部署・チーム・個人の目標になる
組織目標の達成には、社員一人ひとりの貢献が不可欠です。
組織目標のままでは規模が大きすぎるため、部署やチームの目標へと落とし込みます。
そして、部署単位での目標を達成するため、個人レベルの目標設定を行うのです。
これにより、個人目標の達成が組織目標の達成につながるという、業務上の自然な流れが出来上がります。
管理職は積極的に社員に対し、組織目標の持つ意味や個人目標との関連性について詳しく説明する必要があります。
1−3. 組織目標の内容は定期的に見直す必要がある
組織目標は一度設定したものを使い続けるのではなく、定期的に見直す必要があります。
時代の移り変わりや業界を取り巻く環境の変化など、状況に合わせて組織目標を変えていかなくてはならないからです。
また、業績の良し悪しによっても、目標の達成が困難になる場合があります。
経営層は企業の経営状態を確認し、達成可能な適切な内容へと変更していきましょう。
新しく設定した組織目標は、進捗状況に合わせて社員の目標へと落とし込んでいきます。
2. 組織目標の立て方
組織目標を立てるにあたり、まずは企業としての目的を明確にする必要があります。
以下の2つの考え方を軸に、組織目標を立てていきましょう。
- 創業時の想いなどをベースに目標を考える
- 組織目標は社会性の高いものにする
「3C分析」の活用も、組織目標を立てる際に効果的な手段となります。
組織目標を立てたら部署やチーム、社員の個人目標に落とし込んでいきます。
そのためには、「OKR」「SMARTの原則」などを活用するのが効果的です。
2−1. 創業時の想いなどをベースに目標を考える
組織目標を立てるにあたり、創業時の想いをベースにする方法があります。
経営者が事業を立ち上げるに至った考え方や、企業規模が変わった現在でもその想いが生きているかを振り返りましょう。
顧客への対応や地域への貢献など、創業時の考え方を発展させたものが、現在の組織目標につながるのです。
- 自社が提供する製品やサービス
- 顧客やクライアントに対する対応
- 企業活動を通した社会への貢献度
上記の要素を軸に、組織目標の外枠を作っていきましょう。
経営理念も組織目標を作成する際の根本的な考え方として活かせます。
組織目標には物語性を持たせることで、社員に共感してもらいやすくなり、効果的に浸透するのが期待できます。入社間もない社員に対しても、スムーズな理解を促すことができるようになるのです。
2−2. 組織目標は社会性の高いものにする
組織目標を立てる際には、社会性の高いものにするのが効果的です。
厚生労働省が行った、「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」の調べによると、仕事への自発性や他の社員への積極的な支援(役割外のパフォーマンス)は、企業内における働き方と正の相関関係があることがわかっています。
また、働きがいがあるほど、社員のストレスや疲労を感じにくくなることも判明しています。
出典:令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000551612.pdf
業務が何かしらの形で社会貢献につながっていると理解できたほうが、組織目標を達成するための建設的な働き方を可能にするのです。
日々の業務でつらいことがあっても、社員同士で協力し合える環境が整っていれば、モチベーションを高く維持できます。
社員の働きが世の中に貢献する行為であると理解してもらえるよう、組織目標は社会性と関連付けましょう。
2−3. 3C分析・OKR・SMARTの原則を活用する
組織目標を立てる際に活用できるのが、3C分析です。
自社と業界内の競合他社を比較することで、組織目標を立てる際の情報を集められます。
また、OKRやSMARTの原則などの考え方を用いることで、組織目標を社員一人ひとりに浸透させやすくなります。
3C分析 |
3C分析とは市場や顧客の状況を分析し、自社が成功した要因を導き出し、さらなる目標設定のために活かすフレームワークのことです。 3Cとは、「自社:Company」「競合:Competitor」「市場・顧客:Customer」からなり、この3つの視点を分析することで自社における強みと弱みを把握できます。 3C分析の方法は以下の通りです。
3C分析は企業の目標だけではなく、社内の部署やチーム単位での目標設定にも利用できるため、組織目標を立てる際に役立つでしょう。 |
OKR |
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、「目標と成果指標」という意味です。 企業として達成すべき組織目標が設定され、その下部に部署やチーム、社員個人の目標と成果がついてきます。組織の目標と社員個人の目標が連動されるため、方向性の統一が可能です。 社員が組織の目標を達成するために努力することで、ボトムアップ的な効果が期待できます。 |
SMARTの原則 |
SMARTの原則は、「Specific:わかりやすく具体的」「Measurable:計測できる」「Agreed upon:達成が可能」「Realistic:現実的」「Timely:期限が明確である」の5つの頭文字からなり、これらの条件を目標として設定したものです。 SMARTの原則を活用することで、組織目標を社員個人に落とし込んでいく際に、具体的で期限を定めた目標を立てやすくなります。 |